チーム戦・5
「さ、次【悪役軍団】〜。さっさとやるならやって〜」
「何故そんなにやる気がないのだぁ!?」
やる気のないナナの進行に、マスター・ゼアノートがツッコミを入れる。
そんな中、ゼアノートがゼムナスと共に前に出た。
「とにかく、ここは俺とゼムナスで……ん? 何だこの異様な殺気は…?」
キノコに向き合った瞬間、突き刺さるような視線が襲い掛かる。
「「ゼアノートォォォ…!!!」」
「ゼェムナァァァス…!!!」
思わず四人が振り返ると、そこにはドス黒いオーラを纏ったエン・ウラノス・ロクサスと言う最強人物が武器を持って睨んでいた。
「何だ!? どうしてあの危険人物三人は私達を睨んでいるのだぁ!!?」
これにはアンセムも命の危険を感じて原因を探そうと周りを見る。
殆どが三人の殺気に怯えていたり不思議そうに見ている中で、作者二人だけが顔を逸らしてワザとらしい口笛を吹いている事に気付いた。
「貴様ぁ!!! 何をしたぁぁぁ!!?」
「え〜? リラさん、私達何かしましたっけ〜?」
「さぁ〜?」
「明らかに白々しいではないかぁ!!?」
ワザとらしく話す作者二人に、ゼムナスも怒鳴る。
そうしている間にも、殺気を纏う三人が武器を構え出す。
「本編の前に、ここで跡形も無く消し去る…!!!」
「消し去るだけじゃ殺り足りねえ…この世界が地獄だと思い知らしめてやらねえとなぁ…!!!」
「息子や妻を奪った罪…仲間を消した罰…この後の展開も含めて、その身で贖えぇぇぇ…!!!」
もはや消滅させる気満々のロクサス、ウラノス、エンの三人に、アンセムは最後の抵抗とばかりに説得をする。
「ま、待つのだ!? 私達を攻撃すれば、その技や魔法は使えなく――!!」
「ああ。あんたらが攻撃した分はカウントしないから、記憶無くすぐらいにボコボコにして貰って構わないよ〜」
「「「「鬼か貴様はぁ!!? ぎゃああああああああああぁ!!?」」」」
もはや死刑を言い渡したナナに対してチーム全員が怒鳴るものの、最凶三人の手によって即座に悲鳴へと変わる。
こうして【悪役軍団】はキノコに何も出来ずに処刑される中、リラは一冊のノートを取り出した。
「とりあえず、これでよしと――それにしても、ナナさんにもゼアノート関連のネタバレがあるとは思いもしませんでしたよー」
「本当はまだ内緒にしたかったんですが……戦艦並みの最終形態やら、巨大な竜呼び出したり、テラに乗り移ったり、時間操って巻き戻しされたらこっちも溜まった物じゃありませんからね〜」
「ふふふ……ナナさん、これでスイートルームは確定ですなぁ…」
「いやいや、まだまだ油断は出来ませんぜ…」
まるでどこぞの悪代官のように黒く笑いあう二人に、リズが呆れの目で話しかける。
「黒くなるのはいいけど、次あんた達の番じゃないの?」
モニターを見ると、ゼアノート達のキノコはとっくに30秒過ぎている。
0点となった【悪役軍団】を尻目に、ナナは一歩前に出た。
「おっと、そうだった。ではリラさん。ペンは剣よりも強しな所を見せつけてやりましょう!」
「もちろんですよ! では、『DDFF』より私の得意なユウナ召喚!」
リラがPSPを取り出すなり、FF10版の召喚士ユウナを出現させる。
「それでは私は――」
(((シャントットか!?)))
