第一日目・夕食編
温泉での一時も終わり、地下で行われたスケベ達の制裁も済んだ頃。空はすっかり夕暮れに包まれていた。
いよいよ夕食の時間となり、全員は最初にゲームが行われた大広間へと集まっていた。
「わぁー!! 美味しそー!!」
一番乗りで大広間へと足を踏み入れたリズは、ゲーム用の舞台が撤去された代わりに旅館にいる人達の人数分用意された食事に目を輝かせる。
御膳に用意されているのは、旬の焼き魚・野菜で作られた煮物・秋らしい茸の炊き込みご飯、グツグツと煮だっている土鍋にも旬の野菜や肉が入っている。その他にも、さまざまな和食が用意されている。
「料亭とは考えたな」
「好き嫌いがあっても、こういったオープンな場だとそれぞれ分け合う事出来ますね!」
旅館らしい食事にサイクスが関心を見せると、レイアも笑顔で手を叩く。
他の人達も美味しそうな料理に満足そうにする中、どんよりとした重い空気を纏っている人物達がいた。
「こんなにおいしそうな食事なのに…」
「食欲がまったくおきないってハナシ…」
「まだ吐き気が…!」
「私も頭の中であの恐怖の歌がリピートしてる…!」
地下室の拷問部屋から解放されたと言うのに、デミックス、シグバール、クウ、テルスは気持ち悪そうに料理を見ている。
そんな彼らに当然と言わんばかりに全員が冷たい視線をぶつけると、急にゼクシオンがナナの方を向いた。
「あの、ところで一つ疑問なんですが…」
「何ですか?」
「この料理、どなたが用意した物なのですか?」
このゼクシオンの質問に、スタッフとして参加している筈のソラ達が一斉に顔を見合わせた。
「そう言えば俺達、温泉からずっと部屋でくつろいでたよな?」
「確かに、他の皆もそうだったな」
「私達以外に、旅館の人って誰かいましたっけ?」
ソラ、テラ、アクアが身に覚えがないとばかりに首を傾げる。
これにより、アクセルは神妙な面付きで用意された料理に目を向けた。
「これ…本当に食べて大丈夫なのか? どこぞの殺人料理人が作ったんじゃ…?」
「いや、ウィドもスピカもここにいたんだろ? それ以前にあの二人が料理しても、奇跡でも起きない限りこんな美味そうな料理絶対に作れな」
直後、クウの両肩に手が置かれた。
「「クウ、こっちにいらっしゃい」」
明るく高い声の筈なのに、聞いただけで全身が凍りつく冷たさを帯びている。
そんな事を思っている間にも、ウィドとスピカがクウの肩を掴んだまま部屋から出て行った。
「ま、まて二人とも!? 謝る!! 誠心誠意込めて謝るからそれだけはおぶしゃあああああああっ!!!??」
途中で聞こえた斬撃と爆発音により、クウの言葉は最後まで言い切る事は叶わなかった。
ともかく、ナナ側の作品による危険人物が料理を作ってない事は分かったが、皆の不安は拭えない。
「ねえ…この料理誰が作ったか、あんた知ってるんじゃないの?」
ラクシーヌが訝しげな目でナナに問い質すと、何処かわざとらしく目を逸らした。
「ん〜? そんなに気になるなら…厨房、覗いて見ては如何ですかねぇ…?」
「あの怪しさ満面の笑み…絶対何かあるぞ…!」
ニヤニヤと黒い笑みを浮かべるナナに、嫌な予感を感じてカヤが料理から離れる。
「おい、ホンモノ…厨房に行って見たらどうだ?」
「そ、そう言うニセモノが行って来いよ…!」
ルキルとリクも震えながら、廊下の先にある厨房の入口を見て押し付け合う。
「シグバール…覗きに行って来てもいいんだぞ?」
「危険が待ってるかもしれないってのに、誰が行くかってハナシ!!」
遠い目を浮かべるザルディンに、シグバールは反射的にツッコミを入れる。
さてさて…そうこう言い合っていると、厨房の入口から黒い人影が何かを抱えて現れたではないか。
「こうなったら先手必勝よ! 誰だてめぇーーーーーー!!!」
そんな怒鳴り声と共に、リズは人影に向かってドロップキックをかました。
