オーバーチュア&クリムゾンブリッツ
クウが目覚めてから感じたのは、腹の上にある生温かい感覚だった。
(うん…なんだ…?)
ベット代わりに使う事になったソファの上でゴソゴソと身じろいで右手を動かす…が、意識を向けても動く事がない。
そう言えば使えないままだった。その事を思い出し、今度は左手で布団代わりに被っていたコートを引き寄せようとするが、重しでも上に乗っかっているのか引っかかる。
(なんか、あったかい…てか、乗ってる…?)
温もりは心地よいが、乗っかっている重さを一度感じてしまうと苦しくなってくる。
眠気も少しは覚めてしまい、乗っかっている何かを見る為に起き上がる。
カーテン越しから差し込む朝の光。鳥の囀りが聞こえている。そんな薄暗い部屋の中。
「すぅ…すぅ…」
自分の腹の上。そこに、身体にかけていたコートを握るように小さな少女が眠っていた。
「――へ?」
思わず目を擦り、もう一度確認する。姿、腹の上の重み、温もり…どうやら寝ぼけている訳ではないようだ。
改めて少女を見ると、ツバサより小さい…歳は10歳、あるいはそれ以下かもしれない。肩まである金髪の髪。服装は白いワンピースだが、まるであらゆる存在から守るように頭から足元まで白く薄いベールに覆われている。
「迷子…? いや、でもこの顔…どこかで」
「クウさん、朝ですよ」
「師匠、おはよー。眠れた?」
「クウ、起きた? 寝足りないなら私達の使ったベットで…」
そこで運悪く、レイア、ツバサ、スピカが身支度を済ませてリビングにやってくる。
嫌でも冷汗が背中に流れ落ちる。未だに目覚めない少女を腹に乗せたまま、クウはゆっくりと三人を見る。
レイアとツバサはきょとんをこちらを見ている。が、スピカだけは無表情でこちらを――正体不明の少女を見ていた。
「…その子、誰?」
「ま、待てスピカ!? 俺は何も知らない!! してない!!」
案の定誤解を受けて、必死に弁解を始める。段々空気が冷たくなっているのは絶対に気のせいではない。
「ん〜…」
大声を出した所為だろうか。少女は頭を擦るように、ゆっくりと起き上がる。
まだ眠いのか、コシコシと目を擦る。この場にいる誰もが少女に注目する中、向けられる視線を気にしてないのかじっとクウを見つめる。そのまま数秒間見つめ合うと、ふわりと柔らかな笑顔を浮かべる。
「パパ!」
けれど、笑顔とは裏腹に小さな口から放たれたのはとんでもない爆弾だった。
「ぱ、ぱ…?」
あまりの発言に、思わず目を見開いて固まってしまう。この世界には石化の魔法はないが、今のクウはまさに石と化している。
思考が停止する。だが、この人生で鍛えられた本能は殺気を感じ取っていた。
「シュタルカー・ヴィントォ!!!」
スピカの怒鳴り声と共に、鋭い刃となった緑色の風がクウへと襲い掛かる。前にビフロンスにて無轟と相対した時のように、反射神経だけで少女を左腕で抱えてソファを転げ落ちる。
風の刃はソファをスレスレを通り過ぎて壁に当たるが、魔法の障壁が直前で張られた事によって破壊は免れる。レイアかツバサのどちらかだろうが、確認は出来なかった。
目の前に…例えるなら、そう。鬼がいるから。
「スピカ待てマジで落ち着け!?」
「私は落ち着いているわええ落ち着いているわクウあなたどこで子供作ったの一言言ってくれてもいいじゃないその前にまずはリズ直伝の魔法であなたの首を切り落とさないとねぇ」
「落ち着いてない!? 全然全くこれっぽっちも落ち着いてませんよスピカさん!? って、え、あ? リズ? あっはい話を誤魔化す気は全くないから俺の言い分を聞いて!!」
有無を言わせない笑顔で、再び魔法を唱えるスピカ。弱体化しているって話だが、絶対嘘だ。クウは心の中で密かに思う。
殺される。それも理不尽な理由で。覚悟を決めて、強く目を瞑る。
「ママ! おねえちゃん!」
そんな殺伐とした雰囲気で少女の口から嬉しそうに飛び出した言葉は、ある種の救いだったかもしれない。
「マ、ママ…?」
「おねえ、ちゃん?」
スピカの動きが止まった事で、発動しかけていた魔力も収束する。
