チーム戦・10
【裏切り者】も満点を取り、他のチームは微妙な表情を浮かべている。
しかし、別チームであるにも関わらずスピカは何処か嬉しそうな表情をしていた。
「さすがは私の弟。頭の出来が違うわ」
賞賛を送りつつハーブティーを飲んでいると、ウラノスが怪しげな笑みを浮かべてきた。
「そう言うあんたも策士だよ。そっくりな奴らに妨害入れる事で、作者やあの悪役を牽制したんだからな」
「あら、何を根拠に?」
「あいつらは俺達より下位のチーム、妨害してもメリットなんてない。だが、あんたは敢えてそうした。前のチームに妨害を入れる事によって、あんたの弟がいるチームに作者と悪役が危害を加えないように細工を…そうだろ、スピカ?」
ウラノスの推理が図星なのか、スピカは軽く目を逸らした。
「…否定はしないわ。それよりも」
「分かってるさ。次で満点を阻止する」
話を終わらせるなり、ウラノスは優勝候補である【トリッカー】に目を向ける。
狙いを付けているとは知らず、メンバー内はスイートルーム目前と言う事で浮足立っていた。
「さて、いよいよ最後ですね。メンバーはどうしましょうか? オパールは落ち込んでいて使い物になりませんが…」
オパールは不貞腐れたようにベンチで横になっている。と言うのも、自分達のターンが終わった後にヴェンがエスナでソラとリクを治してしまったのだ。おかげで、ブツブツと不満を吐き散らしている。
「では、最後は僕とカヤさんで行きましょう」
「ああ。必ず一位取ってやるぜ」
ゼクシオンがメンバー選出をすると、ジェダイトとカヤが立候補する。
そうしてキノコに向かって構えるのを見て、ウラノスはゆっくりと魔力を高める。
(させるかよ。カヤには悪いが、ボツ技使わせて貰うぜ!!)
更にウラノスが雷の魔力を高めると、急にカヤは足を止めた。
「っ!? この気配は…!?」
「カヤさん、どうかし――え?」
ジェダイトがカヤに声をかけていると、前方に魔方陣が現れて巨大な空間の裂け目が現れた。
「召喚!! 雷獣、イクシオン!!」
ウラノスが大きく腕を振るうと共に、空間の裂け目をぶち破って電撃を纏った一角獣――イクシオンが飛び出してくる。
イクシオンはキノコの前に着地するなり、カヤとジェダイトを威嚇するように前かがみになって構えた。
「ウ、ウラノスさん!? どうしてこんな事…!!」
「どうしてもこうしてもねえよ、茶髪眼鏡。キノコに攻撃したけりゃ、こいつを倒してからにしなぁ!!! いけ、イクシオン!!!」
「キヒーン!!」
命令を下すウラノスに、イクシオンは鳴いて答える。
召喚獣を倒さなければキノコに攻撃を当てられないと分かり、カヤがジェダイトに指示を出した。
「ジェダイト、召喚獣は俺が抑え込む! 遠距離から攻撃してくれ!」
「そ、そんな!? 無茶ですよカヤさん!!」
「無茶でも何でもするしかない! たの――ぐわぁ!?」
作戦会議している隙に、サンダラがカヤへと直撃した。
「カヤさーん!!」
「人の心配してる場合じゃねーぞ!! イクシオン、茶髪眼鏡にはサンダガ喰らわせてやれぇ!!!」
「う、うわあああああぁ!!?」
カヤのと違い特大級の雷を落とすのだから、ジェダイトは慌てて逃げる。
この後、召喚獣の猛攻によりカヤとジェダイドはキノコに近づく事は出来ず、絶えず襲い掛かる雷の攻撃に悲鳴を上げた。
それでも時間ギリギリでジェダイトが魔力を溜めて放ったイグニス・ショットが運よく当たり、ポイントは4点…それを二倍しての8点が辛うじて貰えたとか。
「ぜぇ…ぜぇ…!」
「ど、どうにか…二倍の8点は取れましたね…!」
「おのれ覚えとれぇぇぇ!!!」
ようやく召喚獣との追いかけっこから解放されたカヤとジェダイトが床に倒れ込む横で、ヴィクセンはウラノスへと怒鳴り付ける。もちろん、本人は涼しい顔でスルーしているが。
「さて、次は俺達だが…」
1位だった【トリッカー】が下位へと順位を下げられた中、ザルディンはメンバー選出に頭を悩ませていた。と言うのも――。
