CHAPTER17【過去の記憶】
あの後フィオとダークはヒナタに紫音の事情を説明し、これからどうするのか相談した。ヒナタは紫音の顔を見て、優しく微笑んだ。
「そうね、記憶が無いまま外に出ても危険だし、紫音さんにはここにいてもらいましょう。」
ヒナタの発言に思わずとびっきりの笑顔を作るフィオ。その隣のダークがフィオを見て言った
「どした?」
フィオは目をキラキラさせてダークの方を向き言う
「だって紫音がここにいてくれるんだよ?仲間が増えるんだ!」
喜びがよく伝わってくる明るい声で言った。あまりにも今のフィオが光に満ち溢れすぎて、思わずダークは苦笑いをする。フィオがその眼差しをキラキラした状態からとても勇ましい物に変わり、ヒナタを見上げて言った。
「ヒナタさん、紫音の事は僕に任せてくれないかな?」
「えっ?」
驚いたのはヒナタではなく紫音だった。何故そうまでして自分にかまってくれるのか、記憶のない紫音にはイマイチわからないのだろう。ヒナタは何時ものような優しい目でフィオを見下ろし、優しい口調で言った。
「わかった。でも、しっかり紫音さんを守らなきゃ駄目よ。」
「はいっ!」
そう明るく元気に頷いた。そしてすぐにこのディアス家の案内を始める。まず、ディアス家はそよ風村に来た観光客の為の宿舎の役割も担っている為、非常に広い。フィオと紫音は1階の一番左側にある部屋の前まで歩き、フィオが解説する。
「この101室は、ヒトミちゃんとヒナタさんの部屋になってるんだ。」
「101室?」
「あぁそれは、【1(階層)01(部屋番号)】って事。」
「へぇー。」
「そしてここから少し右に行くと、さっきまで僕らがいた102室。僕の部屋だよ。」
「じゃあ、その隣の103室は?」
「ダークの部屋だよ。」
「へぇー。」
「後1階にはキッチンや洗面所なんかがあるね。」
これで1階の解説が終わり、フィオと紫音は二階に上がっていく。
「ここが二階。入ってすぐそこにあるそのテーブルは主に大事な話をする時に使われる。」
フィオが指差す方には確かに大きくて長いテーブルがあり、七つの椅子がある。よく見るとその近くにはTVも設置されているようだ。フィオは二階の一番左側に歩いていき、二階の解説を始める。
「さて、この部屋は201室。レイの部屋だよ。」
「レイ?」
「僕らの友達で、この家の頼れるリーダーシップさ!あっ、ちなみにさっき言ったヒトミちゃんってのはレイの妹で、ヒナタさんはお姉さんだよ。」
「へぇ。」
「でも、最近はレイの様子がおかしくて……最近会ってないんだ。」
フィオはその言葉を言うと少し俯いたが、すぐに立ち直り右側へと歩き出した。
「そして、202以降はお客さん用の部屋になってるんだ!」
紫音はフィオの解説でだいたいの事を把握する事が出来た。だが、1つ気になっている事があった。それは自分は本当に仲間になれたのかという事。普通に考えれば記憶喪失なんて滅多に起きない。つまり嘘をついているかもしれない人を、彼らは本当に仲間と認めているのか、紫音は不安だった。
「さてと、部屋はどうしよっか?」
紫音が俯いているとフィオが嘘のない明るい声で言った。この言葉で紫音は確信した。フィオは本気で自分を仲間だと認めてくれている事を。普通なら不安でいっぱいだが、紫音は何故かフィオといると安心感を得る事が出来る。
「フィオさんの……部屋じゃ駄目ですか?」
やっとマトモに出た言葉がそれだった。フィオなら自分をしっかりと支えてくれる。紫音はそう信じて発言したのだ。当然だがフィオは驚き、少し黙っていたが、
「まあそうだね!お客さん用の部屋取ったら悪いし。僕の部屋にしよっか!」
「はいっ!」
先程の不安が完全に消え去り、紫音は先程までとは違う、眩しい笑顔で頷いた。
「さて、そろそろアイスでも食べようぜ。シーソルトアイスっての。」
「シーソルト………アイス……。」
この時紫音の脳裏には、不思議な風景が写し出されていた。それは黄昏に照らされた街、夕暮れの時計塔、そして自分の片手に持った1つのアイス。紫音はついボーッとしてしまった。
「紫音、紫音?」
フィオの呼び掛けでやっと我に帰った紫音。気がつくとフィオは下に降りる為の階段の前で手を振っている。紫音は先程の謎の風景を気にしながらもフィオについていく事にした