呆然と少女に言われた言葉を、スピカとレイアが反復する。だが、少女は腕の中でニコニコとスピカを見て笑うだけだ。
「おはよー、おねえちゃん。あ、ママもパパもおはよー」
「ど、どうなってんだ…?」
「まぁまぁぁぁ…?」
答えの代わりに、物凄く低い声が辺りに響く。そして再びクウに殺意が襲い掛かる。
反射神経を頼りにキーブレードを取り出して後ろに振るうと、ガキン! とぶつかる音が響く。
目の前を確認すると、やはりと言うべきだろう。いなくなったと思った筈の鬼がウィドに憑りついて刃を向けていた。
「ウィド!?」
「黙れぇ!!! よくも私の姉さんを穢してくれたな極悪人がぁぁぁ!!!」
「俺本当に何もしてない!! 話し合おう、話し合えば分かる!!」
「そうだな話し合おうかまず首から下はいらないよなある国では動物の頭蓋骨をかち割って脳味噌を煮込んで食べるらしい内臓はレバ刺しにして腸でソーセージを作ってそれから」
「俺を調理する思考をどっかに追いやってください!!?」
スピカ以上に思考が過激だが、こいつらやっぱり姉弟だ。クウはキーブレードで受け止めつつ、心の中で思う。
どうやってシスコンを宥めるか必死に頭を働かせていると、成り行きを見ていたツバサとレイアが不満げに声を上げる。
「いいなー、ボクも師匠との子供が欲しーい!」
「私も欲しいです…」
「ぶほぉ!!」
純粋な二人の呟きに、思わず吹き出してしまう。おかげでウィドの剣の刃が更に近づいてしまった。
「おいウィド俺も手伝うぞ姪を穢す輩は消す…!!!」
「増えた!?」
不運はまだまだ連鎖する。いつの間にかリクが近くにおり、伯父バカを発症して目が据わった状態でキーブレードを取り出す。
「テラ」
「分かってる、アクア。こんなキーブレード使い抹消するぞ」
しかも、アクアとテラまで冷たい目でキーブレードを取り出して参戦してしまう。
…心なしか、闇の存在なんかに向けていた冷たい眼差しに似ている気がする。
「どれだけ俺信用ないんだよ!?」
「「「「問答無用っ!!」」」」
もはや説得の言葉すら届かず、四人が一斉にクウに向けて武器を振るう。
こうなった以上誰も止める事はないだろう。二度目の死を覚悟してクウは目を瞑る。
「―――」
一斉に放たれた四人の攻撃は、全て弾かれた。
クウを庇う様にして現れた、白黒の仮面を嵌めた黒いドレスを纏った女性の持つ――赤と黒の銃剣(ガンブレード)によって。
「い、何時の間に!?」
「ねえ、あれってカルマの仮面だよね!?」
「誰だ!?」
突然現れた女性に、オパール、カイリ、ルキルが声を上げる。
すると、女性は静かに顔を上げる。顔は仮面に覆われていて分からない。髪は金色で、後ろに収まるように纏めている。ドレスは裾は足元まであり手首まで隠す程長いが、胸元は空いている仕様だ。スタイルが非常によいおかげで、豊満な胸を強調している。
女性は警戒されているのを感じ取ったのか、剣を下すと溜息を吐いた。
「私達は敵じゃない。まずは説明させて欲しい…オーバーチュアと共に」
「オーバー…チュア?」
女性の言葉に、クウは無意識に顔を下に向ける。
尚も傍にいた少女は黒い女性に赤い瞳を向けて、にぱっと笑顔になった。
「おねえちゃん!」
「…では、あなたがスピカさんの反剣である『クリムゾンブリッツ』で、あそこの女の子が心剣である『オーバーチュア』なんですね?」
「そうだ。混乱を招いてすまなかった」
そう言って、黒い女性――クリムゾンブリッツは、アクアに頭を下げる。仮面で顔は隠れているが、誠意は伝わってくる。
現在、クリムゾンブリッツの説明を聞く為に、全員はリビングの一角に集まっている状態だ。本来ならお腹を空かせるソラとヴェンも、この時ばかりは事態を飲み込む為に我慢している。
「いや、それは別にいいが…」
「あそこの空気どうにかするのが先決じゃないのか?」
リクとルキルは、半分呆れの混じった目線で振り返る。
そこには、謎の少女――オーバーチュアが、懐いた様子でソファに座っているクウに抱き着いており、隣でスピカがベール越しに小さな頭を撫でている。傍から見れば幸せそうな光景だ。
