ミドルフェイズ1
ミドルフェイズ1 シーン6〈日常と非日常の狭間〉
シーンプレイヤー 神影恋火
GM「ここでは全員が登場だよ。シーンプレイヤーは恋火、残りの人はタイミングを見計らって登場してね。それじゃ、まずは登場ダイスを振って」
《シーン登場》
恋火1D→10 38%→48%
小暮1D→5 35%→40%
愛星1D→7 46%→53%
切嗣1D→10 48%→58%
雷神1D→3 45%→48%
ガイア「うわあぁ!? 一気に上がっちゃったー!?」
ウィド&スピカ「「………コノ後ノ情報収集ヨロシク」」
ガイア「止めて二人とも!! 私はともかく、小暮お姉ちゃんも雷神お兄ちゃんもステータス見て! 社会“1”しかない役立たずなんだよ!? 社会力底辺の二人に情報収集なんて出来っこないよ!!」
テルス&ウラノス「「ぐふっ…!」」
SM「ガイア、意外と毒舌なのね…」
スピカ「ダイジョウブ、社会力底辺デモ出来ル人モイルワ。クウトカ、クウトカ、クウトカ」
ガイア「クウさんはコネ持ってたし、ウラノスお兄ちゃんと違って主人公補正あるし人辺りもいいから出来ただけだよ!! ウラノスお兄ちゃんは人として最低最悪な性格だし、あちこちでリズと恋人フラグ立てたにも関わらず最終的に投票で負けたから!!」
ウラノス「…殺す、幼馴染君をこれでもかと甚振った後に原型も残さず殺しつくす…!!!」
ウィド「お願いですから、これ以上失敗フラグ立てないでください…」
黄昏市にある大きな病院。ここはUGN傘下でもあり、オーヴァードに関する病棟はもちろん医療器具も揃っている。
恋火は羽粋と共に救急車で運ばれた後、軽い検査を済ませ病室のベットで眠っている。
そんな妹を小暮が見守っていると、瞼が動いた。
恋火『うっ…あ、れ? あたし…』
小暮『気が付いた、恋火?』
恋火『小暮お姉ちゃん…? そうだ、バスが燃えて! 羽粋は!? 羽粋は何処!?』
小暮『彼女は無事よ。あなたが助けてくれたおかげでね』
恋火『え…あ、れ? そう言えば、火傷とかしてない…』
小暮『恋火、これから話す事を落ち着いて聞いて欲しいの。これはあなたの、私達の今後に関わる事だから』
恋火『小暮お姉ちゃん?』
小暮『信じられないかもしれないけど…あなたはもう人間じゃない。《オーヴァード》になってしまったの。覚えてない、あなたが羽粋を助けた時の事?』
恋火『な、何言ってるの小暮お姉ちゃん?』
?『――私から詳しく説明するわ』
病室のドアがスライドされ、一人の女性が入ってくる。
眼鏡をかけた女性――鶴月愛星は病室へ入ると、ベットにいる恋火に笑いかけた。
愛星『初めまして。私は鶴月愛星、この町のUGN支部長を務めているわ。あなたの事は部下である彼女からよく聞かされているわ』
恋火『え、え? ゆーじーえぬ? 部下? 小暮お姉ちゃん、教師の筈じゃ…』
愛星『彼女は教師よ。表向きはね』
「私達は人ならざぬ力を持った者達、オーヴァードと呼ばれる人種なの」
そうして、愛星は話し始める。
日常しか知らなかった少女に、非日常を教える為に。
「20年前、中東の某国で未知の遺跡を発見した。その調査隊は国で起きている内乱の事もあり、遺跡の発掘品を持って帰国し詳しく調べることにした。けど、その輸送機は正体不明の攻撃を受けて墜落したわ。
だけど、その発掘品には未知のウイルスが含まれていたの。輸送機が爆発した影響でウイルスは世界中に拡散されたわ。それから、ウイルスは人類の8割以上に感染したわ。
後に、そのウイルスは「レネゲイド」――人類に、自然の摂理に反逆する背教者。そう名付けられた」
「え、えーと…でも、世界中の人が病気になったとかそんなニュースなかったよ。ゾンビとかになったりしたらそれこそ人類は終わりじゃない」
