第5章『夕闇の断罪者』 1
クノンは、とある人物の宿屋の部屋へと足を踏み入れた。
そこにいるのは、神託の盾主席総長。
クラノス・グラディウスだ。
「おや、君の方からこちらに来るとはね」
クラノスが出迎えてくる。
口調こそ穏やかだがその顔は厳しくクノンを睨みつけていた。
そんなクラノスに対して、クノンは言った。
「…別にことを構えるつもりはない。あんたに、捕まりに来た」
クノンの言葉に、クラノスは一瞬驚きで目を見開き、やがて言った。
「君の罪は重い。自白したからといって罪が軽くなることは期待できないぞ」
「別にそんなことはいいんだ。ただ…これ以上逃げ続けてもあいつらに迷惑かけるだけだからな」
「賢明な判断だ。……シンシア」
クラノスに呼ばれて、部屋の扉の前に待機していたシンシアが入ってきた。
「出発はセネリオ達との衝突を避けるためにも深夜に行おうと思う。それまでは自由にしてもらって構わない。シンシアに監視はさせるがな」
「…いいのか?えらく寛容だな」
「拘留すれば彼らが不審がるからな。いつも通りに振舞ってくれた方がこちらもやりやすい」
こうして話が終わり、クノンとシンシアはクラノスの部屋から出た。
「ま、今日一日ヨロシクね♪にゃはは♪」
「…その切り換えっぷり、感心するわ」
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「じゃあね、ハノン。しっかり休むんだよ」
「みゅう!みゅう(うん!シノン)」
「えへへ…」
昔から、ハノンと話ができたらいいなあって、思っていた。
それがついに、完全に叶ったのだ。
シュレーの丘での戦い以来、何度か伝わったハノンの言葉を、今シノンは完全に理解していた。
不思議な感覚だった。
ハノンが声を出せば、自然とそれがなんと言っているのか理解できるのだ。
上機嫌で、シノンは医者の家を後にした。
「あ、クノン!」
街を歩いていたシノンは、見た目が自分と同じ歳くらいの少年(?)、クノンを見つけて声をかける。
クノンの方もこちらに気がつく。
「おー、お嬢ちゃん。ハノンはどうだった?」
「うん、あのね!聞いて聞いて!」
シノンは興奮した様子でハノンとの間にあったことを話し始めた。
お互いの気持ちを確かめ合って、意志疎通が可能になったことを。
「ヘー、ハノンとお話できるようになったンだ。すごいジャン」
「うん!これからは、ハノンともっともっといいコンビになれそうで、一緒に戦うのが今から楽しみ!」
「ニャハハ♪それは頼もしいネ」
クノンの言葉に、シノンはえっへへと、照れたように笑った。
ここ数日失われていた笑顔が、戻ったようだった。
「ところでお嬢ちゃん、ヒマ?」
「え?うん、特に用事はないけど」
「そっか、それじゃあさ、街見て回ろうよ」
「うん!」
クノンとシノンは、ケセドニアの街を練り歩いていった。
といっても、特に目的があるわけでもないので適当に店などを眺めているだけなのだが。
「…………」
「お嬢ちゃん?どしたの?」
「…へ!?な、なに!?」
「いや、ジーっとボクのこと見てるからさ。なんか顔についてる?」
「な、なんでもないよ…」
そういうとシノンは、顔を紅潮させながら俯いてしまった。
そんなシノンの様子を見たクノンは、
ピタッ
「ちょっと失礼〜」
「へ!?ワワァ!?」
自分のおでこを、シノンのおでこにくっつけた。
いきなりの行動に、シノンは素っ頓狂な声を上げてしまった。
「ウ〜ン、少しアツイかな」
「あ、あう…」
どうやらクノンはシノンの熱を測ろうとしているらしい。
シノンは、先ほどよりもさらに顔を赤くしている。
やがて、クノンはおでこを離した。
「ハノンの看病したり、一日中キノコ探したりでタイヘンだったし、疲れで熱がデちゃったのかもネ。今日はもう休もっか?」
「だ、大丈夫!元気いっぱいだよ!」
「ムリしちゃダメだよ、せっかくハノンが元気になりそうなのに、今度はお嬢ちゃんが倒れたりしたら台無しジャン?」
そういってクノンは、シノンの手を引いて宿屋へと向かった。
「ねえ、お嬢ちゃん。今日は楽しかったよ」
「え?う、うん。私も楽しかった。ここ数日色々と余裕がなかったし…」
「今日の事、今までも旅の事、ボク忘れないよ。ずっと、ずっと…ネ」
「クノン…?」
シノンはクノンの顔を覗き込んだ。
そこには、なにかを諦めたような、そんな寂しそうなクノンの横顔があった。
そこにいるのは、神託の盾主席総長。
クラノス・グラディウスだ。
「おや、君の方からこちらに来るとはね」
クラノスが出迎えてくる。
