演劇イベント編・5&【T20周年記念イベント・前編】
同時刻、部屋の片隅に作られた休憩スペースで突然クウが顔を上げるので、出番待ちのカヤが声をかけた。
「どうした?」
「いや、今何か聞こえた気が…?」
「気のせいじゃないか?」
「かなぁ…?」
そんなカヤの言葉に、特に考えず納得するクウ。
とここで、急にナナとリラが立ち上がって全員に向かって叫んだ。
「えー、すみませーん。ここで皆さんにお知らせがありまーす!」
「ちょっとした理由で、今回の分だけ他作品用の伏字は無しにしまーす!」
また前触れもなく始まったいきなりの設定変更に、ソラが質問した。
「どうして?」
「「今日が20周年記念だから」」
『『『……ハ?』』』
大広間にいる誰もがポカンとしていると、作者二人は熱弁を始める。
「今日はテイルズファンにとっては祝うべき日なんだよ! 20周年記念作品、【テイルズオブゼスティリア】の発売日なんだよ!」
「そこでファンの一人である私達で相談して、今回この場を使ってテイルズに関するイベントを考えたのだ!!」
『『『あんたらKH作品書いてるのに何ここで別の作品優先させようとしてるの!?』』』
「ここのタグは【KH】じゃない! 【総合】なんだからOKだろ!! どこぞの作品でも多重のクロスオーバーしてるし!」
『『『そう言う問題!?』』』
いろいろツッコミ所のあるナナの発言に全員が叫ぶが、どうせ後の祭りだと言う事は分かっていた。
かくして、今回の投稿はテイルズ20周年記念と言う事でスペシャルでお送りする事となったのだが、アクセルは祝うに至ってどうしても聞かなければならない質問があった。
「と言うか、リラ。お前俺達のゲームは買わなかったのに、それはポ○モンと同じように買うのかよ?」
「いえ。私誕生日に友達から買ってもらう予定ですから」
「私も友達の家で戦闘の時だけコントローラー持って行って協力プレイさせて貰う予定ですし」
「前者はともかく、後者は最低だなオイ!!」
ナナにツッコミを入れる間に、リラはさっさと話を進める事にした。
「とにかく、企画については後にして――まずは、本題の演目から! で、レイシャ。あんたらテイルズでの演目を考え付いたって聞いたけど?」
「ああ! 俺とリズ姉ちゃんと父さんと母さんとルキルの五人で『テイルズオブシンフォニア』のイベントをするんだ! みんな裏でスタンバイしてるから、俺も行くよ!」
そう言うと、レイシャはさっさとステージの裏へと移動する。
彼の後ろ姿を見送りながら、リラは嬉しそうにステージに注目した。
「まさかテイルズの中でも私が大好きな『シンフォニア』をするとは! 楽しみですねー、ナナさん! …ナナさん?」
(メンバー構成の時点で、もうやな予感しかしないんだが…)
胸の内に不安を抱えるナナの目の前で、演劇開始の合図であるカーテンが開かれた。
舞台上は崖に作られた家の前。ライトが暗くスピーカーからは虫の声が流れ、夜を演出している。
家の前にはルキルと幻影で作り出された兵士に拘束されているロクサス。やがて家の扉からリズが出てくると、待ち伏せしていた兵士によって取り押さえられる。
「…クラトス! レネゲードはクルシスと敵対関係なんだろ! なのにどうして…」
「静かにしろ。…もっとも、皆薬がよく効いてぐっすり眠っているだろうがな」
「薬だと…? 親父はどこだ! 親父に何かしやがったら、お前ら全員ただじゃすまさないぞ!」