「おぶしゃああああ!!?」
リズのドロップキックを受けて、持っていた御膳を飛び散らせながら悲鳴を上げて床に陥没する人影。
この痛々しい音に部屋の人達だけでなく、廊下の奥でクウをボコボコ…否、処刑していたウィドとスピカも人影の方を振り返った。
『『『フェン!!?』』』
リズによって床に陥没していた人物の正体は、なんとナナ作品に登場する敵キャラの一人――フェンだった。
「いってぇ…!! いきなり何しやがるこの小娘がぁ!!! この俺を誰だと「やかましい!!! あんたが誰だろうと知った事じゃねぇーーーーー!!!」うぎゃあああああああぁ!!!??」
本編で幾度となく見せられたフェンの傲慢な態度も、リズの前では虚しく散っていく。
再度キーブレードでボコボコにされると、クウの処刑を中断したウィドはとてつもなく冷ややかな目でフェンを睨みつけた。
「フェン…何故あなたがここにいる?」
「この作者の所為で、俺達も手伝いに回されたんだよ…!! ちくしょう、どうして俺がこんな扱いをー!!」
「うわぁ…何処ぞのザコキャラ並みのセリフ吐いてら」
ムーンが呆れかえっていると、何故かフェンは泣きそうな表情でリクへと視線を向ける。
「しかも、厨房じゃ厨房で修羅場だしよぉ…――銀髪のガキ、てめえモテモテだよなぁ…!!」
「…あたし、厨房に誰がいるのか分かっちゃったんだけど…」
このフェンの言葉に、リクではなくオパールが反応する。
オパールの遠い視線を追って厨房を覗いてみると…。
「どうしてリリスまでいるのよ!! こっちはリクとゆっくり過ごす計画立ててるんだから、さっさとどっか行ってよ!!」
「私だって、あいつに復讐する為にこんな手伝いしてまで参加してるのよ!! いい加減に身体を寄越しなさい!!」
「設定上の都合でリズ達と一緒に出演出来ないから、お手伝いでもいいからって頼んだけど…!!」
「こんな事なら、欲を出さずに大人しく実家(リラ様の作品)で留守番すれば良かったぁ…!!」
お互いに火花をまき散らすほどの喧噪で喧嘩するリリィとリリスの後ろで、将来リラの作品に登場するファンタジアと、リラ様の作品の一つ『レディアントチルドレン』に登場するルジスが涙目になっていた。
え? 何故リリィとリリスが分かれて存在しているか? そこは…あとがき特有の設定と言う事でお願いします。
「用意されたのが危ない料理じゃないのは分かったが…」
そう言うと、ルクソードが横に目を向ける。
「そうかそうか、リリスさんもいるのか…!」
「後で俺達と同盟を組めば、あの女がいても奴を抹殺できる…!」
喧嘩をするリリスの声を聞きながら、レイシャとロクサスのブラックコンビは黒い笑みでリク殺害計画を企てており。
「ふっ、ここまでモテるとはさすがは私が見込んだ少年だ。さあ、リクよ。もう一度私と共にあづぁぁああああぁああっ!!!??」
「ほぉう……あんた、それはどう言う真意…!?」
「アンセム×リク……そんな掛け算、許さない…!!」
「「「未来(過去)の俺(私)よぉぉーーー!!?」」」
オパールが投げた熱々の土鍋とリリィの放った沸騰したスープを顔面に喰らい、他のゼアノート達に介抱されるアンセムがいたとか。
「気が休まる暇が見つからないよぉ…」
楽しい食事の時間の筈なのに、止まる事無く起こる騒動にシャオが涙目になってしまった。
「ささ、リラさん。どうぞ温かい内に召し上がってくださいな」
「はい。では、いただきまーす!」
そんな空気にお構いなしと言わんばかりに、作者コンビは食事の席につく。
「俺もお腹空いたー! 早く食べよう!」
「いっただっきまーす!」
ソラとリズも空気を読まず、我先にと席について箸を取る。
そんな四人を見て、レクセウスとルキルは思いっきり溜息を吐いた。
「…とりあえず、食事にしよう」
「そうだな…」
