1-1 プロローグのプロローグ
それはギャルゲーの主人公になったかのような世界で、それでも今までの”俺”の世界でもある。
合わさる世界は時にカオスで、時にファンタジーで、時にラブコメディ。
何度も何度も正解を見つけるまで繰り返され、様々な要素の混ざり合う――それはきっとこんなモノガタリ。
* *
「あ……朝か」
窓から射しこむ太陽の光で、ベッドの上で目を覚ました俺はそんなことをまずは呟く。
目覚ましよりも早起きに、ベッドから出て睡眠不足ですよと言わんばかりの寝ぼけ眼で居間へと歩みを進めて行く。
畳張りの床に大き目の丸い卓袱台が置かれる居間にあぐらをかいて座り込めば、隣の位置するキッチンからは楽しげな鼻歌が聞こえてくる。
「おはよー、ユウくん」
「おは」
なんとも香ばしい匂い漂うキッチンから、笑顔でひょっこりと姉貴が顔を出した。
そんな姉貴に未だあくびをしながらも挨拶で返す。
「もう少しだからまっててー」
「ああ」
と、答え、濡れ台拭きで拭いたばかりの綺麗な卓袱台に突っ伏してその朝食の時を待つ。
そんな時に賑やかにも複数の声が重なるようにして居間へと訪れる。
「ふぁぁ」「おはー」「おはよ……」
と、彼女たちが現れた。
それは日常に染み込んだ光景で、今の俺にとってはあまりにも普通のことだった。
それでいて淡々としたつまらないものではなく、毎日が発見と変容に満ちている――飽きさせない日々とも言える。
朝食を家族みんなで食べ終わり身支度を整えて、現役高校生な俺はいざ学校へと向かう。
そう、これまた普通のことで、いつも通りのことだ。
そんなありふれた道すがら、
「おっはよー、ユウジっ」「おはよう、ユウジ!」「おはよーっす」
友人達――俺はそれを”いつものメンバー”と呼んでいる、彼らが各々(おのおの)に特徴をもった挨拶をしてくる。
途中で合流する彼らの挨拶からも分かる、元気さに俺も「うん、いつも通りだ」と内心思いつつも友人と話しながら通学路を歩いて行けば、あっという間に学校へと辿り着く。
「おはようございます、ユウジ様」
「姫城さん、おはよー」
「おはー、下之くん」
「おはー」
女生徒二人とも遭遇、この二人もいつものメンバーだ。
クラスメイトな彼女達にも挨拶し、そんな訳で挨拶から、決まり事のようにこの日常は始まって行く――
まず話しかけてくるのはグルグル眼鏡の……女子? と疑問に思う程に色気の欠片も無い、悪友的ポジションの彼女だ。
「それで、ユウジ。来期のアニメをどう思う?」
「んー、期待薄?」
「そんなにネガティブじゃダメだぞ! アタシはダークホース狙いだ」
「お前もちょっと諦めてるじゃねーか!」
そんなオタク臭い会話の中で、いつも通りのボケをかますコイツにツッコミを入れると今度は背中までかかる髪をヘアゴムで束ねた黒色ポニーテールをひょこひょこと上下に揺らした彼女がやってくる。
「ねー、ユウジー! あのバラエティどうだったー?」
「うーん、演出が微妙かな」
「評論家気取り!?」
「というのは冗談で、あのマツダの顔芸は笑った」
「あー、分かる分かる!」
そんな他愛のない会話で盛り上がる、これもいつも通り。
会話がふいに途切れるそんなタイミングを狙ったかのように、別のどうやったらそこまで手入れが行き届くのだろうと言わんばかりの長く綺麗な黒髪を持った女子生徒もやってくる。
「そういえばユウジ様、突然なのですが……どんな食べ物が好きですか?」
「南部せんべい」(※青森県八戸辺りで食べられる小麦粉で出来たせんべい)
「な、なんぶせんべい――ダメですっ、私には作れません……」
「からあげ?」
「……頑張ります!」
少しからかうように彼女の問いに答えると、今度は活発よろしくぴょこぴょこと跳ねるようにやってくるクラスメイトな女子。
「あー、下之くん。そんな君の下の具合はどう?」
「開口一番下ネタはどうなんだ、愛坂よ」
「自分はそれがデフォルトなのだ」
「仮にも女子だろうに……」
「で、答えはどう? 自分が元気にしたあげた方がいい?」