「宜しいでしょうか? 胸と言うのは人それぞれ、誰もが自分の胸を持っている者です。それを何ですか? 小さいとかペタンコとか胸が無い人を侮辱する言葉は? 胸が小さい女性の中には胸を豊かにするホルモンが少ない人や発展途上の人だっているんです、好きで小さい訳では――」
「ハイ…」
よほど禁句だったのか、ゼノは現在レイアに正座させられながら胸について口説かれていた。
無表情で静かにくどくどと話している所為か、心なしかゼノの顔は青ざめてやつれているように見える。
「レイアさんが滅茶苦茶怖いんですけど…!!」
「あの二人はしばらくほおって置くしかないだろう…」
この光景に、さすがのレイシャもザルディンも助けに入れる訳がなく目を逸らすしかない。
人のコンプレックスを心無く突いてはいけない事を肝に銘じていると、レクセウスが話を戻した。
「キノコには、攻撃力のある俺とザルディンで行こう。行くぞ!!」
「もちろんだ!!」
そう言うと、武器を取りキノコへ駆け寄る元衛兵コンビ。この二人の攻撃力ならば、途中で技が切れたとしても通常攻撃で点が稼げるだろう。
この二人を見て、離れた所にいるウィドの目が光った。
(このまま彼らが満点を取ってしまえば、ルキルが梅の間行きになる……そろそろ私も姉さん達のマネをさせて貰いましょうか…)
そっとポケットに手を入れるなり、一つの透明なクリスタルを取り出す。
すると、ザルディン達の前へと放り投げた。
「「む?」」
(さあ、来なさい――クリスタルに秘められし記憶の魂よっ!!)
ウィドの思いに反応するかのように、クリスタルが一面に光り輝く。
そうして光が収まると、クリスタルのあった場所には羽根の付いた甲冑を纏う、薔薇色の髪と瞳の女性が立っていた。
『『『女神ライトニングゥゥゥ!!!??』』』
女神の騎士バージョンのライトニングの登場に、誰もが目を見開いて叫ぶ。
その間にも、ライトニングは右手を振るって銃剣を取り出し、先程のイクシオンと同じくキノコを守る様に立ち塞がった。
「な、何故だ…何故あんな神の力を持ったキャラがここにぃ!!?」
「まさか、さっきのクリスタルは…!!」
この最強キャラにザルディンが狼狽えると、レイシャはクリスタルの飛んできた方向を見た。
「若い内に苦労した方が、将来いい大人になるものですよー?」
「やっぱりあんたかぁぁぁ!!?」
悪びれも無く笑顔を見せつけるウィドに、レイシャはリクと対面した時と同じような殺気と闇のオーラを纏わせる。
しかし、こうなった以上もはや後の祭りだった。
「刻め!! はあぁ!!」
「ぬぐおぉ!!」
「こしゃくなぁ!!」
「悔やめ!!」
「ぐはぁ!?」
レクセウスがライトニングの斬撃を喰らい、ザルディンは魔法によって沈められる。
大男二人を手玉に取るライトニングを見つつ、アクセルはウィドに疑問をぶつけた。
「お前…あれをどうやって…?」
「作者の作った誕生日企画でFF13-2の設定使いましたからねー。そのツテでゲットしました♪」
そう言ってネタバラシをすると、終了のタイマーがなる。
結局キノコに攻撃することは叶わず、【父子家庭】は0点を取ってしまった。
「次は【最強血縁】か…」
「ハッキリ言って、もう余裕ですね…」
総合点はチーム内では中くらいとは言え、ゼアノート達よりも危険な人物の集まりにナナとリラが大きく息を吐いた。
「んじゃま、最後は俺一人で決めてやるか。作者、ネタバレの武器使うぞ」
「ダメに決まってるでしょ!! さっきのボツ技だって勝手に使ってるし、もっと自重を――!!」
さっそく大技で点を取ろうとするウラノスに、リラが大声で注意していた時だった。
「ウラノスっ!!」
「っ!?」
突然エンが駆け出すと共に、ウラノスを突き飛ばす。
直後、エンの足元から怪しい光が立ち上った。
「エン!?」
「私は平気――ッ!?」
ウラノスに無事を知らせるが、今度は不気味な光に包まれて一冊の本に吸収された。
「な――うおぁ!?」
