ドラゴンクエスト+α 闇を切り裂く者
序章 二人はいつものようにケーリーの父の有する羊のいる山の、ふもとにある草原にいた。 カン 、カン 乾いた音が辺りに響く。 「どうしたルーク。動きが鈍ってるぞ!!」 そこには、その辺の木の太めの枝を削って作られた、少々いびつな形の木刀を持った少年が二人いた。 「っ、!!ケーリー、少しぐらい手加減しろ、よッ!!」 ルークがケーリーの剣をはじいてその反動で大きく飛びずさり距離を取る。 「獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くすんだ。まぁそこまで言わないが、お前はさしずめ子犬。俺は狼ぐらいかな」 ケーリーが余裕の笑みで剣を構え直す。 ダッ 再び乾いた音が鳴り響いた。その音はしばらくは止むことはなく続いた。 しばらくして日も傾いた頃、ふたりは村に戻っていった。 −何が起こったんだろう? 家がない。 空が赤い。− 二人は立ちつくしていた。 誰もいない。何もない。そんな光景が目の前に広がった。 おや、何かが光った? 二人は同じ場所を見ている。 お互いは視界には入っていない。しかし、同じ場所を見ているのが分かる。 不思議な感覚だった。 何もない場所に何かがある気がした。 二人は歩いて行く。その場所へ。 二人の足が止まる。その場所には、何もない。 何もないはずなのに、二人の手が伸びる。 ケーリーが手を伸ばした先には暗い世界が、 ルークの手の先には元の村があった。 ルークはそれを手に入れると、辺りを見回す。 そこには誰もいなかった。 いるのは自分。あるのは剣。 他には何もなかった。 |
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