「答えは”スルー”でいいか?」
そんないつも通りの学校での日常を終えて。今日の授業が終わって、いつも通りに帰宅すると。なんとも可愛らしい彼女がお出迎えをしてくれる。
「おかえりーユウジさん」
「ただいまー」
「ご飯にする、それともご飯にする? それともは・く・ま・い?」
「最後は炊けてないのが出てくるのか……で、そのギャグは誰が?」
「桐だよ?」
不思議そうに、本当にその言葉の流れの意味を知らないように首を傾げる可愛らしい彼女を横目に、駆け足で我が家の二階へと続く階段を駆け上がり、あるヤツの部屋の扉を勢いよく開け放つ。
「おい、桐っ」
「ふぉ!? わしの心と同じほどに固く閉ざされたわしの部屋の扉をそれほど容易く開けてしまうじゃと!」
「嘘付け。お前の心の扉なんぞ解放状態どころか、扉なんぞないだろうに」
「……それで何用じゃ? 写真の整理で忙しいのじゃが」
「お前ホニさんに……って、なんだその写真!? 俺ばっかじゃねーか! よこせ――」
これがいつも通りの日常になっている……え、お前の周りの女比率が異様に高くないかって?
そりゃそうだ……このいつも通りの日常には日常とはかけ離れた”ギャルゲー”という非日常が今までの日常とそれぞれを消し合うことなく溶け込んでいるからな。
そう”あるゲーム”を買ったあの日から全ては始まった。それから俺の日々は恐ろしいぐらいに変貌を遂げた――
* *
とあるゲームを俺は買った。
「800円だから買ってはみたものの」
確実にスペックから見てクソゲーだった。 絵が良くても買わないでおけばよかったと心から思うね。
ほぼ新品の中古品のPCゲームとしては破格とはいえ、800円は貧乏な学生にとって後々影響が出てくるかもしれない
ということでそのゲームを簡単に紹介。
パソコンゲーム(全年齢対象)で一年ほど前に出たものだ。
『タイトル Ruriiro Days 〜キャベツとヤシガニ〜』
この見て驚きの地雷臭プンプンなタイトル。
知る人は知っているかなり危ういタイトルが混じっていたりとヒヤヒヤ。とりあえずは言葉の組み合わせ方にセンスの欠片がないぞ。
『ジャンル 恋愛・泣き・アクション・ファンタジー・RPG・パズル』
制作者浮気し過ぎだろう、で何がしたいんだ。明らかにジャンルを詰め込みまくっている。
その中でかなり浮いてるのがパズルで――恋愛やらアクションのどこにパズルの要素があるのか、疑問でならない。
更にソフト重いだろ、これ! 古いノートパソコンなら即死亡レベルじゃねえか!
こんなクソゲーに数ギガバイトも使われるとなると……一通りやったら速攻消そう。とりあえずパソコンにディスクを入れてっと。
「!?」
思わず驚いてしまった。
かなりの速さでダイアログが何重にも表示され画面を埋め尽くして行くのだ。
一言で言おう。
「バグりやがった……」
ダイアログには「環境のスキャン」という謎の言葉が無数のダイアログに表示された。
「なんだよ……」
そうするとダイアログの言葉が一斉に書き換えられていった。
『スキャンが完了しました、このまま作業を続行する場合”OK”をクリックしてください』
隣にある「キャンセル」を押しても反応しないという……というか更にダイアログが10個ほど増えたのだが。
喧嘩売ってるだろ、このゲーム。
結局OK押すしか選択肢ないじゃん。しかしまぁこのままダイアログばっかだと色々嫌だなぁ……仕方ない押すか。
「ほいっと」
OKを押した途端にダイアログが消えてゆく。
「おお」
次第にかつてのデスクトップの壁紙の色が見え始め、最後の一つを残して消えた。
しかしその最後のダイアログは今までとは全く別の言葉が表示されていたのだった。
『世界浸透化の準備が整いました、よろしければ”スタート”をクリックしてください』
「前振りにしては長すぎだろ」
世界浸透化というのは何かこのゲームのキーワードだろう。
流石クソゲー。ゲームスタートまでのその瞬間までヒヤヒヤさせやがって!