更にその横でウィドが目の敵とばかりにクウを睨んでいなければ、だが。
「あらこのままでもいいじゃない? 家族みたいで」
「それ以上煽るのは止めてくれ!!」
平気で実の弟に対して火に油を注ぐ発言をするスピカに、クウが悲鳴を上げる。
このままだと話がまた捻じ曲がる。オパールは頭痛を起こしかけるが、どうにか堪えて話を進めた。
「で、どうしてスピカさんの剣が実体化? あー、擬人化? した訳?」
「カミが与えてくれた処置だ」
カミ。その言葉に、誰もが一人の人物を思い浮かべる。
イリアドゥス。自分達が滞在したセカイにおいて、あらゆる万能の力を持つ――カミと言われる存在。
「本来、私達反剣も心剣もこの世界にはない存在(ルール)だ。故に、あちらの世界で心剣を習得したからと言ってこちらで使える事はまずない」
「世界の干渉を防ぐ為の同類の事が起きてるんだな」
「え? リク、どう言う事?」
リクが納得していると、意味が分かっていないのかソラが質問する。
「例えばソラ。世界を巡っていた時に、必要な物以外は旅の合間に持ってきていたか?」
「あー。そう言うの出来なかったなぁ。お土産とか買いたかったけど、そう言うのは世界の干渉に繋がるから駄目って」
「つまりはそう言う事だ。スピカさんが手に入れた心剣・反剣は本来はあちらの世界のモノ。それをこちら側に持ってくるって事は、世界の成り立ちが根本から崩れる事になる。だから俺達の世界では使えない…って事でいいのか?」
「ああ。間違ってはいないし、分かりやすい。まあ、それでも分かってない奴がいるが…要するに、心剣も反剣も別のセカイにて存在する代物だ。それを自分達のセカイに持ってくると、世界同士の干渉となり世界は無理やりそれに合わせようとする。すると、パワーバランスが崩れる。ならば、崩れない為にはどうするか? その力を使わせないように規制すればいいだけの事だ」
「なるほど!」
「そう言う事か!」
ようやく意味が通じたようで、ソラだけでなくヴェンも納得を見せた。
すると、今度はレイアは頭に疑問符を浮かべる。
「あれ? でもそうなると、ウィドさんの心剣はどうなるんですか?」
「彼の心剣は、常に『心器』に宿っている状態だ。心器は心剣を宿す為の剣の器だ。外殻によって世界からの干渉から守られている…と思えばいい」
「元の世界に戻っても使える様に、シルビアは私に心器を送ったのかもしれませんね…」
クリムゾンブリッツが教えてくれた心器の意味に、ウィドは心剣とも言える自身の武器に手を添える。
「話を戻そう。カミが私達をこの世界でも扱えるように与えてくれたのは、実体化だ。私達を心剣・反剣としてではなく、個としての存在…私と彼女を人としての姿を与えた。それにより世界に定着させる。時間はかかったが、互いに現界は出来た。今後は武器として扱えるだろう」
「そう。ありがとう」
「私も彼女もお前の剣であり心だ。力になるのが当然だ――仮面の術によって一度は歪められた私も、真の姿に戻った。思う存分振るうがいい」
クリムゾンブリッツが見せた剣は、以前スピカが抜いた状態とは違って形も色もしっかりしている。それをスピカに持たせる。
「と、ところで…俺からも良いか? なんで、この子俺の事をパパって呼ぶんだ? スピカの心剣だろ?」
「あれだけの事をやって置いて自覚がないのか?…お前、心剣としての素質をこの子に与えただろう? オーバーチュアはスピカ、そしてクウ。お前達から出来た存在だ」
「あ…」
そう言われると、納得せざる負えない。あの時はスピカを助けるのに必死で、あれこれと後先考えず事を進めてしまった。自分達によって生まれたのなら、パパやママと呼ぶのも分かる気がする。
「これからよろしく、ママ! パパ!」
オーバーチュアは笑顔で言うと、小さな手に光を宿す。
そこから現れたのは、持ち手のカバーが付いた銀色の銃剣―−心剣。少女もまた、自身となる剣をスピカへと差し出した。
(うん…なんだ…?)
