2-12 俺達の戦いはこれから、だと思ったら既に始まっていた。
よう、ユウジだ。
どうやら首への衝撃から記憶が途絶えていることから察するにやはり俺は拉致られてしまったようだ。
そして現在、暗闇の中に居る。ついでに身動きが一切とれず何かに座っているようだ。仕舞いには手足に縄が巻きつけられている上口には布が巻かれている。
なんとも分かりやすい最悪の状態だ。
何故こんなことにって? こっちが聞きたいぐらいだ。全然身に覚えがないぞ。
そんな困惑に塗れていた頃、突然俺の視界に光が飛び込んできた。
「(うお、まぶしっ)」
いきなり目の前が明るくなった。その突然さに目を瞑ってしまう。しかしいつまでも眼を瞑っていても仕方ないので、ゆっくりと恐る恐る目を開け辺りを見渡すと――
「(教室では……無さそうだな)」
長いテーブルとパイプイスが何台も壁に立て掛けられ、窓には白いブラインド。学校には違いないと思う……というか信じたい! 普通の教室とは雰囲気が多少異なった印象がある。
そう、ここは何処か思考していると。
「こんにちは、下之ユウジ君」
かつて無音だった空間に響く、女性の高い声。そして、その声の主は目の前に居た。
「ようこそ」
「…………え?」
ご、ごほん。状況説明を開始する。
学校内の謎の部屋。そこの中心辺りにパイプイスが置かれ、そのパイプイスに俺は座り手と足を縛られ縄で口当たりを布で覆われている。
ここまでは今までの状況だ。今度は新情報だ。
目の前に居るのは大層な美少女だった。
しかし本当の”少女”だ。少女は深紅のごとし赤く短い髪を纏い。その赤髪からチョンと出るアホ毛。 そしてなにより目立つのは
座っていてもわかる背の小ささ。というか全体的に幼い感じがするその容姿や醸し出す空気。声も凄い高いし。
「下之君にはあるテストを受けてもらうよ」
文章体でみたらかなり迫力があるようにも思えるが、声を聞くとあら不思議。高い声のせいでいまいち迫力が出ていない。
「では第一問」
っ! 問題!? というか、口塞がれてるんですけどっ!
「ほい! わへ! ひっはいほうひうほほはよ!(おい! 待て! 一体どういうことだよ!)
「え? 今なんて言ったの?」
布のせいで素で聞こえないようだ。
「ほひはへす、ほへはすせ(とりあえず、これ外せ!)」
「あー……ごめん。戸夏頼むよ」
「おう!」
コナツと呼ばれ答えたのは、先程怒号をかけた女子の声だった。そしてその女子が俺の口に巻かれた布を取る。
「さて、第一問です」
「いや、まてその前に聞きたいことが――」
「問おう、あなたが私のマスターか」
「それを問うのか!?」
「それは冗談として」
「Q.1 あなたの名前は?」
「A.ええ、Q&A方式? ……下之ユウジ」
「Q.2 趣味は? 正直に答えてね」
「A. ……アニメ鑑賞」
「Q.3 好きなアニメは?」
「A. うたわれ●もの。」
「Q.4 あれいいよね! そこでドラゴ○ボールとか言わないことに感動だね!」
「A. いや、何の話だよ」
「Q.5 私はTo〇eart2 ova が好きっ!」
「A. 聞いてないし、もうQ&Aの意味成してないぞー!」
「Q.6 ごほん、生徒会の●存って知ってる?」
「A. 一応はわかるけども、何の意味で今聞いたしっ!?」
「Q.7 この学校の良いところ」
「A. いきなりそれっぽくなったな、スイッチの切り替えはええ……明るくて、団結力があることか?」
「Q.8 知沙『ふふ、一年の癖によく知った口が叩けるもの』」
「A. ねぇ! なんで聞いた!? というか誰!?」
「Q.9 私たち生徒会の役員志望理由は?」
「A. せいとかい?」
「Q.10 うん、生徒会」
「A. 生徒会……」
生徒会……ねぇ。
『私の入ってる生徒会に入って!』(姉貴発言)
「(姉貴かっ!?)」
「A. いや、志望してないんだけど。」
「Q.11 美奈から推薦があったから、大丈夫!」
「姉貴ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
「Q.12 はわっ!? ビックリしたぁ」
「A. ホントに俺、生徒会に入る気全くないんだけどっ!」
「安心して下之君」
「(あ、Q&A終わった)いや、何がですか」
「役員試験には見事合格よ!」
「へ?」
「合格っ!」
「えええええええええええ!? 話聞いてます!?」
意味不明な、謎展開。ええ? 生徒会?