こうなったら徹底的にゲーム攻略してやる!
俺は迷わず”スタート”をマウスのカーソルでクリックした。その時だ。
「うわっ」
パソコンから突然発せられた白い光、それに俺含む部屋全体が包まれていた。
眩しすぎて辺りの状況を把握できない、しばらくすると光は弱くなっていくが――
俺に見える風景はかつてと違っていた。
「え?」
自分の部屋がいつの間にか消えていた。
さっきまであった家具も時計もテレビゲーム機も、光を発したマイパソコンも消えた。
今はどこが壁でどこが天井か、どこからが床ががわからない永延と純白に染められた空間が支配している。
「どうなってんだ……」
そう呟くと。 それに答えるように。
「世界の浸透化が完了、これより具現化します」
白い世界の壁も何もない場所に表示された文字。
しばらくして文字が左から順に消えていき最後の文字が消えたその瞬間――
また眩しい光が俺に襲いかかり、俺は思わず眼を瞑ってしまった。
しばらくして、視界の外から光が弱まっているのが分かった。そして恐る恐るながら目をゆっくりと開いてみると……
「?」
そこには見慣れた景色が、部屋があった。家具もテレビゲーム機もパソコンも平然と置いてある。
「今のはなんだったんだ?」
呟く、なんだ何も変わって無いじゃんと。現時点では、そう思っていたのだが……
「ユウジー遅刻するよー」
「え」
聞いたことのない女子の声が、俺の名前を呼んでいたのだ。
合わさる世界は時にカオスで、時にファンタジーで、時にラブコメディ。
何度も何度も正解を見つけるまで繰り返され、様々な要素の混ざり合う――それはきっとこんなモノガタリ。
* *
「あ……朝か」
窓から射しこむ太陽の光で、ベッドの上で目を覚ました俺はそんなことをまずは呟く。
目覚ましよりも早起きに、ベッドから出て睡眠不足ですよと言わんばかりの寝ぼけ眼で居間へと歩みを進めて行く。
畳張りの床に大き目の丸い卓袱台が置かれる居間にあぐらをかいて座り込めば、隣の位置するキッチンからは楽しげな鼻歌が聞こえてくる。
「おはよー、ユウくん」
「おは」
なんとも香ばしい匂い漂うキッチンから、笑顔でひょっこりと姉貴が顔を出した。
そんな姉貴に未だあくびをしながらも挨拶で返す。
「もう少しだからまっててー」
「ああ」
と、答え、濡れ台拭きで拭いたばかりの綺麗な卓袱台に突っ伏してその朝食の時を待つ。
そんな時に賑やかにも複数の声が重なるようにして居間へと訪れる。
「ふぁぁ」「おはー」「おはよ……」
と、彼女たちが現れた。
それは日常に染み込んだ光景で、今の俺にとってはあまりにも普通のことだった。
それでいて淡々としたつまらないものではなく、毎日が発見と変容に満ちている――飽きさせない日々とも言える。
朝食を家族みんなで食べ終わり身支度を整えて、現役高校生な俺はいざ学校へと向かう。
そう、これまた普通のことで、いつも通りのことだ。
そんなありふれた道すがら、
「おっはよー、ユウジっ」「おはよう、ユウジ!」「おはよーっす」
友人達――俺はそれを”いつものメンバー”と呼んでいる、彼らが各々(おのおの)に特徴をもった挨拶をしてくる。
