チーム戦・11
前回で【最強血縁】が点を取り終えて、【スケベ四人衆】へと移行するのだが…。
「さて、いよいよ俺達ってハナシだが…」
「ここで満点取っても梅の間になるんだもん。正直やる気起きないんだけど…」
自分達の番だと言うのに、シグバールとデミックスは完全にやる気を無くしていた。
それもそうだろう。今までのチームは一部のチームを除いて、ほぼ満点を取っている。ここで自分達も満点を取ったとしても、竹の間は確実に望めないだろう。
「そうよね…安い部屋に誰かしら拉致監禁して心行くまでセクハラしても、テンションが上がりにくいだろうし」
(((今さらっととんでもない事言わなかったか?)))
テルスも若干落ち込みながら犯罪まがいの事を呟く中、メンバー内で唯一落ち込んでいないクウが話を戻した。
「気持ちは分かるけど、グチグチ言ってないでさっさと終わらせようぜ? 余裕があると言っても俺達最下位になりかねないだろ?」
「うるせぇ!! いいよな、お前さんは!! 梅の間だとしても年下の彼女と同じ部屋で過ごせるってハナシだぁ!!」
「そうだぁ!! モテない俺達を差し置いて幾つもフラグ作りやがって!! このロリコンがぁ!!」
「どうせ恋人いなかったとしても、あなたならどの女性とも一晩であーんな事やこーんな事何だって出来るでしょお!! 羨ましいわコンチクショー!!」
「お前らな…っ!!!」
現時点で誰も恋人がいない三人の僻みに、クウは全身を震わせて青筋を浮かべてしまう。
こうしてプチン寸前の怒りを見せていると、隣にいたスピカだけでなくレイアも反応した。
「あらクウ、夜這いしに来るなら私は歓迎するわ。ちゃんと婚姻届も印鑑も準備もしておくから安心なさい」
「な、何かよく分かりませんけどクウさん!! 夜に何かしたいのでしたら私の方に!!」
「シグバール隊長、私達の中に抜け駆けを企む反逆者がいたようです」
「スケベ四人衆の掟で、反逆者は消滅ってハナシだ」
スピカとレイアの言葉に、黒いオーラを纏って武器を構えるテルスとシグバール。
もはや]V機関で裏切り者を抹消するメンバーに酷似している。
「羨ましがる要素が何処にある!? 手を出した瞬間に俺の残りの人生が強制的に決まるだろ!!」
まるでツッコミを決める様に、クウは婚姻届を持つスピカと何の事か意味を分かってないレイアに指を差す。
もし手を出したら最後、一方は結婚を迫られ、もう一方は犯罪者のレッテルを張られる事だろう。
「黙れ、裏切り者」
「よーし、分かったぁ!!! てめえら全員ぶっ潰す!!! いや、寧ろぶっ殺すっ!!!」
【KH2】でソラに吐き捨てたセリフを再現するデミックスに、とうとうクウはブチ切れてしまった。
この仲間割れの様子に、ナナは呆れたように手を叩いた。
「はいはい。漫才はそのくらいにして、さっさと攻撃しちゃってよ」
「これの何処が漫才に見えるってんだぁ!!?」
「それに、二股なんてまだ軽い方だよー?…後々とんでもない事になるんだし…」
「何をさせる気だぁぁぁ!!?」
何らかのネタバレと共に目を逸らすナナに対し、連続でツッコミを決めるクウ。この辺に関してはグラッセに負けず劣らずと言った所だろう。
「とにかく、冗談はこれぐらいにしておきましょう。じゃあ、ここは私がビシッと決めるわよ!」
二人の会話を尻目にテルスが杖を取り出すと、一歩前へと出る。
そして、杖の先端をキノコへと向けた。
「闇の波動よ、彼の者に制裁を与えよ…無に還れ! ヴォーパルストライク!!」
魔力を放つと同時に、闇の衝撃波のような闘気を飛ばす。
本編ではウラノスを一撃で制裁した技だ。当たれば満点は確実だろう。
「させる訳がなかろう!! ゆけぇい!!」
突然マスター・ゼアノートが叫ぶと共に、狙っていたキノコの周りの床に罅が入る。
直後、大量のキーブレードがキノコの周りに飛び出し、テルスの放った闘気は憚られた。
「そんな!?」
「おい、ジジイ!! 何をするんだってハナシ!!」
大量のキーブレードがキノコを守る壁となってしまう光景に、テルスは目を丸くする。
そんな中、シグバールはマスター・ゼアノートを睨むが、彼は鼻で笑って彼らを見下していた。
「儂だってキーブレードマスター。これぐらいやれて当然じゃ」