口調こそ穏やかだがその顔は厳しくクノンを睨みつけていた。
そんなクラノスに対して、クノンは言った。
「…別にことを構えるつもりはない。あんたに、捕まりに来た」
クノンの言葉に、クラノスは一瞬驚きで目を見開き、やがて言った。
「君の罪は重い。自白したからといって罪が軽くなることは期待できないぞ」
「別にそんなことはいいんだ。ただ…これ以上逃げ続けてもあいつらに迷惑かけるだけだからな」
「賢明な判断だ。……シンシア」
クラノスに呼ばれて、部屋の扉の前に待機していたシンシアが入ってきた。
「出発はセネリオ達との衝突を避けるためにも深夜に行おうと思う。それまでは自由にしてもらって構わない。シンシアに監視はさせるがな」
「…いいのか?えらく寛容だな」
「拘留すれば彼らが不審がるからな。いつも通りに振舞ってくれた方がこちらもやりやすい」
こうして話が終わり、クノンとシンシアはクラノスの部屋から出た。
「ま、今日一日ヨロシクね♪にゃはは♪」
「…その切り換えっぷり、感心するわ」
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「じゃあね、ハノン。しっかり休むんだよ」
「みゅう!みゅう(うん!シノン)」
「えへへ…」
昔から、ハノンと話ができたらいいなあって、思っていた。
それがついに、完全に叶ったのだ。
シュレーの丘での戦い以来、何度か伝わったハノンの言葉を、今シノンは完全に理解していた。
不思議な感覚だった。
ハノンが声を出せば、自然とそれがなんと言っているのか理解できるのだ。
上機嫌で、シノンは医者の家を後にした。
「あ、クノン!」
街を歩いていたシノンは、見た目が自分と同じ歳くらいの少年(?)、クノンを見つけて声をかける。
クノンの方もこちらに気がつく。
「おー、お嬢ちゃん。ハノンはどうだった?」
「うん、あのね!聞いて聞いて!」
シノンは興奮した様子でハノンとの間にあったことを話し始めた。
お互いの気持ちを確かめ合って、意志疎通が可能になったことを。
「ヘー、ハノンとお話できるようになったンだ。すごいジャン」
「うん!これからは、ハノンともっともっといいコンビになれそうで、一緒に戦うのが今から楽しみ!」
「ニャハハ♪それは頼もしいネ」
クノンの言葉に、シノンはえっへへと、照れたように笑った。
ここ数日失われていた笑顔が、戻ったようだった。
「ところでお嬢ちゃん、ヒマ?」
「え?うん、特に用事はないけど」
「そっか、それじゃあさ、街見て回ろうよ」
「うん!」
クノンとシノンは、ケセドニアの街を練り歩いていった。
といっても、特に目的があるわけでもないので適当に店などを眺めているだけなのだが。
「…………」
「お嬢ちゃん?どしたの?」
「…へ!?な、なに!?」
「いや、ジーっとボクのこと見てるからさ。なんか顔についてる?」
「な、なんでもないよ…」
そういうとシノンは、顔を紅潮させながら俯いてしまった。
そんなシノンの様子を見たクノンは、
ピタッ
「ちょっと失礼〜」
「へ!?ワワァ!?」
自分のおでこを、シノンのおでこにくっつけた。
いきなりの行動に、シノンは素っ頓狂な声を上げてしまった。
「ウ〜ン、少しアツイかな」
「あ、あう…」
どうやらクノンはシノンの熱を測ろうとしているらしい。
シノンは、先ほどよりもさらに顔を赤くしている。
やがて、クノンはおでこを離した。
「ハノンの看病したり、一日中キノコ探したりでタイヘンだったし、疲れで熱がデちゃったのかもネ。今日はもう休もっか?」
「だ、大丈夫!元気いっぱいだよ!」
「ムリしちゃダメだよ、せっかくハノンが元気になりそうなのに、今度はお嬢ちゃんが倒れたりしたら台無しジャン?」
そういってクノンは、シノンの手を引いて宿屋へと向かった。
「ねえ、お嬢ちゃん。今日は楽しかったよ」
「え?う、うん。私も楽しかった。ここ数日色々と余裕がなかったし…」
「今日の事、今までも旅の事、ボク忘れないよ。ずっと、ずっと…ネ」
「クノン…?」
シノンはクノンの顔を覗き込んだ。
そこには、なにかを諦めたような、そんな寂しそうなクノンの横顔があった。
■作者メッセージ
どうも、ご無沙汰してました
ここからの展開について、なかなかまとまらなくて、モチベーションが下がってました…
次がいつになるかは分からないですが、なんとかこれからも頑張っていきたいと思います!
ここからの展開について、なかなかまとまらなくて、モチベーションが下がってました…
次がいつになるかは分からないですが、なんとかこれからも頑張っていきたいと思います!