CHAPTER20【宣戦布告】
その後、俺がリーダーであるAチームは、ディズニーキャッスルの一室でこれからの事を話していたが、その中で一人だけ話に参加しない人物がいた。前のグミシップ内部といい、今回といいどうも俺は会議が苦手なようである。そんな俺を差し置いて白凰、シュージ、そしてクロナはこれからの敵の動きやこの組織が出来た理由などを議論しあっている。
「DEDというその組織は、暗黒竜に人々の心を捧げて、どうするつもりなんだろうか?」
「シュージ先輩、それはまだわからぬ。しかし、暗黒竜と言うと、ファイブ・ブレード伝説を思い出さないか?」
「ダークエンドドラゴンの事……?」
その言葉を発したのはクロナだった。すぐに白凰とシュージが可笑しな物を見るような目でクロナを見る。クロナはファイブ・ブレード伝説の事は誰よりも詳しかったはずなのにこの反応はどうも変な気がする。
「あぁ、そうだね!ファイブ・ブレード伝説か……。」
「「?」」
何故か二人にはクロナが微かに笑っているように見えた。しかし、一瞬だったため、気のせいだろうと思い話を続ける。
「もしもファイブ・ブレード伝説の戦いが現代に再び巻き起これば、世界は間違いなく破壊しつくされる。」
「確かに、今となってはファイブ・ブレードの勇者を継ぐもの達も現れぬしな。」
「炎のエンキ、氷のヒョウコ、雷のライジン、光のヒカリ、闇のイルム、だよな。」
「うむ。彼らの力は誰が引き継いでいるのか未だに謎だ。」
「じゃあレイはどうだ?ヒカリのキーブレードを使っているぞ?」
シュージが壁にもたれている俺の方を向きながら言った。俺はつまらなさそうな目で三人を見ながら言った。
「いや、俺のやつはまだ伝説通りの力が出せてません。力が封印されてます。」
「そうか………。」
「ファイブ・ブレードのキーブレード達は、暗黒竜との戦いで力を使い果たし、その力は眠りついた際に封じられてしまった……。持っているからと言って、そやつが受け継いだ者とは限らぬか。」
キーブレード、レイムチェーンはファイブ・ブレード光の勇者ヒカリの使っていたキーブレードなのだが、千年以上も眠っていた為、伝承通りの力が出せないでいる。千年の時を越えてキーチェーンが俺の手に渡り、今に至るという訳である。しかし、それをただ一人理解していない人物がいた。クロナだ。何故か詳しいはずのクロナが全くそれらを飲み込めていなかった。クロナが理解出来ずにいると、俺はキーブレードを使って氷の弾丸魔法、ブリザドショットでクロナを攻撃した。クロナはそれを右に避ける。氷の弾丸は壁に命中し、一部が凍りついた。この時点で明らかにおかしかった
「何してるんだレイ!?」
シュージがレイの肩に手を置いて叫んだ。クロナは氷属性が得意なはずなのにこんな簡単にやられるはずがない。冷静にシュージの手を取り払い、その視線をクロナに向けてから言った
「そろそろ正体を表せよ。」
するとクロナは狂気的というに相応しい程の高笑いをし、氷に包まれた。そして氷が割れると、]V機関の一員である女帝ベクセスが現れた。そう、先程までのクロナは彼女の変装である
「お前はあのときの………!」
「覚えてたのね。ちょっとしか見てなかったのに?」
「俺は案外記憶力が良いのさ。」
自分の額を突っつきながら言った。記憶力の良さは自分で言うのもあれだが天下一品であり、赤ん坊の時の記憶さえ覚えている。ベクセスはフッと笑い言った
「所で、面白い話をしてあげましょうか?二つあるけど。」
「その前に、クロナはどうした?」
「あぁ、あの子なら城内を散歩してたわ。その隙に私が入れ替わったって事。」
「それで?面白い話って?」
つまりクロナは今も城内を散歩中と言う事か。強く睨んでくるにも関わらずそのクールに笑った表情を一切変えず、ベクセスは言った。
「まずひとつ目。あのカイリって子は私が預かっておいた。」
「何!?」
「一体何をするつもりだ!?」
シュージの質問にベクセスは振り向かずに言った。
「さあね。私は命令されただけだし。」
「命令?」
「気になる?良いわ。教えてあげる。我らDEDの総帥、ダークエンド様よ。」
「何だと!?」
「まさかお主!?」
「そう、DEDよ。」
シュージと白凰は驚いた。新たな驚異である組織の一員が今目の前にいるのだ。ベクセスは前髪を少しいじり、整え直した。
「そしてもう1つのお話。ミッキー王は………、もうすぐ死ぬ!」
「「「何!?」」」
この発言には驚かざるを得なかった。なんとミッキーに危機が迫っていると言うのだ。三人はいてもたってもいられなくなり、すぐにミッキーを探し始めた。部屋にただ一人残ったベクセスは呟いた。
「貴方達は知る。どうしようもない、決して変える事の出来ない真実を……………!」