DREAM48【ベネトナシュとの対面】
「貴女……一体何者なのっ……!?」
私は今目の前にいる謎の少女に恐れを成していた。まさか同い年の少女を見ているだけでこんなにも怯えるとは誰が思うだろう、しかし彼女から感じるこの威圧感は明らかに普通の物ではない。
「私はベネトナシュ。貴女達の敵である、七星座のリーダーよ」
「何ですって……!?」
なんとこの仮面の少女の正体こそ七星座のリーダーベネトナシュだった。以前聞いていた容姿の情報と確かに一致しており、その存在感は想像以上だった。セイやダークエンドの時とは違い、セイやダークエンドの場合はχブレードなどの絶対的な力を持っているが為に多少の恐怖を抱くのだが、彼女の場合見ているだけで迫力を感じるほどの何かを感じる
「貴女が……ベネトナシュ……っ!」
目の前にいる仮面の少女がベネトナシュだと確認すると私はすぐにキーブレードを構えた。前回同様のレイピアタイプに加えてそれ以前に使用していたキーブレードの二刀流であり、これだけやれば彼女を倒せるだろうと思っていた
「……私と戦うつもり?」
ベネトナシュは少し目を細めて仮面越しにある目前の前髪を揺らすと、その不気味なほど透き通った青色の瞳で私を見た
「良いわ、三分だけなら付き合ってあげる」
なんとベネトナシュは仮にも自分の組織の計画を脅かす相手のリーダーを前にしてふざけた台詞を言った。この夢の世界の冒険で私も少しは強くなったと思うが、流石にあんな武器も用意していない上に三分などと言う余裕を見せている相手に負ける訳が無い
「ふざけないでっ!!」
そう言って無抵抗な彼女に連続で斬りかかるが、それら全て跳ね返された。いや、その表現は正しいのだろうか。ベネトナシュが何もしていないのにも関わらず私の攻撃は何度も弾き返され、まるで鋼よりも硬いダイアモンドの壁でも叩いているかのような感覚だった。
「フラワーストーム!」
花弁を纏った竜巻を得たキーブレードで敵を貫く技であるフラワーストームを二つのキーブレードで行い、これならと思ったが先程と同じく跳ね返されてしまった。当然ベネトナシュは何もしておらず、ただ平然とその場に立ち尽くしている限りだった
「ダイアモンドダストっ!」
世界全てを凍り付かせるような勢いで発生する吹雪の技であるダイアモンドダストを使いベネトナシュを凍てつかせようとするが吹雪は彼女の目の前で何故かピタッと止まり、どういう訳かこちらに反射してきた
「っ!?きゃあっ!!」
氷属性が得意なはずなのに大きなダメージと共に自分が凍り付いてしまい、両足の自由が奪われてしまった
「くっ……」
「さて、後十秒ね」
そう言ってベネトナシュはある1つのキーブレードを出現させた。
「っ!!それはっ……!」
ベネトナシュの左手に握られていたのは現実世界での自分のキーブレード“シャインセイバー”だった。
「これもまた夢の世界のキーブレード……だから厳密には貴女のキーブレードではない。要するに偽物と捉えてくれて構わないわ」
「っ……!」
その刹那、ベネトナシュのシャインセイバーが氷ごと私を切り裂いた。あまりにも一瞬の出来事で彼女が斬った姿所か左手を動かす瞬間すら見る事が出来なかった。ほぼ瞬間移動に近い彼女の攻撃に成す術も無く痛みに耐えきれず叫んだ
「うわぁぁぁぁぁああっ!!」
身体中を駆け巡る激しい激痛。身体中全てに高電力の電撃が迸るような苦しみ。これがもし夢の世界の身体でなかったら間違いなく私は今頃死んでいただろう。たったの一撃で、しかも現実での自分のキーブレードを使われて倒れてしまい、この勝負は完全に私の負けだ
「言ったよね?三分だけなら付き合ってあげるって。はっきり言うけど、貴女は弱い。戦闘面においても、仲間達の事においても!」
「っ!!」
「貴女は自分の望みしか追いかけられないまま、何れ全ての仲間を失うでしょう……自分の愚かさに気づかない限りはね……」
そう言ってベネトナシュは何処かへ向けて歩き出し、キーブレード――シャインセイバーを消滅させると自身の目の前に闇の回廊を出現させた
「待てっ!!……うっ……」
追いかけようとするがあまりの痛みに倒れ、そのまま気を失ってしまった。