DREAM81【全て思い出した】
ゲートを抜けて降り立った世界はレイディアントガーデンだったが、何時もの街とは雰囲気が180度異なっていた。空は暗雲に覆われ、廃墟だらけの街と言うこの風景からは一つ思い当たる事があった。そう、先程もう一人の私――ベネトナシュが出現させた大量の上級ドリームイーターである
「ラストアルカナム!」
「サンダガ!」
それに対抗するのは夢の民であるローグ、ルプクスの二人。城の方でもレンが応戦している。しかし三人だけでこの大量のドリームイーターを相手にするのは容易ではなく、私達が見つけた時にはやられる寸前だった
「ローグ!ルプクス!」
「クロナか……何が起こっているんだ!?」
「それは後!今はこの敵達を!」
一旦ローグとルプクスを下がらせ、彼らをフィオ君が回復させている内に私達は二つのグループに別れた。一つはローグ達を守る組、もう一つはレンの元へ向かい加勢する組である。特に前者にはレイ君の姿もあり、共に逃げてきたのもあるが一緒に戦ってくれるそうだ
「行くよ、ムーンドリーム!」
月の輪を描くようにして武器を回し、その時に月の形に輝く光で視界を奪った隙に相手を斬る“ムーンドリーム”をアディアは繰り出し、続いてクロさんがエアロガで敵が束になった所を見計らって吹き飛ばすが、敵の数は止まる所を知らない
「くっ……これじゃ切りが無いわね」
「珍しいね?クロが弱音を吐くなんて」
「馬鹿ねアディア。これは弱音じゃなくて、ちょっとした愚痴よ」
「そうか。まぁどっちにしても同じだけどね!」
仲の良い二人の夢の民は互いの背を任せつつ戦い、何時以来かバレットガゴイルが三体襲い掛かってきた所にファンタジーブルームを決めた
「……これじゃまるで敵の嵐ね!」
「大丈夫だクロナ、止める方法はある!」
レイ君がラグナロクRDを敵に向かって放ちながらそう言うと、迫り来る敵を受け止めながら答えた
「クロナを……ベネトナシュを止めるんだ!このドリームイーター達の発生源は彼女だから!」
あえて“倒す”ではなく止めると言う言い方をする辺りレイ君はベネトナシュを倒す事に少々抵抗があるようだが、事の重大さは分かっているようだ。だが今の言葉で私は一つ頭に浮かんだ事があった
『ベネトナシュを止めるって事は……彼女が倒されれば?それって……』
そしてそっと自分の身体に目を落とした。夢の存在と現実の存在は一心同体、つまり片方でも消えればもう片方も消える。そうなると答えは一つだった
「……でもっ」
しかしそれには躊躇いがあった。今ここで自分がそうなってしまって良いのだろうか。そうすれば全て解決するだろうが、仲間達はどんな顔をするのだろう。いや、彼女を倒してもどのみち同じ事が起きるのであればそれは大差無いだろう
『……よし』
覚悟を決めた私は自分自身にキーブレードの矛先を向けた
「ッ!!」
自身にそれを刺そうとしたまさにその時、キーブレードを誰かに弾かれた。キーブレードを弾いた人物がすぐに抱き締めてきたのですぐに正体が分かった、レイ君だ
「えっ……?」
その瞬間肩に冷たい感覚がした。肩に落ちた水滴は確かに彼から流れ、それはレイ君が泣いている事を意味していた
「何やってるの……誰も“消えろ”なんて言ってないぞ!?」
「でも……私が消えさえすれば、全て……」
「その発想は当然あった!ヴァーヴァリアンコロッセオで会った時から、消すべきか躊躇ったけど出来なかった。それは何故か、やっぱり俺にとってクロナは大切な人だから!!」
彼の抱えている物は果てしなく重い、だからこそ大切な人を今でも信じているのだ。彼が倒すと言わなかったのは、このような意味でもあるのかもしれない
「何か……何か方法があるはずだ!だから、簡単に自分を諦めるな!」
「レイ君……!」
誰一人犠牲を出さずに彼女を止める方法はきっとある、レイ君はそう言ってくれた。だがそのヒントすら見つけられていない現状は変えれない、だがレイ君は諦めてはいなかった
「エルシオンッ!!」
彼の叫びにより聖獣エルシオンがその姿を現し、ドリームイーター達を蹴散らした。それに加勢するべく私は彼に抱き締められたまま聖獣の名前を叫んだ
「ファラフェニックスッ!!」
そしてファラフェニックスも現れ、エルシオンの風とファラフェニックスの氷による二重攻撃はこのエリアのドリームイーターを全滅させた
「やったねレイ君!」
「あぁ!」
まだ答えなんて分からない、だが後ろに振り向いてもいられない。そう悟っているとすぐに別のエリアから敵の援軍が来た
