第3章『土煙の小人』 6
戦闘が開始された直後、ルージェニアは詠唱を開始する。
レイノスは彼に向けて走る。
「フリーズランサー」
「なっ!うあああああ!」
複数の氷の槍がレイノス目がけて襲ってくる。
予想以上の速さで詠唱を終えたルージェニアの譜術にレイノスは対応できず、まともに食らってしまう。
「は、速い!それにすげえ威力だ」
レイノスは、敵の詠唱の速さと術の強力さに驚きを隠せないようだった。
あれほど短い詠唱で、これほどの強力な術を行使するとは…
「はああああ!」
ルージェニアが術を使用した直後、セネリオが動く。
彼は、相手の詠唱が終わった直後の隙を狙って仕掛ける気でいたようだ。
「遅いよ、セネリオ」
向かってきたセネリオの剣を、槍で受け止めるルージェニア。
そんな彼の背後に、もう一つの影が姿を現した。
「二人がかりなら!」
影の正体、それはクノンだった。
セネリオとクノン、二人を相手取ることになったルージェニア。
彼はリンのような術師タイプだと聞いているし、接近戦はそこまで得意ではないはず。
レイノスはそう考えたが、しかし現実はそうではなかった。
ルージェニアは、二人を相手にほとんど互角の戦いをしていたのだ。
「ブレイクシュート!」
「神雷招!」
ミステリアスの銃技とシノンの雷をまとったナイフが割り込むも、あっさりと回避して見せる。
そう、接近戦が得意ではないというのは、あくまで六神将の中での話。
彼の槍さばきは、レイノス達程度なら充分に相手取ることができるほどの技量を持ち合わせていたのだ。
「エクレールラルム!」
スクルドの詠唱で地面に十字の光が現れる。
さすがにセネリオ達を相手取って、かわしきることができなかったのか、まともに攻撃を食らってしまう。
味方識別(マーキング)によりそばにいたセネリオとクノンにはダメージはいかない。
しかしスクルドの術の光により視界を遮られ、二人はルージェニアの姿を見失ってしまっていた。
しかし、ルージェニアに隙が出来たのは事実。
ここぞとばかりに、レイノスとアルセリアがルージェニアに接近する。
「さっきのお返しだ!守護方陣!」
「遅い!」
地面からの光の方陣を跳躍で回避するルージェニア。
しかし彼らの攻撃はまだ終わらない。
「そこです!崩昇襲撃!」
「がああああ!」
空中からアルセリアの斧が叩きつけられる。
地面に身体を叩きつけられた後、さらにアルセリアは追撃で斧を振るってルージェニアの身体を吹き飛ばそうとするが、すぐに体勢を立て直したルージェはバックステップで攻撃を回避する。
「フレイムバースト!」
そこへリンが炎の譜術をルージェに向けて放つ。
「タービュランス!」
しかし、すぐにそれを察知したルージェニアは、一瞬で風の譜術を発生させて、リンの譜術の炎を霧散させてしまった。
そしてさらに詠唱を開始する。
セネリオとクノン、レイノスとアルセリアも阻止しようとするが、間に合わない。
「グラビティ!」
発動された譜術。
それは、前衛4人に向けて放たれた。
術を食らい、その場に倒れる4人。
しかし、ただダメージを受けただけではなかった。
「ぐ…なんだ!?」
「身体が重い…!」
立ち上がったレイノスとアルセリアは、身体の異常に気付く。
セネリオとクノンも口には出さないが同様のようだ。
「グラビティ…相手に過重を負わせ、動きを鈍くさせる譜術だ」
「ウグ…ボクと漆黒には厄介な術ダネ」
セネリオが今ルージェニアの使った譜術の説明をする。
その説明を聞いて、クノンが笑顔を見せつつも忌々しそうに呟く。
確かに、俊敏さが武器のセネリオとクノンにとって、今の状態は致命的だ。
「それでも…負けられるか」
「まだ…いけます!」
重い身体に耐えつつ、闘志を見せるレイノスとアルセリア。
しかしルージェニアは、そんな彼らに眼中はないようだった。
「悪いけど、動きの鈍くなった君達は、相手取るまでもない。だから…」
そういうとルージェニアは、レイノス達の横を通り過ぎ、リンたちのいる後衛陣に向けて走り出した。
「こっちを狙わせてもらうよ!」
