部屋割り&温泉編・3
ゲームも終わり、部屋も決まり、それぞれの戦いや暴走も終わり、女性陣にとってはようやく待ちに待った温泉の時間になった。
「何か温泉までの道のりが長かった気がするけど、ようやくだね〜!」
「うん、長い期間が空いた気がするけどすっごく楽しみ〜!」
さりげに作者に対しての暴言を吐き捨てながら笑顔を浮かべるのは、リズとカイリだ。
前回が終わってからの彼らの体感時間としてはたった数分しか経っていないが、実際は一ヶ月近くこちらの方を投稿していなかった。本編を重視していた結果である。こちらの方を楽しみにしている方は本当に申し訳ない事をしました。
「ここにテルス姉さんも合わせたスケベ共がいたら、暴走してるだろうなぁ」
「まあ、そうなったらそうなったで俺達が始末するけどな」
そんな中、ウラノスとカヤはあの大広間で今も氷漬けにされているであろうスケベ四人衆を思い出す。
こんな会話をしていると、ソラが急にエンを見た。
「あれ? そう言えば、エンって確かクウと一緒だろ? って事は、やっぱり覗きとかする――」
ズドォン!!!
「あんな奴の性格、とっくの昔に全部捨てたぞ? それとも俺の言う事が信じられないか?」
「イエオレハシンジマス…ッ!!?」
すぐ足元にダブルセイバーを突き立てドスのある声で脅しにかかるエンに、ソラはガタガタ震えながら片言で答えた。
(((口は災いの元か…)))
この場にいる全員はそう思いながら、あえて丁寧な口調が戻っている事に指摘はしなかった。
「あんなお父さんはほっといて、リヴァルは私達と一緒に入りましょうね〜」
「ばぶ?」
いつの間にかスピカはリヴァルを抱えており、固まってしまった空気の中そのまま女湯へと足を運ぶ。
「待て、スピカ!? どうしてリヴァルをわざわざ女湯に!?」
「どうしてって、リヴァルはまだ赤ちゃんなんだから別にいいでしょ?」
「良くないだろう!! 幾ら幼いからと言っても、沢山の女性達と風呂に入るなんて悪影響を及ぼしかねぐぼ――ァ!!?」
突然スピカが手を動かすと共に、一瞬でエンが全員の視界から消える。
同時に、男湯の方から「ドンガラガシャーン!!」と、何やら盛大な音が響き渡った。
「さ、行きましょうかリヴァル〜♪」
「あぅ…」
(((ビンタ一つでラスボス黙らせたよこの人…っ!!?)))
この時、真に恐ろしいのは各作品のラスボスではなくスピカではないかと、誰もが思ったそうな…。
さて、新たな一騒動も終わり、いよいよ露天風呂へと入る御一行たち。
今回は女湯の方へと視点を重視して映そう。
「うっわー、滅茶苦茶ひろーい!!」
「景色も抜群だねー!!」
脱衣所から出た途端に広がる大きな温泉に美しい海の景色に、リズだけでなくラックも笑顔を浮かべる。
ちなみに、女性陣達は全員バスタオルを巻いている。恥じらいゼロのリズも、スピカとレイアに脅されて付けています。画面前の男性陣、変な想像と舌打ちはしないように!