「レゲネイドウイルスはそんな物じゃないわ。体内に入って感染したとしても、潜伏状態になっているだけ。だから、普通の人となんら変わりないわ。
でも、何かしら刺激を与えてしまえばレネゲイドは発症してしまう。それは身体的、もしくは精神的に強いショックを与えたり、強い想いを抱いたりした際にね。
ここからが本題だけど…レネゲイドに発症した人間は、超人となるの。一般的に言えば超能力を与えられるわ。死に至るほどの負傷から一瞬で回復するし、常人を遥かに超えた身体能力、炎を操れたりするの…そう、あなたが無意識で行ったようにね」
「な、何それ…!? あたしはただの高校生だよ? 漫画やゲームじゃないんだし、そんな事出来る訳ないじゃん! ねえ小暮お姉ちゃん!」
「恋火」
姉に助けを求めるが、小暮は真剣な表情で恋火を見つめるだけ。
この話を信じろと。受け入れろと言い聞かせるように。
「何で、小暮お姉ちゃんまでそんな真剣なの…!! い、いきなり言われても分かんないよ!! そんなの信じろって言う方がおかしいよ!!」
「恋火…」
「彼女の言う事には一理ある。話だけでは信じなくて当然だ」
再び病室のドアがスライドされ、話に誰かが割り込んでくる。
左手でドアを開きながら、右手に拳銃を握った神父――言峰切嗣がいた。
「なら、実際に見せればいい。私達が人でない証拠を、ね」
ウィド「そう言って、愛星の腹部を銃で打ち抜きます。バーンとな♪」
スピカ以外の五人「「「「「はあっ!?」」」」」
スピカ「なら、私は演出で《リザレクト》を使ってその傷を治すわ。これなら信じてくれるわね?」
GM「あ、ああ…うん、いいとおもうよ…!!」
SM「この姉弟、予想の斜め上を行くわね…!!」
ガイア「ああ…だからこの二人、さっきから浸食率のダイスが凄いんだ…」
ウィド&スピカ「「いや関係ない(です)(わよ)…多分…」」
テルス「あ、自覚はあるのね…」
切嗣は隙のない動きで愛里の腹部目掛けて銃口を合わせ、発砲する。
弾丸は狂いなく愛里の腹を貫き、赤い血を飛び散らせながら彼女はその場に倒れ込んでしまった。
恋火『ひっ、ひいいいいいいぃ!!?』
小暮『支部長!? あ、あなたいきなり何を!?』
切嗣『証拠を見せるのだ、こちらの方が早いだろう。――さて支部長、何時まで寝ているつもりだ?』
愛星『…全く、あなたは本当に考えの読めない男ね』
そして、撃たれたはずの愛里が腹部を押えて起き上がる。
腹の部分は血で汚れているが、取り払われた手から見えた傷痕は綺麗に消えている。
一瞬手品か何かと恋火は考える。だが、病室内に広がった血液。漂い始める鉄の匂いは紛れもなく現実だ。
恋火『う、うそ…! 確かにお腹を打たれたのに…!?』
切嗣『これが人でない証拠だ。オーヴァードになった者は皆共通して致死量の傷でもある程度治す事が出来る――これでも信じられないと言うのなら、自分の身体で試してみるか?』
小暮『ちょっと切嗣!!』
今度は恋火に銃を向ける切嗣に、小暮がかばうように前へ飛び出す。
だが、切嗣は引き金を引く事はしなかった。いや、出来なかった。
横から伸びた、巧妙に人の腕へと偽造した機械仕掛けの手が、彼の銃を握ったのだから。
雷神『――人の妹に銃を向けるとはどう言う了見だ、言峰?』
切嗣『ほう? 久しぶりだな、雷神』
恋火『雷神お兄ちゃん!?』
雷神『恋火、心配するな…この男は俺がぶっ殺してやるから。なに、俺の能力があればすぐに終わる』
切嗣『ふ、戯言を。一点特化の尖った能力者に、この私が劣るとでも?』
雷神はその身体から雷を放出させ、対抗するように切嗣も周りにある影を伸ばす。
お互い一発即発の状態になると、たまらず小暮が怒鳴りつけた。
小暮『あなた達、止めなさい!! この子はまだこちら側の世界について知らないのよ!! そんな状態で戦おうとしないで!!』