二人の言葉をキッカケに、残りのメンツもようやく食事にありついた。
いよいよ夕食の時間となり、全員は最初にゲームが行われた大広間へと集まっていた。
「わぁー!! 美味しそー!!」
一番乗りで大広間へと足を踏み入れたリズは、ゲーム用の舞台が撤去された代わりに旅館にいる人達の人数分用意された食事に目を輝かせる。
御膳に用意されているのは、旬の焼き魚・野菜で作られた煮物・秋らしい茸の炊き込みご飯、グツグツと煮だっている土鍋にも旬の野菜や肉が入っている。その他にも、さまざまな和食が用意されている。
「料亭とは考えたな」
「好き嫌いがあっても、こういったオープンな場だとそれぞれ分け合う事出来ますね!」
旅館らしい食事にサイクスが関心を見せると、レイアも笑顔で手を叩く。
他の人達も美味しそうな料理に満足そうにする中、どんよりとした重い空気を纏っている人物達がいた。
「こんなにおいしそうな食事なのに…」
「食欲がまったくおきないってハナシ…」
「まだ吐き気が…!」
「私も頭の中であの恐怖の歌がリピートしてる…!」
地下室の拷問部屋から解放されたと言うのに、デミックス、シグバール、クウ、テルスは気持ち悪そうに料理を見ている。
そんな彼らに当然と言わんばかりに全員が冷たい視線をぶつけると、急にゼクシオンがナナの方を向いた。
「あの、ところで一つ疑問なんですが…」
「何ですか?」
「この料理、どなたが用意した物なのですか?」
このゼクシオンの質問に、スタッフとして参加している筈のソラ達が一斉に顔を見合わせた。
「そう言えば俺達、温泉からずっと部屋でくつろいでたよな?」
「確かに、他の皆もそうだったな」
「私達以外に、旅館の人って誰かいましたっけ?」
ソラ、テラ、アクアが身に覚えがないとばかりに首を傾げる。
これにより、アクセルは神妙な面付きで用意された料理に目を向けた。
「これ…本当に食べて大丈夫なのか? どこぞの殺人料理人が作ったんじゃ…?」
「いや、ウィドもスピカもここにいたんだろ? それ以前にあの二人が料理しても、奇跡でも起きない限りこんな美味そうな料理絶対に作れな」
直後、クウの両肩に手が置かれた。
「「クウ、こっちにいらっしゃい」」
明るく高い声の筈なのに、聞いただけで全身が凍りつく冷たさを帯びている。
そんな事を思っている間にも、ウィドとスピカがクウの肩を掴んだまま部屋から出て行った。
「ま、まて二人とも!? 謝る!! 誠心誠意込めて謝るからそれだけはおぶしゃあああああああっ!!!??」
途中で聞こえた斬撃と爆発音により、クウの言葉は最後まで言い切る事は叶わなかった。
ともかく、ナナ側の作品による危険人物が料理を作ってない事は分かったが、皆の不安は拭えない。
「ねえ…この料理誰が作ったか、あんた知ってるんじゃないの?」
ラクシーヌが訝しげな目でナナに問い質すと、何処かわざとらしく目を逸らした。
「ん〜? そんなに気になるなら…厨房、覗いて見ては如何ですかねぇ…?」
「あの怪しさ満面の笑み…絶対何かあるぞ…!」
ニヤニヤと黒い笑みを浮かべるナナに、嫌な予感を感じてカヤが料理から離れる。
「おい、ホンモノ…厨房に行って見たらどうだ?」
「そ、そう言うニセモノが行って来いよ…!」
ルキルとリクも震えながら、廊下の先にある厨房の入口を見て押し付け合う。
「シグバール…覗きに行って来てもいいんだぞ?」
「危険が待ってるかもしれないってのに、誰が行くかってハナシ!!」
遠い目を浮かべるザルディンに、シグバールは反射的にツッコミを入れる。
さてさて…そうこう言い合っていると、厨房の入口から黒い人影が何かを抱えて現れたではないか。
「こうなったら先手必勝よ! 誰だてめぇーーーーーー!!!」
そんな怒鳴り声と共に、リズは人影に向かってドロップキックをかました。
「おぶしゃああああ!!?」