「久々の親子の体面に、そんな無粋はないだろう」
こうしてリズとルキルが演技していると、黙っていたロクサスも動く。
「やはりそうか。ハイマで私を狙った暗殺者はおまえだったのだな」
「クラトス。息子の命が少しでも惜しいと思うのなら我々に従え」
「何を…言ってるんだ?」
「オリジンの封印を解放しろ。さもなければ、ロイドはここで死ぬ事になる」
「う、嘘だろ…? クラトスが俺の…親父な訳ないだろ。俺は信じない…信じられない!」
リズの渾身の叫びに、誰もが微妙な顔つきになる。
本編でもロクサスがリズの父親だと隠している状況と、この演目が似通っているのだから。
「実の息子にここまで否定される気持ちはどんなものだ?」
そんな観客には目をくれず(舞台上では役になりきっているのだから当然だが)ルキルがロクサスへと顔を向ける。
「…ウウゥ…」
(((滅茶苦茶精神ダメージ受けてるよ…)))
ここは大人の余裕で受け流すシーンなのに、唇を噛み締めて涙を堪えるロクサスに誰もが呆れを見せた。
「…その様子では、オリジンの解放に同意するつもりはないようだな」
(((あくまでも続けるんだ…)))
「それならば…お前に死んでもらうだけだ!」
ルキルが動き、ロクサスが身構えようとする。その時、リズを抑え込んだ兵士が動く。
「ぐあっ…!」
「動けば息子の命はないぞ!」
リズを人質に捉えられ、抵抗を止めるロクサス。堕天使や魔王と称される程の危険思考を持つ二人なので、どちらも本編では絶対にお目に掛かれない光景だ。(この状況になったら絶対に見境なく暴れるため)
その間に、ルキルはロクサスと距離を詰めて話を続ける。
「貴様は家族が出来て変わったな。十五年前のあの時も、アンナを化け物に変えられてお前は抵抗の術を失った」
「! 何…?」
「アンナもお前について行かなければ、あのような姿になる事も無かった。哀れな女だ」
「母さんを愚弄するな!」
兵士によって地面に倒されるが、リズは起き上がってルキルへと腰に差してあった剣を抜いて振るう。
だが、ルキルはその攻撃を避け、リズに向かって雷の術を飛ばす。しかし、リズを庇うようにロクサスが突き飛ばしてその攻撃を受けた。
「…クラトス?」
「…無事か?…なら、いい…」
そうリズに呟き、ロクサスは糸が切れたように仰向けに倒れた。
「…う…うわぁーーーーー!!」
演技か本気なのか分からないが、リズが動揺しながら叫ぶ。すると、家の扉が開いてナミネが出てきた。
「ロイド? どしたの! これは一体…」
「俺は…俺は何を信じたらいいんだ!?」
「ロイド、しっかりして!」
「うそだ! クラトスが…俺達を裏切って、コレットを苦しめたあいつが…俺の父さん…!?」
「…ウオアァァ…!」
(((泣いてる! とんでもない悲痛の顔でロクサスが泣いてる!?)))
本来なら倒れたままなのに、血涙を流しそうな勢いで泣いているロクサス。演技とは言え娘に否定された父親の表情と迫力の所為で、リズとナミネの台詞が観客の耳に届いてこない。
「…あれ、本当にステージの効果が発動しているのか?」
「その筈ですが…」
親バカの部分が消えていないロクサスを見ながらエンとナナが会話をしている間に、話は何時しか佳境に入っていた。
「でもやっぱり俺は、あんたを父さんとは呼べない」
「グフッ…!」
(((ショックのあまり白目剥いて気絶したぞ!?)))
