DREAM72【新たな仲間 クロ】
翌日、私達はアディアの作ったゲートで情報屋であるクロの待つユナイテッドサテライトへと向かった。ユナイテッドサテライトはまるで未来都市ような機械の街。当然街の住人もロボットであり、現実世界ではこの世界のルールに従い私達もロボットになっていたが、流石に夢の世界なのでそれは無かった
「あ……ここか」
この世界へ来て早々に気を落とすダーク君は顔が青冷めていた。それもそのはず、ダーク君はこの世界でただ一人散々な目に合っていた為、それを思い出してしまったのだろう
「それでアディア、そのクロって人は?」
「もう少しで来るはずなんだけど……」
アディアが周囲を見渡していると何処からともなく咳払いが聞こえ、振り返ってみるとそこには一人の女性がいつの間にか立っていた
「わっ!」
「何時の間に!?」
「待ちくたびれたわよ、アディア」
「ごめんクロ。何せ来たことの無い世界だから、ゲートを作るのに手間取っちゃって」
どうやらこのオッドアイの女性がクロのようだ。話によれば重要な情報を二つほど得ており、その内一つがレイ君に関わる事らしいが果たしてどんな事が分かったのだろうか
「まぁ良いわ。そちらが、クロナね?話は聞いているわ。そっちは?」
「あ、はい!アディアからよく聞かされてました」
「そう、話が早くて良かった。じゃあそろそろ良いかしら?」
冷静かつ単刀直入に事を進めるクロさんは流石と言うべきか真面目であり、例の情報を提供してくれた
「まずレイの事なんだけれど、ガセネタじゃなくて本当にいる事が発覚したの」
「えっ!?それって何処で発見去れたんですか!?」
「“ヴァーヴァリアンコロッセオ”。かつてダークエンドを封印していたとされる、神殿だらけの世界。その世界での目撃情報が多発しているの」
ヴァーヴァリアンコロッセオと言えば鈴神さんがダークエンドを復活させた世界であり、その後その世界がどうなったのかは不明だが、話を聞く限りだとヴァーヴァリアンコロッセオへ行けば会えるようだ
「最初は確証が持てなかったけど、何度も情報収拾をしている内に何件も相次いでいたからこればかりは信じて良いわ」
「ありがとうございますっ!」
私は感謝のあまり頭を下げた。これでレイ君に会える、そう考えるだけで自然と明るくなれた
「良かったな、クロナ」
「うん!これで……やっと!」
「盛り上がっている所悪いけど、もう一つの情報よ」
やっとこの旅の目的の一つを果たせると感激していた所に水を刺すように言い放ったクロさんの言葉は、先程の物とは全く真逆の衝撃を与える物だった
「七星座のリーダーベネトナシュの正体、それはどうやら……この夢の世界を統治していた“姫君”らしいの」
「何ですってっ!?」
明るい気持ちから一転、一気に重い衝撃が走った。あのベネトナシュがνの語っていた話に出てくる姫君だと言うのだ。今思えば彼女は一切笑っておらず、憎しみに満ちた瞳をしていた。あのときは何故か分からなかったが、それは婚約者だった兵士に裏切られたと思っているからだろう
「姫君って……一体どういう事だよ!?」
「私もこの世界の事を全て知っている訳じゃないから、姫君に関する伝説は知らないの。そもそも、それに関する情報が少なすぎて……」
どうやら情報屋であるクロさんが調べられないほど現状ではあの話は知られていないようだ。つまり姫君の悲劇を知っているのは私とν、そして姫君本人であるベネトナシュのみと言う事になる
「とにかく、その姫君だからこそ何故夢の世界を滅ぼすかが気になるの」
「確かにね……」
「……」
クロさんの意見に賛同するフィオ君と、昨日の事で頭がいっぱいで話を全く耳に入れられていないプロメッサ、それに悩むアディアと現状私達は様々な疑問を抱いていた。七星座及びベネトナシュの真相、νの語る伝説、レイ君の行方、プロメッサの記憶、そしてνとは何なのか
「ここまで来ると戦いが厳しくなってくるでしょうし、ここからは私も戦いに加わるわ」
「良いの?クロ」
「えぇ。七星座が何時暴れだすか分からないからこそ、私達が力を合わせるのよ。それに私の実力はアディア、貴女がよく知っているはずよ」
夢の世界を救う為に立ち上がった新しいレイディアントスターに新たな頼もしい仲間、クロさんが加わり共に戦う決心をした矢先、やはりやつが現れた