「ウラノスお兄ちゃん!?」
驚く暇もなく再び足元怪しい光が立ち上り、ガイアが悲鳴を上げる。
やがて光が収まると、ウラノスは六角形のダイスへと変化していた。
「サ、サイコロ…」
「先程の仕返しですよ。エンのステータス異常防御は厄介でしたが、どうにか本の世界に閉じ込めました」
「イカサマにはイカサマで返すのが一番だろう?」
見ると、エンを閉じ込めた本を持つゼクシオン、隣にはルクソードもしてやったりの表情を浮かべている。
その二人と同じく、ヴィクセン、カヤ、ジェダイトと言った【トリッカー】メンバー全員がガイア達を見て満足げに笑っている。(オパールは未だ不貞腐れ中)
「一人は閉じ込め、一人はその身なり。これで封じたも同然だぁ!!!」
「そんな!? スピカさん、責めてお兄ちゃんだけでも元に戻せませんか!!」
「ガイア、こう言った変身魔法はそう簡単に治せない。諦めるんだな」
「僕達のチームを下位に追いやったんです。それ相当の罰を受けて――って、スピカさん? やけに落ち着いてません?」
ジェダイトの言う通り、追い詰められた筈なのにスピカは平然とハーブティーを飲み続けている。
「あら、私だけじゃないわよ? ほら」
そう言ってスピカが指差した所に視線を向けると、何故かソラ達やクウ達と言ったナナの作品に登場するキャラ達が呆れた目をしていた。
「な、何なのだ? 一部から放たれているこの微妙な空気は?」
「だって…」
「ねぇ…」
狼狽えるヴィクセンに、ソラとカイリが乾いた笑みを浮かべる。
すると、クウが頭を押さえてとんでもない言葉を放った。
「お前がした行為…明らかに破滅だぞ?」
直後、ゼクシオンが持っている本が光り出した。
「「「「「うわっ!!?」」」」」
思わず周りの人達も目を押えると、本が破壊されてエンが飛び出した。
「――あなたには感謝します」
静かに呟くエンの姿に、リラの作品に出てるキャラ達は驚愕した。
「他のキノコに攻撃を当てる事無く、こうして強化出来る場を作ってくれたのですから」
白の服に付いた鎧のパーツ、握っている武器も一回り大きい金と銀のダブルセイバーに変わっている。
明らかに強化したエンの姿に他の人達が青ざめる中、これを知っていたのかソラ達は一斉に溜息を吐いた。
「終わったね」
「ああ、満点確実だな」
「余計な事してくれたわね」
「何ですかその目は!? 僕はそんなに恐ろしい事をしたんですか!?」
ヴェン、テラ、アクアの冷たい言葉に、ゼクシオンは恐怖で震えながら反論する。
「だって俺達、フィールド全体に攻撃出来る強化技、本編で受けた事あるから」
「スピカさんの魔法がなかったら、私達確実に全滅だったよね。どのみち全滅しちゃったけど」
「ああなったら、10人以上が集中砲火しても隠しボスみたく防御しきって強力な技バンバン放ってくるぞ」
「はいいいいいいっ!!?」
ソラ、カイリ、リクの死刑宣告とも言える発言に、絶叫を上げるしかないゼクシオンだった。
「さて、全員下がっててください…少々、強力な技を放ちますので」
「ちょっとぉ!? あんた、何をする気だ!?」
「『技は一回きり』なのでしょう? ルール違反はしませんし…何でしたらあなたも喰らいます?」
全身に魔力を高めつつ満面の笑顔を見せるエンに、ナナは首を横に振りながらカメラの電源を消すしか出来なかった。
*とんでもないネタバレ技が繰り広げられております、少々お待ちください。
「…え〜、キノコが一瞬で消し飛んでしまいましたが…とりあえず、10点獲得…」
「跡形も無くキノコ消えるって、あれ何て威力の技ですかぁぁぁーーーーーっ!!!??」
目を逸らした状態でカメラに向かって現状報告するナナに、リラは恐ろしそうにキノコがいたであろう黒焦げの場所に指を差す。
他のメンバー全員はもちろん、ゼアノート達すらもエンの放った技に愕然としている。
「私が最強だからですよ。なー、リヴァル♪」
「たい!」
(((親バカに言われても納得いくかぁぁぁ!!!)))