何度も否定されてとうとうショックを起こしたロクサスに、誰もが心配して彼に注目がいってしまう。おかげで聞こえかけたリズの台詞がまた消えてしまう。
「俺はコレットを助ける為に、世界を見殺しにはしない。最後の最後まで、みんなが生きる道を探したい」
「素晴らしくクサイ演説だね。ごくろうさま」
リズの台詞が終わると共に、背後からレイシャが声をかけて家の扉から出てきた。
「ミトス…?」
リズが声をかけると、レイシャは手を翳して周りにいた兵士達を光の魔法で次々と倒していく。
やがてルキルにも攻撃して倒すと、レイシャは冷めた笑みを浮かべる。
「ボクが気づいてないとでも思った? 残念だったね。クラトスにはプロネーマを監視につけていたんだ。ロイド達に情報を流していたみたいだからね」
「くそ…! ユグドラシル! お前がどうしてここに…」
「な、何…!?」
地面に這いつくばりながら言ったルキルの台詞に、リズだけでなくナミネも驚きながらレイシャを見る。
レイシャは二人の視線を何とも感じてないのかルキルに近づく。
「なかなか面白い趣向だったよ、ボクの邪魔ばかりする薄汚いレネゲードがお前だなんてさ」
そう言うと、ルキルに向かって足蹴りをする。
しかし、気のせいだろうか…蹴っていると言うより、思いっきり踏みつけている感じが…。
「本当なら殺すところだけど、姉さまに免じて命だけは助けてあげるよ――アハハ、ハハ、アハハハハハハァ!!! 死ねや、リクゥゥゥ!!!」
「ちょっと待てやぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」
これ以上はさせまいとばかりに、ナナが手元のボタンを押す。
一瞬でステージが元に戻ると、レイシャが不満げにルキルを踏みながらナナに向かって睨んだ。
「なんで強制終了するんだよ、これからが良い所なのに――」
「良い所も悪い所もあるかぁ!!! あんたテイルズシリーズを何だと思っているんだぁぁぁ!!! しかも最後のあれ丸っきり八つ当たりじゃねーかぁ!!! ロクサスもちゃんと演技しろぉ!!! 感動のシーンが台無しだぁ!!!」
彼らの私情を入れまくったイベントシーンを見せられて御乱心となったナナ。すると、リズは不思議そうに首を傾げる。
「でも最近のシリーズは年齢制限かかってるじゃない」
「だからってやりすぎだろぉ!!! シンフォニアはそんなドロドロじみたシーンや激しい暴力シーンなんてねーから!!! やるのなら私情挟まずに演技しろぉ!!!」
「でも、俺らの作者満更でもなかったぞ。ほれ」
「ハイ?」
レイシャの言葉に、ナナはリラへと振り返る。
リラはいつの間にか持っているボードに「100点」と大きく書いて全員に見せつけていた。
「リラさん!? なんでこんな演技で満点出してんのぉ!?」
「いやいや、これもいいじゃん」
「良くないに決まってるでしょ!! テイルズシリーズに誤解が生まれてしまうわ!!」
「やだなー、シンフォニアは元々鬱ゲーでしょ?」
「ぐぅ…!! ひ、否定が出来ん」
「そこは否定しないのか…」
思わず怯むナナに、サイクスが呆れの眼差しを向ける。
そんな中、ようやくルキルがレイシャに踏まれながらも起き上った。
「俺をこの中に引き入れたの…この為かよ…!」
「当たり前だ。あんたがレプリカでも、俺にとっては憎き相手だからな。あのまま消滅してくれりゃあ良かったモノを…オリジナル共々悪運が強い奴だ」
「リ・ラ・さ・ん?」
「え、え〜と…テヘペロ♪」
半分が自キャラの彼がいじめられる様子に、激しい怒りの炎を燃え上がらせるナナ。それに対し、リラは可愛らしく舌を出した。
「とにかく、私はこんなのに点数つけません!! あんたら0点だ、0点!!」
何があってもこんなの認めんとばかりに、ナナがどこからか取り出したプラカードに「0」と殴り書きしてリズ達に見せつける。非公開である筈の得点を見せる辺り、怒りは頂点どころか噴火しているようだ。
