DREAM82【本当の名前は……】
全てを取り戻した彼女はその力の具現たる存在である聖獣“プロメシア”を召喚し、それはすぐに神々しい輝きに包まれた
「プロメッサ!?」
「見て、プロメシアが……!」
その輝きが消えた時にはそこにプロメシアの姿は無かった。いや、変化した状態のそれがあったと言うべきか。全体的に姫のような雰囲気を放つようになりながらもその両手には宿主同様剣を握っており、その風貌はまるで戦う姫君――戦姫のようだった
「行くよ、“メシアライブ”」
救世主の意味であるメシアと生きていると言う意味を持つアライブを掛け合わせた名前を持つプロメシアが進化した姿“メシアライブ”はサンダガをこのレイディアントガーデン中に落とした。しかしそれは見事に敵ドリームイーターだけを射抜き、プロメシアの時とは比べ物にならないほどの落雷だった
「凄い……!」
「でもまだ残ってるぞ!」
ローグの言う通り敵ドリームイーターは僅かだが残っている。だが今のプロメッサに迷いは無く、メシアライブと共に敵の元へ向かった
「行くよ!」
そして空中に幾つもの四角く薄い白の物体が幾つも現れ、聖獣とその使い手は一番上の物体よりも高い位置まで飛ぶと、そのまま落下する勢いと共に聖獣共々白い物体を割りながら進んでいく。それにつれて勢いは増していき、プロメッサに段々力が集まってくるとやがてそれは連携技なのだと気づいた
「ロストメモリア!!」
記憶を失っていた彼女だからこその聖獣との連携技“ロストメモリア”は白い物体となった記憶を割っていきながらもそれを力に変え、最後には超高速スピードで相手を貫くと言う彼女らしい技だった。例え記憶を失っても救世主は生きている、それをメシアライブとプロメッサは証明したのだ
「クロナ……」
振り向いた彼女の顔は何処か辛そうで、寂しさが漂っていた
「全部、思い出したよ……」
全ての記憶をやっと取り戻したプロメッサの話を聞こうとしたその時、城に行っていた仲間達がレン共々戻ってきた
「ダーク君!無事だったんだね」
「ったりめぇだ。それよか、今の何だよ!?突然雷が降ってきてやつらを倒しちまってさ、雷だからフィオなんじゃねーかって思ったけど、俺達と一緒に城で戦ってた時にはあんな雷出してなかった」
「それは、プロメッサが……」
たった今消滅したメシアライブを見て状況を理解したダーク君もまた彼女への疑問を抱き、全員が揃った所でプロメッサはついに口を開いた
「私の本当の名前は……“ルミナ・シーユ”……もうこの世にいないはずの少女なの」
「もうこの世にいない“はず”って事は……何かあるのか?」
「うん……そもそも夢の存在なら現実世界の同一人物が死んでいる時点で存在出来ない、だから私は夢の存在じゃない。じゃあ何故私がここにいるのか、それは私が願ったから」
「願ったから?」
「そう……私ことルミナは、ある日“霧風ライガ”と言う少年と知り合った」
「ライガ!?」
自身の友達であり先輩、戦友であるライガの名前を出され一時は困惑しつつも、冷静になって彼女の話を聞くことにした
「転校してきてから誰とも馴染めていない彼にとっては私は初めての友達だったようで、私自身も彼に引かれていった。だけど、私には一つ問題があったの」
「問題?」
「私は生まれつき病気を抱えてきた……それのせいで寿命が極端に短くて、何時死ぬかも分からなくて怖かった。けど、ライガといたらすぐにどうでもよくなった。だから彼との時間を大切にしようと思った。そして、死ぬ前に最後の思い出を残そうと私は彼にある提案をしたの」
「それがロザラワーゼと、彼との約束って事なのね……」
以前ロザラワーゼの事を聞かれたルプクスが言ったことは正しかったらしく、プロメッサ――もといルミナは頷いた
「今度の春に探しに行こうって約束したの。寿命が何時尽きるか分からない恐怖さえ忘れて、全力で生きようとね。だけど、2月14日……早朝に容態が悪化した」
「っ!?」