「そう言う事よー、残念だったわねー。男湯にいる野郎共」
『『『何が残念だー!!!』』』
ラクシーヌが壁に話しかけると、男性達のツッコミ混じりの声が返ってきた。
「バッチリと声は聞こえてるのね…」
「下手な話は止めておいた方が良いかもしれません…」
「そ、そうね…」
壁一枚で仕切られている状態に、アクア、ガイア、オパールに不安が生まれる。
しかし、そんな不安もすぐに女性恒例で起こるあの騒動で掻き消されることになる。
「はぁ〜…温泉と言うのはいいものだわ。日々の疲れが癒されていく…」
「ああ、ホントに…――み、みんな…? 何で、アタイ達の方を見るんだい…?」
温泉に入って少しして、ゼノとラックが気持ちよく疲れを取っていると妙な視線が突き刺さる。
周りを見ると、レイア、シオン、ナミネ、カイリ、ガイアが渇望の眼差しを浮かべている。
「思ったのですが…皆さんどうしてそんなに胸が大きいんですか!?」
「そうだよ! 何かずるいよ!!」
「うんうん、リクもソラも女になった途端に大きいよねー。これでヒロインの座奪おうって魂胆なのかなぁ?」
「いだいいだいっ!! 妾の胸がもげるぅぅぅ!!」
レイアとシオンが詰め寄り、カイリは黒い笑みでゼノの胸を掴んで力の限り捻じり出す。
女性特有の悩みにボイン属性の二人が困惑していると、収拾させようとスピカが声をかける。
「みんな落ち着いて。二人はともかく、私はリヴァルを抱えているんだから」
「そう言うスピカさんだって大きいじゃないですか!! そのスタイルの良さ、何か秘策でもあるんでしょう!?」
だが、そんな宥めも耳に届かず、スピカにまで狙いを定めるガイア。
胸に自信がない五人の餓えた獣の様な目に、たまらずラックとゼノは叫んだ。
「そ、そんな事言われてもアタイは知らないよ!」
「妾だって知らぬ!!」
「どうしてって言われてもねぇ……私達三人に何か共通点があれば、それが理由になるんでしょうけど」
「共通点…ですか?」
スピカの言葉に、ナミネが反応する。
すると、他の四人も若干落ち着きを取り戻し三人を観察し始めた。
「年齢…は、全然関係ないよね。武器や属性も統一されてないし…」
「髪も瞳の色も違うし…三人にあって、あたし達にはない物ってなんなの…!?」
「な、なんだい…周りから放たれる嫉妬の眼差しは…?」
「もはや敵意にしか見えぬ…」
カイリとシオンを筆頭に睨みつける五人に、ラックとゼノは疲れた顔で目を逸らす。
その時、レイアが何かに気付いた。
「敵意…――そうです!! それですよ!! 三人共、私達と違って『敵キャラ』じゃないですか!!」
ようやく見つけた共通点をレイアが叫ぶと、残りの四人の瞳に光が灯る。
「み、みんな? 話を見る限り、ラックさんもスピカさんも味方の筈だけど…?」
アクアが尤もな事を言うが、もはやそれは手遅れと化した。
「何言ってるの!! ラックは最初に裏切り疑惑あるし、スピカさんだって『Sin化』で敵になってるじゃない!!」
「リクだって元はと言えば敵キャラ……じゃあ、あたしも敵になれば三人みたいにスタイルが良くなるって事…!?」
カイリの話に、何とオパールまで乗っかってしまいブツブツと呟き出す。
「よーし! だったらあたし、ロクサスに倒されずにちゃんと吸収して完全な悪役になって胸を大きくするぞー!!」
「私もあの時ソラの記憶をちゃんと改ざんすれば、胸が大きく…!!」
「ちょっとー、私立派な敵キャラなんだけど…って、聞いてないわね」
「こうなった以上、止められそうにないわね…」
大いに暴走する少女達を止める術など思いつかず、ラシクーヌとアクアは盛大な溜息を吐いてしまう。
「何かさ…女風呂から不吉な会話が聞こえてくるんだけど…!?」
「き、気の所為だろ…!?」
ちなみに、この会話はバッチリ男湯にまで聞こえており、ロクサスとアクセルだけでなく全員が黙り込むと言う状況に陥っていた。
さてさて、こうして温泉は盛り上がるが―――何か忘れていないだろうか?
「俺達は永久に不滅だってハナシィィィ!!!」
「あんな攻撃で、俺達の歩みは止まらねぇぇぇ!!!」
「回復に時間がかかったけど、俺達は負けないっ!!!」
「必ず女の花園を覗いて見せる!! スケベの名にかけて!!!」
旅館の外で、氷の中から復活したスケベ四人衆がこれでもかと吠えている。彼らが目指しているのは、もちろん女湯だ。
ところでテルスさん。あなたは女ですから普通に入ればいいのでは?
「何言ってるの!! ただ見るのと覗くのじゃスリルが違うわ!! それに私が一緒だったら、温泉に入る全員警戒するのが目に見えてるし!!」
「それ堂々と言うセリフ!?」
「ええい、騒ぐな同志達よ!! もう少しで女湯に到着するってハナシだ!!」
胸を張るテルスに思わずデミックスがツッコミを入れていると、シグバールがその場を仕切る。さすがは元・親衛隊だ、やってる事は原作も含めて地に落ちているが。
そんなこんな話をしていると、ようやく彼らのお目当て―――木で作られた女湯の壁が木々に隠された状態で見えてきた。
「あれだぁ!! あの壁の向こうに俺達のヘブン、が…」
「隊長、どうし…た…?」
急にシグバールが黙りこみ、クウも壁へと近づいて――【それ】を目撃する事となる。
女湯の壁には、銀の長い髪―――
何処となく冷たい金の瞳―――
輝かしい最高の笑顔での決めポーズ―――
フリフリの衣装を着た―――大男
そう、あの有名なプリ○ュアの中の某キュアドリ○ムの格好―――基、コスプレしているゼムナスのポスターが壁の至る所に張られていた。
「「「「ぎぃやあああああああああああああああああああああっ!!!??」」」」
禁断の花園を見る筈がとんでもない物を見せられたスケベ四人は、揃って絶叫を上げる事となった。
「何じゃあの変態チックなポスターはぁぁぁ!!?」
普通にあなた達スケベに対する一種の対策ですか、何か?
