チーム戦・6
それから数分後。ウィドの大技によってセットの一部が半壊された状態で、ナナが大きく溜息を吐きながら話し出した。
「――さて、前回ウィドの暴走で終わったんで、現状確認しておきましょうか…」
「ウィドさんの攻撃で【ヒーロー&ヒロイン】のキノコは30秒以内にHPが0になったから満点ゲット。さらに【そっくりさん】のキノコにも攻撃が当たっているから体力が減らされた状態でのスタートとなる訳ですかぁ…」
リラが丁寧に現状を説明すると、原因を作った【裏切り者】のいる場所へと目を向ける。
そこには、サイクスとラクシーヌが怒りの目で正座するウィドを睨んでいた。
「リズの所為とは言え、何てことしてくれたのだ…!!」
「あんた、そんなに黒焦げになりたいの…!?」
「面目ありません…」
「『学者モード』までなくなっちまったら、あたしら本当に打つ手無しじゃないか…」
正座しながら反省を見せるウィドに、ラックは絶望にも似た暗い表情で頭を押さえる。
ちなみに、被害に遭ったチームはと言うと…。
「うおぁ…!」
「痛いよぉ〜…」
「ぶ、無事か…ナミネ…」
「ごめんね…ロクサス」
グラッセとシャオは大怪我で動けず、あの攻撃からナミネを守ったのかロクサスがボロボロの状態で介抱されていた。
他にも、自力で身を守った人もいれば身を挺して庇われた人もちらほらいる。
「あっちはあっちで、チームの半数が戦闘不能か…」
「それだけが唯一の救いだな」
マールーシャとアクセルがしみじみと言っていると、リラが手を叩いた。
「さ、回復作業してる所悪いけど、【そっくりさん】はゲーム始めるよー。一撃当てれば終わるだろうけど」
「ここは俺達に任せて!! リク、一緒に!!」
「もちろんだ!!」
すると、リフレガとダークシールドで防御して無傷で済んでいたソラとリク(その際、カイリもちゃんと守っていた)は戦闘不能となったメンバーへの回復の手を止めてキノコへと走る。
そんな二人に、ナナは小さく舌打ちする。
(ウィドの暴走で十分だと思ったのに……これ以上点を取らせるものかっての。ポチッとな)
黒い事を考えると、一つのボタンを押す。
直後、リクの真上の天井が開き大量の水が落ちて来た。
「え――ぶふぉ!?」
「み、水…?」
「このパターン、どっかで見た気が…?」
この光景にカイリとオパールがデジャブを感じていると、慌ててソラが振り返った。
「リク、大丈夫か!?」
「あ、あぁ…どうに、か…っ…!?」
返事を返していたリクは、自分の身体の異変に気づき硬直する。
自分でも分かるやけに高い声。大きくなった胸部。筋肉がなくなり細くなった身体。
ここまで言えば想像がつくだろう。
「な…何で女になってるんだぁぁぁーーーーーーっ!!?」
この変わり果てた自分の姿に、絶叫を上げるリク。
突然の事に他の人達もポカンとする中、何故かカイリが笑顔で近づいてリクの胸を鷲掴みする。
爪を立て、物凄い握力で。
「それにしても、あのゼノと同じでここだけすっごく大きいよねー? 私へのあてつけ?」
「いだだだっ!? カイリ、胸!! 胸が千切れる!?」
「ど、どうしてこんな事に…?」
仲間割れ(?)を尻目に、隣にいたソラは疑問を呟く。
すぐにリクがカイリの手を引き離しながら周りを見回すと、してやったりの表情を浮かべたナナに気付いた。
「お前が原因か作者ぁぁぁ!!!」
「いやー、前に本編のあとがきで『娘溺○』ネタは宣言してたからねー。有言実行って奴だよー?」
「そんな言い分どうでもいい!! どうするんだよ、この身体ぁ!!?」
「どこぞのゲームでは、女になったらキャラ固有能力の性能が良くなるけど?」
「ディス○イアD2のネタ引っ張ってくるんじゃねぇぇぇ!!!」
「リク、駄目だって!?」
「攻撃なんかしたら、作者の思うツボだよ!?」
今すぐにでもナナに斬りかかろうとするリクを、後ろからソラとカイリがしがみ付いて拘束する。
そんな中、オパールは大広間の出口へと駆け出していた。
「リク、待ってて! すぐにお湯を――!」
