CHAPTER31【君を想う】
夜の空に浮かぶ月。それは二人がこれまで何度も一緒に見上げてきた物。幼い頃、二人でよく月の光に照らされた丘に登り、二人で流れ星を見つける度に願い事を言っていたものだ。だがクロナ今は自分の家でただ一人孤独に今日の月を見つめる。
「レイ君………。」
さっきからクロナは月を見つめてある人物の名前を呟いてばかりいる。月の光に照らされたクロナは何時もより切ない雰囲気を発していた。クロナは無意識のうちに流れ星を探しているのかもしれない。二人でよく探していた、あの流れ星を。
『クロナ、知ってる?』
『ん?何を?』
『流れ星が流れ終わる前に願い事を三回言うと、その願いが現実になるんだって!』
『えっ?本当!?』
『それはまだ試してないからわからない。どうせなら今日見に行こうよ!』
『うん!』
幼かったあの頃。何一つ苦しみなどなかったあのとき。クロナはあのとき俺に言われた『願いが現実になる』の言葉を信じて、この星々が煌めく夜空の何処かにある流れ星を探しているのかもしれない。
「流れ星………今日も無いのかな…………?」
クロナはもう三日続けて夜になると、流れ星を探し始めるが、流れ星は一向に現れない。クロナは悲しかったのだ。この光の世界に還ってきた時の彼の変化が。クロナは何時もと変わらぬ笑顔を見せてくれる彼の事が好きだった。あの眩しい笑顔が心の支えだった。自分の生きる希望だった。あの優しさも、いつもクロナを守ってくれた。心から愛していた。なのに彼は変わってしまい、クロナは初めて彼の事を嫌った。別人のように変わったと言えど、仮にも彼の事を初めて嫌ったのだ。これまで彼の事を大好きでいたのに、一度でも嫌いになった自分を悔やみながら、クロナは夜空を見上げて二人の初めての出会いの時を思い出す。
今から十二年も前、あの頃は小鳥達の優しい囀りが鳴り響き、花達がそよ風に揺れる、明るい春のある日の事だった。その日俺は母親に連れられて、アクアス家にやって来た。俺の母親はこれからそよ風村全体で行われる会議に父親と共に参加し忙しくなるため、それが終わるまでの間、このアクアス家に預ける事にしたのだ。アクアス家は家と言うよりは白く立派な豪邸という感じで、初見では迷ってしまうほど広かった。俺も実際この家で迷った事がある。俺が迷いに迷って二階に上がると、誰かにぶつかり倒れた。その相手も思わず反動で倒れた。
『いてて………。』
『いったぁ……。』
すぐに二人は立ち上がり、お互いの表情を見つめる。するとお互いに何故か可笑しくなってきて、笑いが込み上げてきた。
『ねぇ、君この家の子?』
『うん!私はクロナ!よろしく!』
『俺はレイ!よろしくね!』
『うん!よろしく、レイ君!』
不思議な出会いだった、初めて会った気がしない俺達の、二人だけの物語は始まった。この日から二人だけの【人生】という名のジクソーパズルを組み立て始めたのだ。二人でこれからたくさんの宝物を見つけていこうと約束した時でもあった。二人は出会った時からすでに1つの宝物を手にしていた。クロナは夜空に浮かぶ綺麗な月を見上げて呟いた。
「つながる心………。」
そう。あのときから二人の心は繋がっていた。繋がっていたからこそ再会出来たのだ。なら、あの頃の彼も戻ってくるだろうか?心が繋がっているから大丈夫とクロナは自分に言い聞かせ、月を見つめて言った。
「私は何時でも、君を思っているよ。レイ君、私はこれまでレイ君に守られてきたけど……私が、君を守るから……!」
「繋がる心が、私の力だ―――!」
クロナは過去の大好きだった彼の記憶にそう語りかけると、月のまわりにある星々を見つめた。そこでとある星座を見つけた。クロナにはその星座が自分と彼が手を繋いでいる姿に見えた
「レイ君………。」
さっきからクロナは月を見つめてある人物の名前を呟いてばかりいる。月の光に照らされたクロナは何時もより切ない雰囲気を発していた。クロナは無意識のうちに流れ星を探しているのかもしれない。二人でよく探していた、あの流れ星を。
『クロナ、知ってる?』
『ん?何を?』
『流れ星が流れ終わる前に願い事を三回言うと、その願いが現実になるんだって!』
『えっ?本当!?』
『それはまだ試してないからわからない。どうせなら今日見に行こうよ!』
『うん!』
幼かったあの頃。何一つ苦しみなどなかったあのとき。クロナはあのとき俺に言われた『願いが現実になる』の言葉を信じて、この星々が煌めく夜空の何処かにある流れ星を探しているのかもしれない。
「流れ星………今日も無いのかな…………?」
クロナはもう三日続けて夜になると、流れ星を探し始めるが、流れ星は一向に現れない。クロナは悲しかったのだ。この光の世界に還ってきた時の彼の変化が。クロナは何時もと変わらぬ笑顔を見せてくれる彼の事が好きだった。あの眩しい笑顔が心の支えだった。自分の生きる希望だった。あの優しさも、いつもクロナを守ってくれた。心から愛していた。なのに彼は変わってしまい、クロナは初めて彼の事を嫌った。別人のように変わったと言えど、仮にも彼の事を初めて嫌ったのだ。これまで彼の事を大好きでいたのに、一度でも嫌いになった自分を悔やみながら、クロナは夜空を見上げて二人の初めての出会いの時を思い出す。
今から十二年も前、あの頃は小鳥達の優しい囀りが鳴り響き、花達がそよ風に揺れる、明るい春のある日の事だった。その日俺は母親に連れられて、アクアス家にやって来た。俺の母親はこれからそよ風村全体で行われる会議に父親と共に参加し忙しくなるため、それが終わるまでの間、このアクアス家に預ける事にしたのだ。アクアス家は家と言うよりは白く立派な豪邸という感じで、初見では迷ってしまうほど広かった。俺も実際この家で迷った事がある。俺が迷いに迷って二階に上がると、誰かにぶつかり倒れた。その相手も思わず反動で倒れた。
『いてて………。』
『いったぁ……。』
すぐに二人は立ち上がり、お互いの表情を見つめる。するとお互いに何故か可笑しくなってきて、笑いが込み上げてきた。
『ねぇ、君この家の子?』
『うん!私はクロナ!よろしく!』
『俺はレイ!よろしくね!』
『うん!よろしく、レイ君!』
不思議な出会いだった、初めて会った気がしない俺達の、二人だけの物語は始まった。この日から二人だけの【人生】という名のジクソーパズルを組み立て始めたのだ。二人でこれからたくさんの宝物を見つけていこうと約束した時でもあった。二人は出会った時からすでに1つの宝物を手にしていた。クロナは夜空に浮かぶ綺麗な月を見上げて呟いた。
「つながる心………。」
そう。あのときから二人の心は繋がっていた。繋がっていたからこそ再会出来たのだ。なら、あの頃の彼も戻ってくるだろうか?心が繋がっているから大丈夫とクロナは自分に言い聞かせ、月を見つめて言った。
「私は何時でも、君を思っているよ。レイ君、私はこれまでレイ君に守られてきたけど……私が、君を守るから……!」
「繋がる心が、私の力だ―――!」
クロナは過去の大好きだった彼の記憶にそう語りかけると、月のまわりにある星々を見つめた。そこでとある星座を見つけた。クロナにはその星座が自分と彼が手を繋いでいる姿に見えた