「そうね、記憶が無いまま外に出ても危険だし、紫音さんにはここにいてもらいましょう。」
ヒナタの発言に思わずとびっきりの笑顔を作るフィオ。その隣のダークがフィオを見て言った
「どした?」
フィオは目をキラキラさせてダークの方を向き言う
「だって紫音がここにいてくれるんだよ?仲間が増えるんだ!」
喜びがよく伝わってくる明るい声で言った。あまりにも今のフィオが光に満ち溢れすぎて、思わずダークは苦笑いをする。フィオがその眼差しをキラキラした状態からとても勇ましい物に変わり、ヒナタを見上げて言った。
「ヒナタさん、紫音の事は僕に任せてくれないかな?」
「えっ?」
驚いたのはヒナタではなく紫音だった。何故そうまでして自分にかまってくれるのか、記憶のない紫音にはイマイチわからないのだろう。ヒナタは何時ものような優しい目でフィオを見下ろし、優しい口調で言った。
「わかった。でも、しっかり紫音さんを守らなきゃ駄目よ。」
「はいっ!」
そう明るく元気に頷いた。そしてすぐにこのディアス家の案内を始める。まず、ディアス家はそよ風村に来た観光客の為の宿舎の役割も担っている為、非常に広い。フィオと紫音は1階の一番左側にある部屋の前まで歩き、フィオが解説する。
「この101室は、ヒトミちゃんとヒナタさんの部屋になってるんだ。」
「101室?」
「あぁそれは、【1(階層)01(部屋番号)】って事。」
「へぇー。」
「そしてここから少し右に行くと、さっきまで僕らがいた102室。僕の部屋だよ。」
「じゃあ、その隣の103室は?」
「ダークの部屋だよ。」
「へぇー。」
「後1階にはキッチンや洗面所なんかがあるね。」
これで1階の解説が終わり、フィオと紫音は二階に上がっていく。
「ここが二階。入ってすぐそこにあるそのテーブルは主に大事な話をする時に使われる。」
フィオが指差す方には確かに大きくて長いテーブルがあり、七つの椅子がある。よく見るとその近くにはTVも設置されているようだ。フィオは二階の一番左側に歩いていき、二階の解説を始める。
「さて、この部屋は201室。レイの部屋だよ。」
「レイ?」
「僕らの友達で、この家の頼れるリーダーシップさ!あっ、ちなみにさっき言ったヒトミちゃんってのはレイの妹で、ヒナタさんはお姉さんだよ。」
「へぇ。」
「でも、最近はレイの様子がおかしくて……最近会ってないんだ。」
フィオはその言葉を言うと少し俯いたが、すぐに立ち直り右側へと歩き出した。
「そして、202以降はお客さん用の部屋になってるんだ!」
紫音はフィオの解説でだいたいの事を把握する事が出来た。だが、1つ気になっている事があった。それは自分は本当に仲間になれたのかという事。普通に考えれば記憶喪失なんて滅多に起きない。つまり嘘をついているかもしれない人を、彼らは本当に仲間と認めているのか、紫音は不安だった。
「さてと、部屋はどうしよっか?」
紫音が俯いているとフィオが嘘のない明るい声で言った。この言葉で紫音は確信した。フィオは本気で自分を仲間だと認めてくれている事を。普通なら不安でいっぱいだが、紫音は何故かフィオといると安心感を得る事が出来る。
「フィオさんの……部屋じゃ駄目ですか?」
やっとマトモに出た言葉がそれだった。フィオなら自分をしっかりと支えてくれる。紫音はそう信じて発言したのだ。当然だがフィオは驚き、少し黙っていたが、
「まあそうだね!お客さん用の部屋取ったら悪いし。僕の部屋にしよっか!」
「はいっ!」
先程の不安が完全に消え去り、紫音は先程までとは違う、眩しい笑顔で頷いた。
「さて、そろそろアイスでも食べようぜ。シーソルトアイスっての。」
「シーソルト………アイス……。」
この時紫音の脳裏には、不思議な風景が写し出されていた。それは黄昏に照らされた街、夕暮れの時計塔、そして自分の片手に持った1つのアイス。紫音はついボーッとしてしまった。
「紫音、紫音?」
フィオの呼び掛けでやっと我に帰った紫音。気がつくとフィオは下に降りる為の階段の前で手を振っている。紫音は先程の謎の風景を気にしながらもフィオについていく事にした