第Z話 意味、即チ存在
パラパラパラパラ
紙同士の擦れる音が静かな部屋に響く。
音の正体はダンディーさんが弾いているカードが宙を舞う音だ。
「………あの、もう怪我は大丈夫だから歩いても「駄目だ」………」
今の言葉を切り捨てたのは青髪バッテン君だ。
彼は立ったまま何やら書類に目を落としながらサインをしている。
「まぁ、参謀殿。部屋を出るのは駄目だがそこら辺を歩くのを許可するぐらいは「駄目だ」………」
ああ……ダンディーさんの言葉でもダメだった………ってかあの人参謀なんだ
因みに、さっきから一言も喋らないがデミックスもこの部屋にいる………チクショウ、気持ちよさそうに寝やがって……
「暇そうだな……」
「もう驚かんと思ってたのになぁ………どっから出てきたんだよ、Mr.顔黒!?」
もや〜んとした黒い煙みたいなものが突然、部屋の隅に発生して中から色黒男が現れる。
………なんか微妙に傷ついた顔をしてますね、アナタ。
「……君は記憶が無いということは自らの名も忘れたということだな」
「ああ……何?もしかして、名前くれんの?」
「そうだ」
おお!いつまでも名無したどカッコがつかんからな〜なんか、嬉しい。
顔黒男が右腕を前に出すと5つの文字が宙に浮かび、回りながら一つの言葉となる。
【Harex】
「【ハリス】。君の存在であり、意味だ」
12/07/11 20:41 イクサリオン改め、ポスケ ▲