そうして騒ぐ中、ステージの隅では。
「ロクサス、大丈夫?」
「ナミネ…俺は父親失格なようだ。今すぐにでも死にたい…!」
台詞とはいえリズの言葉がよほど堪えたのか、涙を流して床に撃沈しているロクサスとそれを宥めるナミネがいた。
「どうした?」
「いや、今何か聞こえた気が…?」
「気のせいじゃないか?」
「かなぁ…?」
そんなカヤの言葉に、特に考えず納得するクウ。
とここで、急にナナとリラが立ち上がって全員に向かって叫んだ。
「えー、すみませーん。ここで皆さんにお知らせがありまーす!」
「ちょっとした理由で、今回の分だけ他作品用の伏字は無しにしまーす!」
また前触れもなく始まったいきなりの設定変更に、ソラが質問した。
「どうして?」
「「今日が20周年記念だから」」
『『『……ハ?』』』
大広間にいる誰もがポカンとしていると、作者二人は熱弁を始める。
「今日はテイルズファンにとっては祝うべき日なんだよ! 20周年記念作品、【テイルズオブゼスティリア】の発売日なんだよ!」
「そこでファンの一人である私達で相談して、今回この場を使ってテイルズに関するイベントを考えたのだ!!」
『『『あんたらKH作品書いてるのに何ここで別の作品優先させようとしてるの!?』』』
「ここのタグは【KH】じゃない! 【総合】なんだからOKだろ!! どこぞの作品でも多重のクロスオーバーしてるし!」
『『『そう言う問題!?』』』
いろいろツッコミ所のあるナナの発言に全員が叫ぶが、どうせ後の祭りだと言う事は分かっていた。
かくして、今回の投稿はテイルズ20周年記念と言う事でスペシャルでお送りする事となったのだが、アクセルは祝うに至ってどうしても聞かなければならない質問があった。
「と言うか、リラ。お前俺達のゲームは買わなかったのに、それはポ○モンと同じように買うのかよ?」
「いえ。私誕生日に友達から買ってもらう予定ですから」
「私も友達の家で戦闘の時だけコントローラー持って行って協力プレイさせて貰う予定ですし」
「前者はともかく、後者は最低だなオイ!!」
ナナにツッコミを入れる間に、リラはさっさと話を進める事にした。
「とにかく、企画については後にして――まずは、本題の演目から! で、レイシャ。あんたらテイルズでの演目を考え付いたって聞いたけど?」
「ああ! 俺とリズ姉ちゃんと父さんと母さんとルキルの五人で『テイルズオブシンフォニア』のイベントをするんだ! みんな裏でスタンバイしてるから、俺も行くよ!」
そう言うと、レイシャはさっさとステージの裏へと移動する。
彼の後ろ姿を見送りながら、リラは嬉しそうにステージに注目した。
「まさかテイルズの中でも私が大好きな『シンフォニア』をするとは! 楽しみですねー、ナナさん! …ナナさん?」
(メンバー構成の時点で、もうやな予感しかしないんだが…)
胸の内に不安を抱えるナナの目の前で、演劇開始の合図であるカーテンが開かれた。
舞台上は崖に作られた家の前。ライトが暗くスピーカーからは虫の声が流れ、夜を演出している。
家の前にはルキルと幻影で作り出された兵士に拘束されているロクサス。やがて家の扉からリズが出てくると、待ち伏せしていた兵士によって取り押さえられる。
「…クラトス! レネゲードはクルシスと敵対関係なんだろ! なのにどうして…」
「静かにしろ。…もっとも、皆薬がよく効いてぐっすり眠っているだろうがな」
「薬だと…? 親父はどこだ! 親父に何かしやがったら、お前ら全員ただじゃすまさないぞ!」
「久々の親子の体面に、そんな無粋はないだろう」
こうしてリズとルキルが演技していると、黙っていたロクサスも動く。
「やはりそうか。ハイマで私を狙った暗殺者はおまえだったのだな」
「クラトス。息子の命が少しでも惜しいと思うのなら我々に従え」
「何を…言ってるんだ?」
「オリジンの封印を解放しろ。さもなければ、ロイドはここで死ぬ事になる」
「う、嘘だろ…? クラトスが俺の…親父な訳ないだろ。俺は信じない…信じられない!」