「オパール、待ちなさい」
その時、急にゼクシオンがオパールの肩を掴んで足を止めさせる。
そのまま耳元でヒソヒソと何かを話すと、輝かしい笑顔でリクに振り返った。
「――うん、このままでもいいよね♪」
「一体何を吹き込んだぁぁぁ!!!」
一瞬で心変わりをしたオパールに、たまらずリクはゼクシオンに怒鳴り付けた。
「何でもいいじゃないか。大体、敵を有利にさせる程愚かじゃないし」
「カヤの言う通りです。今もしがみ付いている幼馴染を引き剥がせずに立ち往生している所を見ると、腕力も劣っているようですしね」
「グヌヌヌヌ…!!」
カヤとゼクシオンと言う策士コンビの言葉に、リクは唸る事しか出来ない。
そんな彼(彼女?)に、背後から忍び寄る影が…。
「まあまあ、いいじゃない。こーんなにいい身体してるんだし…」
しがみ付いているソラとカイリの間を縫うように、後ろからテルスがリクの胸を鷲掴みした。
「「ひぃ!?」」
「ひみゃあああああっ!!?」
いきなり乱入にソラとカイリが離れる中、リクはたまらず妙な悲鳴を上げてしまう。
その間も、テルスの魔の手は止まらない。
「あーら、胸も大きいし腰も細いし…羨ましいわねー、何で男に生まれてきたのあなた?」
「し、知らな…んっ、やぁ…!?」
「テ、テルスさん!? いい加減に止めないと、この作品がR15になっちゃうんだけど!?」
見事にテルスのセクハラに捕らわれたリクに、カイリが止めさせようと必死になる。
こうして暴走する傍ら、同じチームのクウ、シグバール、デミックスは血涙を浮かべてテーブルを叩いていた。
「畜生ぉ!! これが、女の特権…!!」
「どうして女は触れて、男は触れないんだってハナシィ!!」
「テルスさんが羨ましすぎるぅ…!!」
「ちょっと、あのバカ三人組を血祭りに上げてきます…!!」
「待って、月光明血桜なんて使ったら相手にポイント入っちゃうから!?」
正座していたウィドが立ち上がって居合抜きをする様子に、慌ててラックが止める。
(ガッガッガッ…!!)
「オパール…ナイフで壁にデスリフブロウ彫るのは止めてくれないか…!?」
同じく、血涙を浮かべながら『385/2Days』の最強ハートレスを形作るオパールに、ルクソードが宥めようとする。
しかし、中には喜ぶ集団も存在した。
「いいですよ、テルスさん!! もっと触ってやれー!!」
「ああ、そのまま泣かせてやれ!! ほら、ムーンも応援を!!」
「出来る訳ないだろ!? 嬉しさよりも複雑な気分が心を占めているわぁ!?」
レイシャだけでなく回復したロクサスもテルスのセクハラを応援するが、ムーンは泣きかけの表情で叫ぶ。
理由は…いろいろとしか言いようがない。本当に、マジで。
「皆さん…暴走するのはいいですけど、時間大丈夫ですー?」
『『『へ?』』』
リラの言葉に、思わず全員がモニターを見る。
すると、【そっくりさん】だけでなく【トリッカー】、【スケベ四人衆】と言った主に暴走していたメンツのタイマーがいつの間にか動いていた。
「ええぇー!? 何時の間にカウントが!?」
「は、早く決めないと!?」
ジェダイトとカイリが焦っている間にも、残り時間が20秒を切ってしまう。
「こうなりゃ…来い、スナイパー!!」
全員が慌てる中、シグバールはキノコの周りに配下ノーバディを幾つも呼び出した。
「お前らさっさと攻撃しろ!! クウ、こいつら使って攻撃だ!!」
「任せとけ、シグバールのオッサン!! おりゃあ!!」
スナイパーが攻撃する中で、クウもワープスナイプを使って瞬間移動しながらキノコに攻撃を始める。
「マズい!? スケベ達が優位に立ってる!!」
「人数が少ないのが吉に出たみたい…リク、早くソラと攻撃――!!」
ロクサスが叫ぶと、カイリは急がせようとリクを見るが。
「うふふ…随分と反応がいいわね〜、ここはどうかしら〜?」
「そ、そこは…だめ、やぁあっ!?」
……大まかにしか説明出来ませんが、床に倒れたリクの上に乗っかりながらテルスは尚もセクハラしていましたとさ。