「これでどうよ!」
しかしプロメッサが全員このエリアに入ってくる直前にラストアルカナムで全て切り裂き、全滅させた。以前よりもパワーアップしているがやはり失った記憶のヒントとなる夢の事で相当悩んでいるのか、以前のような口癖や笑顔は無かった
「ナイスだよプロメッサ!」
「えぇ……」
その余裕の無い表情はやはり迷いを示しており、彼女はこの夢の世界の危機と自身の記憶の二つの物に追い詰められていた
『何故戻らないの……私の記憶……』
「っ!!?」
その瞬間プロメッサの脳裏に何時もの夢よりも鮮明な映像が浮かび上がり、いつの間にか視界には何処かの綺麗な花に満ち溢れた場所が写っていた
「もしかして、これがフラワーガーデン?」
以前ルプクスに聞いた場所を思い出し、それがここだと確信するとここに一人の少年が現れた。だがその少年はプロメッサの事が見えていないようで、悔しそうな表情で涙を流していた
『サヨナラを……言えなかった……』
何故だかプロメッサにはその声に聞き覚えがあった。しかしそれを思い出す事は出来ず、少年はただひたすらに走り出した
『うおぉぉぉぉぉぉぉおお!!』
例え理由が分からなくとも伝わる少年の悲しみは枯れない叫びを生み出し、やがて彼の想いが特殊な花のある場所へと導いた
『……これを にも見せたかった……!』
ルプクスの言っていたあのフラワーガーデンがここならこの花は間違いなくロザラワーゼと言う事、それを花の輝きが物語っていた。少年が何かを嘆いていると、その周囲にハートレスが出現した。タイプとしてはシャドウのようだが、普通の少年にとっては強力極まりない存在である
『なんだ……こいつら?』
その瞬間ハートレス達はロザラワーゼをその鋭い爪で刈り取り始め、それに少年は思わず激昂した
『っ!止めろぉーーーっ!!!』
そして奇跡が起きた。なんと少年がその右手にキーブレードを出現させ、ハートレスを倒したのだ。無我夢中となっている彼のその殺気は、残りのハートレス達に向けられた
『うおぉぉぉお!!!』
そのまま少年はハートレス達を全滅させてしまい、ハートレス達により残り10本にまで減ってしまったロザラワーゼを見つめ、ある少女の名前を呟いた
『ルミナ……!』
今まで空白だった少女の名前がついに発言された。そのルミナと言う名前は一気に彼女の記憶を覚醒させ、視界が元に戻る頃には何もかも取り戻していた
「全てを、全てを思い出した」
「ラストアルカナム!」
「サンダガ!」
それに対抗するのは夢の民であるローグ、ルプクスの二人。城の方でもレンが応戦している。しかし三人だけでこの大量のドリームイーターを相手にするのは容易ではなく、私達が見つけた時にはやられる寸前だった
「ローグ!ルプクス!」
「クロナか……何が起こっているんだ!?」
「それは後!今はこの敵達を!」
一旦ローグとルプクスを下がらせ、彼らをフィオ君が回復させている内に私達は二つのグループに別れた。一つはローグ達を守る組、もう一つはレンの元へ向かい加勢する組である。特に前者にはレイ君の姿もあり、共に逃げてきたのもあるが一緒に戦ってくれるそうだ
「行くよ、ムーンドリーム!」
月の輪を描くようにして武器を回し、その時に月の形に輝く光で視界を奪った隙に相手を斬る“ムーンドリーム”をアディアは繰り出し、続いてクロさんがエアロガで敵が束になった所を見計らって吹き飛ばすが、敵の数は止まる所を知らない
「くっ……これじゃ切りが無いわね」
「珍しいね?クロが弱音を吐くなんて」
「馬鹿ねアディア。これは弱音じゃなくて、ちょっとした愚痴よ」
「そうか。まぁどっちにしても同じだけどね!」
仲の良い二人の夢の民は互いの背を任せつつ戦い、何時以来かバレットガゴイルが三体襲い掛かってきた所にファンタジーブルームを決めた
「……これじゃまるで敵の嵐ね!」
「大丈夫だクロナ、止める方法はある!」
レイ君がラグナロクRDを敵に向かって放ちながらそう言うと、迫り来る敵を受け止めながら答えた
「クロナを……ベネトナシュを止めるんだ!このドリームイーター達の発生源は彼女だから!」
あえて“倒す”ではなく止めると言う言い方をする辺りレイ君はベネトナシュを倒す事に少々抵抗があるようだが、事の重大さは分かっているようだ。だが今の言葉で私は一つ頭に浮かんだ事があった
『ベネトナシュを止めるって事は……彼女が倒されれば?それって……』
そしてそっと自分の身体に目を落とした。夢の存在と現実の存在は一心同体、つまり片方でも消えればもう片方も消える。そうなると答えは一つだった
