CHAPTER27【思い出せない約束】
「もう………少しだ………!」
「グワワ…………!」
ライガとドナルドの二人は長い間光の礎の回復に時間を使っている。魔力がもうすでに限界だ。礎の傷が完全に消えるまで、あと少し………。
その頃ベクセスによって闇に操られてしまったと思われるカイリ、いやヘルツは謎の暗黒に満ちたキーブレードを使い、フィオ達がいる部屋のドアを破壊した。
「!」
「?」
ヘルツは一歩ずつ足音を立てずに部屋に入り込んでくる。フィオとグーフィーはヘルツの姿に驚愕するしかなかった。何故ならあのカイリなのだから。この状況を受け入れられていない二人とは対照的に紫音は冷静にキーブレード:約束のお守りの剣先をヘルツに向けた。
「何のつもり?」
ヘルツがその邪悪と化した目で紫音の純粋でかつ勇ましい目を見る。ヘルツはこの目を見ていると、何故か底知れぬ悔しさを覚えてしまう。その為かヘルツは紫音から目を反らそうとしたが、次の紫音の言葉によってそれが出来なくなる事になる。
「約束をわすれた?」
「何?」
何故か紫音がヘルツ――つまりカイリの過去を知ったような口で言った。まだ約束のお守りの剣先は向けられている。
「あんたは言ったはず。ソラに『何時でもそばにいる』とね。言い切ったはずだよ。」
そこにいたわけでも無いのに、何故か紫音は1年前のソラとカイリの会話の中でカイリが言った言葉の中でも印象が強い台詞を言った。ヘルツは何故それを知っているのか聞きたくなったが、敵がそう簡単に答えてくれる訳がないと感知し、聞くのを止めて紫音の質問に答える事にした。
「約束?何の事だか。」
「………大切な物を、無くしたのね……。」
「大切な物を無くしたんじゃない!奪われた!」
ヘルツは無意識の内に過剰反応を起こしてしまった。彼女は心の中で紫音の事を吐き捨てる。
(くっ、こいつは一体何なの!?何故あの約束を、破られた約束の事を?それに何故あいつの事まで………?)
ヘルツの疑問は考えれば考えるほど募っていき、やがて自分に剣先を向けられている事を思いだし、それを自分の持つキーブレードで弾き飛ばした。約束のお守りが音を立てて落ちる。
「あいつは、ソラは約束を破った………!」
「え?」
ヘルツの謎の言葉を聞いた瞬間、紫音は突然頭痛に襲われ、倒れかかった所をフィオがしっかりと受け止める。
「大丈夫?紫音。」
返事がない。どうやら気絶しているようだ。フィオは紫音をしっかりと抱えてから、紫音の顔を見て少し考え込む。
(まさか、記憶が……?)
フィオがそう考えている時、ヘルツがフィオに向かって攻撃を仕掛けるが、グーフィーの盾がそれを見事に防いだ。
「くっ!」
「フィオ!早く!」
グーフィーの指示にフィオは迷いなく頷き、紫音を連れて部屋から脱出する事に成功した。しかしグーフィーは限界だった
「もう……!限界かも……!」
グーフィーの盾が砕け散る音が部屋全体に響いた。どんなに耳を塞いでも、グーフィーには恐らく絶対に聞こえる終わりの音。今まで自分と共に戦ってくれた相棒が死んだ瞬間、その瞬間に、グーフィーは思わず叫びたくなったが、叫ぶ暇もなく、ヘルツのキーブレードに貫かれた。
やがてグーフィーの身体は凍り付き、完全に意識を失った。ヘルツは氷の塊と化したグーフィーを砕き殺そうとしたが、突如強大な光の力が働き出した事に気づき、動きを止めた。
「ま、まさか………礎が……!?」
ヘルツの予感は的中していた。礎の間ではすでにライガとドナルドが礎の回復を終えていた。その為礎の力が復活し、城中のアンチネスやハートレスが一瞬で消滅していった。
「やったなドナルド!」
「うん!」
ライガとドナルドはハイタッチして礎の復活をお互いに喜ぶ。しかしヘルツは喜んでもいられない。何故なら今は闇の力を使っているので、このままでは礎の力で消滅してしまう。なのでヘルツは仕方なく闇の回廊を使って撤退していった。
こうしてディズニーキャッスルは、アンチネスの驚異から逃れる事が出来た。
だが、その為に失ったモノは、あまりにも大きすぎた。
ミッキーの昏睡状態、グーフィーの冷凍状態、そして裏切ったカイリ。