怒らせると怖い年齢不詳の魔導師キャラの使い手と知っているナナ作品の登場人物は、同じことを考える。
だが、ナナは何故かPSPではなくいつの間にか用意されたPS3を起動してコントローラーを握った。
「ラ○ナ兄さんでっ!!」
そう言うと、黒い服に赤いジャケットを羽織った、大剣を腰に付けたオッドアイの銀色の髪の男性が召喚された。
『『『ちょっと待てぇぇぇ!!!』』』
直後、全員からブーイングが起きたのは言うまでもないだろう。
「何別のゲームキャラ出してんだ、てめぇ!!!」
「そもそもあんたトリッキー使いなんだから、毎回レイチ○ル選んでるでしょ!!!」
ムーンとオパールが抗議を上げるが、ナナは可愛らしく首を傾げた。
「えー? これも格闘ゲームじゃん。それに私、最初言った筈ですよ? ここは何でもアリだと」
「もはやカオスじゃないかぁ!!?」
「カオスと言えば、コースモス! コスモスと言えばー、はいグラッセっ!」
「マジ○ルバ○ナやってんじゃねーよ!!!」
ナナの屁理屈だけでなく古いネタのボケにも丁寧(?)にツッコミを入れるグラッセ。まさしくツッコミ役だからこそ出来る業だろう。
「あっちの漫才は無視して…デスペラー○カ○スをも余裕で倒したユウナの力、見せてやる!!」
《世界の希望の為に! 全てを焼き尽くして!》
EXモードになるなり、バハムートを召喚し一気にメガフレアを放つユウナ。
これだけでもHPが大幅に減るが、その分を巻き返そうとキノコは回復を始める。
「そして、ここでEXバーストの異界送り発動!!」
リラがあるボタンを押すと共に、ユウナの足元に水が噴き出しその場で舞を踊る。
それと共に、召喚獣が次々と現れてはキノコへと攻撃をする。
《彼方へ送ります》
ユウナが踊り終えると共に、キノコを中心に大爆発する。
HPが残り僅かの所で終わり、リラはナナに叫んだ。
「後は頼みますよ、ナナさん!!」
「もちろんですとも! 兄さんの力、そしてガチャプレイで鍛えた力、その目で見るがいい!!」
「ガチャプレイって、殆ど初心者じゃないですか!?」
思わずジェダイトがツッコミを入れるが、ナナの操作するラ○ナはすぐにキノコへと近づいて攻撃を始めた。
《おらぁ! どけよ! 邪魔だ! インフェル○ディ○イダー! くらいな! カー○ージ、○ザー!!》
セリフで分かりにくいでしょうか、ナナの操作するラ○ナは拳や蹴りを放ったのち、大剣で斬り付けてキノコのHPを0にしました。
「よーし、フィニッシュ!!」
「さすがナナさんです!!」
「いえいえ、リラさんのユウナのおかげですよ」
キノコが花火を上げる中、コントローラーやPSPを持ちながら互いに謙遜しあう二人。
この異様な光景に、誰もが呆れを通り越し不安を感じた。
「…もはや、次元が違うな…」
「ある意味、ペンは剣よりも強しだね…」
どうにかルキルとシオンが思った事を言うと、ナナが全チームに不敵の笑みを浮かべた。
「さーて、私達のように点数取る事が出来るかなー?」
「当たり前でしょ!!」
「俺達を舐めるな!!」
「仲間がいれば、何だって出来るさ!!」
こんな人達に負けられないと、リズ、クウ、ソラが言い返す様に叫ぶ。
そんな三人の決意の通り、この後のメンバーは【悪役軍団】も合わせて順調に10点を獲得して行った。
―――それから時間は経ち、6回目のターン…。
《ウオオオオォ!!! マ○ー・デス○ラクトォ!!!》
全身黒ずくめに変身した銀髪の青年が激しい槍の攻撃を行い、キノコのHPをゼロにした。
「どうだ、テ○ルズ人気投票一位に選ばれたル○ガーの強さは!!」
「さすがです、リラさん。さ、次【ヒーロー&ヒロイン】の番だよ〜?」
PS3のコントローラーを持ちながら得意げになるリラに、ナナは次のチームを見る。
すると、メンバー全員がどんよりとした空気を纏っていた。
「ううぅ…」
「マズイぞ、このままじゃ…」
リズが呻く横で、テラも表情を暗くしている。
最初の辺りは技や魔法に余裕があったりメンバー交代で節約して使えたが、ターンが進むごとにそうも言っていられなくなってきた。
もちろん、それは他のメンバーも一緒で、中には強化や変身能力までもが『一回』しか使えない制限だったり、一度使った設定すらも使えないと後からルールを追加して窮地に追い込まれたり。(もちろん作者に詰め寄ったが、キノコを盾にされてしまった)
今の所困っていないのは、さまざまな他作品ネタを使う【ダブル作者】。カヤとゼクシオンと言う策士がいる【トリッカー】。ハンデが付いているにも関わらず全ての能力が優れている【最強血縁】くらいだ。
「しょうがないや。ここはボクの【モード・スタイル】を使って…」
「シャオ、お前もう『パワー・モード』と『ミラージュ・モード』、あと『ライト・モード』使ってるだろ? これ以上減ったら元も子もないぜ?」
ムーンの言う通り、三回目の時の出たシャオは連続で【モード・スタイル】を使ってしまっている。満点を取り終えた時は喜んだが、直後にナナから「強化も一回きり」宣告を受けてしまったのだ。さすがのシャオも切れたが、キノコを盾に(以下省略)
「出来ればグラッセの『トランス』も取ってはおきたい所だわ。とにかく、何かいい方法を…」
「そうだ! 良い事思いついた!」
アクアが考えていた時、リズが輝かしい笑顔で手を叩いた。
(え…リズが思いついた作戦…?)
