第3章『土煙の小人』 11
意識集合体との契約を行うため、その内の一人であるノームと戦ったレイノス達。
ノームは戦いの末に降参を申し出て、戦いは終わったのだが…
「どういうことだよ!?契約しないって」
レイノスが、怒鳴る。
クラノス達が無理やり行った契約を解除するには、こちら側が再契約をする必要があるというので戦い、ノームはレイノス達の力を認めた。
しかし、ノームはなおも契約に応じてくれなかったのだ。
「いや〜、契約しないとはいってないじゃ〜ん。ただ、もう一つお願いしたいことがあるだけだよ〜ん」
「…そのお願いとは、いったいなんだ?」
セネリオが、憮然とした表情でノームの要求を尋ねる。
だが、セネリオの問いに答えたのはノームではなく、彼のそばにいるクレイアイドルだった。
「お前達、鬼ごっこしろ」
「お前達、鬼な」
「逃げろー」
そういうと、クレイアイドルたちは散り散りになってしまった。
「…というわけで、あいつら全員捕まえてね。あいつら、攻撃が通じないから技とか術とかバンバン使っちゃっていいからさ」
「はあ!?なんだよそれ!ふざけんな!俺達は遊んでる場合じゃ…」
「嫌ならいいけど〜、契約はできないよ〜ん」
「ぐぬぬぬ…足下みやがって」
ノームの要求に逆らう事も出来ず、唇をかみしめて悔しそうな表情を見せるレイノス。
「そ、その、クレイアイドルさんは何人いるんですか」
アルセリアが、恐る恐る尋ねる。
先ほど見た感じでは、かなりいたように見えたが…
アルセリアの質問に答える為、ノームが口を開く。
「50匹だよ〜ん」
それから、クレイアイドルとの鬼ごっこが始まった。
といっても、広い遺跡の中のあちこちにいる為、かくれんぼに近いかもしれない。
見つけたクレイアイドルの見張りをスクルドが行い、残りの6人で捜索を行った。
ノームによれば、クレイアイドル達は土を食って生きている種族の為、幸いにも食事の心配はいらないらしい。
「あはは、可愛いなあ〜」
見張り係に選ばれたスクルドは、クレイアイドルが増える度に幸せそうだった。
彼女を見張りに選んだのは正解だっただろう。
他の6人は、3手に分かれて捜索をしていた。
〇セネリオ&シノン・ハノンチーム
「ねえセネセネ、なんでスクルドを一緒に連れて行かなかったの?」
シノンがセネリオに尋ねる。
スクルドを見張りに任命したのは、セネリオだったのだ。
任命されたスクルドは、表面上素直にそれに従い、見張るクレイアイドルが増える度に幸せそうな顔をしているが、セネリオが新たなクレイアイドル探しの為に見張り場所から離れる度、寂しそうな表情をしているのをシノンは見逃していなかった。
「別に深い意味はない」
「パパが言ってたよ、男たるもの女の人は大切にせんといかんって」
「…『女』であるお前に男の教えを伝えたのか?」
「…言われてみればパパ、なんで私にそんな話したんだろ。……って、話を逸らさないで!とにかく、スクルドのこと、大事にしなきゃダメなんだからね」
シノンの忠告にセネリオは答えることなく、黙々とクレイアイドル探しを続けるのであった。
〇レイノス&リンチーム
「ったく、なんでこんなことしないといけねえんだよ」
「ほらほら、いつまでもぼやかないの」
不満そうなレイノスを、リンがなだめる。
リンの表情は、どこか楽しげだ。
「なんか楽しそうだな、リン」
「うん…なんか、鬼ごっこで旅に出たばっかの頃を思い出して懐かしくなっちゃった」
「旅に出たばっかの頃?ああ…シェリダンでのことか」
スクルドを取り戻すために旅に出たばかりの頃、レイノスとリンとセネリオの3人はシェリダンにやってきた。
そして、着いて早々、オーズという職人の音機関をいじくって追われていたクノンを追いかける鬼ごっこをすることとなってしまったのだ。
「あの時は大変だったよなあ、クノンの奴すばしっこくて、俺とリンじゃ相手にならなかった」
「クレイアイドル達は数は多いけど動きは遅いし、あの時の事を思えば、マシじゃない?」
「はは、それもそうだな」
改めて、あの時のことをレイノスは思い出す。