笑顔でリヴァルを高い高いしながら締めるエンに、全員が心の中でツッコミを入れた。
しかし、別チームであるにも関わらずスピカは何処か嬉しそうな表情をしていた。
「さすがは私の弟。頭の出来が違うわ」
賞賛を送りつつハーブティーを飲んでいると、ウラノスが怪しげな笑みを浮かべてきた。
「そう言うあんたも策士だよ。そっくりな奴らに妨害入れる事で、作者やあの悪役を牽制したんだからな」
「あら、何を根拠に?」
「あいつらは俺達より下位のチーム、妨害してもメリットなんてない。だが、あんたは敢えてそうした。前のチームに妨害を入れる事によって、あんたの弟がいるチームに作者と悪役が危害を加えないように細工を…そうだろ、スピカ?」
ウラノスの推理が図星なのか、スピカは軽く目を逸らした。
「…否定はしないわ。それよりも」
「分かってるさ。次で満点を阻止する」
話を終わらせるなり、ウラノスは優勝候補である【トリッカー】に目を向ける。
狙いを付けているとは知らず、メンバー内はスイートルーム目前と言う事で浮足立っていた。
「さて、いよいよ最後ですね。メンバーはどうしましょうか? オパールは落ち込んでいて使い物になりませんが…」
オパールは不貞腐れたようにベンチで横になっている。と言うのも、自分達のターンが終わった後にヴェンがエスナでソラとリクを治してしまったのだ。おかげで、ブツブツと不満を吐き散らしている。
「では、最後は僕とカヤさんで行きましょう」
「ああ。必ず一位取ってやるぜ」
ゼクシオンがメンバー選出をすると、ジェダイトとカヤが立候補する。
そうしてキノコに向かって構えるのを見て、ウラノスはゆっくりと魔力を高める。
(させるかよ。カヤには悪いが、ボツ技使わせて貰うぜ!!)
更にウラノスが雷の魔力を高めると、急にカヤは足を止めた。
「っ!? この気配は…!?」
「カヤさん、どうかし――え?」
ジェダイトがカヤに声をかけていると、前方に魔方陣が現れて巨大な空間の裂け目が現れた。
「召喚!! 雷獣、イクシオン!!」
ウラノスが大きく腕を振るうと共に、空間の裂け目をぶち破って電撃を纏った一角獣――イクシオンが飛び出してくる。
イクシオンはキノコの前に着地するなり、カヤとジェダイトを威嚇するように前かがみになって構えた。
「ウ、ウラノスさん!? どうしてこんな事…!!」
「どうしてもこうしてもねえよ、茶髪眼鏡。キノコに攻撃したけりゃ、こいつを倒してからにしなぁ!!! いけ、イクシオン!!!」
「キヒーン!!」
命令を下すウラノスに、イクシオンは鳴いて答える。
召喚獣を倒さなければキノコに攻撃を当てられないと分かり、カヤがジェダイトに指示を出した。
「ジェダイト、召喚獣は俺が抑え込む! 遠距離から攻撃してくれ!」
「そ、そんな!? 無茶ですよカヤさん!!」
「無茶でも何でもするしかない! たの――ぐわぁ!?」
作戦会議している隙に、サンダラがカヤへと直撃した。
「カヤさーん!!」
「人の心配してる場合じゃねーぞ!! イクシオン、茶髪眼鏡にはサンダガ喰らわせてやれぇ!!!」
「う、うわあああああぁ!!?」
カヤのと違い特大級の雷を落とすのだから、ジェダイトは慌てて逃げる。
この後、召喚獣の猛攻によりカヤとジェダイドはキノコに近づく事は出来ず、絶えず襲い掛かる雷の攻撃に悲鳴を上げた。
それでも時間ギリギリでジェダイトが魔力を溜めて放ったイグニス・ショットが運よく当たり、ポイントは4点…それを二倍しての8点が辛うじて貰えたとか。
「ぜぇ…ぜぇ…!」
「ど、どうにか…二倍の8点は取れましたね…!」
「おのれ覚えとれぇぇぇ!!!」
ようやく召喚獣との追いかけっこから解放されたカヤとジェダイトが床に倒れ込む横で、ヴィクセンはウラノスへと怒鳴り付ける。もちろん、本人は涼しい顔でスルーしているが。
「さて、次は俺達だが…」
1位だった【トリッカー】が下位へと順位を下げられた中、ザルディンはメンバー選出に頭を悩ませていた。と言うのも――。