途中で合流する彼らの挨拶からも分かる、元気さに俺も「うん、いつも通りだ」と内心思いつつも友人と話しながら通学路を歩いて行けば、あっという間に学校へと辿り着く。
「おはようございます、ユウジ様」
「姫城さん、おはよー」
「おはー、下之くん」
「おはー」
女生徒二人とも遭遇、この二人もいつものメンバーだ。
クラスメイトな彼女達にも挨拶し、そんな訳で挨拶から、決まり事のようにこの日常は始まって行く――
まず話しかけてくるのはグルグル眼鏡の……女子? と疑問に思う程に色気の欠片も無い、悪友的ポジションの彼女だ。
「それで、ユウジ。来期のアニメをどう思う?」
「んー、期待薄?」
「そんなにネガティブじゃダメだぞ! アタシはダークホース狙いだ」
「お前もちょっと諦めてるじゃねーか!」
そんなオタク臭い会話の中で、いつも通りのボケをかますコイツにツッコミを入れると今度は背中までかかる髪をヘアゴムで束ねた黒色ポニーテールをひょこひょこと上下に揺らした彼女がやってくる。
「ねー、ユウジー! あのバラエティどうだったー?」
「うーん、演出が微妙かな」
「評論家気取り!?」
「というのは冗談で、あのマツダの顔芸は笑った」
「あー、分かる分かる!」
そんな他愛のない会話で盛り上がる、これもいつも通り。
会話がふいに途切れるそんなタイミングを狙ったかのように、別のどうやったらそこまで手入れが行き届くのだろうと言わんばかりの長く綺麗な黒髪を持った女子生徒もやってくる。
「そういえばユウジ様、突然なのですが……どんな食べ物が好きですか?」
「南部せんべい」(※青森県八戸辺りで食べられる小麦粉で出来たせんべい)
「な、なんぶせんべい――ダメですっ、私には作れません……」
「からあげ?」
「……頑張ります!」
少しからかうように彼女の問いに答えると、今度は活発よろしくぴょこぴょこと跳ねるようにやってくるクラスメイトな女子。
「あー、下之くん。そんな君の下の具合はどう?」
「開口一番下ネタはどうなんだ、愛坂よ」
「自分はそれがデフォルトなのだ」
「仮にも女子だろうに……」
「で、答えはどう? 自分が元気にしたあげた方がいい?」
「答えは”スルー”でいいか?」
そんないつも通りの学校での日常を終えて。今日の授業が終わって、いつも通りに帰宅すると。なんとも可愛らしい彼女がお出迎えをしてくれる。
「おかえりーユウジさん」
「ただいまー」
「ご飯にする、それともご飯にする? それともは・く・ま・い?」
「最後は炊けてないのが出てくるのか……で、そのギャグは誰が?」
「桐だよ?」
不思議そうに、本当にその言葉の流れの意味を知らないように首を傾げる可愛らしい彼女を横目に、駆け足で我が家の二階へと続く階段を駆け上がり、あるヤツの部屋の扉を勢いよく開け放つ。
「おい、桐っ」
「ふぉ!? わしの心と同じほどに固く閉ざされたわしの部屋の扉をそれほど容易く開けてしまうじゃと!」
「嘘付け。お前の心の扉なんぞ解放状態どころか、扉なんぞないだろうに」
「……それで何用じゃ? 写真の整理で忙しいのじゃが」
「お前ホニさんに……って、なんだその写真!? 俺ばっかじゃねーか! よこせ――」
これがいつも通りの日常になっている……え、お前の周りの女比率が異様に高くないかって?