リズの渾身の叫びに、誰もが微妙な顔つきになる。
本編でもロクサスがリズの父親だと隠している状況と、この演目が似通っているのだから。
「実の息子にここまで否定される気持ちはどんなものだ?」
そんな観客には目をくれず(舞台上では役になりきっているのだから当然だが)ルキルがロクサスへと顔を向ける。
「…ウウゥ…」
(((滅茶苦茶精神ダメージ受けてるよ…)))
ここは大人の余裕で受け流すシーンなのに、唇を噛み締めて涙を堪えるロクサスに誰もが呆れを見せた。
「…その様子では、オリジンの解放に同意するつもりはないようだな」
(((あくまでも続けるんだ…)))
「それならば…お前に死んでもらうだけだ!」
ルキルが動き、ロクサスが身構えようとする。その時、リズを抑え込んだ兵士が動く。
「ぐあっ…!」
「動けば息子の命はないぞ!」
リズを人質に捉えられ、抵抗を止めるロクサス。堕天使や魔王と称される程の危険思考を持つ二人なので、どちらも本編では絶対にお目に掛かれない光景だ。(この状況になったら絶対に見境なく暴れるため)
その間に、ルキルはロクサスと距離を詰めて話を続ける。
「貴様は家族が出来て変わったな。十五年前のあの時も、アンナを化け物に変えられてお前は抵抗の術を失った」
「! 何…?」
「アンナもお前について行かなければ、あのような姿になる事も無かった。哀れな女だ」
「母さんを愚弄するな!」
兵士によって地面に倒されるが、リズは起き上がってルキルへと腰に差してあった剣を抜いて振るう。
だが、ルキルはその攻撃を避け、リズに向かって雷の術を飛ばす。しかし、リズを庇うようにロクサスが突き飛ばしてその攻撃を受けた。
「…クラトス?」
「…無事か?…なら、いい…」
そうリズに呟き、ロクサスは糸が切れたように仰向けに倒れた。
「…う…うわぁーーーーー!!」
演技か本気なのか分からないが、リズが動揺しながら叫ぶ。すると、家の扉が開いてナミネが出てきた。
「ロイド? どしたの! これは一体…」
「俺は…俺は何を信じたらいいんだ!?」
「ロイド、しっかりして!」
「うそだ! クラトスが…俺達を裏切って、コレットを苦しめたあいつが…俺の父さん…!?」
「…ウオアァァ…!」
(((泣いてる! とんでもない悲痛の顔でロクサスが泣いてる!?)))
本来なら倒れたままなのに、血涙を流しそうな勢いで泣いているロクサス。演技とは言え娘に否定された父親の表情と迫力の所為で、リズとナミネの台詞が観客の耳に届いてこない。
「…あれ、本当にステージの効果が発動しているのか?」
「その筈ですが…」
親バカの部分が消えていないロクサスを見ながらエンとナナが会話をしている間に、話は何時しか佳境に入っていた。
「でもやっぱり俺は、あんたを父さんとは呼べない」
「グフッ…!」
(((ショックのあまり白目剥いて気絶したぞ!?)))
何度も否定されてとうとうショックを起こしたロクサスに、誰もが心配して彼に注目がいってしまう。おかげで聞こえかけたリズの台詞がまた消えてしまう。
「俺はコレットを助ける為に、世界を見殺しにはしない。最後の最後まで、みんなが生きる道を探したい」
「素晴らしくクサイ演説だね。ごくろうさま」
リズの台詞が終わると共に、背後からレイシャが声をかけて家の扉から出てきた。
「ミトス…?」
リズが声をかけると、レイシャは手を翳して周りにいた兵士達を光の魔法で次々と倒していく。
やがてルキルにも攻撃して倒すと、レイシャは冷めた笑みを浮かべる。
「ボクが気づいてないとでも思った? 残念だったね。クラトスにはプロネーマを監視につけていたんだ。ロイド達に情報を流していたみたいだからね」
「くそ…! ユグドラシル! お前がどうしてここに…」
「な、何…!?」
地面に這いつくばりながら言ったルキルの台詞に、リズだけでなくナミネも驚きながらレイシャを見る。
レイシャは二人の視線を何とも感じてないのかルキルに近づく。