(嫌な予感しかしない…)
(この上なく不安だ…)
シャオと幼馴染み二人が失礼な事を思っていると、リズは黒い笑みを浮かべてキノコを指して大声を出した。
「あーあ、誰か私達のキノコ代わりに倒してくれないかなー? そうすれば遺跡にでも連れて行って――」
「遺跡だとぉぉぉ!!!??」
リズの言葉に反応し、別のレーンにいたウィドが目を光らせて剣を握る。
考古学関連で性格ともに強さまで変わる『学者モード』に突入したウィドに、慌てて他のメンバーが押さえつけ始めた。
「まて!? リズの言葉は嘘だ!!」
「そうだよ!! あっちのキノコを攻撃するくらいなら、こっちのキノコに――!!」
「ええい!! 我が道を邪魔するなぁ!!! 空衝撃・双錬!!」
アクセルとラックに抑えつけられながら剣を振り、一回り大きな衝撃波を二つ繰り出す。
「やった、私達のキノコに当たった!! アクア、今の内に!!」
「え、ええっ!!」
「俺達のキノコにも当たったぞ!!」
「何やってんのよ!! 被害が拡大したじゃない!?」
ウィドの繰り出した衝撃波はリズのチームだけでなく、お隣のチームにも当たってソラがガッツポーズを作る。
相手チームが有利になる光景にラクシーヌが怒鳴るが、何もかもが遅すぎた。
「こうなれば…!!!」
「せ、先生…!?」
全身に気を纏わせるなり、ウィドは黒いオーラを纏わせて居合抜きの構えを取る。
明らかにヤバイ光景にルキルが怯えていると、他の人達も現状に気付いて顔を真っ青にする。
さすがのリズも攻撃を手を止めて暴走するウィドを見ると、こちらに向かって剣を引き抜いた。
「空衝煉獄斬っ!!!」
『『『うわあああああああああっ(きゃああああああああっ)!!!??』』』
直後、二つのキノコを巻き添えにメンバーにもウィドの放つ衝撃波と斬撃が襲い掛かったと言う…。
「何故そんなにやる気がないのだぁ!?」
やる気のないナナの進行に、マスター・ゼアノートがツッコミを入れる。
そんな中、ゼアノートがゼムナスと共に前に出た。
「とにかく、ここは俺とゼムナスで……ん? 何だこの異様な殺気は…?」
キノコに向き合った瞬間、突き刺さるような視線が襲い掛かる。
「「ゼアノートォォォ…!!!」」
「ゼェムナァァァス…!!!」
思わず四人が振り返ると、そこにはドス黒いオーラを纏ったエン・ウラノス・ロクサスと言う最強人物が武器を持って睨んでいた。
「何だ!? どうしてあの危険人物三人は私達を睨んでいるのだぁ!!?」
これにはアンセムも命の危険を感じて原因を探そうと周りを見る。
殆どが三人の殺気に怯えていたり不思議そうに見ている中で、作者二人だけが顔を逸らしてワザとらしい口笛を吹いている事に気付いた。
「貴様ぁ!!! 何をしたぁぁぁ!!?」
「え〜? リラさん、私達何かしましたっけ〜?」
「さぁ〜?」
「明らかに白々しいではないかぁ!!?」
ワザとらしく話す作者二人に、ゼムナスも怒鳴る。
そうしている間にも、殺気を纏う三人が武器を構え出す。
「本編の前に、ここで跡形も無く消し去る…!!!」
「消し去るだけじゃ殺り足りねえ…この世界が地獄だと思い知らしめてやらねえとなぁ…!!!」
「息子や妻を奪った罪…仲間を消した罰…この後の展開も含めて、その身で贖えぇぇぇ…!!!」
もはや消滅させる気満々のロクサス、ウラノス、エンの三人に、アンセムは最後の抵抗とばかりに説得をする。
「ま、待つのだ!? 私達を攻撃すれば、その技や魔法は使えなく――!!」
「ああ。あんたらが攻撃した分はカウントしないから、記憶無くすぐらいにボコボコにして貰って構わないよ〜」
「「「「鬼か貴様はぁ!!? ぎゃああああああああああぁ!!?」」」」
もはや死刑を言い渡したナナに対してチーム全員が怒鳴るものの、最凶三人の手によって即座に悲鳴へと変わる。
こうして【悪役軍団】はキノコに何も出来ずに処刑される中、リラは一冊のノートを取り出した。
「とりあえず、これでよしと――それにしても、ナナさんにもゼアノート関連のネタバレがあるとは思いもしませんでしたよー」
「本当はまだ内緒にしたかったんですが……戦艦並みの最終形態やら、巨大な竜呼び出したり、テラに乗り移ったり、時間操って巻き戻しされたらこっちも溜まった物じゃありませんからね〜」
「ふふふ……ナナさん、これでスイートルームは確定ですなぁ…」
「いやいや、まだまだ油断は出来ませんぜ…」
まるでどこぞの悪代官のように黒く笑いあう二人に、リズが呆れの目で話しかける。
「黒くなるのはいいけど、次あんた達の番じゃないの?」
モニターを見ると、ゼアノート達のキノコはとっくに30秒過ぎている。
0点となった【悪役軍団】を尻目に、ナナは一歩前に出た。
「おっと、そうだった。ではリラさん。ペンは剣よりも強しな所を見せつけてやりましょう!」
「もちろんですよ! では、『DDFF』より私の得意なユウナ召喚!」
リラがPSPを取り出すなり、FF10版の召喚士ユウナを出現させる。
「それでは私は――」
(((シャントットか!?)))