リズのドロップキックを受けて、持っていた御膳を飛び散らせながら悲鳴を上げて床に陥没する人影。
この痛々しい音に部屋の人達だけでなく、廊下の奥でクウをボコボコ…否、処刑していたウィドとスピカも人影の方を振り返った。
『『『フェン!!?』』』
リズによって床に陥没していた人物の正体は、なんとナナ作品に登場する敵キャラの一人――フェンだった。
「いってぇ…!! いきなり何しやがるこの小娘がぁ!!! この俺を誰だと「やかましい!!! あんたが誰だろうと知った事じゃねぇーーーーー!!!」うぎゃあああああああぁ!!!??」
本編で幾度となく見せられたフェンの傲慢な態度も、リズの前では虚しく散っていく。
再度キーブレードでボコボコにされると、クウの処刑を中断したウィドはとてつもなく冷ややかな目でフェンを睨みつけた。
「フェン…何故あなたがここにいる?」
「この作者の所為で、俺達も手伝いに回されたんだよ…!! ちくしょう、どうして俺がこんな扱いをー!!」
「うわぁ…何処ぞのザコキャラ並みのセリフ吐いてら」
ムーンが呆れかえっていると、何故かフェンは泣きそうな表情でリクへと視線を向ける。
「しかも、厨房じゃ厨房で修羅場だしよぉ…――銀髪のガキ、てめえモテモテだよなぁ…!!」
「…あたし、厨房に誰がいるのか分かっちゃったんだけど…」
このフェンの言葉に、リクではなくオパールが反応する。
オパールの遠い視線を追って厨房を覗いてみると…。
「どうしてリリスまでいるのよ!! こっちはリクとゆっくり過ごす計画立ててるんだから、さっさとどっか行ってよ!!」
「私だって、あいつに復讐する為にこんな手伝いしてまで参加してるのよ!! いい加減に身体を寄越しなさい!!」
「設定上の都合でリズ達と一緒に出演出来ないから、お手伝いでもいいからって頼んだけど…!!」
「こんな事なら、欲を出さずに大人しく実家(リラ様の作品)で留守番すれば良かったぁ…!!」
お互いに火花をまき散らすほどの喧噪で喧嘩するリリィとリリスの後ろで、将来リラの作品に登場するファンタジアと、リラ様の作品の一つ『レディアントチルドレン』に登場するルジスが涙目になっていた。
え? 何故リリィとリリスが分かれて存在しているか? そこは…あとがき特有の設定と言う事でお願いします。
「用意されたのが危ない料理じゃないのは分かったが…」
そう言うと、ルクソードが横に目を向ける。
「そうかそうか、リリスさんもいるのか…!」
「後で俺達と同盟を組めば、あの女がいても奴を抹殺できる…!」
喧嘩をするリリスの声を聞きながら、レイシャとロクサスのブラックコンビは黒い笑みでリク殺害計画を企てており。
「ふっ、ここまでモテるとはさすがは私が見込んだ少年だ。さあ、リクよ。もう一度私と共にあづぁぁああああぁああっ!!!??」
「ほぉう……あんた、それはどう言う真意…!?」
「アンセム×リク……そんな掛け算、許さない…!!」
「「「未来(過去)の俺(私)よぉぉーーー!!?」」」
オパールが投げた熱々の土鍋とリリィの放った沸騰したスープを顔面に喰らい、他のゼアノート達に介抱されるアンセムがいたとか。
「気が休まる暇が見つからないよぉ…」
楽しい食事の時間の筈なのに、止まる事無く起こる騒動にシャオが涙目になってしまった。
「ささ、リラさん。どうぞ温かい内に召し上がってくださいな」
「はい。では、いただきまーす!」
そんな空気にお構いなしと言わんばかりに、作者コンビは食事の席につく。
「俺もお腹空いたー! 早く食べよう!」
「いっただっきまーす!」
ソラとリズも空気を読まず、我先にと席について箸を取る。
そんな四人を見て、レクセウスとルキルは思いっきり溜息を吐いた。
「…とりあえず、食事にしよう」
「そうだな…」
二人の言葉をキッカケに、残りのメンツもようやく食事にありついた。