CHAPTER4【謎の少年】
もうどれくらい歩いただろうか――レイとアクアは、何処までも続く闇の世界の道のりを歩き続けている。かれこれ一時間くらいなのかさえもわからない。その為か少しバテて来た。しかし、足を休めればハートレス達の良い標的だ。休む訳にはいかない
「レイ、大丈夫?」
アクアが足を休める事なく、歩きながら言った。その後ろについてきている俺は息切れをしながらも言う
「だ、ダイジョバ……」
いつかの口癖を口にしたがやはりその表情には以前のような明るさや純粋さは感じない。アクアはその言葉に頷き、そのまま歩き出した。俺はその後をゆっくりと追いかける。
やがてたどり着いた、闇の世界の中心と呼ぶべき場所。無駄と言うくらい広く、ここだけ何故か妙に明るい。俺達はこの場所に足を踏み入れた。
「何だか………、」
「不気味な場所だな………」
アクアと俺がこの場所を気味悪がっていると、謎の気配を感じた。それにいち早く気付き咄嗟に叫んだ
「気を付けろ!上にいる!」
そう叫ぶと、上から一体の巨大なハートレスが降りてきた。大きな音を立てて着地したそのハートレスにアクアは見覚えがあるようで、赤色に光る目、蜥蜴のような身体と言うその姿を目撃したとき、酷く動揺した
「こいつ、かつて私を襲った………!」
そう、アクアがかつて、この世界に来て間もない頃に襲ってきた、正体不明のハートレス。アクアが倒したはずだが、なんと生きていた。
「ならやるしかないな!」
そう言うと右手から発する光からキーブレードを出現させ、構えた。アクアも自分のキーブレードの代わりに使っていたマスターエラクゥスのキーブレード――マスターキーパーを構える。だがその時、周囲にも目の前にいるハートレスと同じ気配を感じた。周囲を見回して見ると、なんと全く同じ姿のハートレスが大量にいて、俺達を囲んでいた。
「一匹じゃ無かったのね!」
「くっ、どうすれば……?」
この明らかに絶望的な状況の中、突然ハートレスが数匹消滅し、そこに一人の少年がいつの間にか立っていた。髪型が若干落ち着いた感じで緑色であり、純粋な緑目をしている。その手には1つのキーブレードが握られていた。
「えっ?」
「やぁ、レイ・ディアス君。」
「どうして俺の名前を!?」
なんと少年は俺の名前を知っていた。何故という顔で自分を見る俺に笑顔を見せる少年。しかしその時、大量のハートレスがその少年を襲った。
「危ない!」
アクアが叫んだ時にはもうハートレスの爪が少年に当たる瞬間だった。そして、ハートレスの攻撃は
止められた。なんと少年は左手に持っていたキーブレードでそれを見事に防いだのだ。少年はそのままキーブレードを振るい、ハートレス達を吹っ飛ばした。吹っ飛ばされたハートレスの一部はその後ろにいたハートレスにぶつかり、そのハートレスも巻き添えを喰らってぶつかってきたハートレスもろとも消滅した。
「凄い………!」
あまりの強さにまるで言葉が出ない。アクアの知る限りでは、これまでのキーブレード使いではゼアノートの次に、いやそれ以上に強い物に感じた。
「よし、一気に倒そう!」
その瞬間両目がセイとの戦いの時に使ったオッドアイとなり、一瞬でハートレスの背後に回り、速攻で数匹倒した。
「へぇ、やるね。」
謎の少年は俺のオッドアイの力を見て、感心した。しかし、驚いた様子はまるで無かった。まるで最初から知っていたかのように