ベット代わりに使う事になったソファの上でゴソゴソと身じろいで右手を動かす…が、意識を向けても動く事がない。
そう言えば使えないままだった。その事を思い出し、今度は左手で布団代わりに被っていたコートを引き寄せようとするが、重しでも上に乗っかっているのか引っかかる。
(なんか、あったかい…てか、乗ってる…?)
温もりは心地よいが、乗っかっている重さを一度感じてしまうと苦しくなってくる。
眠気も少しは覚めてしまい、乗っかっている何かを見る為に起き上がる。
カーテン越しから差し込む朝の光。鳥の囀りが聞こえている。そんな薄暗い部屋の中。
「すぅ…すぅ…」
自分の腹の上。そこに、身体にかけていたコートを握るように小さな少女が眠っていた。
「――へ?」
思わず目を擦り、もう一度確認する。姿、腹の上の重み、温もり…どうやら寝ぼけている訳ではないようだ。
改めて少女を見ると、ツバサより小さい…歳は10歳、あるいはそれ以下かもしれない。肩まである金髪の髪。服装は白いワンピースだが、まるであらゆる存在から守るように頭から足元まで白く薄いベールに覆われている。
「迷子…? いや、でもこの顔…どこかで」
「クウさん、朝ですよ」
「師匠、おはよー。眠れた?」
「クウ、起きた? 寝足りないなら私達の使ったベットで…」
そこで運悪く、レイア、ツバサ、スピカが身支度を済ませてリビングにやってくる。
嫌でも冷汗が背中に流れ落ちる。未だに目覚めない少女を腹に乗せたまま、クウはゆっくりと三人を見る。
レイアとツバサはきょとんをこちらを見ている。が、スピカだけは無表情でこちらを――正体不明の少女を見ていた。
「…その子、誰?」
「ま、待てスピカ!? 俺は何も知らない!! してない!!」
案の定誤解を受けて、必死に弁解を始める。段々空気が冷たくなっているのは絶対に気のせいではない。
「ん〜…」
大声を出した所為だろうか。少女は頭を擦るように、ゆっくりと起き上がる。
まだ眠いのか、コシコシと目を擦る。この場にいる誰もが少女に注目する中、向けられる視線を気にしてないのかじっとクウを見つめる。そのまま数秒間見つめ合うと、ふわりと柔らかな笑顔を浮かべる。
「パパ!」
けれど、笑顔とは裏腹に小さな口から放たれたのはとんでもない爆弾だった。
「ぱ、ぱ…?」
あまりの発言に、思わず目を見開いて固まってしまう。この世界には石化の魔法はないが、今のクウはまさに石と化している。
思考が停止する。だが、この人生で鍛えられた本能は殺気を感じ取っていた。
「シュタルカー・ヴィントォ!!!」
スピカの怒鳴り声と共に、鋭い刃となった緑色の風がクウへと襲い掛かる。前にビフロンスにて無轟と相対した時のように、反射神経だけで少女を左腕で抱えてソファを転げ落ちる。
風の刃はソファをスレスレを通り過ぎて壁に当たるが、魔法の障壁が直前で張られた事によって破壊は免れる。レイアかツバサのどちらかだろうが、確認は出来なかった。
目の前に…例えるなら、そう。鬼がいるから。
「スピカ待てマジで落ち着け!?」
「私は落ち着いているわええ落ち着いているわクウあなたどこで子供作ったの一言言ってくれてもいいじゃないその前にまずはリズ直伝の魔法であなたの首を切り落とさないとねぇ」
「落ち着いてない!? 全然全くこれっぽっちも落ち着いてませんよスピカさん!? って、え、あ? リズ? あっはい話を誤魔化す気は全くないから俺の言い分を聞いて!!」