「宜しいでしょうか? 胸と言うのは人それぞれ、誰もが自分の胸を持っている者です。それを何ですか? 小さいとかペタンコとか胸が無い人を侮辱する言葉は? 胸が小さい女性の中には胸を豊かにするホルモンが少ない人や発展途上の人だっているんです、好きで小さい訳では――」
「ハイ…」
よほど禁句だったのか、ゼノは現在レイアに正座させられながら胸について口説かれていた。
無表情で静かにくどくどと話している所為か、心なしかゼノの顔は青ざめてやつれているように見える。
「レイアさんが滅茶苦茶怖いんですけど…!!」
「あの二人はしばらくほおって置くしかないだろう…」
この光景に、さすがのレイシャもザルディンも助けに入れる訳がなく目を逸らすしかない。
人のコンプレックスを心無く突いてはいけない事を肝に銘じていると、レクセウスが話を戻した。
「キノコには、攻撃力のある俺とザルディンで行こう。行くぞ!!」
「もちろんだ!!」
そう言うと、武器を取りキノコへ駆け寄る元衛兵コンビ。この二人の攻撃力ならば、途中で技が切れたとしても通常攻撃で点が稼げるだろう。
この二人を見て、離れた所にいるウィドの目が光った。
(このまま彼らが満点を取ってしまえば、ルキルが梅の間行きになる……そろそろ私も姉さん達のマネをさせて貰いましょうか…)
そっとポケットに手を入れるなり、一つの透明なクリスタルを取り出す。
すると、ザルディン達の前へと放り投げた。
「「む?」」
(さあ、来なさい――クリスタルに秘められし記憶の魂よっ!!)
ウィドの思いに反応するかのように、クリスタルが一面に光り輝く。
そうして光が収まると、クリスタルのあった場所には羽根の付いた甲冑を纏う、薔薇色の髪と瞳の女性が立っていた。
『『『女神ライトニングゥゥゥ!!!??』』』
女神の騎士バージョンのライトニングの登場に、誰もが目を見開いて叫ぶ。
その間にも、ライトニングは右手を振るって銃剣を取り出し、先程のイクシオンと同じくキノコを守る様に立ち塞がった。
「な、何故だ…何故あんな神の力を持ったキャラがここにぃ!!?」
「まさか、さっきのクリスタルは…!!」
この最強キャラにザルディンが狼狽えると、レイシャはクリスタルの飛んできた方向を見た。
「若い内に苦労した方が、将来いい大人になるものですよー?」
「やっぱりあんたかぁぁぁ!!?」
悪びれも無く笑顔を見せつけるウィドに、レイシャはリクと対面した時と同じような殺気と闇のオーラを纏わせる。
しかし、こうなった以上もはや後の祭りだった。
「刻め!! はあぁ!!」
「ぬぐおぉ!!」
「こしゃくなぁ!!」
「悔やめ!!」
「ぐはぁ!?」
レクセウスがライトニングの斬撃を喰らい、ザルディンは魔法によって沈められる。
大男二人を手玉に取るライトニングを見つつ、アクセルはウィドに疑問をぶつけた。
「お前…あれをどうやって…?」
「作者の作った誕生日企画でFF13-2の設定使いましたからねー。そのツテでゲットしました♪」
そう言ってネタバラシをすると、終了のタイマーがなる。
結局キノコに攻撃することは叶わず、【父子家庭】は0点を取ってしまった。
「次は【最強血縁】か…」
「ハッキリ言って、もう余裕ですね…」
総合点はチーム内では中くらいとは言え、ゼアノート達よりも危険な人物の集まりにナナとリラが大きく息を吐いた。
「んじゃま、最後は俺一人で決めてやるか。作者、ネタバレの武器使うぞ」
「ダメに決まってるでしょ!! さっきのボツ技だって勝手に使ってるし、もっと自重を――!!」
さっそく大技で点を取ろうとするウラノスに、リラが大声で注意していた時だった。
「ウラノスっ!!」
「っ!?」
突然エンが駆け出すと共に、ウラノスを突き飛ばす。
直後、エンの足元から怪しい光が立ち上った。
「エン!?」
「私は平気――ッ!?」
ウラノスに無事を知らせるが、今度は不気味な光に包まれて一冊の本に吸収された。
「な――うおぁ!?」
「ウラノスお兄ちゃん!?」