あの時は、まだリンとセネリオと、それからクノンしかいなかった。
それが今は、アルセリアがいて、ミステリアスがいて、シノンとハノンがいて、当初の旅の目的であったスクルドもいる。
本当にいろいろとあった。
途中でフォルクスの妨害にあったり、賊たちと戦い、スクルドを取り戻した太と思ったらリンがさらわれて、賊の頭を倒して、その日の夜にリンに…
「/////」
あの日のことを思い出して、レイノスは赤面してしまう。
そんなレイノスの顔を、リンが不思議そうな顔で見ている。
「どうしたのレイノス?顔赤いわよ?」
「な、なんでもねえって!いいからさっさと探そうぜ!」
〇ミステリアス&アルセリア
「ミステリアスさん」
「ん〜、どしたのせっちゃん」
「ダアトでは、ありがとうございます。旅が一度終わった後、助けてもらったり相談に乗ってもらったり」
スクルド救出の旅が終わった後、ミステリアスはなにかとアルセリアのことを気にかけてくれていた。
そのお礼を、今ここでアルセリアは言ったのであった。
「別に礼を言われるようなことをした覚えはないけどなあ」
「そんなことないですよ。導師様のお世話係のお仕事もあるのに、私なんかの為に時間を割いてくれて…」
「……ま、仲間だからな」
「なんだか不思議です。ミステリアスさんといると、ホッとするっていうか…何故だか懐かしい気持ちになるんです」
「はは、俺達が出会ってから半年程度だぜ?」
「そうですよねえ…こんな仮面の人がいたら忘れるなんてことないでしょうし」
「…とりあえず、あの小人を探そうぜ」
そういってミステリアスは先に進んでいく。
彼の背中を見つめながら、アルセリアは思う。
彼と一緒にいると、確かにホッとする。
しかしそれと同時に、たまに胸騒ぎを感じるのだ。
いったい、この胸騒ぎの正体はなんなのだろうか。
捜索は、丸3日かかった。
見つけたクレイアイドル達を連れてノームがいた場所へと戻る。
「お疲れだよーん」
スクルドの歌に反応して、ノームが姿を現した。
「確かに50匹、見つけたぜ。今度こそ、契約してくれるんだろうな」
「うんうん、確かに全員いるね。どうやらお前等は信頼に足るやつらみたいだ。分かった、契約するよ〜ん」
クレイアイドルが全員いるのを確認したノームは、ようやく契約に応じてくれた。
ノームの了承の返事を聞き、スクルドがノームの前に出る。
「地の意識集合体ノーム。あなたの力、お借りします」
「オッケーだよ、それじゃあ例の歌、お願い」
「分かりました」
♪トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ
♪クロア リョ ズェ トゥエ リョ レイ ネゥ リョ ズェ
♪ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア
♪リョ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ ズェ レイ
♪ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ
♪クロア リョ クロア ネゥ トゥエ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ
♪レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ
スクルドの歌が終わると、ノームは黄土色の丸いエネルギー体の姿になり、スクルドの体内に入り込んだ。
こうして、一つ目の意識集合体、ノームとの契約は無事に行われたのであった。
スキット「初めての契約」
スクルド「不思議です…目には見えないのに、ノームの気配を感じる」
ノーム『ヤッホースクルドちゃん♪』
スクルド「わっ、声が聞こえる!?」
ノーム『契約したんで、スクルドちゃんの脳内を通じて会話できるようになったんだよ〜ん。基本的に黙ってるけど、なんか用があったら呼んでね』
スクルド「分かりました!これからよろしく、ノーム」
ノームは戦いの末に降参を申し出て、戦いは終わったのだが…