雷神『…まあ、小暮姉さんの言う事は一理あったな。オーヴァードになったと聞いて飛んできたけど、まだ一日も経ってないんだもんな』
切嗣『喧嘩を振ってきたのは雷神の方だ。私は火の粉を振り払う程度に抑えるつもりだったさ』
恋火『小暮お姉ちゃん…雷神お兄ちゃん…どういう事なの?』
小暮『私達もオーヴァードだったのよ。恋火、あなたが知らないだけで、私達は既にこちら側の人間だったの』
恋火『い、いつから!?』
雷神『もう数年も前にだよ。ま、俺の場合は先に小暮姉さんがオーヴァードになっていたから、俺もこの現実を受け入れる事が出来た。それだけだ』
愛星『とにかく、オーヴァードについて頭にいれてくれたようだし、今度はUGNとFHについて説明するわね。
UGNの正式名称はユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワーク。私達オーヴァードと人間の共存を理念として掲げている世界的な組織よ。私達はそこに所属していて、主にFHに関した事件を人知れず解決しているの。
FHの正式名称はファルスハーツ。彼らはオーヴァードやレネゲイドウイルスを使って世界規模のテロ活動を行っているわ。今回のバス横転事故も、彼らの仕業よ』
恋火『そんな…どうしてそんな事を!?』
愛星『まだそこまでは分からないわ。あくまでも分かっているのは、この事故は彼らが仕組んだ事だけ。FHのメンバーは己の欲望に従って動いている。欲望を叶える為なら、何だってするわ。それそこ、世界規模の被害が出ようともね…。
だから私達UGNは、世間には知られないように彼らと戦っているの。FHは全てではないけど、殆どがオーヴァードで構成されているわ。様々な力を使う超人に、人間である警察や自衛隊では太刀打ちできない。もし、こんな情報が露見すれば世界中でパニックを起こし、最悪の場合は世界規模の戦争や虐殺、差別格差も始まるから。
さて…大まかな説明はこれでいいでしょう。ただ、今後もレネゲイドや世界の裏側に関しては説明していくわ。さすがに一日で語れるような内容ではないもの』
小暮『そうそう。羽粋についてだけど彼女は無事よ。ただし、記憶処理をして事故の記憶は消しているわ』
恋火『羽粋には悪いけど…その方がいいのかもしれないね。あんな状況で助かったのがあたし達だけなんて、信じたくないもん…!』
愛星『ここからが本題なのだけど…恋火さん、あなたで良ければこの件を手伝って欲しいの。あなたの力を、私達UGNに貸して欲しいの』
雷神『おい、支部長さんよ!! オーヴァードに成りたての妹を引き込むとはどう言う――!!』
恋火『待って、雷神お兄ちゃん!!』
詰め寄る雷神を制すると、恋火は愛星の顔を見て頷いた。
恋火『あたし、やるよ…! 協力する!』
雷神『なっ! いいのかよ、恋火!?』
恋火『何言ってるの! 小暮お姉ちゃんや雷神お兄ちゃんだって、あたしの知らない所で世界を守ってきたんでしょ! 姉弟であたしだけ仲間外れなんて嫌だから!!』
雷神『う…!』
切嗣『…その事故の件だが、私も協力しよう。私が調査しているFHと関わりがあるかもしれないのでね』
愛星『そう。なら、よろしく頼むわ。切嗣』
雷神『ったく…だったら俺も協力するよ。恋火や小暮姉さんを守らないといけないってのもあるが、あんたらと一緒だと実行犯の春日にも出会えるだろうしな』
GM「よし。PC全員が合流を果たしたって事で、ここでシーンを切ろうか。あ、ロイスとか取りたい人はいる?」
ガイア「うーん…まだ出会ったばっかりだし、特にはないかな」
テルス「そうね。取るにしても人数が多いし、この後も人が出てきそうだし、もう少し交流を深めてからでも遅くはないわね」
SM「なら、このまま次に進むわよ」