「って、描写出来ない程ヤバイ状況!? ウラノス、お願いだから止めてあげて!!」
もはやゲーム云々以前の問題に、シオンは暴走を止められるであろう弟のウラノスに助けを求める。
「確かにテルス姉さんの暴走を止めるのは俺の役目だけど…何で俺が敵の妨害を止めなきゃならないんだよまな板娘、甘い事言ってんじゃねぇよ。テルス姉さーん、いっその事再起不能にまでやってやれー」
「変な所で冷酷出たぞこいつ!?」
「って言うか、誰がまな板よぉ!!?」
回復したヴァニタスがツッコミを入れる横で、シオンは怒りの炎を宿してキーブレードを取り出す。
「落ち着けシオン!? 確かに胸は小さいが、まな板ほどではがふぉ!!?」
「ねえ、ルキル…その言葉、シオンにそっくりな私にも該当するんだけど知ってた…?」
「カ、カイリ…!? あの、キーブレードが…!?」
回復したルキルの後頭部をキーブレードで殴り一発で沈めたカイリに、ナミネは恐怖を感じる。
そうこうしている間にも、テルスの暴走は最高潮を迎えてしまう。
「さーて、ウラノスからもお許しが出たし……お姉さんが、女の何たるかをじっくりと教えてあげるわ♪ 大丈夫、最悪でも『お嫁に行けない』で済むから!」
「寧ろ『お婿に行けない』になるんですが!?」
「安心するがいい。その時は、私が嫁に貰ってやろう」
「こんな時にでしゃばるなこのストーカーがぁぁぁ!!!」
会話の途中でアンセムまでもが入ってきてしまい、リクは思わず怒鳴り付ける。
(ガスガスガスガスッ…!!)
「オ、オパールさん…? 八つ当たりするのなら、あのキノコに…」
ナイフで壁に穴を開けるオパールに、ジェダイトは冷や汗混じりでキノコを指差す。
直後、オパールはその場から消えると、一瞬でキノコの首を掴み壁に叩きつけて思いっきり殴りつけた。
(ドコォ!! ドコォ!!)
「こ、拳でキノコの体力減らしておるぞ…!?」
「口から吐き出される闇が血のように見えるのは何故でしょうか…!?」
まるで兎のぬいぐるみを殴るネ○ちゃん親子のようにキノコを殴りつける光景に、ヴィクセンだけでなくゼクシオンも真っ青になる。
「じゃあ、別室に移動しましょうか。物凄く久々だから、楽しみだわ〜!!」
「いいとも。さあ、今度こそ私の手足となるのだぁ!!」
「だ、誰かぁ…!!」
怪しい笑みを浮かべる変態二人に、とうとうリクは涙目になってしまう。
直後、「ブチン」と言う音が辺りに響いた。
「もう限界!!! こんなの我慢出来るかぁぁぁ!!!」
心からの罵声と共に、オパールは握っていたキノコを二人に向かって高速でぶん投げた。
「「へぶぉっ!!?」」
「てめえら、いい加減しろよ…こっちは必死になって煩悩押さえてるって言うのに、ズカズカと人の心にいらぬ感情入れやがってさぁぁぁ…!!!」
「「す、すみま…!」」
陽炎のように怒りのオーラを吐き出すオパールに、変態二人は謝るが時既に遅しだった。
「ミス○ナック発動!! 乱命割殺掌!! 強甲破点蹴!! 咬撃氷狼波!! 略奪のコンパス!! 宿命のボルトラン!! 謀逆のアスペクト!!!」
「「ぎゃああああああああああっ!!!??」」
「これはオマケェ!!! アークブラストォ!!!」
何とFF12に登場する必殺技を連続で使い、追加効果の地の魔方陣まで発動して変態二人をぶちのめす。
この恐るべき光景に、リクは畏怖の目でオパールを見上げた。
「オ、オパールさん…!? そそそその技、どうやって…!?」
「バルフレアとフランに教えて貰った」
「寧ろそんな強力な技使えるのならあのキノコに使ってくれ!!?」
思わずルクソードが思った事をぶつけると、リラが笑顔で声をかけた。
「はいはーい♪ もうタイムアップだよ〜?」
「いやー、いい具合に点数が分かれましたなぁ…」
その横でナナも今の得点が出ているモニターを見る。
【そっくりさん】はキノコに攻撃しないまま全回復したので0点。【トリッカー】はオパールのやつあたりによって10点。【スケベ四人衆】はとっさのシグバールの判断によってどうにか8点は稼げた結果になった。
