CHAPTER16【命名】
「ふぅ………。」
あの後フィオとダークは前回洞穴の中で見つけた少女を連れてディアス家に戻り、フィオの部屋のベッドで少女を寝かせていた。
「大丈夫かなぁ?」
フィオが少女の寝顔を心配そうに見詰めながら言った。
「さあな。」
その隣にいるダークが一言言うと、フィオの部屋の扉を開き言った
「アイスでも買ってくるぜ」
ダークが出ていったその時だった。扉の方を向いているフィオの右側から小さなうめき声のようなものが聞こえたのだ。
「ん?」
気になって振り向くと、少女が目を覚ましていた。その目は純粋に青く輝き、フィオはそれに一瞬で見入ってしまい、ついしばらくボーッとしてしまったが、すぐに我を取り戻し、とりあえず声を掛けてみる事にした。
「ダイジョバ?」
その言葉で少女はフィオの方に振り向く。さっきまで閉じていた口がやっと開き言った
「貴方は?」
「僕はフィオ・クラウン。君は?」
フィオが聞くと、少女は起き上がり、フィオの顔を見詰めて言った。
「わかりません……。」
「えっ?」
「わからないんです……私が、誰なのか……。」
その言葉でフィオは少女の状態を一瞬で察した。
「記憶喪失……かな。」
「かもしれません。」
フィオの言葉に少女は頷く。記憶喪失は名前くらいは覚えているものとフィオは今まで覚えていたが、この時記憶喪失とは、酷い時には名前すら覚えていない事を学習した。
「所で、私は何故ここに?」
少女の質問にフィオは答える事にした。前回フィオはダークと共に久しぶりにあの洞穴に入ると、洞穴の仕掛けがとっくに破られていた事に疑問を感じて先に進み、その先で倒れていたのが今目の前にいるこの少女である。それをフィオとダークはここまで連れ出したという訳である。
「何か思い出せない?」
約10分くらいは前回までの事を解説していたフィオが聞く。少女は首を振り、言った。
「いえ、残念ながら何も………。」
「そっか………。」
名前すらもわからない少女はとても辛そうな表情をしていた。それを見たフィオは1つの提案をする。
「そっか、何も思い出せないんだね。なら、せめて名前だけでも決めよ?何時までも君じゃあれだし。」
「そう………ですね。良ければ、フィオさんが付けてくれませんか?私の名前を。」
少女はフィオを真剣な眼差しで見詰めて言った。フィオは断る暇もなく頷く。何か良い名前は無いかと名前のヒントになりそうな物を自分の部屋から手当たり次第探す。5分くらいたった頃、フィオは自分の部屋の中心にある机に飾ってある一輪の花に目が止まった。
「紫音………。」
フィオは無意識に花の名前を呟いた。何度もその花の名前を言い続け、少女の方を向いて言った。
「決めた!君の名前は紫音!」
フィオが決めた名前、紫音の言葉を確かに聞いた少女は少し微笑んだ。
「どうしたの?」
「いや、なんだか私の名前がそうだった気がして……、つい笑っちゃいました。」
少女改め紫音は初めてフィオに笑顔を見せてくれた。その時丁度ダークも戻ってきた。
「おっ、目覚めたか。」
紫音がダークを不思議そうに見る。するとフィオが彼の自己紹介をする
「彼はダーク。僕の友達だよ。」
「この子は紫音。」
ダークにも説明した。ダークは紫音の方を向いて言った。
「そうか。宜しくな、紫音。」
「……………はい!」
紫音は嬉しそうに頷いた。フィオもまた紫音の喜ぶ顔を見て、嬉しいかぎりだった
あの後フィオとダークは前回洞穴の中で見つけた少女を連れてディアス家に戻り、フィオの部屋のベッドで少女を寝かせていた。
「大丈夫かなぁ?」
フィオが少女の寝顔を心配そうに見詰めながら言った。
「さあな。」
その隣にいるダークが一言言うと、フィオの部屋の扉を開き言った
「アイスでも買ってくるぜ」
ダークが出ていったその時だった。扉の方を向いているフィオの右側から小さなうめき声のようなものが聞こえたのだ。
「ん?」
気になって振り向くと、少女が目を覚ましていた。その目は純粋に青く輝き、フィオはそれに一瞬で見入ってしまい、ついしばらくボーッとしてしまったが、すぐに我を取り戻し、とりあえず声を掛けてみる事にした。
「ダイジョバ?」
その言葉で少女はフィオの方に振り向く。さっきまで閉じていた口がやっと開き言った
「貴方は?」
「僕はフィオ・クラウン。君は?」
フィオが聞くと、少女は起き上がり、フィオの顔を見詰めて言った。
「わかりません……。」
「えっ?」
「わからないんです……私が、誰なのか……。」
その言葉でフィオは少女の状態を一瞬で察した。
「記憶喪失……かな。」
「かもしれません。」
フィオの言葉に少女は頷く。記憶喪失は名前くらいは覚えているものとフィオは今まで覚えていたが、この時記憶喪失とは、酷い時には名前すら覚えていない事を学習した。
「所で、私は何故ここに?」
少女の質問にフィオは答える事にした。前回フィオはダークと共に久しぶりにあの洞穴に入ると、洞穴の仕掛けがとっくに破られていた事に疑問を感じて先に進み、その先で倒れていたのが今目の前にいるこの少女である。それをフィオとダークはここまで連れ出したという訳である。
「何か思い出せない?」
約10分くらいは前回までの事を解説していたフィオが聞く。少女は首を振り、言った。
「いえ、残念ながら何も………。」
「そっか………。」
名前すらもわからない少女はとても辛そうな表情をしていた。それを見たフィオは1つの提案をする。
「そっか、何も思い出せないんだね。なら、せめて名前だけでも決めよ?何時までも君じゃあれだし。」
「そう………ですね。良ければ、フィオさんが付けてくれませんか?私の名前を。」
少女はフィオを真剣な眼差しで見詰めて言った。フィオは断る暇もなく頷く。何か良い名前は無いかと名前のヒントになりそうな物を自分の部屋から手当たり次第探す。5分くらいたった頃、フィオは自分の部屋の中心にある机に飾ってある一輪の花に目が止まった。
「紫音………。」
フィオは無意識に花の名前を呟いた。何度もその花の名前を言い続け、少女の方を向いて言った。
「決めた!君の名前は紫音!」
フィオが決めた名前、紫音の言葉を確かに聞いた少女は少し微笑んだ。
「どうしたの?」
「いや、なんだか私の名前がそうだった気がして……、つい笑っちゃいました。」
少女改め紫音は初めてフィオに笑顔を見せてくれた。その時丁度ダークも戻ってきた。
「おっ、目覚めたか。」
紫音がダークを不思議そうに見る。するとフィオが彼の自己紹介をする
「彼はダーク。僕の友達だよ。」
「この子は紫音。」
ダークにも説明した。ダークは紫音の方を向いて言った。
「そうか。宜しくな、紫音。」
「……………はい!」
紫音は嬉しそうに頷いた。フィオもまた紫音の喜ぶ顔を見て、嬉しいかぎりだった