怒らせると怖い年齢不詳の魔導師キャラの使い手と知っているナナ作品の登場人物は、同じことを考える。
だが、ナナは何故かPSPではなくいつの間にか用意されたPS3を起動してコントローラーを握った。
「ラ○ナ兄さんでっ!!」
そう言うと、黒い服に赤いジャケットを羽織った、大剣を腰に付けたオッドアイの銀色の髪の男性が召喚された。
『『『ちょっと待てぇぇぇ!!!』』』
直後、全員からブーイングが起きたのは言うまでもないだろう。
「何別のゲームキャラ出してんだ、てめぇ!!!」
「そもそもあんたトリッキー使いなんだから、毎回レイチ○ル選んでるでしょ!!!」
ムーンとオパールが抗議を上げるが、ナナは可愛らしく首を傾げた。
「えー? これも格闘ゲームじゃん。それに私、最初言った筈ですよ? ここは何でもアリだと」
「もはやカオスじゃないかぁ!!?」
「カオスと言えば、コースモス! コスモスと言えばー、はいグラッセっ!」
「マジ○ルバ○ナやってんじゃねーよ!!!」
ナナの屁理屈だけでなく古いネタのボケにも丁寧(?)にツッコミを入れるグラッセ。まさしくツッコミ役だからこそ出来る業だろう。
「あっちの漫才は無視して…デスペラー○カ○スをも余裕で倒したユウナの力、見せてやる!!」
《世界の希望の為に! 全てを焼き尽くして!》
EXモードになるなり、バハムートを召喚し一気にメガフレアを放つユウナ。
これだけでもHPが大幅に減るが、その分を巻き返そうとキノコは回復を始める。
「そして、ここでEXバーストの異界送り発動!!」
リラがあるボタンを押すと共に、ユウナの足元に水が噴き出しその場で舞を踊る。
それと共に、召喚獣が次々と現れてはキノコへと攻撃をする。
《彼方へ送ります》
ユウナが踊り終えると共に、キノコを中心に大爆発する。
HPが残り僅かの所で終わり、リラはナナに叫んだ。
「後は頼みますよ、ナナさん!!」
「もちろんですとも! 兄さんの力、そしてガチャプレイで鍛えた力、その目で見るがいい!!」
「ガチャプレイって、殆ど初心者じゃないですか!?」
思わずジェダイトがツッコミを入れるが、ナナの操作するラ○ナはすぐにキノコへと近づいて攻撃を始めた。
《おらぁ! どけよ! 邪魔だ! インフェル○ディ○イダー! くらいな! カー○ージ、○ザー!!》
セリフで分かりにくいでしょうか、ナナの操作するラ○ナは拳や蹴りを放ったのち、大剣で斬り付けてキノコのHPを0にしました。
「よーし、フィニッシュ!!」
「さすがナナさんです!!」
「いえいえ、リラさんのユウナのおかげですよ」
キノコが花火を上げる中、コントローラーやPSPを持ちながら互いに謙遜しあう二人。
この異様な光景に、誰もが呆れを通り越し不安を感じた。
「…もはや、次元が違うな…」
「ある意味、ペンは剣よりも強しだね…」
どうにかルキルとシオンが思った事を言うと、ナナが全チームに不敵の笑みを浮かべた。
「さーて、私達のように点数取る事が出来るかなー?」
「当たり前でしょ!!」
「俺達を舐めるな!!」
「仲間がいれば、何だって出来るさ!!」
こんな人達に負けられないと、リズ、クウ、ソラが言い返す様に叫ぶ。
そんな三人の決意の通り、この後のメンバーは【悪役軍団】も合わせて順調に10点を獲得して行った。
―――それから時間は経ち、6回目のターン…。
《ウオオオオォ!!! マ○ー・デス○ラクトォ!!!》
全身黒ずくめに変身した銀髪の青年が激しい槍の攻撃を行い、キノコのHPをゼロにした。
「どうだ、テ○ルズ人気投票一位に選ばれたル○ガーの強さは!!」