「――さて、前回ウィドの暴走で終わったんで、現状確認しておきましょうか…」
「ウィドさんの攻撃で【ヒーロー&ヒロイン】のキノコは30秒以内にHPが0になったから満点ゲット。さらに【そっくりさん】のキノコにも攻撃が当たっているから体力が減らされた状態でのスタートとなる訳ですかぁ…」
リラが丁寧に現状を説明すると、原因を作った【裏切り者】のいる場所へと目を向ける。
そこには、サイクスとラクシーヌが怒りの目で正座するウィドを睨んでいた。
「リズの所為とは言え、何てことしてくれたのだ…!!」
「あんた、そんなに黒焦げになりたいの…!?」
「面目ありません…」
「『学者モード』までなくなっちまったら、あたしら本当に打つ手無しじゃないか…」
正座しながら反省を見せるウィドに、ラックは絶望にも似た暗い表情で頭を押さえる。
ちなみに、被害に遭ったチームはと言うと…。
「うおぁ…!」
「痛いよぉ〜…」
「ぶ、無事か…ナミネ…」
「ごめんね…ロクサス」
グラッセとシャオは大怪我で動けず、あの攻撃からナミネを守ったのかロクサスがボロボロの状態で介抱されていた。
他にも、自力で身を守った人もいれば身を挺して庇われた人もちらほらいる。
「あっちはあっちで、チームの半数が戦闘不能か…」
「それだけが唯一の救いだな」
マールーシャとアクセルがしみじみと言っていると、リラが手を叩いた。
「さ、回復作業してる所悪いけど、【そっくりさん】はゲーム始めるよー。一撃当てれば終わるだろうけど」
「ここは俺達に任せて!! リク、一緒に!!」
「もちろんだ!!」
すると、リフレガとダークシールドで防御して無傷で済んでいたソラとリク(その際、カイリもちゃんと守っていた)は戦闘不能となったメンバーへの回復の手を止めてキノコへと走る。
そんな二人に、ナナは小さく舌打ちする。
(ウィドの暴走で十分だと思ったのに……これ以上点を取らせるものかっての。ポチッとな)
黒い事を考えると、一つのボタンを押す。
直後、リクの真上の天井が開き大量の水が落ちて来た。
「え――ぶふぉ!?」
「み、水…?」
「このパターン、どっかで見た気が…?」
この光景にカイリとオパールがデジャブを感じていると、慌ててソラが振り返った。
「リク、大丈夫か!?」
「あ、あぁ…どうに、か…っ…!?」
返事を返していたリクは、自分の身体の異変に気づき硬直する。
自分でも分かるやけに高い声。大きくなった胸部。筋肉がなくなり細くなった身体。
ここまで言えば想像がつくだろう。
「な…何で女になってるんだぁぁぁーーーーーーっ!!?」
この変わり果てた自分の姿に、絶叫を上げるリク。
突然の事に他の人達もポカンとする中、何故かカイリが笑顔で近づいてリクの胸を鷲掴みする。
爪を立て、物凄い握力で。
「それにしても、あのゼノと同じでここだけすっごく大きいよねー? 私へのあてつけ?」
「いだだだっ!? カイリ、胸!! 胸が千切れる!?」
「ど、どうしてこんな事に…?」
仲間割れ(?)を尻目に、隣にいたソラは疑問を呟く。
すぐにリクがカイリの手を引き離しながら周りを見回すと、してやったりの表情を浮かべたナナに気付いた。
「お前が原因か作者ぁぁぁ!!!」
「いやー、前に本編のあとがきで『娘溺○』ネタは宣言してたからねー。有言実行って奴だよー?」
「そんな言い分どうでもいい!! どうするんだよ、この身体ぁ!!?」
「どこぞのゲームでは、女になったらキャラ固有能力の性能が良くなるけど?」
「ディス○イアD2のネタ引っ張ってくるんじゃねぇぇぇ!!!」
「リク、駄目だって!?」
「攻撃なんかしたら、作者の思うツボだよ!?」
今すぐにでもナナに斬りかかろうとするリクを、後ろからソラとカイリがしがみ付いて拘束する。
そんな中、オパールは大広間の出口へと駆け出していた。
「リク、待ってて! すぐにお湯を――!」
「オパール、待ちなさい」
その時、急にゼクシオンがオパールの肩を掴んで足を止めさせる。
