第2章『集いし仲間』 9
チーグルの森にて昼食を御馳走になったレイノス達は、シノン達一家と別れ、森を出てエンゲーブへと向かった。
エンゲーブにて宿をとり、一晩を過ごした翌日、渋るセネリオをリンが強引に女装させ、シノンを迎えに行くことになった。
「てかサ、もしかしてお嬢様、女装の着替えのトキにいつも漆黒の裸見てるワケ?」
「そんなわけないじゃないですか。さすがに着替えは本人にやらせますよ」
「……本当ですか?」(ジトッ
「本当よ。だからスクルド、そんな怖い顔しないでよ」
そんな一悶着がありつつ、再びチーグルの森にたどり着いた。
セネリオは、シノンはともかく彼女の両親にまでこの姿を見られたくないということで、森の入口で待機した。
そうして両親と別れてレイノス達と別れたシノンは…
「あれ?お姉さんだあれ?ていうかセネセネは?」
「このお姉さんが漆黒だよ」
「……え?ええええええええええ!?」
クノンから森の入口に立っている女性こそセネリオだと聞かされ飛び上がらんとばかりに驚くシノン。
対するセネリオは普段以上に仏頂面だがその表情すら美しい。
「すごーい!セネセネ本物の女みたい!」
「…さっさと出発するぞ」
こうしてシノンへの女装お披露目は終わり、一行はアルビオールへ乗り込みダアトへ向かった。
ダアト…正確に言えばダアト港には日暮れ前頃に着いた。
ダアトの街まではそれなりに距離があるので、今日は港で宿を取ることになるかと思われた。
しかし、宿へ向かおうとする一同に対し、レイノスが言った。
「なあ、まだ夜になるには時間あるし…街の方まで行かないか?」
そう言ってきたレイノスを、セネリオは意外そうな表情で見つめた。
前回の旅の際のレイノスは、スクルドを助けたいという思いが先行して、先を急ぎすぎる所があった。
しかし今回はそういう事情がなく、またアルビオールで移動時間が大幅に短縮されているため旅の進行をそこまで急ぐ必要もなく、またレイノスも急かすようなことはなかった。
しかし今、レイノスはあえて先を急ぐ発言をしてきた。
「夜の街は危険だぞ」
「分かってる!でもよ…たぶんこれからもっと強い奴と戦うことになるだろ?それにアルビオールを手に入れてから、魔物と戦闘する機会もめっきり無くなっちまった」
確かに、アルビオールを手に入れてから、フィールドを徒歩で移動する必要がなくなった為、戦闘の機会がなくなってしまった。
セネリオ自身、仲間との訓練や特訓だけでは限界があり、実戦の経験を各々が積まなくてはまずいと感じてはいた。
「今回は久しぶりに徒歩での旅だろ?だったらあえて危険な道を…て思ったんだけど……やっぱ駄目だよな」
自分の考えを伝えたレイノスだったが、すぐに引き下がった。
自分やセネリオ、クノンはともかく女性陣をそんな危険事に付き合わせるのはダメだと感じたのだ。
「悪い、勝手なこと言って。さっさと宿を…」
「「行きましょう!!」」
「り、リン、スクルド!?」
「私もレイノスの意見に賛成。夜に危険で強い魔物が出るっていうなら、少しでも強くなるために行きたい。ジェイドさんから教えてもらった術も、完成させたいし…」
「私、お兄ちゃんやみんなと比べて弱くて…秘奥義はおろかオーバーリミッツすら使えないくらい弱いし…もっと強くなりたいんです!」
リンとスクルドは、それぞれの思いからレイノスの提案した夜の強行軍に賛成した。
強くなりたい。
その思いは、リンとスクルドも一緒だった。
「おチビちゃんはどうなのサ?」
「私も全然オッケーだよ!ね、ハノン」
「みゅう!」
「どうする漆黒?お坊ちゃんどころか、女の子たちまでノリノリなんだけど」
「…はあ、仕方がない。それじゃあ、今からダアトの街へと向かうぞ」
「レイノス、正面だ!」
「お、おう!」
セネリオからの指示を受け、暗闇で目が慣れていなかったレイノスは慌てて剣を構える。
すると構えた剣の刀身にガルムウルフが突進してきた。
すかさずレイノスは剣を握る腕に力をこめ、攻撃を防御する。
そして、攻撃を防がれ怯んだガルムウルフに向けて、剣の切っ先を向ける。
「紅蓮剣!」
炎をまとった剣が命中し、魔物は雄叫びをあげながら倒れた。
