DREAM45【ブリューナク】
私達はアディアの形成したゲートで見覚えのある荒野にたどり着き、やがてそこはかつてレイ君とディアが初めて会った場所だと判明した。途中アディアがアンセムさんの用事で一旦帰ってしまい、しかもそのタイミングに七星座の一人メッグレスが現れ、襲撃してきたのだが……
「何故……貴女が聖獣を!?」
「決まってるじゃない……貴女達を倒すために手にいれたのよ!」
今のメッグレスの言葉からすると恐らくベネトナシュから渡された私達を倒す為の力だろう。聖獣と言う代物がそんなホイホイと手に入るはずも無いが、ベネトナシュほどの存在ならば納得出来る
メッグレスの聖獣“ブリューナク”は氷属性を主体とした聖獣なので同じく氷属性を有する私はかなり戦い難い。しかしその反面闇属性以外にも炎属性を使えるディアはかなり有利だ
「ディア、やつの聖獣に炎をお願い!」
「よし、任せろ!」
仕方無く後衛に下がり、前線に残ったディアが炎属性魔法“ファイガ”を放ちブリューナクを攻撃した。その一撃はブリューナクにとってかなりの痛手となり、聖獣の動きが止まった。だがそれも本の数分、一時的な物だろう
「この瞬間を待っていた!仕掛けるぞ!」
「了解!」
ディアの合図により前回よりも人数は一人少ない総攻撃をブリューナクに仕掛けた。前回ほどの威力は無い物の中々効率的なダメージを与える事が出来たが代わりにブリューナクが再び動き始めてしまった
「ブリューナク!」
メッグレスがブリューナクに指示を下し、その長い槍を振るうとまるで鎌鼬のように氷の刃が降り注いだ。
「二人とも、今から私の言うとおりに動いてください!」
「え?」
「右、左、左、斜め!最後に左です!」
しかしそれは鈴神さんの絶妙な指示により辛うじて避ける事が出来た。もし彼女のバックアップが無ければ今ごろあの刃に引き裂かれていた所だろう
「ありがとう鈴神さん!」
「気を付けて、次が来ます!」
そう言っている側から真上からブリューナクの槍が降り注ぎ、間一髪避けるとメッグレスの元へ一気に走った。先程槍を強く突きすぎた為にブリューナクの槍は地面に突き刺さってしまい、身動きが取れない状態にある
ブリューナクが動けない内に私達はメッグレスに二人で攻撃を仕掛け、始めはメッグレスの片手剣にいなされていたが、徐々に大分焦りが見え始めディアの重い一撃に剣は弾かれた。
「しまった!」
「行けクロナ!」
「はぁーーっ!」
ブリューナクは動けず、メッグレスが武器を失った隙を見て私はレイピア――またはキーブレードを無数に突き出し、まるで千本もあるかのように見せながらも相手を超がつくほど連続攻撃する技“サウザンドレイピア”で終止符を打った。サウザンドレイピアの最後の1突きでメッグレスは光の粒となって消滅し、空高く飛んでいってしまった。
「みんな!」
丁度そこへアディアが戻り、私達は傷だらけになりながらも彼女の名前を呼んだ
「「「アディア!」」」
「遅れてごめん、そしておめでとう。ついにエージェントを倒したね!」
そう言えばとその時誰もが顔を見合わせた。そして誰もが喜び、中には安心した様子を見せた者もいた。最初の頃こそ罪の無い彼らを倒す事に罪悪感があったが、彼らは夢の世界を救おうとする私達を阻んでくる為どうあっても戦いは避けられなかった。だがその息が詰まるような辛い戦いはたった今終わったのだ
「これで七星座は残り中心人物となる三人。彼らはかなりの強敵だ」
「……確か、アリオスにミゾール……そしてベネトナシュだったな?」
「うん、彼らはエージェント達とは格が違う……注意してくれ」
「そう言えばアディア、聞きたい事が……」
私は先程メッグレスが聖獣を使った事を話し、どういう事なのか聞いてみた。するとアディアは驚きを隠せない表情となり、暫く黙って冷静さを取り戻した
「なるほど。実はアンセムさんも言ってたんだけど、そろそろ聖獣の力が必要になるかもしれない」
「え……?」
「ひとまず、場所を変えようか」
そう言ってアディアはゲートを形成し始めた。やはり多少の時間はかかるがそれよりも聖獣の事が気になって仕方なかった。何故メッグレスは聖獣を使えたのか、そもそも聖獣とは何なのか、全てアディアの口から聞けるのだろうか