驚く暇もなく再び足元怪しい光が立ち上り、ガイアが悲鳴を上げる。
やがて光が収まると、ウラノスは六角形のダイスへと変化していた。
「サ、サイコロ…」
「先程の仕返しですよ。エンのステータス異常防御は厄介でしたが、どうにか本の世界に閉じ込めました」
「イカサマにはイカサマで返すのが一番だろう?」
見ると、エンを閉じ込めた本を持つゼクシオン、隣にはルクソードもしてやったりの表情を浮かべている。
その二人と同じく、ヴィクセン、カヤ、ジェダイトと言った【トリッカー】メンバー全員がガイア達を見て満足げに笑っている。(オパールは未だ不貞腐れ中)
「一人は閉じ込め、一人はその身なり。これで封じたも同然だぁ!!!」
「そんな!? スピカさん、責めてお兄ちゃんだけでも元に戻せませんか!!」
「ガイア、こう言った変身魔法はそう簡単に治せない。諦めるんだな」
「僕達のチームを下位に追いやったんです。それ相当の罰を受けて――って、スピカさん? やけに落ち着いてません?」
ジェダイトの言う通り、追い詰められた筈なのにスピカは平然とハーブティーを飲み続けている。
「あら、私だけじゃないわよ? ほら」
そう言ってスピカが指差した所に視線を向けると、何故かソラ達やクウ達と言ったナナの作品に登場するキャラ達が呆れた目をしていた。
「な、何なのだ? 一部から放たれているこの微妙な空気は?」
「だって…」
「ねぇ…」
狼狽えるヴィクセンに、ソラとカイリが乾いた笑みを浮かべる。
すると、クウが頭を押さえてとんでもない言葉を放った。
「お前がした行為…明らかに破滅だぞ?」
直後、ゼクシオンが持っている本が光り出した。
「「「「「うわっ!!?」」」」」
思わず周りの人達も目を押えると、本が破壊されてエンが飛び出した。
「――あなたには感謝します」
静かに呟くエンの姿に、リラの作品に出てるキャラ達は驚愕した。
「他のキノコに攻撃を当てる事無く、こうして強化出来る場を作ってくれたのですから」
白の服に付いた鎧のパーツ、握っている武器も一回り大きい金と銀のダブルセイバーに変わっている。
明らかに強化したエンの姿に他の人達が青ざめる中、これを知っていたのかソラ達は一斉に溜息を吐いた。
「終わったね」
「ああ、満点確実だな」
「余計な事してくれたわね」
「何ですかその目は!? 僕はそんなに恐ろしい事をしたんですか!?」
ヴェン、テラ、アクアの冷たい言葉に、ゼクシオンは恐怖で震えながら反論する。
「だって俺達、フィールド全体に攻撃出来る強化技、本編で受けた事あるから」
「スピカさんの魔法がなかったら、私達確実に全滅だったよね。どのみち全滅しちゃったけど」
「ああなったら、10人以上が集中砲火しても隠しボスみたく防御しきって強力な技バンバン放ってくるぞ」
「はいいいいいいっ!!?」
ソラ、カイリ、リクの死刑宣告とも言える発言に、絶叫を上げるしかないゼクシオンだった。
「さて、全員下がっててください…少々、強力な技を放ちますので」
「ちょっとぉ!? あんた、何をする気だ!?」
「『技は一回きり』なのでしょう? ルール違反はしませんし…何でしたらあなたも喰らいます?」
全身に魔力を高めつつ満面の笑顔を見せるエンに、ナナは首を横に振りながらカメラの電源を消すしか出来なかった。
*とんでもないネタバレ技が繰り広げられております、少々お待ちください。
「…え〜、キノコが一瞬で消し飛んでしまいましたが…とりあえず、10点獲得…」
「跡形も無くキノコ消えるって、あれ何て威力の技ですかぁぁぁーーーーーっ!!!??」
目を逸らした状態でカメラに向かって現状報告するナナに、リラは恐ろしそうにキノコがいたであろう黒焦げの場所に指を差す。
他のメンバー全員はもちろん、ゼアノート達すらもエンの放った技に愕然としている。
「私が最強だからですよ。なー、リヴァル♪」
「たい!」
(((親バカに言われても納得いくかぁぁぁ!!!)))
笑顔でリヴァルを高い高いしながら締めるエンに、全員が心の中でツッコミを入れた。