第四章 人ならざる者
ルークの修行が始まり10日がたった…
「……まぁこんなものだろう。それにレインウォールまで後少しだ。このまま進むぞ」
おろしていた腰を上げ、一行はレインウォール城に向かうのであった。
半日も歩かない内に城に着いた。
周りを大きな塀で囲まれていて中はよく見えなかったが、かたそうな扉の向こう側に大きな城があるのがわかる。
重たい門を押し開けると石造りの道がありその周りには草が茂っていた。
古いのか、所々ひび割れやかけているところ、修理中の場所などがあった。
「ここの王が持っているはずだ」
玉座に向かうために階段を上がろうとした。
「止まれ。貴様等も魔物退治をしに来たのか?」
何のことか解らないルーク達はしばらく黙っていた。
「?何だ違うのか」
「我々は怪しい者ではない。ここの王とは面識があってな。すまぬが合わせてはくれまいか」
ジャックが兵士に告げる。
「……」
兵士は少し思案顔になったがしばらくすると
「……よし、解った。付いてこい」
玉座は一旦空中庭園にでてさらに階段を上った所にあった。
仰々しい門に向かって兵士が、
「王様、王様の知り合いだと言う人物が尋ねてきております」
すると内側から門が開かれた。
「むっ、あなたはジャック殿ではありませんか。これはこれは、久しいですな」
「ああ。それはそうと早速あなたに頼みたい者があるのですが…」
片膝を付いて頭を下げながら、
「実は、また魔界に行きたいのですが…例の物をまたお借りできないでしょうか」
「……」
ジャックのその言葉を聞き、若干苦い表情を浮かべて少しの間黙っていた。
「それが…十日ほど前に魔物の群れがやってきて宝物庫を襲われてしまったのだ。
それで先日騎士団を魔物討伐に向かわせたのだが、返り討ちにあってしまったのだ。
そこで魔物討伐を引き受けてくれる者を募集していたのだ。報酬は宝物の一部なのだが…」
と、そこで王様は明るい表情になって
「ジャック!!貴殿に魔物討伐を依頼したいのだが、貴殿の腕前ならば問題ないであろう
魔界に行く理由は知らぬが、見事魔物を討伐できたなら鍵も渡すことができる」
どうだ、と迫る。
「別に断る理由もありません。その依頼、引き受けましょう。良いなルーク、リーネ」
二人とも反対はないようで魔物討伐を引き受けた。
「しかし、ここの騎士団が敵わないとなると相当の敵であることに違いはない。
山にすんでいる魔物が一斉に降りてきて、あまつさえ宝物庫をねらってくるとは…」
考えても仕方ないので、とりあえず魔物が住むという山に向かっていった。
城から北に進んだところに、まさに断崖絶壁という言葉の似合山があった。
しかし、それは山と言うより岩山で、その内部は大きなダンジョンになっている。
植物は基本的にこけに近い物しか生息しておらず、標高は城と変わらないのに妙に肌寒い。
「ここにはドラゴン系の魔物と物質系の魔物が住んでいるんだが、仲がとても悪く、抗争も絶えないはずだったんだが…先日の件では両種族がやって来たと言う…何が起こっているんだ」
「そうか…物質系に、魔物の仲でも強い種族のドラゴン族までいるなんて…」
「そうね、確かに手強い相手であることは間違いないわ。
ここは一旦戻って準備をしてからもう一度来た方が良いわね」
「そうだな。私はともかく、リーネやルークは防具をほとんどつけてないからな」
言われてルークは自分の服装を見る。
村にいた時の普段着に、例の魔剣。カラフィーユでもらった鞘におさまってはいるが、軽装備どころの話ではない。
リーネに至ってはただの服だ。それも、へそがでている分よけいに防御力が低く見える。
「ところでお金ってどれぐらいあるの?」
リーネが素朴な疑問を持ちかけるが、当然の事ながら
「まったくない。が、王様にでも頼めばある程度なら出してもらえるだろう。」
そういうと、ジャックは玉座の方に戻って行った。
「話はついた。店の方に連絡して武具をタダでもらえるようにしてもらった」
まさかの待遇にルークとリーネは大いに喜んだ。
「とりあえず武器は要らないだろう。となればまずは防具屋だな」
かくして、ルーク達は一階にある防具屋に向かった。
「いらっしゃい、ここは防具の店だよ」
「王様に聞いていると思うが、防具を譲り受けに来た。安物で良いからこの二人に防具を見繕ってくれ」
かしこまりました、と言うと店主は後ろの防具がたくさん置いてあるところに行き、少々たってから戻ってきた。
「こちらの装備あたりでよろしいでしょうか?」
店主は持ってきた装備をカウンターに並べてみせた。
軽めと言うことで皮の帽子が二つ、絹のローブと旅人の服、それに青銅の盾が二つ。
「ふむ、ありがたく受け取らせてもらう」
早速その場でルークとリーネは装備を身につけた。