そりゃそうだ……このいつも通りの日常には日常とはかけ離れた”ギャルゲー”という非日常が今までの日常とそれぞれを消し合うことなく溶け込んでいるからな。
そう”あるゲーム”を買ったあの日から全ては始まった。それから俺の日々は恐ろしいぐらいに変貌を遂げた――
* *
とあるゲームを俺は買った。
「800円だから買ってはみたものの」
確実にスペックから見てクソゲーだった。 絵が良くても買わないでおけばよかったと心から思うね。
ほぼ新品の中古品のPCゲームとしては破格とはいえ、800円は貧乏な学生にとって後々影響が出てくるかもしれない
ということでそのゲームを簡単に紹介。
パソコンゲーム(全年齢対象)で一年ほど前に出たものだ。
『タイトル Ruriiro Days 〜キャベツとヤシガニ〜』
この見て驚きの地雷臭プンプンなタイトル。
知る人は知っているかなり危ういタイトルが混じっていたりとヒヤヒヤ。とりあえずは言葉の組み合わせ方にセンスの欠片がないぞ。
『ジャンル 恋愛・泣き・アクション・ファンタジー・RPG・パズル』
制作者浮気し過ぎだろう、で何がしたいんだ。明らかにジャンルを詰め込みまくっている。
その中でかなり浮いてるのがパズルで――恋愛やらアクションのどこにパズルの要素があるのか、疑問でならない。
更にソフト重いだろ、これ! 古いノートパソコンなら即死亡レベルじゃねえか!
こんなクソゲーに数ギガバイトも使われるとなると……一通りやったら速攻消そう。とりあえずパソコンにディスクを入れてっと。
「!?」
思わず驚いてしまった。
かなりの速さでダイアログが何重にも表示され画面を埋め尽くして行くのだ。
一言で言おう。
「バグりやがった……」
ダイアログには「環境のスキャン」という謎の言葉が無数のダイアログに表示された。
「なんだよ……」
そうするとダイアログの言葉が一斉に書き換えられていった。
『スキャンが完了しました、このまま作業を続行する場合”OK”をクリックしてください』
隣にある「キャンセル」を押しても反応しないという……というか更にダイアログが10個ほど増えたのだが。
喧嘩売ってるだろ、このゲーム。
結局OK押すしか選択肢ないじゃん。しかしまぁこのままダイアログばっかだと色々嫌だなぁ……仕方ない押すか。
「ほいっと」
OKを押した途端にダイアログが消えてゆく。
「おお」
次第にかつてのデスクトップの壁紙の色が見え始め、最後の一つを残して消えた。
しかしその最後のダイアログは今までとは全く別の言葉が表示されていたのだった。
『世界浸透化の準備が整いました、よろしければ”スタート”をクリックしてください』
「前振りにしては長すぎだろ」
世界浸透化というのは何かこのゲームのキーワードだろう。
流石クソゲー。ゲームスタートまでのその瞬間までヒヤヒヤさせやがって!
こうなったら徹底的にゲーム攻略してやる!
俺は迷わず”スタート”をマウスのカーソルでクリックした。その時だ。
「うわっ」
パソコンから突然発せられた白い光、それに俺含む部屋全体が包まれていた。
眩しすぎて辺りの状況を把握できない、しばらくすると光は弱くなっていくが――
俺に見える風景はかつてと違っていた。
「え?」
自分の部屋がいつの間にか消えていた。
さっきまであった家具も時計もテレビゲーム機も、光を発したマイパソコンも消えた。
今はどこが壁でどこが天井か、どこからが床ががわからない永延と純白に染められた空間が支配している。
「どうなってんだ……」
そう呟くと。 それに答えるように。
「世界の浸透化が完了、これより具現化します」
白い世界の壁も何もない場所に表示された文字。
しばらくして文字が左から順に消えていき最後の文字が消えたその瞬間――
また眩しい光が俺に襲いかかり、俺は思わず眼を瞑ってしまった。
しばらくして、視界の外から光が弱まっているのが分かった。そして恐る恐るながら目をゆっくりと開いてみると……
「?」
そこには見慣れた景色が、部屋があった。家具もテレビゲーム機もパソコンも平然と置いてある。
「今のはなんだったんだ?」
呟く、なんだ何も変わって無いじゃんと。現時点では、そう思っていたのだが……
「ユウジー遅刻するよー」
「え」
聞いたことのない女子の声が、俺の名前を呼んでいたのだ。
■作者メッセージ
ストックはアト200話ほどあるのでちまちま更新していきますー