有無を言わせない笑顔で、再び魔法を唱えるスピカ。弱体化しているって話だが、絶対嘘だ。クウは心の中で密かに思う。
殺される。それも理不尽な理由で。覚悟を決めて、強く目を瞑る。
「ママ! おねえちゃん!」
そんな殺伐とした雰囲気で少女の口から嬉しそうに飛び出した言葉は、ある種の救いだったかもしれない。
「マ、ママ…?」
「おねえ、ちゃん?」
スピカの動きが止まった事で、発動しかけていた魔力も収束する。
呆然と少女に言われた言葉を、スピカとレイアが反復する。だが、少女は腕の中でニコニコとスピカを見て笑うだけだ。
「おはよー、おねえちゃん。あ、ママもパパもおはよー」
「ど、どうなってんだ…?」
「まぁまぁぁぁ…?」
答えの代わりに、物凄く低い声が辺りに響く。そして再びクウに殺意が襲い掛かる。
反射神経を頼りにキーブレードを取り出して後ろに振るうと、ガキン! とぶつかる音が響く。
目の前を確認すると、やはりと言うべきだろう。いなくなったと思った筈の鬼がウィドに憑りついて刃を向けていた。
「ウィド!?」
「黙れぇ!!! よくも私の姉さんを穢してくれたな極悪人がぁぁぁ!!!」
「俺本当に何もしてない!! 話し合おう、話し合えば分かる!!」
「そうだな話し合おうかまず首から下はいらないよなある国では動物の頭蓋骨をかち割って脳味噌を煮込んで食べるらしい内臓はレバ刺しにして腸でソーセージを作ってそれから」
「俺を調理する思考をどっかに追いやってください!!?」
スピカ以上に思考が過激だが、こいつらやっぱり姉弟だ。クウはキーブレードで受け止めつつ、心の中で思う。
どうやってシスコンを宥めるか必死に頭を働かせていると、成り行きを見ていたツバサとレイアが不満げに声を上げる。
「いいなー、ボクも師匠との子供が欲しーい!」
「私も欲しいです…」
「ぶほぉ!!」
純粋な二人の呟きに、思わず吹き出してしまう。おかげでウィドの剣の刃が更に近づいてしまった。
「おいウィド俺も手伝うぞ姪を穢す輩は消す…!!!」
「増えた!?」
不運はまだまだ連鎖する。いつの間にかリクが近くにおり、伯父バカを発症して目が据わった状態でキーブレードを取り出す。
「テラ」
「分かってる、アクア。こんなキーブレード使い抹消するぞ」
しかも、アクアとテラまで冷たい目でキーブレードを取り出して参戦してしまう。
…心なしか、闇の存在なんかに向けていた冷たい眼差しに似ている気がする。
「どれだけ俺信用ないんだよ!?」
「「「「問答無用っ!!」」」」
もはや説得の言葉すら届かず、四人が一斉にクウに向けて武器を振るう。
こうなった以上誰も止める事はないだろう。二度目の死を覚悟してクウは目を瞑る。
「―――」
一斉に放たれた四人の攻撃は、全て弾かれた。
クウを庇う様にして現れた、白黒の仮面を嵌めた黒いドレスを纏った女性の持つ――赤と黒の銃剣(ガンブレード)によって。
「い、何時の間に!?」
「ねえ、あれってカルマの仮面だよね!?」
「誰だ!?」
突然現れた女性に、オパール、カイリ、ルキルが声を上げる。
すると、女性は静かに顔を上げる。顔は仮面に覆われていて分からない。髪は金色で、後ろに収まるように纏めている。ドレスは裾は足元まであり手首まで隠す程長いが、胸元は空いている仕様だ。スタイルが非常によいおかげで、豊満な胸を強調している。
女性は警戒されているのを感じ取ったのか、剣を下すと溜息を吐いた。