この日、光の勢力から希望という物が削がれた
「グワワ…………!」
ライガとドナルドの二人は長い間光の礎の回復に時間を使っている。魔力がもうすでに限界だ。礎の傷が完全に消えるまで、あと少し………。
その頃ベクセスによって闇に操られてしまったと思われるカイリ、いやヘルツは謎の暗黒に満ちたキーブレードを使い、フィオ達がいる部屋のドアを破壊した。
「!」
「?」
ヘルツは一歩ずつ足音を立てずに部屋に入り込んでくる。フィオとグーフィーはヘルツの姿に驚愕するしかなかった。何故ならあのカイリなのだから。この状況を受け入れられていない二人とは対照的に紫音は冷静にキーブレード:約束のお守りの剣先をヘルツに向けた。
「何のつもり?」
ヘルツがその邪悪と化した目で紫音の純粋でかつ勇ましい目を見る。ヘルツはこの目を見ていると、何故か底知れぬ悔しさを覚えてしまう。その為かヘルツは紫音から目を反らそうとしたが、次の紫音の言葉によってそれが出来なくなる事になる。
「約束をわすれた?」
「何?」
何故か紫音がヘルツ――つまりカイリの過去を知ったような口で言った。まだ約束のお守りの剣先は向けられている。
「あんたは言ったはず。ソラに『何時でもそばにいる』とね。言い切ったはずだよ。」
そこにいたわけでも無いのに、何故か紫音は1年前のソラとカイリの会話の中でカイリが言った言葉の中でも印象が強い台詞を言った。ヘルツは何故それを知っているのか聞きたくなったが、敵がそう簡単に答えてくれる訳がないと感知し、聞くのを止めて紫音の質問に答える事にした。
「約束?何の事だか。」
「………大切な物を、無くしたのね……。」
「大切な物を無くしたんじゃない!奪われた!」
ヘルツは無意識の内に過剰反応を起こしてしまった。彼女は心の中で紫音の事を吐き捨てる。
(くっ、こいつは一体何なの!?何故あの約束を、破られた約束の事を?それに何故あいつの事まで………?)
ヘルツの疑問は考えれば考えるほど募っていき、やがて自分に剣先を向けられている事を思いだし、それを自分の持つキーブレードで弾き飛ばした。約束のお守りが音を立てて落ちる。
「あいつは、ソラは約束を破った………!」
「え?」
ヘルツの謎の言葉を聞いた瞬間、紫音は突然頭痛に襲われ、倒れかかった所をフィオがしっかりと受け止める。
「大丈夫?紫音。」
返事がない。どうやら気絶しているようだ。フィオは紫音をしっかりと抱えてから、紫音の顔を見て少し考え込む。
(まさか、記憶が……?)
フィオがそう考えている時、ヘルツがフィオに向かって攻撃を仕掛けるが、グーフィーの盾がそれを見事に防いだ。
「くっ!」
「フィオ!早く!」
グーフィーの指示にフィオは迷いなく頷き、紫音を連れて部屋から脱出する事に成功した。しかしグーフィーは限界だった
「もう……!限界かも……!」
グーフィーの盾が砕け散る音が部屋全体に響いた。どんなに耳を塞いでも、グーフィーには恐らく絶対に聞こえる終わりの音。今まで自分と共に戦ってくれた相棒が死んだ瞬間、その瞬間に、グーフィーは思わず叫びたくなったが、叫ぶ暇もなく、ヘルツのキーブレードに貫かれた。
やがてグーフィーの身体は凍り付き、完全に意識を失った。ヘルツは氷の塊と化したグーフィーを砕き殺そうとしたが、突如強大な光の力が働き出した事に気づき、動きを止めた。
「ま、まさか………礎が……!?」
ヘルツの予感は的中していた。礎の間ではすでにライガとドナルドが礎の回復を終えていた。その為礎の力が復活し、城中のアンチネスやハートレスが一瞬で消滅していった。
「やったなドナルド!」
「うん!」
ライガとドナルドはハイタッチして礎の復活をお互いに喜ぶ。しかしヘルツは喜んでもいられない。何故なら今は闇の力を使っているので、このままでは礎の力で消滅してしまう。なのでヘルツは仕方なく闇の回廊を使って撤退していった。
こうしてディズニーキャッスルは、アンチネスの驚異から逃れる事が出来た。
だが、その為に失ったモノは、あまりにも大きすぎた。
ミッキーの昏睡状態、グーフィーの冷凍状態、そして裏切ったカイリ。
この日、光の勢力から希望という物が削がれた