♪クロア リュォ ズェ トゥエ リュォ レィ ネゥ リュォ ズェ
第二譜歌、「フォースフィールド」の壁に阻まれ、デスピーの動きを止める。
そこへセネリオが一気に間合いをつめると、
「双連撃!」
あっという間にデスピーを切り裂いてしまう。
「ソルフェージュ!」
シノンのチャクラムによる連続攻撃がナイトオウルを襲う。
そして締めのチャクラムでの回転攻撃が決まった直後、クノンが飛び出してくる。
「凄龍昂!」
クノンの攻撃でナイトオウルは上空に高く蹴り上げられる。
「今だよ!お嬢様!」
「はい!」
リンの身体は、蒼白く輝いていた。
オーバーリミッツを発動させたのだ。
「いっけえええ!ミスティック・ケージ!」
光のなかに包み込まれるナイトオウル。
やがてその光は爆発し、ナイトオウルは爆発に巻き込まれる。
光の爆発が終わった時、そこにあったのは…ボロボロになりながらも未だ倒れずに立っているナイトオウルの姿だった。
「そんな!」
「空破特攻弾!」
すぐにクノンが突進攻撃をかけ、今度こそ魔物は倒れた。
「さっきの技…もしかしてジェイド・カーティス元帥の使ってたヤツ?」
「はい…でもまだまだ威力を出しきれないみたいです」
「ま、お嬢様ならそのうち使いこなせるようになるサ♪」
「ドンマイだよ、リン!」
「うん…ありがとう、クノンさん、シノン」
そうして魔物と戦いながら歩を進めて数時間。
すっかり真夜中になってしまったオールドラントの空に見つめられる中、一行は無事にダアトの街へとたどり着いた。
スキット「強くなっていく」
レイノス「くぅ〜、くぅ〜…」
セネリオ「宿の部屋について早々に眠ってしまったな」
クノン「多分女の子たちの部屋も同じ状況じゃナい?」
セネリオ「だろうな…それにしても……」
クノン「どしたの?」
セネリオ「レイノスもリンもスクルドもシノンも…どいつもどんどん強くなっていくな」
クノン「ボクたちも負けてらレないネ」
セネリオ「ああ、そうだな。この身体に刻まれた封印術…一刻も早く解除する必要がある」
エンゲーブにて宿をとり、一晩を過ごした翌日、渋るセネリオをリンが強引に女装させ、シノンを迎えに行くことになった。
「てかサ、もしかしてお嬢様、女装の着替えのトキにいつも漆黒の裸見てるワケ?」
「そんなわけないじゃないですか。さすがに着替えは本人にやらせますよ」
「……本当ですか?」(ジトッ
「本当よ。だからスクルド、そんな怖い顔しないでよ」
そんな一悶着がありつつ、再びチーグルの森にたどり着いた。
セネリオは、シノンはともかく彼女の両親にまでこの姿を見られたくないということで、森の入口で待機した。
そうして両親と別れてレイノス達と別れたシノンは…
「あれ?お姉さんだあれ?ていうかセネセネは?」
「このお姉さんが漆黒だよ」
「……え?ええええええええええ!?」
クノンから森の入口に立っている女性こそセネリオだと聞かされ飛び上がらんとばかりに驚くシノン。
対するセネリオは普段以上に仏頂面だがその表情すら美しい。
「すごーい!セネセネ本物の女みたい!」
「…さっさと出発するぞ」
こうしてシノンへの女装お披露目は終わり、一行はアルビオールへ乗り込みダアトへ向かった。
ダアト…正確に言えばダアト港には日暮れ前頃に着いた。
ダアトの街まではそれなりに距離があるので、今日は港で宿を取ることになるかと思われた。
しかし、宿へ向かおうとする一同に対し、レイノスが言った。
「なあ、まだ夜になるには時間あるし…街の方まで行かないか?」
そう言ってきたレイノスを、セネリオは意外そうな表情で見つめた。
前回の旅の際のレイノスは、スクルドを助けたいという思いが先行して、先を急ぎすぎる所があった。
しかし今回はそういう事情がなく、またアルビオールで移動時間が大幅に短縮されているため旅の進行をそこまで急ぐ必要もなく、またレイノスも急かすようなことはなかった。
しかし今、レイノスはあえて先を急ぐ発言をしてきた。
「夜の街は危険だぞ」
「分かってる!でもよ…たぶんこれからもっと強い奴と戦うことになるだろ?それにアルビオールを手に入れてから、魔物と戦闘する機会もめっきり無くなっちまった」