「装備なんて初めてつけたけど…以外と軽いな」
「装備をつけるとなんかあの頃を思い出すわね〜」
装備も整ったところで三人は北の洞窟へ向かった。
「ここか。気を引き締めていけ。特にルーク、お前はダンジョンは初めてだからな」
ルークは小さく頷くと、先頭を切ってダンジョンの中にはいていった。
かなり横に伸びているダンジョンだがあまり広く感じられない。
なぜなら周りが迷路のように細い道が入り組んでいるからだ。細いと言っても三人が並んでも充分余裕がある。
「やけに静かだなこんな場所に本当に魔物がいるのか?」
ルークが少し気を抜いた瞬間に辺りが揺れ始めた。
そして前方の角から突然大きな岩が現れた。それはルークの前で止まるとゆっくりと目を開いた。
驚きに体を固まらせていると、突然後ろから声が飛んできた。
「ルーク、気をつけろ!そいつは爆弾岩だ!」
ジャックが剣を抜いて爆弾岩に斬りかかった。しかし、その斬撃は堅い体に弾き返されてしまった。
しかし、その攻撃で少しぐらついた爆弾岩を見逃さず、リーネがメラミを唱えた。
爆弾岩を炎が包み込む。しかし、それでも倒れない爆弾岩はリーネに向かって突進してきた。
「てやあ!!」
そこにルークが剣で斬りかかる。
その攻撃で軌道を反らされた爆弾岩はそのまま壁に激突した。そして爆弾岩は砕け散った。
「ふぅ、油断するなと言っただろう。物質系もかなり強いが、ドラゴン系はあれの比ではないぞ」
ジャックが剣を納めながらパーティーの先頭を歩き出す。
魔物の気配はしたものの、先程の戦いを見ていたのか襲いかかられることはなかった。
「少々不気味だな…」
「?どうしたんだ」
ジャックによると、この辺りの魔物はかなり好戦的らしく、もっと襲いかかられると思っていたらしい。
「本能に従って行動をする魔物が抑止力を得ているのか…まさか」
そこで言葉を切って来た道を戻り始めた。
城を出たのが昼過ぎで、今はもう日が暮れた後だった。
そして、三人は城の宿屋で一夜を明かした。
「……まぁこんなものだろう。それにレインウォールまで後少しだ。このまま進むぞ」
おろしていた腰を上げ、一行はレインウォール城に向かうのであった。
半日も歩かない内に城に着いた。
周りを大きな塀で囲まれていて中はよく見えなかったが、かたそうな扉の向こう側に大きな城があるのがわかる。
重たい門を押し開けると石造りの道がありその周りには草が茂っていた。
古いのか、所々ひび割れやかけているところ、修理中の場所などがあった。
「ここの王が持っているはずだ」
玉座に向かうために階段を上がろうとした。
「止まれ。貴様等も魔物退治をしに来たのか?」
何のことか解らないルーク達はしばらく黙っていた。
「?何だ違うのか」
「我々は怪しい者ではない。ここの王とは面識があってな。すまぬが合わせてはくれまいか」
ジャックが兵士に告げる。
「……」
兵士は少し思案顔になったがしばらくすると
「……よし、解った。付いてこい」
玉座は一旦空中庭園にでてさらに階段を上った所にあった。
仰々しい門に向かって兵士が、
「王様、王様の知り合いだと言う人物が尋ねてきております」
すると内側から門が開かれた。
「むっ、あなたはジャック殿ではありませんか。これはこれは、久しいですな」
「ああ。それはそうと早速あなたに頼みたい者があるのですが…」
片膝を付いて頭を下げながら、
「実は、また魔界に行きたいのですが…例の物をまたお借りできないでしょうか」
「……」
ジャックのその言葉を聞き、若干苦い表情を浮かべて少しの間黙っていた。
「それが…十日ほど前に魔物の群れがやってきて宝物庫を襲われてしまったのだ。
それで先日騎士団を魔物討伐に向かわせたのだが、返り討ちにあってしまったのだ。
そこで魔物討伐を引き受けてくれる者を募集していたのだ。報酬は宝物の一部なのだが…」
と、そこで王様は明るい表情になって
「ジャック!!貴殿に魔物討伐を依頼したいのだが、貴殿の腕前ならば問題ないであろう
魔界に行く理由は知らぬが、見事魔物を討伐できたなら鍵も渡すことができる」
どうだ、と迫る。
「別に断る理由もありません。その依頼、引き受けましょう。良いなルーク、リーネ」
二人とも反対はないようで魔物討伐を引き受けた。
「しかし、ここの騎士団が敵わないとなると相当の敵であることに違いはない。
山にすんでいる魔物が一斉に降りてきて、あまつさえ宝物庫をねらってくるとは…」
考えても仕方ないので、とりあえず魔物が住むという山に向かっていった。
城から北に進んだところに、まさに断崖絶壁という言葉の似合山があった。
しかし、それは山と言うより岩山で、その内部は大きなダンジョンになっている。
植物は基本的にこけに近い物しか生息しておらず、標高は城と変わらないのに妙に肌寒い。
