静動 1
太陽が沈んでいく夢を見た
街には火の手が上がり、人々の怒号と悲鳴が一つまた一つと消えていく
ソレを行っているのは、黒のコートを纏った一団
それぞれの得物には鎖で繋がれた飾りが付いている
一目で俺はソレが伝説に書かれていた武器、キーブレードだと理解した
なぜ理解出来たのか俺には分からない
けれど、俺の心が……魂がソレをキーブレードだと理解したんだ
一団の一人が俺に気づいた、得物は……身の程を越える大きさの剣
黄金のその刃が俺に向かって、振り下ろされる
刃が迫る、動けない
刃が迫る、それでも動けない
刃が迫る、そして……
「なぁ、大丈夫か?」
「っ!………………平気だ」
目を開いて、状況を確認する
眠っていた俺を心配そうに見つめる少年の名は……確か、ソラ
“あの男″からキーブレードを受け継いだ少年……と思っていたが、違ったらしい
彼の手には木を組み合わせて作られたチャチな出来のオモチャの剣
キーブレードを一時的にだが使える程の心の強さを持つ少年だ
「嘘つくなよ!だって、さっきまでスンゴイ唸ってたんだぜ……悪い夢でも見てたのか?」
「……お前に夢の内容を一々言わなくちゃならん法でもあるのか?」
「そんな言い方しなくてもいいだろ!オレは【エンサ】が心配で」
話を最後まで聞いてやる義理はない
壁の本棚にもたれ掛かっていた身体を起こし、ついでとばかりに【ワイヤーブレード】を近付いてきた【ハートレス】に投げつける
片刃の刃の無い面に攻撃を受けるための凹凸のついたその短剣は【ハートレス】に突き刺さると一撃でソイツを霧散させた
手を軽く捻れば、短剣の持ち手に付いたワイヤーを通して俺の動きが伝わり、俺の手に舞い戻る
「お喋りは終わりだ、鍵の小僧……客の出迎えに来た奴らを追い返してやろう」
「うわっ、いつの間にか囲まれてる……」
かつての【輝ける庭】も落ちたものだ
俺たちがいるのは世界を渡り、悪を為す魔女【マレフィセント】の居城にして“奴ら″の一人がいる筈の世界
【ホロウバスティオン】
幾度か“彼女″への借りで手助けをしてやったこの鍵の小僧と鉢合わせるとは思わなんだが、そういう因縁でもあるのだろう
「【ファイア】!!テイ!ヤァ!」
手のひらサイズの火球が黒い影のような【ハートレス】を一体燃やし、その背後から回し蹴りをしながら襲い掛かる【ハートレス】を落ち着いてオモチャの剣で迎撃し、一撃を加える
まだ子供だが、既に闘う者としてはそれなりに経験を積んできたのだろう
しかし、数が多い
跳んだりしゃがんだり、時には受け止めたりして攻撃を捌いているが……そろそろ限界だな
「鍵の小僧三秒後に下がれ、いいな?」
「へっ?ちょ、ま」
「《我、魂の枷を取り払わん。零となりて世界を見下ろせ》【ゼロ・グラビガ】」
瞬間、【ハートレス】たちは無様にもクルクルと回りながら宙に浮かんだ
必死に無重力の力場から離れようとモガくがその手足は宙を掻くだけだ
間一髪、無重力の檻から逃れた鍵の小僧が恨めしげに睨むがしったことじゃあない
「闘技【ソニックレイヴ・マサクル】」
両の手より放たれた【ワイヤーブレード】、その数は八
その刃は飢えた野犬の群れのように【ハートレス】たちの身体を切り刻む
八本の短剣が何度も何度も空を舞う……やがて、【ハートレス】たちは一匹残らず消え去ってしまった
「うわぁ……って、なんでもっと早く助けてくれなかったんだよ!」
「お前は俺に助けられなければ闘えないのか?」
ギリギリまで一人で闘わせ、手助けをする
コイツの力を延ばすためでもあり……俺を闘わせないための措置だ
こんな雑魚【ハートレス】を相手にするのは面倒だからな
【ワイヤーブレード】をマントの中に仕舞い、俺は歩く
後ろから小さな足音がついてくるのが聞こえる
この城に、奴らへの手掛かりが……
街には火の手が上がり、人々の怒号と悲鳴が一つまた一つと消えていく
ソレを行っているのは、黒のコートを纏った一団