「好きな人に感謝の気持ちも遅れず、私は亡くなった……文字通り死んでしまった。だけど私は、せめて約束を果たしたかった……そんなときだったの。何処からか、声が聞こえたのは」
『……まだ、生きたい?』
『生きたいに……決まってるじゃない。私、まだ彼と一緒にいたい!』
『でも、その寿命は購えないはずだよ』
『それは……』
『……分かった。君にある使命を与える、だから君を別の形でこの世に戻してあげるよ。ただし、全ての記憶を無くして』
『使命って何よ……なんで記憶を無くさなくちゃいけないの!?私は忘れたくない!!』
『君は彼がいたからこそ、恐怖を忘れる事が出来た。もし一人だったら、きっと君は恐怖に勝てない。だから使命を果たすまでは生きられるけど、恐怖ごと全て消さなくてはならない』
『……また、会えるの?』
『君がそれを望むなら』
『……分かった』
「そして私は、プロメッサとなってこの夢の世界に舞い降りた。病弱だった身体を持つ少女ルミナの、思念体として」
プロメッサの正体はライガと悲しい別れをしたと言う少女、ルミナの想いを糧として動いている思念体そのものだった。死んでからどのくらい後に謎の声が聞こえたのか、その声の正体が何なのかは分からないが、ルミナとしての記憶を取り戻した彼女は今までの彼女とはもはや別人になっていた
「クロナ、頼みがあるの。私は……私に与えられた使命を果たしたい。だから最後まで、貴女達と共に戦わせてほしい」
「うん、分かったわ。一緒に頑張ろう、ルミナさん」
「何時も通り、プロメッサで良いわ」
雰囲気が大分変わってしまったが、何もかも取り戻し使命を果たすと心に決めた彼女を見て思った。何故私はあんなにも悩んでいたのだろうと。みんな誰だって前に進もうとしているのに、私は自分が消えれば全て解決すると思っていた。しかしそれは逃げているだけだと気付き、私はプロメッサの手を握った。
「ん?」
その瞬間城の方面から一人の少女が現れた。半透明になってしまっているが、ほぼ私と瓜二つの容姿を持った人物と言えば一人しか思い当たらなかった
「ν……」
「プロメッサ!?」
「見て、プロメシアが……!」
その輝きが消えた時にはそこにプロメシアの姿は無かった。いや、変化した状態のそれがあったと言うべきか。全体的に姫のような雰囲気を放つようになりながらもその両手には宿主同様剣を握っており、その風貌はまるで戦う姫君――戦姫のようだった
「行くよ、“メシアライブ”」
救世主の意味であるメシアと生きていると言う意味を持つアライブを掛け合わせた名前を持つプロメシアが進化した姿“メシアライブ”はサンダガをこのレイディアントガーデン中に落とした。しかしそれは見事に敵ドリームイーターだけを射抜き、プロメシアの時とは比べ物にならないほどの落雷だった
「凄い……!」
「でもまだ残ってるぞ!」
ローグの言う通り敵ドリームイーターは僅かだが残っている。だが今のプロメッサに迷いは無く、メシアライブと共に敵の元へ向かった
「行くよ!」
そして空中に幾つもの四角く薄い白の物体が幾つも現れ、聖獣とその使い手は一番上の物体よりも高い位置まで飛ぶと、そのまま落下する勢いと共に聖獣共々白い物体を割りながら進んでいく。それにつれて勢いは増していき、プロメッサに段々力が集まってくるとやがてそれは連携技なのだと気づいた
「ロストメモリア!!」
記憶を失っていた彼女だからこその聖獣との連携技“ロストメモリア”は白い物体となった記憶を割っていきながらもそれを力に変え、最後には超高速スピードで相手を貫くと言う彼女らしい技だった。例え記憶を失っても救世主は生きている、それをメシアライブとプロメッサは証明したのだ
「クロナ……」
振り向いた彼女の顔は何処か辛そうで、寂しさが漂っていた
「全部、思い出したよ……」
全ての記憶をやっと取り戻したプロメッサの話を聞こうとしたその時、城に行っていた仲間達がレン共々戻ってきた
「ダーク君!無事だったんだね」
