プロローグ『旅立ち前の物語』 4
朝の陽射しが輝く中、今日もファブレ邸では二つの剣の金属音が鳴り響く。
それはファブレ家での、いつもの日常だった。
「瞬迅剣!」
「おっ…!?」
レイノス・フォン・ファブレの鋭い突きが、ルーク・フォン・ファブレに向けて放たれる。
ルークはそれを剣で防ぐが、直後に驚いた様子を見せる。
「…レイノス。しばらく見ないうちに随分強くなってるじゃねえか」
「…いや、まだまだだよ」
ここ数か月稽古をつけてきたルークは、レイノスがしばらく見ないうちに強くなっていることに感嘆の声を上げる。
しかしレイノスは、父の言葉に喜ぶ様子は見せずまだまだだと自分の力を評す。
「旅をしてみて分かったんだ。外には、強い魔物や人が沢山いるって。それに今は…越えたい奴がいるからな。こんなところで満足なんてしてられない」
「越えたいって…元神託の盾騎士団特務師団師団長、セネリオ・バークハルスの事か?」
スクルドを連れ戻した後、レイノスとスクルドは両親にセネリオの事を話した。
ルークもティアも初めは半信半疑であった。
しかし、スクルド誘拐への関与に関して疑いをもたれていたフォルクス・ソレイユの存在もあり、クラノスへの疑惑は強くなることとなった。
レイノスとその旅の仲間の証言からフォルクスの関与は明らかだったが、彼の上司である主席総長クラノス・グラディウスはこれをフォルクスの単独犯でありオラクルは関わっていないと発表した。
そして、その後数か月経ってからフォルクスは突然謎の死を遂げ、彼の死から間もなく新たな第三師団師団長が六神将として任命されたのだ。
フォルクスは牢から脱走後逃げきれないことを悟って自害したというが、これも妙な話だった。
何故ならフォルクスには変装能力があるのだ。
一度牢から出てしまえば逃げることなどそう難しくはないはずだ。
それにレイノス達は、フォルクス・ソレイユという男のしつこさ・図太さをよく知っていた為、そんな彼がオラクル兵に見つかったくらいであっさりと諦めるような性格とは思えなかった。
とまあ、そんな余談はともかく、今はセネリオの話だ。
彼は、今のレイノスにとっての目標であった。
「俺より少し年上なだけなのに、あんだけ強い奴がいるなんてびっくりだった。俺は…あいつに勝ちたい」
「…そっか、まあ頑張れよ」
「おう!その為にもまずは親父!あんたを倒して見せるぜ!」
「なめんな!まだまだお前なんかに遅れを取ってたまるかよ!」
そんな感じで朝の稽古を終えて、朝食を食べ終わると、
「レイノス様」
使用人がレイノスに声をかけてきた。
「どうした?」
「はい、マルクト軍元帥ジェイド・カーティス様からお手紙が届いております」
「ジェイドさんが俺に?」
ジェイドは両親であるルークやティアと同じく、22年前の預言大戦の英雄だ。
ルークやティアならともかく、自分あての手紙とはどういう事だろうか。
ともかく、使用人から手紙を受け取るとレイノスは手紙を読んだ。
内容は、簡潔なものだった。
『確かめたいことがあります。グランコクマへ至急来てください
マルクト軍元帥 ジェイド・カーティス』
レイノスは、すぐに両親に手紙を見せた。
二人は引きつった笑みを浮かべながら言った。
「ジェイドの呼び出しとか、嫌な予感しかしねえんだけど…」
「ま、まあカーティス大佐…じゃなくてカーティス元帥にも何かお考えがあるのよ。とにかく、行ってみるしかないと思うわ」
「まあそうだよな。来なかったら来なかったで、碌なことになりそうにないし…」
両親の言葉に思いっきり嫌な予感を感じながら、ともかく数日後、レイノスは両親と妹のスクルドをともなってグランコクマへと向かった。
〜グランコクマ行の船中にて〜
「リンさん元気かなあ、楽しみだねお兄ちゃん!」
ニコニコと笑みを浮かべながらそういうのはレイノスの妹、スクルド・フォン・ファブレだ。
数か月前まで賊に誘拐されていたのだが、レイノス達によって救出され無事に戻ってきた。
前述のセネリオに一目ぼれし、最近は彼の話ばかりするのでレイノスも少し辟易としている。
「べ、別にアイツに会いに行くわけじゃないだろ。俺はジェイド元帥に呼ばれたからグランコクマに行くわけで」
「どの道リンさん達のお屋敷でしばらくお世話になるんだから同じことじゃない」
「そ、そうだけどよ…」
リンとはレイノスやスクルドの幼馴染の少女で、正確な名前はリンディス・ガラン・ガルディオスだ。
レイノスは、旅を終えて別れる前にリンとちょっとした事があり、なんとなく会うことに気まずさを覚えていた。
「お兄ちゃん、もうあれから数か月だよ?いつまでそんなにオドオドしてるわけ?」
「い、いや、そんなこといってもよ、あの旅以降に会うのは初めてだし…」
「はあ、全くお兄ちゃんはそういうとこダメダメなんだから…」
そんなこんなでファブレ一家は、グランコクマへたどり着いた。
それはファブレ家での、いつもの日常だった。
「瞬迅剣!」
「おっ…!?」