「ここにはドラゴン系の魔物と物質系の魔物が住んでいるんだが、仲がとても悪く、抗争も絶えないはずだったんだが…先日の件では両種族がやって来たと言う…何が起こっているんだ」
「そうか…物質系に、魔物の仲でも強い種族のドラゴン族までいるなんて…」
「そうね、確かに手強い相手であることは間違いないわ。
ここは一旦戻って準備をしてからもう一度来た方が良いわね」
「そうだな。私はともかく、リーネやルークは防具をほとんどつけてないからな」
言われてルークは自分の服装を見る。
村にいた時の普段着に、例の魔剣。カラフィーユでもらった鞘におさまってはいるが、軽装備どころの話ではない。
リーネに至ってはただの服だ。それも、へそがでている分よけいに防御力が低く見える。
「ところでお金ってどれぐらいあるの?」
リーネが素朴な疑問を持ちかけるが、当然の事ながら
「まったくない。が、王様にでも頼めばある程度なら出してもらえるだろう。」
そういうと、ジャックは玉座の方に戻って行った。
「話はついた。店の方に連絡して武具をタダでもらえるようにしてもらった」
まさかの待遇にルークとリーネは大いに喜んだ。
「とりあえず武器は要らないだろう。となればまずは防具屋だな」
かくして、ルーク達は一階にある防具屋に向かった。
「いらっしゃい、ここは防具の店だよ」
「王様に聞いていると思うが、防具を譲り受けに来た。安物で良いからこの二人に防具を見繕ってくれ」
かしこまりました、と言うと店主は後ろの防具がたくさん置いてあるところに行き、少々たってから戻ってきた。
「こちらの装備あたりでよろしいでしょうか?」
店主は持ってきた装備をカウンターに並べてみせた。
軽めと言うことで皮の帽子が二つ、絹のローブと旅人の服、それに青銅の盾が二つ。
「ふむ、ありがたく受け取らせてもらう」
早速その場でルークとリーネは装備を身につけた。
「装備なんて初めてつけたけど…以外と軽いな」
「装備をつけるとなんかあの頃を思い出すわね〜」
装備も整ったところで三人は北の洞窟へ向かった。
「ここか。気を引き締めていけ。特にルーク、お前はダンジョンは初めてだからな」
ルークは小さく頷くと、先頭を切ってダンジョンの中にはいていった。
かなり横に伸びているダンジョンだがあまり広く感じられない。
なぜなら周りが迷路のように細い道が入り組んでいるからだ。細いと言っても三人が並んでも充分余裕がある。
「やけに静かだなこんな場所に本当に魔物がいるのか?」
ルークが少し気を抜いた瞬間に辺りが揺れ始めた。
そして前方の角から突然大きな岩が現れた。それはルークの前で止まるとゆっくりと目を開いた。
驚きに体を固まらせていると、突然後ろから声が飛んできた。
「ルーク、気をつけろ!そいつは爆弾岩だ!」
ジャックが剣を抜いて爆弾岩に斬りかかった。しかし、その斬撃は堅い体に弾き返されてしまった。
しかし、その攻撃で少しぐらついた爆弾岩を見逃さず、リーネがメラミを唱えた。
爆弾岩を炎が包み込む。しかし、それでも倒れない爆弾岩はリーネに向かって突進してきた。
「てやあ!!」
そこにルークが剣で斬りかかる。
その攻撃で軌道を反らされた爆弾岩はそのまま壁に激突した。そして爆弾岩は砕け散った。
「ふぅ、油断するなと言っただろう。物質系もかなり強いが、ドラゴン系はあれの比ではないぞ」
ジャックが剣を納めながらパーティーの先頭を歩き出す。
魔物の気配はしたものの、先程の戦いを見ていたのか襲いかかられることはなかった。
「少々不気味だな…」
「?どうしたんだ」
ジャックによると、この辺りの魔物はかなり好戦的らしく、もっと襲いかかられると思っていたらしい。
「本能に従って行動をする魔物が抑止力を得ているのか…まさか」
そこで言葉を切って来た道を戻り始めた。
城を出たのが昼過ぎで、今はもう日が暮れた後だった。
そして、三人は城の宿屋で一夜を明かした。
11/12/03 18:17 デロリン・デ・ローデ ▲
■作者メッセージ
前回、だいぶ空いてしまったと書きましたがあまり変わりませんね。
今回も開ける予定とか言っておいて同じぐらいのペースですね。(おいっ!!)
作者の気分は作者にも分かりません(汗
今回の話で一番悩んだのは、タイトルなんですよ〜
『〜者』で来てるので合わせようとしたらなかなか…
でも、結構いい感じに出来たと思っています。
では、本日はこの辺で ノシ
今回も開ける予定とか言っておいて同じぐらいのペースですね。(おいっ!!)
作者の気分は作者にも分かりません(汗
今回の話で一番悩んだのは、タイトルなんですよ〜
『〜者』で来てるので合わせようとしたらなかなか…
でも、結構いい感じに出来たと思っています。
では、本日はこの辺で ノシ