そのまま耳元でヒソヒソと何かを話すと、輝かしい笑顔でリクに振り返った。
「――うん、このままでもいいよね♪」
「一体何を吹き込んだぁぁぁ!!!」
一瞬で心変わりをしたオパールに、たまらずリクはゼクシオンに怒鳴り付けた。
「何でもいいじゃないか。大体、敵を有利にさせる程愚かじゃないし」
「カヤの言う通りです。今もしがみ付いている幼馴染を引き剥がせずに立ち往生している所を見ると、腕力も劣っているようですしね」
「グヌヌヌヌ…!!」
カヤとゼクシオンと言う策士コンビの言葉に、リクは唸る事しか出来ない。
そんな彼(彼女?)に、背後から忍び寄る影が…。
「まあまあ、いいじゃない。こーんなにいい身体してるんだし…」
しがみ付いているソラとカイリの間を縫うように、後ろからテルスがリクの胸を鷲掴みした。
「「ひぃ!?」」
「ひみゃあああああっ!!?」
いきなり乱入にソラとカイリが離れる中、リクはたまらず妙な悲鳴を上げてしまう。
その間も、テルスの魔の手は止まらない。
「あーら、胸も大きいし腰も細いし…羨ましいわねー、何で男に生まれてきたのあなた?」
「し、知らな…んっ、やぁ…!?」
「テ、テルスさん!? いい加減に止めないと、この作品がR15になっちゃうんだけど!?」
見事にテルスのセクハラに捕らわれたリクに、カイリが止めさせようと必死になる。
こうして暴走する傍ら、同じチームのクウ、シグバール、デミックスは血涙を浮かべてテーブルを叩いていた。
「畜生ぉ!! これが、女の特権…!!」
「どうして女は触れて、男は触れないんだってハナシィ!!」
「テルスさんが羨ましすぎるぅ…!!」
「ちょっと、あのバカ三人組を血祭りに上げてきます…!!」
「待って、月光明血桜なんて使ったら相手にポイント入っちゃうから!?」
正座していたウィドが立ち上がって居合抜きをする様子に、慌ててラックが止める。
(ガッガッガッ…!!)
「オパール…ナイフで壁にデスリフブロウ彫るのは止めてくれないか…!?」
同じく、血涙を浮かべながら『385/2Days』の最強ハートレスを形作るオパールに、ルクソードが宥めようとする。
しかし、中には喜ぶ集団も存在した。
「いいですよ、テルスさん!! もっと触ってやれー!!」
「ああ、そのまま泣かせてやれ!! ほら、ムーンも応援を!!」
「出来る訳ないだろ!? 嬉しさよりも複雑な気分が心を占めているわぁ!?」
レイシャだけでなく回復したロクサスもテルスのセクハラを応援するが、ムーンは泣きかけの表情で叫ぶ。
理由は…いろいろとしか言いようがない。本当に、マジで。
「皆さん…暴走するのはいいですけど、時間大丈夫ですー?」
『『『へ?』』』
リラの言葉に、思わず全員がモニターを見る。
すると、【そっくりさん】だけでなく【トリッカー】、【スケベ四人衆】と言った主に暴走していたメンツのタイマーがいつの間にか動いていた。
「ええぇー!? 何時の間にカウントが!?」
「は、早く決めないと!?」
ジェダイトとカイリが焦っている間にも、残り時間が20秒を切ってしまう。
「こうなりゃ…来い、スナイパー!!」
全員が慌てる中、シグバールはキノコの周りに配下ノーバディを幾つも呼び出した。
「お前らさっさと攻撃しろ!! クウ、こいつら使って攻撃だ!!」
「任せとけ、シグバールのオッサン!! おりゃあ!!」
スナイパーが攻撃する中で、クウもワープスナイプを使って瞬間移動しながらキノコに攻撃を始める。
「マズい!? スケベ達が優位に立ってる!!」
「人数が少ないのが吉に出たみたい…リク、早くソラと攻撃――!!」
ロクサスが叫ぶと、カイリは急がせようとリクを見るが。
「うふふ…随分と反応がいいわね〜、ここはどうかしら〜?」
「そ、そこは…だめ、やぁあっ!?」
……大まかにしか説明出来ませんが、床に倒れたリクの上に乗っかりながらテルスは尚もセクハラしていましたとさ。
「って、描写出来ない程ヤバイ状況!? ウラノス、お願いだから止めてあげて!!」