「なかなか面白い趣向だったよ、ボクの邪魔ばかりする薄汚いレネゲードがお前だなんてさ」
そう言うと、ルキルに向かって足蹴りをする。
しかし、気のせいだろうか…蹴っていると言うより、思いっきり踏みつけている感じが…。
「本当なら殺すところだけど、姉さまに免じて命だけは助けてあげるよ――アハハ、ハハ、アハハハハハハァ!!! 死ねや、リクゥゥゥ!!!」
「ちょっと待てやぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」
これ以上はさせまいとばかりに、ナナが手元のボタンを押す。
一瞬でステージが元に戻ると、レイシャが不満げにルキルを踏みながらナナに向かって睨んだ。
「なんで強制終了するんだよ、これからが良い所なのに――」
「良い所も悪い所もあるかぁ!!! あんたテイルズシリーズを何だと思っているんだぁぁぁ!!! しかも最後のあれ丸っきり八つ当たりじゃねーかぁ!!! ロクサスもちゃんと演技しろぉ!!! 感動のシーンが台無しだぁ!!!」
彼らの私情を入れまくったイベントシーンを見せられて御乱心となったナナ。すると、リズは不思議そうに首を傾げる。
「でも最近のシリーズは年齢制限かかってるじゃない」
「だからってやりすぎだろぉ!!! シンフォニアはそんなドロドロじみたシーンや激しい暴力シーンなんてねーから!!! やるのなら私情挟まずに演技しろぉ!!!」
「でも、俺らの作者満更でもなかったぞ。ほれ」
「ハイ?」
レイシャの言葉に、ナナはリラへと振り返る。
リラはいつの間にか持っているボードに「100点」と大きく書いて全員に見せつけていた。
「リラさん!? なんでこんな演技で満点出してんのぉ!?」
「いやいや、これもいいじゃん」
「良くないに決まってるでしょ!! テイルズシリーズに誤解が生まれてしまうわ!!」
「やだなー、シンフォニアは元々鬱ゲーでしょ?」
「ぐぅ…!! ひ、否定が出来ん」
「そこは否定しないのか…」
思わず怯むナナに、サイクスが呆れの眼差しを向ける。
そんな中、ようやくルキルがレイシャに踏まれながらも起き上った。
「俺をこの中に引き入れたの…この為かよ…!」
「当たり前だ。あんたがレプリカでも、俺にとっては憎き相手だからな。あのまま消滅してくれりゃあ良かったモノを…オリジナル共々悪運が強い奴だ」
「リ・ラ・さ・ん?」
「え、え〜と…テヘペロ♪」
半分が自キャラの彼がいじめられる様子に、激しい怒りの炎を燃え上がらせるナナ。それに対し、リラは可愛らしく舌を出した。
「とにかく、私はこんなのに点数つけません!! あんたら0点だ、0点!!」
何があってもこんなの認めんとばかりに、ナナがどこからか取り出したプラカードに「0」と殴り書きしてリズ達に見せつける。非公開である筈の得点を見せる辺り、怒りは頂点どころか噴火しているようだ。
そうして騒ぐ中、ステージの隅では。
「ロクサス、大丈夫?」
「ナミネ…俺は父親失格なようだ。今すぐにでも死にたい…!」
台詞とはいえリズの言葉がよほど堪えたのか、涙を流して床に撃沈しているロクサスとそれを宥めるナミネがいた。
■作者メッセージ
おめでとう、20周年。おめでとう、テイルズ。そして…おめでとう、ゼスティリア発売!!
と言う訳で、今回KHとは関係ない(あと『総合』と言う理由で)前触れもなく始めてしまい申し訳ありません。どうしてもテイルズ20周年を祝いたくて…。
今回は前半と書きましたが、企画したイベントはこの後で投稿します。まあ、いまはまだ訂正が終わっていないのですが、今日中には…頑張ります。
と言う訳で、今回KHとは関係ない(あと『総合』と言う理由で)前触れもなく始めてしまい申し訳ありません。どうしてもテイルズ20周年を祝いたくて…。
今回は前半と書きましたが、企画したイベントはこの後で投稿します。まあ、いまはまだ訂正が終わっていないのですが、今日中には…頑張ります。