DREAM58【やつらの狙い】
翌日、すでにジョブゲート付近にメンバー全員が集まっていた。少し前まで四人だったのがフィオ君が帰ってきてしかもプロメッサと言う頼りになる仲間も出来て一気に六人となった。その上二人は聖獣を使える為この先の戦いが大分有利になるだろう、何せ私達は今まで誰も聖獣を使えなかった訳だから
私も決意を新たに現実世界と同じ姿となりより一層自意識を高めた。レイ君を本気で見つけるなら本当の私でなければならない、そう思ったから。それにみんなは納得し、中には喜んでくれる者もいた。だがこの姿となった為に前の夢の世界で活動する為に用意されていた姿で使っていた武器が使えないのが最大の欠点か。使えれば楽なのだろうがあの武器は本当の自分の力ではないと切り捨て、夢の姿同様削除した。しかし現実世界の姿にあるのはデメリットばかりではなく、全ての能力値が現実と同様でありつつ夢の姿の能力値が全て引き継がれているのだ。言うなれば現実と夢の姿の能力を足し算したような感覚であり、武器は現実の物と同じになってしまった物のそのデメリットを上回るメリットがある
「みんな、聞いてくれ」
仲間達が各々の準備をしている中、夢の民の一人ことアディアが口を開いた。
「僕の知り合いに情報屋がいる事は前も言ったと思うけど、その情報屋が闇の世界にやつらが現れる事を突き止めたらしい」
闇の世界、かつてレイ君も落ちたがリアスのお陰で脱出出来た物のそれがなければ間違いなく助からなかった暗黒の空間。入ったら最後出ることが出来ないその世界の夢の存在の中に七星座が侵入しようとしている、本来の目的より私達を始末する事を優先したはずの彼らがそこに向かうとなると何かの罠だろうか
「あの世界にはキーブレードマスターなる人物がいるから、もしそれがやつらの狙いなら大変な事になってしまう」
「キーブレードマスター?」
「“マスターアクア”。十一年前師であるマスターエラクゥスに認められたキーブレードマスターの一人です」
フィオの疑問に幸先良く答えたのは鈴神さんだった。確かにアディアの言う通り七星座の狙いがマスターアクアなら現実のアクアも危ない事になる。夢と現実は繋がっていて、もし片方が息絶えればもう片方も同じようになる。これは罠などではなく単純にマスターアクア襲撃作戦であり、それを知って駆けつけた私達も始末しようと言う魂胆なのだろう
「そう、そのマスターアクアが危ない以上急がないといけない。でも闇の世界は他の世界とは違って敵の強さが別格だから聖獣を使えるフィオとプロメッサが鍵になってくるだろう」
フィオとプロメッサは強く頷き、自らの責任の重さを感じつつもそれを受け入れた。しかしその一方でディアはずっと悩んでいた
「(これまで何とかやれて来たが……それは闇の力を使ってきたから……つまり俺は何時かのように一番の足手まとい……)」
ディアは何時か冒険したワンダーランドでの自分を思い返していた。あのときは闇の力を使わず、かといって光の力が使える訳でもなく自認するほどのお荷物だった。仲間達にはそんなこと無いと言われたが結局は闇の力を使ってしまい、どうする事も出来なかった。その上鈴神さんに対する謎の感情にも惑わされ、もはや頭の中が混乱して参っていた
「(聖獣を使えるあの二人が頼られるのは分かる……でも、俺も……あそこに立てたらこの悩みも何か変わるだろうか……?)」
「ディアさん?」
「っ!?」
考え事をして自分の世界に入り込んでしまっていた為近くにいた鈴神んのそ存在に全く気づけなかったディアはいちいち大袈裟に驚いてしまい、腰を抜かしてしまった
「どうかしたんですか?」
「な、何でもない!!」
「とにかく……ゲートを作るよ」
アディアがゲートを構築し始めておよそ三十分でそれは完成し、中には迷いを抱いている仲間もいるが私達はゲートの中へと足を踏み入れた