「ふはははは!! これでお前達は最下位決定だ!! 私達の代わりに野宿を堪能するがいい!!」
「わーん! あんな事されたんじゃ、もう終わりだー!!」
アンセムが高笑いすると、どうにも出来ない現状にデミックスが泣き崩れる。
マスター・ゼアノートの操る大量のキーブレードをどうにかしなければ、キノコに攻撃を与えるのはまず不可能だ。
「いや、まだ手はあるぜ…!!」
だが、クウはキーブレードを取り出すと剣先を下に向けて両手で握り込む様に構えた。
「どうする気だ、同志よ!?」
「決まってんだろ。エンがネタバレ技やったんなら、俺も…!!」
「ストーップ!! 何をする気!?」
明らかにネタバレ技をやろうとするクウに、ナナはすぐに止めに入った。
「そりゃあ、あんたが考えた最終強化を…」
「エンと言いあんたと言い、『ネタバレ禁止』って言葉を知らないのかぁ!!?」
思いっきりナナが怒鳴っていると、風を切る音が響く。
同時に、後ろにセットされていたカメラのレンズに黒い羽根が突き刺さった。
「これで文句ねーだろ?」
「いや、普通にありまくり…――マジでやってんじゃねぇぇぇ!!?」
*ネタバレの為、放送禁止です。大量のキーブレードを巻き添えに、キノコを喜ばせたとだけ書いておきます…。
満点を取った証にキノコが花火を打ち上げて闇に消える中、他の人達は唖然とした表情を浮かべ、壁となっていた大量のキーブレードの残骸を見ていた。
「な…なんなのだ、あの強さは…?」
「クウさん…最終的にあんなに強くなるの…?」
「やっぱり、クウさんはかっこいいです!」
サイクス、グラッセが信じられないとばかりに呟く中、レイアだけは目を輝かせてクウを見ていた。
この状況を作った本人は、強化も終わってシグバール達と会話をしていた。
「良くやってくれたわ、それでこそスケベ軍の一員よ!!」
「スケベで築いた俺達の絆は間違ってなど無かった!!」
「さすがは同志だってハナシ!!」
「ワハハハハハ!!!」
(((こっちも納得いかない…)))
テルス、デミックス、シグバールの言葉に胸を張るクウに、誰もが心の中で呟いた。
「さーて、これで最下位は決まったも同然って事で、私達の番と参りましょうか――」
「「「「参るなぁぁぁ!!!??」」」」
勝手に順番をすっ飛ばすリラに、ゼアノート四人衆が怒鳴り散らした。
「ラスボスである我々が野宿など、あって堪るものかぁ!!!」
「ぶるあああああ!!! その通りだぁぁぁ!!!」
「酷い目に遭わせたままで終われるほど、俺達は寛大ではない!!!」
「行くぞ、我らが分身たちよ!!! 下剋上じゃあぁぁぁぁ!!!」
数々の仕打ちにとうとう切れてしまったようで、アンセム、ゼムナス、ゼアノート、マスター・ゼアノートはそれぞれ影や武器を構えると共に、作者に向かって走り出した。
「モンスター召喚、『六○衆・ヤ○ザ』。あいつらに直接攻撃!!」
カードを取り出すなり青い鎧の武者を召喚するオパール。
召喚されたヤ○ザは光る槍で先導にいたゼアノートを攻撃する。
「ぐっ! 何かと思えば、そんな雑魚モンスターの攻撃なんて大した「速攻魔法発動」はい?」
やけに低い声と共に、更にオパールが一枚のカードを発動した。
「リクをカエルにした罪…乙女のキッスを使えなかった恨み…その身で償えぇぇぇ!!! TAG FORCE版、『○戦士の魂(バー○ーカー・ソウ○)』!!!」
これはアニメで闇遊○が使用したカードで、デッキからモンスターカードを引いて墓地に送るたびに指定したモンスターの攻撃をそのまま与えると言うとんでもない禁止カードである。
そんな説明をしている間にも、オパールは手札を捨てるとどこからともなく『デュエ○ディスク』を腕に装着していた。
「ど、どれもこれも儂らは関係ない!! とばっちりではないかぁぁぁ!!?」
「問答無用っ!!! ドロー!! モンスターカード!! ドロー!! モンスターカード!! ドロー!! モンスターカード!! ドロー!! モンスターカード――!!」
「「「「ぎゃあああああああああああああああっ!!!??」」」」
「もうやめるのじゃ!? 相手のライフはゼロよ!!?」
まさしく狂戦士となってゼアノート達に容赦ない攻撃をするオパールに、ゼノがヒロインのセリフを叫んだのは言うまでもないだろう。