第1章『漆黒の訪問者』 1
「お兄ちゃん、朝だよ。起きて」
「んん…もうちょい」
とある日の朝。
スクルド・フォン・ファブレは、兄であるレイノス・フォン・ファブレを起こそうとしていた。
レイノスは、早朝の訓練がある日はしっかりと目を覚ますのだが、そうでない日はなかなか起きてくれず、放っておくと昼まで寝てしまうのだ。
「レイノス、起きなさいよ!」
「むにゃ?リン…」
幼馴染の声が聞こえる。
リンもいるのか?今日やって来る予定はなかったはずだが…
「起きないと、キスしちゃうから♪」
「なっ、ななぁ!?」
慌ててがばっと起き上がるレイノス。
しかしそこにはリンはおらず、目の前にいるのは妹だけ。
「おはよう、お兄ちゃん」
「スクルド、お前な…」
どうやらリンの声だと思ったのは、声色を変えたスクルドだったらしい。
レイノスはジト目でスクルドを睨むが、スクルドはすました顔で受け流した。
妹の意地の悪さに溜息をつきながら、レイノスはともかく話をすることにした。
「もう飯の時間か?」
「ううん、朝食までは後1時間くらいあるかな」
「なんだよ、それならもう少し寝かせといてくれよ…」
早くに起こされたことを知ったレイノスは、スクルドに不平を漏らす。
「うーん、それがね、私達にお客さんなんだって」
「俺達に?こんな朝早くにか」
「うん、だから早く着替えて行こうよ」
レイノスの着替えが終わり、二人は応接室へ向かう。
そこには、父親であるルーク・フォン・ファブレと母親のティアと向かい合う人物がいた。
その人物は、黒い髪に黒い出で立ちをしていた。
その姿に、レイノスとスクルドは見覚えがあった。
「ようやく来たか」
その人物がレイノスとスクルドの方へ振り向いた。
やはりそれは、二人がよく知る人物であり…
「セネリオ!」
「セネリオさん!」
兄妹は、同時にその名を叫んだ。
「全く…お前達とお前達の親以外を人払いしていたからいいが、人の名前を大声で呼ぶな」
黒い出で立ちの人物――セネリオ・バークハルスは、いきなり自分の名前を叫んだ二人を咎める。
「ご、ごめんなさい、セネリオさん。セネリオさんは、世間的には指名手配犯なんでしたね」
スクルドが、謝る。
そう、このセネリオは元神託の盾騎士団であり、神託の盾の兵士を大量虐殺して逃亡した罪で指名手配されているのだ。
「それで突然やってきてどうしたんだ、セネ…」
「だから名前を呼ぶなレイノス」
「わ、悪い」
再び名前を呼びかけたレイノスをセネリオが止める。
「全く、この5か月で少しは賢くなったかと思ったが、とんだ期待外れだったようだ」
「な、なんだと!?」
馬鹿にされて怒るレイノスだったが、さすがにもう名前を呼ぶことはなかった。
「あ、頭はともかく、剣の腕は上がったぜ!今ならお前だってけちょんけちょんにしてやるぜ!」
「ほう、面白いことを言うな」
「セネリオ、勝負だ!」
「いいだろう…と言いたいところだが別に今日はお前の相手をするためにきたわけではない」
レイノスが挑発してくるが、セネリオはそれに乗ることはせず、話を本題に戻してきた。
「今日ここに来たのは他でもない…クラノスの目的が判明した」
「んん…もうちょい」
とある日の朝。
スクルド・フォン・ファブレは、兄であるレイノス・フォン・ファブレを起こそうとしていた。
レイノスは、早朝の訓練がある日はしっかりと目を覚ますのだが、そうでない日はなかなか起きてくれず、放っておくと昼まで寝てしまうのだ。
「レイノス、起きなさいよ!」
「むにゃ?リン…」
幼馴染の声が聞こえる。
リンもいるのか?今日やって来る予定はなかったはずだが…
「起きないと、キスしちゃうから♪」
「なっ、ななぁ!?」
慌ててがばっと起き上がるレイノス。
しかしそこにはリンはおらず、目の前にいるのは妹だけ。
「おはよう、お兄ちゃん」
「スクルド、お前な…」
どうやらリンの声だと思ったのは、声色を変えたスクルドだったらしい。
レイノスはジト目でスクルドを睨むが、スクルドはすました顔で受け流した。
妹の意地の悪さに溜息をつきながら、レイノスはともかく話をすることにした。
「もう飯の時間か?」
「ううん、朝食までは後1時間くらいあるかな」
「なんだよ、それならもう少し寝かせといてくれよ…」
早くに起こされたことを知ったレイノスは、スクルドに不平を漏らす。
「うーん、それがね、私達にお客さんなんだって」
「俺達に?こんな朝早くにか」
「うん、だから早く着替えて行こうよ」
レイノスの着替えが終わり、二人は応接室へ向かう。
そこには、父親であるルーク・フォン・ファブレと母親のティアと向かい合う人物がいた。
その人物は、黒い髪に黒い出で立ちをしていた。
その姿に、レイノスとスクルドは見覚えがあった。
「ようやく来たか」
その人物がレイノスとスクルドの方へ振り向いた。
やはりそれは、二人がよく知る人物であり…
「セネリオ!」
「セネリオさん!」
兄妹は、同時にその名を叫んだ。
「全く…お前達とお前達の親以外を人払いしていたからいいが、人の名前を大声で呼ぶな」
黒い出で立ちの人物――セネリオ・バークハルスは、いきなり自分の名前を叫んだ二人を咎める。
「ご、ごめんなさい、セネリオさん。セネリオさんは、世間的には指名手配犯なんでしたね」
スクルドが、謝る。
そう、このセネリオは元神託の盾騎士団であり、神託の盾の兵士を大量虐殺して逃亡した罪で指名手配されているのだ。
「それで突然やってきてどうしたんだ、セネ…」
「だから名前を呼ぶなレイノス」
「わ、悪い」
再び名前を呼びかけたレイノスをセネリオが止める。
「全く、この5か月で少しは賢くなったかと思ったが、とんだ期待外れだったようだ」
「な、なんだと!?」
馬鹿にされて怒るレイノスだったが、さすがにもう名前を呼ぶことはなかった。
「あ、頭はともかく、剣の腕は上がったぜ!今ならお前だってけちょんけちょんにしてやるぜ!」
「ほう、面白いことを言うな」
「セネリオ、勝負だ!」
「いいだろう…と言いたいところだが別に今日はお前の相手をするためにきたわけではない」
レイノスが挑発してくるが、セネリオはそれに乗ることはせず、話を本題に戻してきた。
「今日ここに来たのは他でもない…クラノスの目的が判明した」
■作者メッセージ
1か月ご無沙汰してましたが、これにてようやく本編開始です!
いやー、プロローグでやたら時間かけちゃってすみませんでした
次の更新がまたいつになるか分からないですが、なるべく早く投稿したいです
いやー、プロローグでやたら時間かけちゃってすみませんでした
次の更新がまたいつになるか分からないですが、なるべく早く投稿したいです