DREAM56【情報屋】
特訓を終えたその夜、アディアは自室にある通信機を巨大モニターに繋ぎある人物に通信を掛けた。その数秒後にモニターに一人の特殊なオッドアイの少女が写り、アディアはその少女に挨拶した
「今晩はクロ。そっちはどう?」
「アディア、丁度良かった。今さっき新たな情報が手に入った所なの」
今アディアが話しているこの少女の名前はクロ。以前アディアが仄めかしていた情報屋の正体であり、彼女がもっとも頼りにしている存在である。
「と言うか、こっちは昼なんだけど。わきまえてよ」
「ごめんごめん、こっちは夜なんだ」
確かによく見ればモニターに写るクロのいる世界は昼だった。だがレイディアントガーデンはすでに夜であり、大半の町人はすでに眠りに着いていた。どうやらいくら夢の世界だろうとそれぞれ時間の流れが違うようだ
「それで……新情報って?」
「えぇ、その事なんだけど……」
アディアは長話を覚悟するように深く頷き、クロは少し咳払いをすると先程得たと言う情報を語りだした
「実は私が得た情報は二つあって、1つは七星座の一員であるアリオスとミゾールが今度は闇の世界を標的にしたようだわ。あそこにはキーブレードマスターがいる、恐らく邪魔される前に始末しておきたいのね」
「次にやつらが現れるのは闇の世界か……」
闇の世界とは現実世界の裏側に存在する世界であり、1度足を踏み入れたら普通は二度と出られない場所なのだが今回は夢の世界の闇の世界なので全くそんな事は無い。だが闇の世界にいるキーブレードマスターが狙われているとなるとかなり不味い事になる
「それで、もう1つは?」
「それが……これは確証が持てないんだけど、貴女に以前依頼されていた人らしき影が見つかったのよ」
「レイ君の?」
「そう、貴女達のリーダーが探していると言うレイ・ディアスらしき人影をヴァーヴァリアンコロッセオで見たと言う情報が多発しているの。もっとも……ガセネタだったり無理矢理なでっち上げもあるけどね」
かつて鈴神が訪れダークエンドを復活させてしまったと言うヴァーヴァリアンコロッセオにレイ君の存在らしき影が見つかったと言う噂が最近では夢の世界中に広まっている事もクロに付け足され、嘘か本当かも一切わからないがもしこれが本当であれば現実世界のレイ君を探す大きな手掛かりとなる
「まぁ、後者に関してはまだ確証が無いからまた連絡するわね」
「うん、それだけでも助かるよ。ありがとうクロ、お休み」
「だからこっちは昼だって……」
クロの率直な突っ込みさえもスルーし、アディアは通信を切るとすぐ眠りについた。現実世界での姿が兎なだけにその寝顔は普段こそそう思えないが可愛らしい女の子となっていた。