後衛に狙いをつけて走り出すルージェニア。
セネリオとクノンを相手に互角以上の戦いをする彼なら、リンたち後衛を潰すのは朝飯前というものだろう。
「ちっ!させるかよ!ツインバレット!」
ミステリアスが銃弾をぶつけようと試みるが、ルージェニアはそれをあっさり回避して近づいていく。
そして、リンたちの目前まで近づいたその時、
「みゅみゅーっ!」
「なっ!?」
突如、地面から現れたチーグル。
そのチーグル、ハノンは地面から現れると、ルージェに向けて体当たりしてきた。
不意をうたれ、ルージェニアはハノンの攻撃をまともにくらってのけぞる。
「今よ!サンダーブレード!」
ルージェニアがのけぞった隙をついて、リンが譜術を発動させる。
雷の剣が、叩きつけられる。
「スパイラルショット!」
そこへ更にミステリアスの風の弾丸がルージェニアに命中する。
二人の技と術により、発生する緑色のFOF。
――FOF変化――
「トリニティスパーク!」
緑色のFOFを利用したスクルドの譜術が、さらに追撃をかけた。
「グッ…よくもやってくれたね」
不意打ちから連続攻撃を受け、ルージェニアは怒りの形相で立ち上がった。
後ろからは、レイノス達前衛組がこちらに向かってきている。
しかしその速度は、グラビティの効果により遅い。
「エクスプロード」
そんな前衛4人に対し、無慈悲に譜術でまとめて攻撃する。
動きが鈍くなった彼らにそれを回避する力などなく、灼熱の炎を受けて前衛4人は倒れる。
彼らが倒れたのを見届けると、改めてルージェニアは後衛たちに向き直る。
「さっきは不意打ちで下手をうったけど、今度こそ君たちを倒させてもらう」
そういってルージェニアはその小さな身体には不似合いな長い槍を構える。
彼女たちならば、接近戦で充分に制圧できる。
「そうは…させない。あなたなんかに、私達は倒されない」
ルージェニアの言葉に対して返されたのは、否定の言葉。
その言葉を紡いだ少女の名は、リンディス・ガラン・ガルディオス。
彼女の身体は、蒼白い光に包まれていた。
レイノスは彼に向けて走る。
「フリーズランサー」
「なっ!うあああああ!」
複数の氷の槍がレイノス目がけて襲ってくる。
予想以上の速さで詠唱を終えたルージェニアの譜術にレイノスは対応できず、まともに食らってしまう。
「は、速い!それにすげえ威力だ」
レイノスは、敵の詠唱の速さと術の強力さに驚きを隠せないようだった。
あれほど短い詠唱で、これほどの強力な術を行使するとは…
「はああああ!」
ルージェニアが術を使用した直後、セネリオが動く。
彼は、相手の詠唱が終わった直後の隙を狙って仕掛ける気でいたようだ。
「遅いよ、セネリオ」
向かってきたセネリオの剣を、槍で受け止めるルージェニア。
そんな彼の背後に、もう一つの影が姿を現した。
「二人がかりなら!」
影の正体、それはクノンだった。
セネリオとクノン、二人を相手取ることになったルージェニア。
彼はリンのような術師タイプだと聞いているし、接近戦はそこまで得意ではないはず。
レイノスはそう考えたが、しかし現実はそうではなかった。
ルージェニアは、二人を相手にほとんど互角の戦いをしていたのだ。
「ブレイクシュート!」
「神雷招!」
ミステリアスの銃技とシノンの雷をまとったナイフが割り込むも、あっさりと回避して見せる。
そう、接近戦が得意ではないというのは、あくまで六神将の中での話。
彼の槍さばきは、レイノス達程度なら充分に相手取ることができるほどの技量を持ち合わせていたのだ。
「エクレールラルム!」
スクルドの詠唱で地面に十字の光が現れる。
さすがにセネリオ達を相手取って、かわしきることができなかったのか、まともに攻撃を食らってしまう。
味方識別(マーキング)によりそばにいたセネリオとクノンにはダメージはいかない。
しかしスクルドの術の光により視界を遮られ、二人はルージェニアの姿を見失ってしまっていた。
しかし、ルージェニアに隙が出来たのは事実。
ここぞとばかりに、レイノスとアルセリアがルージェニアに接近する。