「どういうことだよ!?契約しないって」
レイノスが、怒鳴る。
クラノス達が無理やり行った契約を解除するには、こちら側が再契約をする必要があるというので戦い、ノームはレイノス達の力を認めた。
しかし、ノームはなおも契約に応じてくれなかったのだ。
「いや〜、契約しないとはいってないじゃ〜ん。ただ、もう一つお願いしたいことがあるだけだよ〜ん」
「…そのお願いとは、いったいなんだ?」
セネリオが、憮然とした表情でノームの要求を尋ねる。
だが、セネリオの問いに答えたのはノームではなく、彼のそばにいるクレイアイドルだった。
「お前達、鬼ごっこしろ」
「お前達、鬼な」
「逃げろー」
そういうと、クレイアイドルたちは散り散りになってしまった。
「…というわけで、あいつら全員捕まえてね。あいつら、攻撃が通じないから技とか術とかバンバン使っちゃっていいからさ」
「はあ!?なんだよそれ!ふざけんな!俺達は遊んでる場合じゃ…」
「嫌ならいいけど〜、契約はできないよ〜ん」
「ぐぬぬぬ…足下みやがって」
ノームの要求に逆らう事も出来ず、唇をかみしめて悔しそうな表情を見せるレイノス。
「そ、その、クレイアイドルさんは何人いるんですか」
アルセリアが、恐る恐る尋ねる。
先ほど見た感じでは、かなりいたように見えたが…
アルセリアの質問に答える為、ノームが口を開く。
「50匹だよ〜ん」
それから、クレイアイドルとの鬼ごっこが始まった。
といっても、広い遺跡の中のあちこちにいる為、かくれんぼに近いかもしれない。
見つけたクレイアイドルの見張りをスクルドが行い、残りの6人で捜索を行った。
ノームによれば、クレイアイドル達は土を食って生きている種族の為、幸いにも食事の心配はいらないらしい。
「あはは、可愛いなあ〜」
見張り係に選ばれたスクルドは、クレイアイドルが増える度に幸せそうだった。
彼女を見張りに選んだのは正解だっただろう。
他の6人は、3手に分かれて捜索をしていた。
〇セネリオ&シノン・ハノンチーム
「ねえセネセネ、なんでスクルドを一緒に連れて行かなかったの?」
シノンがセネリオに尋ねる。
スクルドを見張りに任命したのは、セネリオだったのだ。
任命されたスクルドは、表面上素直にそれに従い、見張るクレイアイドルが増える度に幸せそうな顔をしているが、セネリオが新たなクレイアイドル探しの為に見張り場所から離れる度、寂しそうな表情をしているのをシノンは見逃していなかった。
「別に深い意味はない」
「パパが言ってたよ、男たるもの女の人は大切にせんといかんって」
「…『女』であるお前に男の教えを伝えたのか?」
「…言われてみればパパ、なんで私にそんな話したんだろ。……って、話を逸らさないで!とにかく、スクルドのこと、大事にしなきゃダメなんだからね」
シノンの忠告にセネリオは答えることなく、黙々とクレイアイドル探しを続けるのであった。
〇レイノス&リンチーム
「ったく、なんでこんなことしないといけねえんだよ」
「ほらほら、いつまでもぼやかないの」
不満そうなレイノスを、リンがなだめる。
リンの表情は、どこか楽しげだ。
「なんか楽しそうだな、リン」
「うん…なんか、鬼ごっこで旅に出たばっかの頃を思い出して懐かしくなっちゃった」
「旅に出たばっかの頃?ああ…シェリダンでのことか」
スクルドを取り戻すために旅に出たばかりの頃、レイノスとリンとセネリオの3人はシェリダンにやってきた。
そして、着いて早々、オーズという職人の音機関をいじくって追われていたクノンを追いかける鬼ごっこをすることとなってしまったのだ。
「あの時は大変だったよなあ、クノンの奴すばしっこくて、俺とリンじゃ相手にならなかった」
「クレイアイドル達は数は多いけど動きは遅いし、あの時の事を思えば、マシじゃない?」
「はは、それもそうだな」
改めて、あの時のことをレイノスは思い出す。
あの時は、まだリンとセネリオと、それからクノンしかいなかった。
それが今は、アルセリアがいて、ミステリアスがいて、シノンとハノンがいて、当初の旅の目的であったスクルドもいる。
本当にいろいろとあった。
