DREAM43【後四人】
地面にフェクドを見事に引き寄せ、私は至近距離からのキーブレードによる攻撃を試みる。今の私のキーブレードはレイピアに近い性能なので高速で連続攻撃が可能である為、フェクドの弓ではそう簡単には守れないだろう
「はぁっ!」
「くっ、くそっ!」
流石に弓では防ぎきれないのか全ての攻撃を受けてしまい、フェクドは思わず怯んでしまう。丁度そこへドリームイーターを倒し終わったディアが駆けつけ、キーブレードを高らかに掲げて叫んだ
「今ならやれる、総攻撃で行くぞ!」
「OK!」
「待ってました!!」
ディア、アディアと私の合計三人による総攻撃を仕掛け、言い方としては悪いが三人のキーブレードのごり押しによりフェクドに大きなダメージを与える事が出来た
「フェクドの体力、大分弱ってます!」
「うん!」
先程からライブラでフェクドの情報分析を行っている鈴神さんからのアドバイスを受け、再びレイピアのように素早い連続攻撃を繰り出した。その間にアディアが風属性魔法“エアロガル”を放ちその突風でフェクドの体勢を崩した
「来たよ、総攻撃チャンス!」
「うん!」
今度はアディアの号令により三人がフェクドに総攻撃をかけようとしたその時、後衛の方から高らかな声が響いた
「Are you ready?」
鈴神さんがそうテンション高めに叫ぶと前線メンバー三人に不思議な光が降り注ぎ、の攻撃力がかなり高まっていくのを感じそのまま三人で再び総攻撃を仕掛けた。
「これでも喰らえーーーっ!」
激しい爆風が収まった時にはフェクドはかなり消耗しており、すでにふらついていた。だがそれでも尚弓をこちらに構えており、エージェントとしての誇りを感じる
「まだだ……ドゥーハとメラクリオンの仇!」
そう言ってフェクドが放った渾身の一撃は邪悪色に染まったエネルギーを纏った巨大な矢だった。撃つ直前こそ普通の大きさだったはずだがスピードが早くなるにつれて大きくなって行っているようだ
「ディアさん、あれに向かってダークフェザーレイドを放ってください!」
「フン、誰がお前の言うことなんか聞くか」
鈴神がこの状況を分析した上でディアに指示を出すがやはりディアはそれに従わなかった。オリンポスコロシアムで再会して以来ディアはずっと鈴神の事を疑い続けている為、すぐに指示に従うのは難しいだろう
「ディア、今はそんな場合じゃないわよ!」
「ちっ、仕方無い!ダークフェザーレイド!!」
軽く舌打ちをした後ディアは助走を付けてから高くジャンプすると背中にエネルギーのような黒い翼が現れ、そのままフェクドの放った矢に向けて急降下しその勢いのまま突っ込み翼が闇に変化してすぐキーブレードに宿り、急降下の勢いが加わった超強力な斬激で見事に矢を破壊した
「何っ!?」
「今ですクロナさん!止めを刺してください!」
「了解!行くよ……やぁーーっ!!」
メンバー全員の気持ちと期待を背負い、俗に言うブレイクダンスのような踊りを踊っているとその回りから大量の氷――ブリザードが発生し、それら全てがフェクドに降り注いだ。
「これが私の“ダンスモンドダスト”よ!」
わ私は新たな技ダンスモンドダストを習得し、降り注ぐブリザードと共にフェクドの断末魔が響いた。また一人罪の無いエージェントを倒してしまったがそれも後一人で終わる。そしてその後は七星座の中心人物三人を相手にしなくてはならない、七星座は後四人だ
この世界は七星座の魔の手から守られたので続けて次の世界へ行くためアディアが再びゲートを形成してくれている間に私達はそれぞれ時間潰しをしていた。準備をする者、何か考え事をしている者などいたが私はこのビーストキャッスルを見て回っていた
「(お城……かぁ。もしレイ君が王子様だったら、こんな立派な城に同棲する事になるのかな?多分城の色は白と紫だね)」
色に関しては完全に自分の好きな色その物だが何時かそんな暮らしをしてみたいと憧れた。一方その頃、ディアが珍しく鈴神さんに話し掛け、こう言った
「……言っておくが、あれはお前の為にやったんじゃないぞ。戦いに勝つためにやったんだ。そこんところ勘違いするなよ?」
「……まだ疑ってるんですか?」
鈴神さんが寂しそうな表情で儚い声を出すとディアは黙って彼女から距離を置いてしまった。だがその表情は何処か落ち着きがなく、頬の辺りが赤かった。
「なんだ……この感情は?」
今回ばかりは上手く冷静さを保てていないディアだった