レイノス・フォン・ファブレの鋭い突きが、ルーク・フォン・ファブレに向けて放たれる。
ルークはそれを剣で防ぐが、直後に驚いた様子を見せる。
「…レイノス。しばらく見ないうちに随分強くなってるじゃねえか」
「…いや、まだまだだよ」
ここ数か月稽古をつけてきたルークは、レイノスがしばらく見ないうちに強くなっていることに感嘆の声を上げる。
しかしレイノスは、父の言葉に喜ぶ様子は見せずまだまだだと自分の力を評す。
「旅をしてみて分かったんだ。外には、強い魔物や人が沢山いるって。それに今は…越えたい奴がいるからな。こんなところで満足なんてしてられない」
「越えたいって…元神託の盾騎士団特務師団師団長、セネリオ・バークハルスの事か?」
スクルドを連れ戻した後、レイノスとスクルドは両親にセネリオの事を話した。
ルークもティアも初めは半信半疑であった。
しかし、スクルド誘拐への関与に関して疑いをもたれていたフォルクス・ソレイユの存在もあり、クラノスへの疑惑は強くなることとなった。
レイノスとその旅の仲間の証言からフォルクスの関与は明らかだったが、彼の上司である主席総長クラノス・グラディウスはこれをフォルクスの単独犯でありオラクルは関わっていないと発表した。
そして、その後数か月経ってからフォルクスは突然謎の死を遂げ、彼の死から間もなく新たな第三師団師団長が六神将として任命されたのだ。
フォルクスは牢から脱走後逃げきれないことを悟って自害したというが、これも妙な話だった。
何故ならフォルクスには変装能力があるのだ。
一度牢から出てしまえば逃げることなどそう難しくはないはずだ。
それにレイノス達は、フォルクス・ソレイユという男のしつこさ・図太さをよく知っていた為、そんな彼がオラクル兵に見つかったくらいであっさりと諦めるような性格とは思えなかった。
とまあ、そんな余談はともかく、今はセネリオの話だ。
彼は、今のレイノスにとっての目標であった。
「俺より少し年上なだけなのに、あんだけ強い奴がいるなんてびっくりだった。俺は…あいつに勝ちたい」
「…そっか、まあ頑張れよ」
「おう!その為にもまずは親父!あんたを倒して見せるぜ!」
「なめんな!まだまだお前なんかに遅れを取ってたまるかよ!」
そんな感じで朝の稽古を終えて、朝食を食べ終わると、
「レイノス様」
使用人がレイノスに声をかけてきた。
「どうした?」
「はい、マルクト軍元帥ジェイド・カーティス様からお手紙が届いております」
「ジェイドさんが俺に?」
ジェイドは両親であるルークやティアと同じく、22年前の預言大戦の英雄だ。
ルークやティアならともかく、自分あての手紙とはどういう事だろうか。
ともかく、使用人から手紙を受け取るとレイノスは手紙を読んだ。
内容は、簡潔なものだった。
『確かめたいことがあります。グランコクマへ至急来てください
マルクト軍元帥 ジェイド・カーティス』
レイノスは、すぐに両親に手紙を見せた。
二人は引きつった笑みを浮かべながら言った。
「ジェイドの呼び出しとか、嫌な予感しかしねえんだけど…」
「ま、まあカーティス大佐…じゃなくてカーティス元帥にも何かお考えがあるのよ。とにかく、行ってみるしかないと思うわ」
「まあそうだよな。来なかったら来なかったで、碌なことになりそうにないし…」
両親の言葉に思いっきり嫌な予感を感じながら、ともかく数日後、レイノスは両親と妹のスクルドをともなってグランコクマへと向かった。
〜グランコクマ行の船中にて〜
「リンさん元気かなあ、楽しみだねお兄ちゃん!」
ニコニコと笑みを浮かべながらそういうのはレイノスの妹、スクルド・フォン・ファブレだ。
数か月前まで賊に誘拐されていたのだが、レイノス達によって救出され無事に戻ってきた。
前述のセネリオに一目ぼれし、最近は彼の話ばかりするのでレイノスも少し辟易としている。
「べ、別にアイツに会いに行くわけじゃないだろ。俺はジェイド元帥に呼ばれたからグランコクマに行くわけで」
「どの道リンさん達のお屋敷でしばらくお世話になるんだから同じことじゃない」
「そ、そうだけどよ…」
リンとはレイノスやスクルドの幼馴染の少女で、正確な名前はリンディス・ガラン・ガルディオスだ。
レイノスは、旅を終えて別れる前にリンとちょっとした事があり、なんとなく会うことに気まずさを覚えていた。
「お兄ちゃん、もうあれから数か月だよ?いつまでそんなにオドオドしてるわけ?」
「い、いや、そんなこといってもよ、あの旅以降に会うのは初めてだし…」
「はあ、全くお兄ちゃんはそういうとこダメダメなんだから…」
そんなこんなでファブレ一家は、グランコクマへたどり着いた。
■作者メッセージ
プロローグだけで結構かかりそうだなあ
なるべく早く本編に向かいたいところですが、設定や展開についてまだまだ練り段階なところがあるのでまだまだ遅速なペースになるかと思います
なるべく早く本編に向かいたいところですが、設定や展開についてまだまだ練り段階なところがあるのでまだまだ遅速なペースになるかと思います