確かに、アルビオールを手に入れてから、フィールドを徒歩で移動する必要がなくなった為、戦闘の機会がなくなってしまった。
セネリオ自身、仲間との訓練や特訓だけでは限界があり、実戦の経験を各々が積まなくてはまずいと感じてはいた。
「今回は久しぶりに徒歩での旅だろ?だったらあえて危険な道を…て思ったんだけど……やっぱ駄目だよな」
自分の考えを伝えたレイノスだったが、すぐに引き下がった。
自分やセネリオ、クノンはともかく女性陣をそんな危険事に付き合わせるのはダメだと感じたのだ。
「悪い、勝手なこと言って。さっさと宿を…」
「「行きましょう!!」」
「り、リン、スクルド!?」
「私もレイノスの意見に賛成。夜に危険で強い魔物が出るっていうなら、少しでも強くなるために行きたい。ジェイドさんから教えてもらった術も、完成させたいし…」
「私、お兄ちゃんやみんなと比べて弱くて…秘奥義はおろかオーバーリミッツすら使えないくらい弱いし…もっと強くなりたいんです!」
リンとスクルドは、それぞれの思いからレイノスの提案した夜の強行軍に賛成した。
強くなりたい。
その思いは、リンとスクルドも一緒だった。
「おチビちゃんはどうなのサ?」
「私も全然オッケーだよ!ね、ハノン」
「みゅう!」
「どうする漆黒?お坊ちゃんどころか、女の子たちまでノリノリなんだけど」
「…はあ、仕方がない。それじゃあ、今からダアトの街へと向かうぞ」
「レイノス、正面だ!」
「お、おう!」
セネリオからの指示を受け、暗闇で目が慣れていなかったレイノスは慌てて剣を構える。
すると構えた剣の刀身にガルムウルフが突進してきた。
すかさずレイノスは剣を握る腕に力をこめ、攻撃を防御する。
そして、攻撃を防がれ怯んだガルムウルフに向けて、剣の切っ先を向ける。
「紅蓮剣!」
炎をまとった剣が命中し、魔物は雄叫びをあげながら倒れた。
♪クロア リュォ ズェ トゥエ リュォ レィ ネゥ リュォ ズェ
第二譜歌、「フォースフィールド」の壁に阻まれ、デスピーの動きを止める。
そこへセネリオが一気に間合いをつめると、
「双連撃!」
あっという間にデスピーを切り裂いてしまう。
「ソルフェージュ!」
シノンのチャクラムによる連続攻撃がナイトオウルを襲う。
そして締めのチャクラムでの回転攻撃が決まった直後、クノンが飛び出してくる。
「凄龍昂!」
クノンの攻撃でナイトオウルは上空に高く蹴り上げられる。
「今だよ!お嬢様!」
「はい!」
リンの身体は、蒼白く輝いていた。
オーバーリミッツを発動させたのだ。
「いっけえええ!ミスティック・ケージ!」
光のなかに包み込まれるナイトオウル。
やがてその光は爆発し、ナイトオウルは爆発に巻き込まれる。
光の爆発が終わった時、そこにあったのは…ボロボロになりながらも未だ倒れずに立っているナイトオウルの姿だった。
「そんな!」
「空破特攻弾!」
すぐにクノンが突進攻撃をかけ、今度こそ魔物は倒れた。
「さっきの技…もしかしてジェイド・カーティス元帥の使ってたヤツ?」
「はい…でもまだまだ威力を出しきれないみたいです」
「ま、お嬢様ならそのうち使いこなせるようになるサ♪」
「ドンマイだよ、リン!」
「うん…ありがとう、クノンさん、シノン」
そうして魔物と戦いながら歩を進めて数時間。
すっかり真夜中になってしまったオールドラントの空に見つめられる中、一行は無事にダアトの街へとたどり着いた。
スキット「強くなっていく」
レイノス「くぅ〜、くぅ〜…」
セネリオ「宿の部屋について早々に眠ってしまったな」
クノン「多分女の子たちの部屋も同じ状況じゃナい?」
セネリオ「だろうな…それにしても……」
クノン「どしたの?」
セネリオ「レイノスもリンもスクルドもシノンも…どいつもどんどん強くなっていくな」
クノン「ボクたちも負けてらレないネ」
セネリオ「ああ、そうだな。この身体に刻まれた封印術…一刻も早く解除する必要がある」
■作者メッセージ
今回は雑魚戦闘回でした
次回から本格的にダアト回です
次回から本格的にダアト回です