それぞれの得物には鎖で繋がれた飾りが付いている
一目で俺はソレが伝説に書かれていた武器、キーブレードだと理解した
なぜ理解出来たのか俺には分からない
けれど、俺の心が……魂がソレをキーブレードだと理解したんだ
一団の一人が俺に気づいた、得物は……身の程を越える大きさの剣
黄金のその刃が俺に向かって、振り下ろされる
刃が迫る、動けない
刃が迫る、それでも動けない
刃が迫る、そして……
「なぁ、大丈夫か?」
「っ!………………平気だ」
目を開いて、状況を確認する
眠っていた俺を心配そうに見つめる少年の名は……確か、ソラ
“あの男″からキーブレードを受け継いだ少年……と思っていたが、違ったらしい
彼の手には木を組み合わせて作られたチャチな出来のオモチャの剣
キーブレードを一時的にだが使える程の心の強さを持つ少年だ
「嘘つくなよ!だって、さっきまでスンゴイ唸ってたんだぜ……悪い夢でも見てたのか?」
「……お前に夢の内容を一々言わなくちゃならん法でもあるのか?」
「そんな言い方しなくてもいいだろ!オレは【エンサ】が心配で」
話を最後まで聞いてやる義理はない
壁の本棚にもたれ掛かっていた身体を起こし、ついでとばかりに【ワイヤーブレード】を近付いてきた【ハートレス】に投げつける
片刃の刃の無い面に攻撃を受けるための凹凸のついたその短剣は【ハートレス】に突き刺さると一撃でソイツを霧散させた
手を軽く捻れば、短剣の持ち手に付いたワイヤーを通して俺の動きが伝わり、俺の手に舞い戻る
「お喋りは終わりだ、鍵の小僧……客の出迎えに来た奴らを追い返してやろう」
「うわっ、いつの間にか囲まれてる……」
かつての【輝ける庭】も落ちたものだ
俺たちがいるのは世界を渡り、悪を為す魔女【マレフィセント】の居城にして“奴ら″の一人がいる筈の世界
【ホロウバスティオン】
幾度か“彼女″への借りで手助けをしてやったこの鍵の小僧と鉢合わせるとは思わなんだが、そういう因縁でもあるのだろう
「【ファイア】!!テイ!ヤァ!」
手のひらサイズの火球が黒い影のような【ハートレス】を一体燃やし、その背後から回し蹴りをしながら襲い掛かる【ハートレス】を落ち着いてオモチャの剣で迎撃し、一撃を加える
まだ子供だが、既に闘う者としてはそれなりに経験を積んできたのだろう
しかし、数が多い
跳んだりしゃがんだり、時には受け止めたりして攻撃を捌いているが……そろそろ限界だな
「鍵の小僧三秒後に下がれ、いいな?」
「へっ?ちょ、ま」
「《我、魂の枷を取り払わん。零となりて世界を見下ろせ》【ゼロ・グラビガ】」
瞬間、【ハートレス】たちは無様にもクルクルと回りながら宙に浮かんだ
必死に無重力の力場から離れようとモガくがその手足は宙を掻くだけだ
間一髪、無重力の檻から逃れた鍵の小僧が恨めしげに睨むがしったことじゃあない
「闘技【ソニックレイヴ・マサクル】」
両の手より放たれた【ワイヤーブレード】、その数は八
その刃は飢えた野犬の群れのように【ハートレス】たちの身体を切り刻む
八本の短剣が何度も何度も空を舞う……やがて、【ハートレス】たちは一匹残らず消え去ってしまった
「うわぁ……って、なんでもっと早く助けてくれなかったんだよ!」
「お前は俺に助けられなければ闘えないのか?」
ギリギリまで一人で闘わせ、手助けをする
コイツの力を延ばすためでもあり……俺を闘わせないための措置だ
こんな雑魚【ハートレス】を相手にするのは面倒だからな
【ワイヤーブレード】をマントの中に仕舞い、俺は歩く
後ろから小さな足音がついてくるのが聞こえる
この城に、奴らへの手掛かりが……
■作者メッセージ
いきなり、ホロウ・バスティオンです(´・ω・`)
【エンサ】はKH2の王様みたいに【ソラ】を今まで、手助けしていたのだと脳内で補完して下さい
【エンサ】はKH2の王様みたいに【ソラ】を今まで、手助けしていたのだと脳内で補完して下さい