「さっきのお返しだ!守護方陣!」
「遅い!」
地面からの光の方陣を跳躍で回避するルージェニア。
しかし彼らの攻撃はまだ終わらない。
「そこです!崩昇襲撃!」
「がああああ!」
空中からアルセリアの斧が叩きつけられる。
地面に身体を叩きつけられた後、さらにアルセリアは追撃で斧を振るってルージェニアの身体を吹き飛ばそうとするが、すぐに体勢を立て直したルージェはバックステップで攻撃を回避する。
「フレイムバースト!」
そこへリンが炎の譜術をルージェに向けて放つ。
「タービュランス!」
しかし、すぐにそれを察知したルージェニアは、一瞬で風の譜術を発生させて、リンの譜術の炎を霧散させてしまった。
そしてさらに詠唱を開始する。
セネリオとクノン、レイノスとアルセリアも阻止しようとするが、間に合わない。
「グラビティ!」
発動された譜術。
それは、前衛4人に向けて放たれた。
術を食らい、その場に倒れる4人。
しかし、ただダメージを受けただけではなかった。
「ぐ…なんだ!?」
「身体が重い…!」
立ち上がったレイノスとアルセリアは、身体の異常に気付く。
セネリオとクノンも口には出さないが同様のようだ。
「グラビティ…相手に過重を負わせ、動きを鈍くさせる譜術だ」
「ウグ…ボクと漆黒には厄介な術ダネ」
セネリオが今ルージェニアの使った譜術の説明をする。
その説明を聞いて、クノンが笑顔を見せつつも忌々しそうに呟く。
確かに、俊敏さが武器のセネリオとクノンにとって、今の状態は致命的だ。
「それでも…負けられるか」
「まだ…いけます!」
重い身体に耐えつつ、闘志を見せるレイノスとアルセリア。
しかしルージェニアは、そんな彼らに眼中はないようだった。
「悪いけど、動きの鈍くなった君達は、相手取るまでもない。だから…」
そういうとルージェニアは、レイノス達の横を通り過ぎ、リンたちのいる後衛陣に向けて走り出した。
「こっちを狙わせてもらうよ!」
後衛に狙いをつけて走り出すルージェニア。
セネリオとクノンを相手に互角以上の戦いをする彼なら、リンたち後衛を潰すのは朝飯前というものだろう。
「ちっ!させるかよ!ツインバレット!」
ミステリアスが銃弾をぶつけようと試みるが、ルージェニアはそれをあっさり回避して近づいていく。
そして、リンたちの目前まで近づいたその時、
「みゅみゅーっ!」
「なっ!?」
突如、地面から現れたチーグル。
そのチーグル、ハノンは地面から現れると、ルージェに向けて体当たりしてきた。
不意をうたれ、ルージェニアはハノンの攻撃をまともにくらってのけぞる。
「今よ!サンダーブレード!」
ルージェニアがのけぞった隙をついて、リンが譜術を発動させる。
雷の剣が、叩きつけられる。
「スパイラルショット!」
そこへ更にミステリアスの風の弾丸がルージェニアに命中する。
二人の技と術により、発生する緑色のFOF。
――FOF変化――
「トリニティスパーク!」
緑色のFOFを利用したスクルドの譜術が、さらに追撃をかけた。
「グッ…よくもやってくれたね」
不意打ちから連続攻撃を受け、ルージェニアは怒りの形相で立ち上がった。
後ろからは、レイノス達前衛組がこちらに向かってきている。
しかしその速度は、グラビティの効果により遅い。
「エクスプロード」
そんな前衛4人に対し、無慈悲に譜術でまとめて攻撃する。
動きが鈍くなった彼らにそれを回避する力などなく、灼熱の炎を受けて前衛4人は倒れる。
彼らが倒れたのを見届けると、改めてルージェニアは後衛たちに向き直る。
「さっきは不意打ちで下手をうったけど、今度こそ君たちを倒させてもらう」
そういってルージェニアはその小さな身体には不似合いな長い槍を構える。
彼女たちならば、接近戦で充分に制圧できる。
「そうは…させない。あなたなんかに、私達は倒されない」
ルージェニアの言葉に対して返されたのは、否定の言葉。
その言葉を紡いだ少女の名は、リンディス・ガラン・ガルディオス。
彼女の身体は、蒼白い光に包まれていた。