「ったりめぇだ。それよか、今の何だよ!?突然雷が降ってきてやつらを倒しちまってさ、雷だからフィオなんじゃねーかって思ったけど、俺達と一緒に城で戦ってた時にはあんな雷出してなかった」
「それは、プロメッサが……」
たった今消滅したメシアライブを見て状況を理解したダーク君もまた彼女への疑問を抱き、全員が揃った所でプロメッサはついに口を開いた
「私の本当の名前は……“ルミナ・シーユ”……もうこの世にいないはずの少女なの」
「もうこの世にいない“はず”って事は……何かあるのか?」
「うん……そもそも夢の存在なら現実世界の同一人物が死んでいる時点で存在出来ない、だから私は夢の存在じゃない。じゃあ何故私がここにいるのか、それは私が願ったから」
「願ったから?」
「そう……私ことルミナは、ある日“霧風ライガ”と言う少年と知り合った」
「ライガ!?」
自身の友達であり先輩、戦友であるライガの名前を出され一時は困惑しつつも、冷静になって彼女の話を聞くことにした
「転校してきてから誰とも馴染めていない彼にとっては私は初めての友達だったようで、私自身も彼に引かれていった。だけど、私には一つ問題があったの」
「問題?」
「私は生まれつき病気を抱えてきた……それのせいで寿命が極端に短くて、何時死ぬかも分からなくて怖かった。けど、ライガといたらすぐにどうでもよくなった。だから彼との時間を大切にしようと思った。そして、死ぬ前に最後の思い出を残そうと私は彼にある提案をしたの」
「それがロザラワーゼと、彼との約束って事なのね……」
以前ロザラワーゼの事を聞かれたルプクスが言ったことは正しかったらしく、プロメッサ――もといルミナは頷いた
「今度の春に探しに行こうって約束したの。寿命が何時尽きるか分からない恐怖さえ忘れて、全力で生きようとね。だけど、2月14日……早朝に容態が悪化した」
「っ!?」
「好きな人に感謝の気持ちも遅れず、私は亡くなった……文字通り死んでしまった。だけど私は、せめて約束を果たしたかった……そんなときだったの。何処からか、声が聞こえたのは」
『……まだ、生きたい?』
『生きたいに……決まってるじゃない。私、まだ彼と一緒にいたい!』
『でも、その寿命は購えないはずだよ』
『それは……』
『……分かった。君にある使命を与える、だから君を別の形でこの世に戻してあげるよ。ただし、全ての記憶を無くして』
『使命って何よ……なんで記憶を無くさなくちゃいけないの!?私は忘れたくない!!』
『君は彼がいたからこそ、恐怖を忘れる事が出来た。もし一人だったら、きっと君は恐怖に勝てない。だから使命を果たすまでは生きられるけど、恐怖ごと全て消さなくてはならない』
『……また、会えるの?』
『君がそれを望むなら』
『……分かった』
「そして私は、プロメッサとなってこの夢の世界に舞い降りた。病弱だった身体を持つ少女ルミナの、思念体として」
プロメッサの正体はライガと悲しい別れをしたと言う少女、ルミナの想いを糧として動いている思念体そのものだった。死んでからどのくらい後に謎の声が聞こえたのか、その声の正体が何なのかは分からないが、ルミナとしての記憶を取り戻した彼女は今までの彼女とはもはや別人になっていた
「クロナ、頼みがあるの。私は……私に与えられた使命を果たしたい。だから最後まで、貴女達と共に戦わせてほしい」
「うん、分かったわ。一緒に頑張ろう、ルミナさん」
「何時も通り、プロメッサで良いわ」
雰囲気が大分変わってしまったが、何もかも取り戻し使命を果たすと心に決めた彼女を見て思った。何故私はあんなにも悩んでいたのだろうと。みんな誰だって前に進もうとしているのに、私は自分が消えれば全て解決すると思っていた。しかしそれは逃げているだけだと気付き、私はプロメッサの手を握った。
「ん?」
その瞬間城の方面から一人の少女が現れた。半透明になってしまっているが、ほぼ私と瓜二つの容姿を持った人物と言えば一人しか思い当たらなかった
「ν……」