「何かじゃないよ!!! 目が!? 目が腐るぅぅぅ!!?」
「は、吐き気が…うぉえぇ…!!!」
あまりの酷さにデミックスは目を押えながら悲鳴を上げ、テルスも精神ダメージが大きいのかその場で膝を付いてしまう。
「一刻もここから退散して目の消毒を「させる訳ないでしょ」誰だってハナシ!!!」
退却とばかりにシグバールが背を向けると同時に、一人の少女の声が響く。
シグバールだけでなく三人も目を向けるが、声の主を確認する事は出来なかった。
「ダークスプライサー」
直後に時間を止められたから。
「今の声…誰なの?」
スケベ達を殴りつける打撃音が辺りに響く中、温泉に浸かっていたカイリが尤もな質問を繰り出す。
*今度の【開闢の宴】で正式に出てきます。
「ああ、そう…――って、宣伝やってんじゃないよ!? しかも正式ってどう言う事さ!?」
いろいろツッコミ所のある文章にラックが叫ぶが、一旦視点をスケベ達に戻そう。
「い…いったい、何が…!?」
「なにも…見えなかったってハナシ…」
時間停止による闇の斬撃で、一瞬の内にボロボロとなった四人。
どうにかデミックスとシグバールが辛そうに呻いていると、彼らを倒したであろう人物は何かを取り出した。
「じゃ、さよなら。ポチッと」
「「「「え?」」」」
その声と共に、四人の真下がカパッと割れて穴が開いた。
「「「「ああああああああああああれえええええええええええぇぇ!!!??」」」」
続けざまに悲鳴を上げながら、スケベ達は穴の底へと落ちて行った。
「あ、あの…彼らは一体、何処に落とされたの?」
落とし穴に落ちて行ったスケベ達の行方に、アクアが知っているであろうリラへと質問を投げかけた。
「教えてもいいですけどー…聞いたら絶対、後悔するよ?」
『『『え…?』』』
スケベ達が少女によって落とされたのは、松明の明かりに鉄格子と言うどこぞの地下牢。
その壁に掛けられた液晶の大画面で、何とプリ○ュアのOPを歌うゼムナスが上映されていた。
《―ぶるぅららら♪ イエス、プリキュア、5、ゴー、ゴー♪》
「いやだあああああああぁ!!!」
「野太いオッサンボイスでこんなの聞きたくねぇんだよぉぉぉ!!!」
「まさに地獄ってハナシだぁぁぁ!!!」
「こんなのより可愛い女の子を!!! 愛でたい女の子を見せてぇぇぇ!!!」
フリフリ格好の大男に別世界ではナマハゲと言われる声で再現される画面に、デミックス、クウ、シグバール、テルスはこれでもかと絶叫を上げる。
だが、この歌が終わってもまだまだゼムナスによるED、その他プリ○ュアシリーズでのOP・ED集が残っている。さあ…彼らはこの拷問に夕食まで耐える事が出来るだろうか!?
「「「「酷い!! 酷過ぎるぅぅぅ!!!」」」」
自業自得の行いをしているのに、地の分に対してそんな悲鳴を上げる四人だった。
■作者メッセージ
と言う訳で、久々にこちらを更新出来ました。未だに本編重視なので、また次の投稿は遅めになってしまいますが…(苦笑)
尚、今回のネタを作るに当たってリラさんだけでなく夢旅人さんの番外でのネタを使わせて貰いました。何処がそのネタなのか分からない人は、今すぐ作品チェックチェック!(某CMネタ)
次は温泉が終わり、旅館ならではの豪華な夕食。そして…再びちょっとしたイベントをやらせる予定です。
尚、今回のネタを作るに当たってリラさんだけでなく夢旅人さんの番外でのネタを使わせて貰いました。何処がそのネタなのか分からない人は、今すぐ作品チェックチェック!(某CMネタ)
次は温泉が終わり、旅館ならではの豪華な夕食。そして…再びちょっとしたイベントをやらせる予定です。