DREAM74【VSアリオス】
「こっちから行くぜ!」
アリオスは高くジャンプすると、落下する勢いのままに地面を殴った。するとどんどん大地が割れていき、その割れ目から大量のマグマが噴き出した
「なんだこりゃ!?」
「参ったな……これでは自由に動けない」
マグマの壁に阻まれ動けない間もどんどん溶岩は広がり、足場は狭まっていく。しかし対抗策が無い訳ではない
「ウォータラ!」
事態が悪化する前に水の魔法“ウォータラ”で炎を消火し、マグマによる地面侵食を最小限に押さえるとその瞬間にアリオスの拳が襲い掛かってきた。しかしそれを紙一重で避け、右ストレートを出して隙が出来たアリオスに一つ斬撃をお見舞いした
「やるじゃねぇかよ」
「貴方も充分強くてよ」
次に氷魔法のさらに上の段階である“ブリザガル”の弾丸を連発するが、アリオスが地面を殴ることで即興で生み出した炎の壁で全て防がれた
「ファンタジーブルーム!」
大量の花の形をした氷が凍てつく突風に乗りアリオスへと飛んでいった。しかしアリオスは炎の壁に守られている為に油断しており、この技の特性を思い知った
「なにっ!?」
なんとあらゆる物を溶かす炎さえもが凍りつき、花の形をした氷のクラスターがそれを砕きつつアリオスを集中的に切り裂いた
「ぐわぁ!」
アリオスはその場に倒れたが、すぐに体勢を立て直した
「今のは一体……何故炎が凍った!?」
「それがファンタジーブルームなのよ。この技は、相手のシールドさえも凍てつかせる。それが例え、炎であっても」
どんなに熱い炎であっても凍てつかせ、あらゆる守りを無効化する為様々な曲面で使えるのがまた良いところである。アディアやみんなとの特訓で得たこの技はやはり氷属性であるためか炎属性のアリオスにはあまり効いてはいない物の、炎が凍った事には衝撃を受けたようだ
「だったらこれは凍らせられるか!?」
先程のやり返しと言わんばかりに炎魔法“ファイガ”の弾丸を連発し、私は走りや側転を上手く活用してそれらを全て避けた。アリオスの言うようにまた凍らせれば良いのだが、実はファンタジーブルームはあらゆる“シールド”を凍らせた上で相手を切り刻む技であるためシールドでない物は凍らせられない為無理だ
「どうしたどうした?見せてみろ、お前の氷を!」
アリオスが右ストレートやジャブを繰り出すように拳を突き出す度にファイガの弾丸が乱射され、その度に避けつつ再びブリザガルを連発する。しかしあちらもただ連射するだけでなくそれらを避けてしまった
「だったら俺が!」
「ダークさん、待ってください!」
ダーク君が戦闘に参加しようとしたが、それを鈴神さんが止めた。目が金色になっている所を見るとライブラで分析をしていたようだ
「彼に炎は効きません!それに貴方は炎を中心とするはずです。これでは今行っても……」
「なら物理で攻めるだけだ!」
ダーク君のもう一つの長所である物理攻撃で攻めようと走るが、先程から放たれている炎の弾丸に行く手を阻まれ近づくことが出来ない
「無駄だ!」
「チッ、鈴神の言ってたのはこう言うことか!」
炎が効かなければ物理攻撃をすれば良いと言うダーク君の考えはいとも簡単に絶たれ、いつの間にかアリオスの背後にいたプロメッサが雷魔法“サンダガ”を放った
「やっ!」
「ぐっ……」
雷を喰らった為に炎を連射していた拳が止まり、やっとアリオスに近づけるようになった。名前の似た二人ことディアとアディアはその隙を逃さず二人同時に攻撃し、アリオスを怯ませる事が出来た
「よし、敵は隙だらけよ。行きましょう!」
「了解!」
クロさんの号令でメンバー全員による総攻撃を開始し、アリオスに追い討ちをかけるとクロさんがさらに追撃した
「エアロガ!」
風の魔法“エアロガ”でアリオスを上空へ飛ばし、それを空中から打ち落とすようにして“ダークブレイク”を放った後、クロさんはさらにサンダガを繰り出して怒濤の三連撃を喰らわせた
「ヘルショット!」
フィオ君の得意技である“ヘルショット”はアリオスを貫き、先程彼が呼び出していたドリームイーターの方へと飛んでいった。そのタイミングにアディアのドリームイーター達がその場を離れ、アリオスのドリームイーターはヘルショットに射抜かれ消滅した
「何だよ……以前会った時は弱かった癖によ!」
「何時までも、弱いままじゃない!」
そう言って高く飛び上がり、空中に巨大な氷の結晶を出現させた。そのままそれをキーブレードで砕き、凶器の刃と化した氷の欠片が次々とアリオスへと降り注いだ
「ぐわぁぁーーっ!」
「止めよ!……っ?」
アリオスに止めを刺そうとしたまさにその時、ディズニーキャッスルの時と同じ感覚が私を襲った
「ぐっ、また……きゃあっ!!」
そして再び意識を失い、アリオスの目の前にはやはりあの青い鳥の形をした謎の影の姿があった
「こいつ……確かあのときの!だがそれがどうした!」
そしてアリオスは反撃する為になんと自らの聖獣を呼び出した。それは炎を纏った牛のような風貌であり、好戦的かつ攻撃的なアリオスをよく表していた
「あいつも聖獣を!?」
「いけ、ブルホーン!」
聖獣と言う最終手段に出たアリオスの召喚したブルホーンは謎の青い影へと突進していき、そのまま突き飛ばそうとしたが逆に凍らされてしまった
「なにっ!?」
アリオスが驚いているのも束の間、謎の青い影は凍りついたブルホーンを吹っ飛ばし、それは受け止めようと止めたアリオスさえも凍らせた
「っ!?」
そして青い影が翼を羽ばたかせ、高速で飛んで突撃し氷を砕くと共に聖獣とその使用者を同時に撃破した
「クロナ!」
アリオスが倒れた状態から起き上がれない事を確認するとダーク君は真っ先に駆け寄ってくれた。幸い今回は前回ほど意識は消えておらず、彼の声ですぐに気がついた
「あれ……私……」
「大丈夫か?」
ダーク君に支えられながら立ち上がり、今だ倒れているアリオスの方を見た。その回りには飛び散った氷の破片が彼を囲むように散らばっており、やっと倒したと言う事を確認したまさにその時、突然拍手の音が三回ほど響き渡った
「ほう、まさかアリオスを倒すとはな」