もはやゲーム云々以前の問題に、シオンは暴走を止められるであろう弟のウラノスに助けを求める。
「確かにテルス姉さんの暴走を止めるのは俺の役目だけど…何で俺が敵の妨害を止めなきゃならないんだよまな板娘、甘い事言ってんじゃねぇよ。テルス姉さーん、いっその事再起不能にまでやってやれー」
「変な所で冷酷出たぞこいつ!?」
「って言うか、誰がまな板よぉ!!?」
回復したヴァニタスがツッコミを入れる横で、シオンは怒りの炎を宿してキーブレードを取り出す。
「落ち着けシオン!? 確かに胸は小さいが、まな板ほどではがふぉ!!?」
「ねえ、ルキル…その言葉、シオンにそっくりな私にも該当するんだけど知ってた…?」
「カ、カイリ…!? あの、キーブレードが…!?」
回復したルキルの後頭部をキーブレードで殴り一発で沈めたカイリに、ナミネは恐怖を感じる。
そうこうしている間にも、テルスの暴走は最高潮を迎えてしまう。
「さーて、ウラノスからもお許しが出たし……お姉さんが、女の何たるかをじっくりと教えてあげるわ♪ 大丈夫、最悪でも『お嫁に行けない』で済むから!」
「寧ろ『お婿に行けない』になるんですが!?」
「安心するがいい。その時は、私が嫁に貰ってやろう」
「こんな時にでしゃばるなこのストーカーがぁぁぁ!!!」
会話の途中でアンセムまでもが入ってきてしまい、リクは思わず怒鳴り付ける。
(ガスガスガスガスッ…!!)
「オ、オパールさん…? 八つ当たりするのなら、あのキノコに…」
ナイフで壁に穴を開けるオパールに、ジェダイトは冷や汗混じりでキノコを指差す。
直後、オパールはその場から消えると、一瞬でキノコの首を掴み壁に叩きつけて思いっきり殴りつけた。
(ドコォ!! ドコォ!!)
「こ、拳でキノコの体力減らしておるぞ…!?」
「口から吐き出される闇が血のように見えるのは何故でしょうか…!?」
まるで兎のぬいぐるみを殴るネ○ちゃん親子のようにキノコを殴りつける光景に、ヴィクセンだけでなくゼクシオンも真っ青になる。
「じゃあ、別室に移動しましょうか。物凄く久々だから、楽しみだわ〜!!」
「いいとも。さあ、今度こそ私の手足となるのだぁ!!」
「だ、誰かぁ…!!」
怪しい笑みを浮かべる変態二人に、とうとうリクは涙目になってしまう。
直後、「ブチン」と言う音が辺りに響いた。
「もう限界!!! こんなの我慢出来るかぁぁぁ!!!」
心からの罵声と共に、オパールは握っていたキノコを二人に向かって高速でぶん投げた。
「「へぶぉっ!!?」」
「てめえら、いい加減しろよ…こっちは必死になって煩悩押さえてるって言うのに、ズカズカと人の心にいらぬ感情入れやがってさぁぁぁ…!!!」
「「す、すみま…!」」
陽炎のように怒りのオーラを吐き出すオパールに、変態二人は謝るが時既に遅しだった。
「ミス○ナック発動!! 乱命割殺掌!! 強甲破点蹴!! 咬撃氷狼波!! 略奪のコンパス!! 宿命のボルトラン!! 謀逆のアスペクト!!!」
「「ぎゃああああああああああっ!!!??」」
「これはオマケェ!!! アークブラストォ!!!」
何とFF12に登場する必殺技を連続で使い、追加効果の地の魔方陣まで発動して変態二人をぶちのめす。
この恐るべき光景に、リクは畏怖の目でオパールを見上げた。
「オ、オパールさん…!? そそそその技、どうやって…!?」
「バルフレアとフランに教えて貰った」
「寧ろそんな強力な技使えるのならあのキノコに使ってくれ!!?」
思わずルクソードが思った事をぶつけると、リラが笑顔で声をかけた。
「はいはーい♪ もうタイムアップだよ〜?」
「いやー、いい具合に点数が分かれましたなぁ…」
その横でナナも今の得点が出ているモニターを見る。
【そっくりさん】はキノコに攻撃しないまま全回復したので0点。【トリッカー】はオパールのやつあたりによって10点。【スケベ四人衆】はとっさのシグバールの判断によってどうにか8点は稼げた結果になった。
■作者メッセージ
良い所ですが、文字数制限に引っかかってしまったので今回はここまでとします。