途中でフォルクスの妨害にあったり、賊たちと戦い、スクルドを取り戻した太と思ったらリンがさらわれて、賊の頭を倒して、その日の夜にリンに…
「/////」
あの日のことを思い出して、レイノスは赤面してしまう。
そんなレイノスの顔を、リンが不思議そうな顔で見ている。
「どうしたのレイノス?顔赤いわよ?」
「な、なんでもねえって!いいからさっさと探そうぜ!」
〇ミステリアス&アルセリア
「ミステリアスさん」
「ん〜、どしたのせっちゃん」
「ダアトでは、ありがとうございます。旅が一度終わった後、助けてもらったり相談に乗ってもらったり」
スクルド救出の旅が終わった後、ミステリアスはなにかとアルセリアのことを気にかけてくれていた。
そのお礼を、今ここでアルセリアは言ったのであった。
「別に礼を言われるようなことをした覚えはないけどなあ」
「そんなことないですよ。導師様のお世話係のお仕事もあるのに、私なんかの為に時間を割いてくれて…」
「……ま、仲間だからな」
「なんだか不思議です。ミステリアスさんといると、ホッとするっていうか…何故だか懐かしい気持ちになるんです」
「はは、俺達が出会ってから半年程度だぜ?」
「そうですよねえ…こんな仮面の人がいたら忘れるなんてことないでしょうし」
「…とりあえず、あの小人を探そうぜ」
そういってミステリアスは先に進んでいく。
彼の背中を見つめながら、アルセリアは思う。
彼と一緒にいると、確かにホッとする。
しかしそれと同時に、たまに胸騒ぎを感じるのだ。
いったい、この胸騒ぎの正体はなんなのだろうか。
捜索は、丸3日かかった。
見つけたクレイアイドル達を連れてノームがいた場所へと戻る。
「お疲れだよーん」
スクルドの歌に反応して、ノームが姿を現した。
「確かに50匹、見つけたぜ。今度こそ、契約してくれるんだろうな」
「うんうん、確かに全員いるね。どうやらお前等は信頼に足るやつらみたいだ。分かった、契約するよ〜ん」
クレイアイドルが全員いるのを確認したノームは、ようやく契約に応じてくれた。
ノームの了承の返事を聞き、スクルドがノームの前に出る。
「地の意識集合体ノーム。あなたの力、お借りします」
「オッケーだよ、それじゃあ例の歌、お願い」
「分かりました」
♪トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ
♪クロア リョ ズェ トゥエ リョ レイ ネゥ リョ ズェ
♪ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア
♪リョ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ ズェ レイ
♪ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ
♪クロア リョ クロア ネゥ トゥエ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ
♪レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ
スクルドの歌が終わると、ノームは黄土色の丸いエネルギー体の姿になり、スクルドの体内に入り込んだ。
こうして、一つ目の意識集合体、ノームとの契約は無事に行われたのであった。
スキット「初めての契約」
スクルド「不思議です…目には見えないのに、ノームの気配を感じる」
ノーム『ヤッホースクルドちゃん♪』
スクルド「わっ、声が聞こえる!?」
ノーム『契約したんで、スクルドちゃんの脳内を通じて会話できるようになったんだよ〜ん。基本的に黙ってるけど、なんか用があったら呼んでね』
スクルド「分かりました!これからよろしく、ノーム」
■作者メッセージ
最初の意識集合体との契約編、完了です
まだまだ道のりは長いですが、なんとか頑張って書きますのでこれからも応援よろしくお願いします
まだまだ道のりは長いですが、なんとか頑張って書きますのでこれからも応援よろしくお願いします