「さすがです、リラさん。さ、次【ヒーロー&ヒロイン】の番だよ〜?」
PS3のコントローラーを持ちながら得意げになるリラに、ナナは次のチームを見る。
すると、メンバー全員がどんよりとした空気を纏っていた。
「ううぅ…」
「マズイぞ、このままじゃ…」
リズが呻く横で、テラも表情を暗くしている。
最初の辺りは技や魔法に余裕があったりメンバー交代で節約して使えたが、ターンが進むごとにそうも言っていられなくなってきた。
もちろん、それは他のメンバーも一緒で、中には強化や変身能力までもが『一回』しか使えない制限だったり、一度使った設定すらも使えないと後からルールを追加して窮地に追い込まれたり。(もちろん作者に詰め寄ったが、キノコを盾にされてしまった)
今の所困っていないのは、さまざまな他作品ネタを使う【ダブル作者】。カヤとゼクシオンと言う策士がいる【トリッカー】。ハンデが付いているにも関わらず全ての能力が優れている【最強血縁】くらいだ。
「しょうがないや。ここはボクの【モード・スタイル】を使って…」
「シャオ、お前もう『パワー・モード』と『ミラージュ・モード』、あと『ライト・モード』使ってるだろ? これ以上減ったら元も子もないぜ?」
ムーンの言う通り、三回目の時の出たシャオは連続で【モード・スタイル】を使ってしまっている。満点を取り終えた時は喜んだが、直後にナナから「強化も一回きり」宣告を受けてしまったのだ。さすがのシャオも切れたが、キノコを盾に(以下省略)
「出来ればグラッセの『トランス』も取ってはおきたい所だわ。とにかく、何かいい方法を…」
「そうだ! 良い事思いついた!」
アクアが考えていた時、リズが輝かしい笑顔で手を叩いた。
(え…リズが思いついた作戦…?)
(嫌な予感しかしない…)
(この上なく不安だ…)
シャオと幼馴染み二人が失礼な事を思っていると、リズは黒い笑みを浮かべてキノコを指して大声を出した。
「あーあ、誰か私達のキノコ代わりに倒してくれないかなー? そうすれば遺跡にでも連れて行って――」
「遺跡だとぉぉぉ!!!??」
リズの言葉に反応し、別のレーンにいたウィドが目を光らせて剣を握る。
考古学関連で性格ともに強さまで変わる『学者モード』に突入したウィドに、慌てて他のメンバーが押さえつけ始めた。
「まて!? リズの言葉は嘘だ!!」
「そうだよ!! あっちのキノコを攻撃するくらいなら、こっちのキノコに――!!」
「ええい!! 我が道を邪魔するなぁ!!! 空衝撃・双錬!!」
アクセルとラックに抑えつけられながら剣を振り、一回り大きな衝撃波を二つ繰り出す。
「やった、私達のキノコに当たった!! アクア、今の内に!!」
「え、ええっ!!」
「俺達のキノコにも当たったぞ!!」
「何やってんのよ!! 被害が拡大したじゃない!?」
ウィドの繰り出した衝撃波はリズのチームだけでなく、お隣のチームにも当たってソラがガッツポーズを作る。
相手チームが有利になる光景にラクシーヌが怒鳴るが、何もかもが遅すぎた。
「こうなれば…!!!」
「せ、先生…!?」
全身に気を纏わせるなり、ウィドは黒いオーラを纏わせて居合抜きの構えを取る。
明らかにヤバイ光景にルキルが怯えていると、他の人達も現状に気付いて顔を真っ青にする。
さすがのリズも攻撃を手を止めて暴走するウィドを見ると、こちらに向かって剣を引き抜いた。
「空衝煉獄斬っ!!!」
『『『うわあああああああああっ(きゃああああああああっ)!!!??』』』
直後、二つのキノコを巻き添えにメンバーにもウィドの放つ衝撃波と斬撃が襲い掛かったと言う…。