DREAM54【リーダークロナ】
気が済むまで泣き叫ぶとプロメッサと共にみんなの元へ戻り、すぐにディアが出迎えてくれた。ちなみに他の仲間達の姿は無い
「気は済んだか?」
「ディア……」
「全く……もう少し俺達を信じろ。全部分かってたんだからな」
仲間の勘なのかはわからないが何故か知っていたと言い張るディアの言葉に一々驚き、すぐに問い質した
「えっ、それどういう事!?」
「どうもこうも、お前とアンセムの会話が偶々聞こえてな」
あぁ、なるほど。確かにディアなら嫌でも耳に入りそうだ。そもそもディアは普段から他のメンバーに比べて非常に鋭いのでもしかしたらと思ったら案の定正解だった
「初めからお前の我が儘だって知ってたさ。でもな、俺達はお前の良さを知っている。だから着いていきたくなる。例えそれが自分勝手だとしても、俺達は応援してあげたい……それだけだ」
私がずっと悩んでいる間もディアは私の事を信じてくれていた。思えばディアはセイの時からは大分変わり、今では大切な仲間となっている。
「……私の良さ……?」
「わからないか?なら教えてやろう」
不意に口から出てしまった素っ気ない言葉にディアは呆れつつも微笑んでおり、こう言った
「優しい所、目的に一生懸命になれる事、仲間の為に悩める事、そして……」
ディアは少し間を置き、普段の彼からは考えられないほど明るい笑顔で言った
「“誰よりもレイを想える”事だ」
「誰よりも……?」
「そう、お前のレイへの想いは間違いなく本物だ。それも俺達全員の想いを束にしても敵わない程の。それだけあいつを大切に想っているからこそこの旅を始めたんだろ?」
「……」
「俺達は単純にその想いに惹かれ、応援する為に集まった……それだけだ」
ディアの言葉1つ1つに先程流しきったはずの涙が流れてきて、嬉しさと自分の不甲斐なさが込み上げてきた。そんな姿を見かねたディアは私の肩に手を置いた
「まあ、あいつもあいつだがな。たくさんの仲間達が待ってるのにいなくなってさ……それにこんな美しい正妻置き去りにして何やってんだか」
「せ、正妻っ!?」
「とにかくクロナ。お前に言う事がある」
そう言ってディアは私の首にあるものを掛けた
「これって……!」
「そう、あいつの物だ」
それはレイ君が病室に置いていった六方星のネックレスだった
「クロナ、お前が俺達の……チーム“レイディアントスター”のリーダーだ」
その懐かしき名前に私の涙は止まらなかった。そもそもレイディアントスターとは幼少期の私やレイ君達で結成していたチームの名前であり、それが今夢の世界を救う為に再び復活した
「ありがとう……でもリーダーは……」
「あぁ、確かにあいつだ。でも……あいつとお前の“二人”がリーダーなんだ」
「うん……ありがとう……」
「だろ?みんな」
ディアがそう言うと同時にフィオ君やアディア、鈴神さんだけでなくアンセムさんやローグ、ルプクス、さらにはレンと言った仲間達が姿を現した。どうやら先程までの話を聞かれていたらしく、みんな優しい表情をしていた
「そうだよクロナちゃん!自分と僕達を信じて!」
「もう決めたよ……全力で君を応援するってね」
「クロナさん、貴女の良さは私達が一番知っています。忘れないで」
「その絆は、何者にもブリード出来ない君達だけの物だ」
「俺達も、全力でお前達レイディアントスターをサポートする」
「夢の民も総力を上げてレイ君の情報を探すからね」
「安心しろ。いざと言う時は駆けつけてやるから」
仲間達の励ましの声を受け、欠けた心が満たされていくのを感じると突如頭の中に聞き覚えのある声がした
――クロナ、これからは君が愚者だ。俺も、君も……
愚者、それはタロットカードの0番目のカードであり、無限の可能性を秘める者。その聞き覚えのある彼の声に私の心は完全に満たされ、やっと決意出来た
「みんな……ありがとう。私はもう逃げない!」
愚者は数字の0。またここから始めて行こう、私と君と、仲間達の最高の物語を