「……でもっ」
しかしそれには躊躇いがあった。今ここで自分がそうなってしまって良いのだろうか。そうすれば全て解決するだろうが、仲間達はどんな顔をするのだろう。いや、彼女を倒してもどのみち同じ事が起きるのであればそれは大差無いだろう
『……よし』
覚悟を決めた私は自分自身にキーブレードの矛先を向けた
「ッ!!」
自身にそれを刺そうとしたまさにその時、キーブレードを誰かに弾かれた。キーブレードを弾いた人物がすぐに抱き締めてきたのですぐに正体が分かった、レイ君だ
「えっ……?」
その瞬間肩に冷たい感覚がした。肩に落ちた水滴は確かに彼から流れ、それはレイ君が泣いている事を意味していた
「何やってるの……誰も“消えろ”なんて言ってないぞ!?」
「でも……私が消えさえすれば、全て……」
「その発想は当然あった!ヴァーヴァリアンコロッセオで会った時から、消すべきか躊躇ったけど出来なかった。それは何故か、やっぱり俺にとってクロナは大切な人だから!!」
彼の抱えている物は果てしなく重い、だからこそ大切な人を今でも信じているのだ。彼が倒すと言わなかったのは、このような意味でもあるのかもしれない
「何か……何か方法があるはずだ!だから、簡単に自分を諦めるな!」
「レイ君……!」
誰一人犠牲を出さずに彼女を止める方法はきっとある、レイ君はそう言ってくれた。だがそのヒントすら見つけられていない現状は変えれない、だがレイ君は諦めてはいなかった
「エルシオンッ!!」
彼の叫びにより聖獣エルシオンがその姿を現し、ドリームイーター達を蹴散らした。それに加勢するべく私は彼に抱き締められたまま聖獣の名前を叫んだ
「ファラフェニックスッ!!」
そしてファラフェニックスも現れ、エルシオンの風とファラフェニックスの氷による二重攻撃はこのエリアのドリームイーターを全滅させた
「やったねレイ君!」
「あぁ!」
まだ答えなんて分からない、だが後ろに振り向いてもいられない。そう悟っているとすぐに別のエリアから敵の援軍が来た
「これでどうよ!」
しかしプロメッサが全員このエリアに入ってくる直前にラストアルカナムで全て切り裂き、全滅させた。以前よりもパワーアップしているがやはり失った記憶のヒントとなる夢の事で相当悩んでいるのか、以前のような口癖や笑顔は無かった
「ナイスだよプロメッサ!」
「えぇ……」
その余裕の無い表情はやはり迷いを示しており、彼女はこの夢の世界の危機と自身の記憶の二つの物に追い詰められていた
『何故戻らないの……私の記憶……』
「っ!!?」
その瞬間プロメッサの脳裏に何時もの夢よりも鮮明な映像が浮かび上がり、いつの間にか視界には何処かの綺麗な花に満ち溢れた場所が写っていた
「もしかして、これがフラワーガーデン?」
以前ルプクスに聞いた場所を思い出し、それがここだと確信するとここに一人の少年が現れた。だがその少年はプロメッサの事が見えていないようで、悔しそうな表情で涙を流していた
『サヨナラを……言えなかった……』
何故だかプロメッサにはその声に聞き覚えがあった。しかしそれを思い出す事は出来ず、少年はただひたすらに走り出した
『うおぉぉぉぉぉぉぉおお!!』
例え理由が分からなくとも伝わる少年の悲しみは枯れない叫びを生み出し、やがて彼の想いが特殊な花のある場所へと導いた
『……これを にも見せたかった……!』
ルプクスの言っていたあのフラワーガーデンがここならこの花は間違いなくロザラワーゼと言う事、それを花の輝きが物語っていた。少年が何かを嘆いていると、その周囲にハートレスが出現した。タイプとしてはシャドウのようだが、普通の少年にとっては強力極まりない存在である
『なんだ……こいつら?』
その瞬間ハートレス達はロザラワーゼをその鋭い爪で刈り取り始め、それに少年は思わず激昂した
『っ!止めろぉーーーっ!!!』
そして奇跡が起きた。なんと少年がその右手にキーブレードを出現させ、ハートレスを倒したのだ。無我夢中となっている彼のその殺気は、残りのハートレス達に向けられた
『うおぉぉぉお!!!』
そのまま少年はハートレス達を全滅させてしまい、ハートレス達により残り10本にまで減ってしまったロザラワーゼを見つめ、ある少女の名前を呟いた
『ルミナ……!』
今まで空白だった少女の名前がついに発言された。そのルミナと言う名前は一気に彼女の記憶を覚醒させ、視界が元に戻る頃には何もかも取り戻していた
「全てを、全てを思い出した」