CHAPTER3【こっちに来た理由】
「レイ、所で貴方は何故こっちの世界に?」
アクアにそう聞かれ、腕くみをして過去を振り替える。セイと戦って、χブレードと共に消えそうになって、それを免れようとセイの心を取り込んで、その後気を失って………それくらいしか覚えてない。
「わからない……」
少し俯いて言った。やはり何時もより何処か冷めた声だ。結局、どうして自分がこの闇の世界に来てしまったか、わからないままだ。
「レイ………」
アクアは俺を自分の親友に見重ね、同時の事を思い出していた。
旅立ちの地で何時のもように修行をしていた時、ただ一人だけまだまだ未熟な少年、それがヴェントゥスである。ヴェントゥスと同じ物を感じたアクアは、優しく俺の頭を撫でた。
「えっ?」
不思議そうな顔をしてアクアを見上げると、アクアは言う。
「そんなに不安にならなくて良い。どんな悩みも、いずれは消えるから。」
アクアの笑顔を見て、少しだけだが表情に笑顔が戻ってきた。
「ありがとうアクア。」
アクアにお礼を言い、近くにあった岩に座り込み海を見つめる。何処までも広がる黒い海――それを不気味に照らし続ける白い月。それらを見つめて、考え事をしていた。
(あれからどのくらいたったんだろう?
みんなはどうしてるんだろう?
俺は死んだのかな?
わからない……
そもそも俺が生まれた意味さえもわからない。
俺という、存在ですら。
俺は一体………何者なんだろう?)
以前ならこんな疑問を持つ訳も無かったが、この闇の世界に来てから俺は何時もよりも考え方がネガティブになってしまっている。どうしてこんなにも変わってしまったのか、誰にもわからない。
「そうだ………!」
「アクア、確かずっとこの世界にいるんだよな?」
「えぇ………。」
「だったら、一緒にこの世界を出よう。俺達で協力して探すんだ。俺達が帰るべき世界への、希望へと進む為の入口を!」
「えぇ。私もこの世界はもう、懲り懲りだからね!」
断る訳もなく、アクアは頷き二人は歩き出した。自分達が帰るべき世界への、希望へと進む為のゲートを探しにアクアと共に、何処までも広がるこの闇の世界を冒険する