「私達は敵じゃない。まずは説明させて欲しい…オーバーチュアと共に」
「オーバー…チュア?」
女性の言葉に、クウは無意識に顔を下に向ける。
尚も傍にいた少女は黒い女性に赤い瞳を向けて、にぱっと笑顔になった。
「おねえちゃん!」
「…では、あなたがスピカさんの反剣である『クリムゾンブリッツ』で、あそこの女の子が心剣である『オーバーチュア』なんですね?」
「そうだ。混乱を招いてすまなかった」
そう言って、黒い女性――クリムゾンブリッツは、アクアに頭を下げる。仮面で顔は隠れているが、誠意は伝わってくる。
現在、クリムゾンブリッツの説明を聞く為に、全員はリビングの一角に集まっている状態だ。本来ならお腹を空かせるソラとヴェンも、この時ばかりは事態を飲み込む為に我慢している。
「いや、それは別にいいが…」
「あそこの空気どうにかするのが先決じゃないのか?」
リクとルキルは、半分呆れの混じった目線で振り返る。
そこには、謎の少女――オーバーチュアが、懐いた様子でソファに座っているクウに抱き着いており、隣でスピカがベール越しに小さな頭を撫でている。傍から見れば幸せそうな光景だ。
更にその横でウィドが目の敵とばかりにクウを睨んでいなければ、だが。
「あらこのままでもいいじゃない? 家族みたいで」
「それ以上煽るのは止めてくれ!!」
平気で実の弟に対して火に油を注ぐ発言をするスピカに、クウが悲鳴を上げる。
このままだと話がまた捻じ曲がる。オパールは頭痛を起こしかけるが、どうにか堪えて話を進めた。
「で、どうしてスピカさんの剣が実体化? あー、擬人化? した訳?」
「カミが与えてくれた処置だ」
カミ。その言葉に、誰もが一人の人物を思い浮かべる。
イリアドゥス。自分達が滞在したセカイにおいて、あらゆる万能の力を持つ――カミと言われる存在。
「本来、私達反剣も心剣もこの世界にはない存在(ルール)だ。故に、あちらの世界で心剣を習得したからと言ってこちらで使える事はまずない」
「世界の干渉を防ぐ為の同類の事が起きてるんだな」
「え? リク、どう言う事?」
リクが納得していると、意味が分かっていないのかソラが質問する。
「例えばソラ。世界を巡っていた時に、必要な物以外は旅の合間に持ってきていたか?」
「あー。そう言うの出来なかったなぁ。お土産とか買いたかったけど、そう言うのは世界の干渉に繋がるから駄目って」
「つまりはそう言う事だ。スピカさんが手に入れた心剣・反剣は本来はあちらの世界のモノ。それをこちら側に持ってくるって事は、世界の成り立ちが根本から崩れる事になる。だから俺達の世界では使えない…って事でいいのか?」
「ああ。間違ってはいないし、分かりやすい。まあ、それでも分かってない奴がいるが…要するに、心剣も反剣も別のセカイにて存在する代物だ。それを自分達のセカイに持ってくると、世界同士の干渉となり世界は無理やりそれに合わせようとする。すると、パワーバランスが崩れる。ならば、崩れない為にはどうするか? その力を使わせないように規制すればいいだけの事だ」
「なるほど!」
「そう言う事か!」
ようやく意味が通じたようで、ソラだけでなくヴェンも納得を見せた。
すると、今度はレイアは頭に疑問符を浮かべる。
「あれ? でもそうなると、ウィドさんの心剣はどうなるんですか?」
「彼の心剣は、常に『心器』に宿っている状態だ。心器は心剣を宿す為の剣の器だ。外殻によって世界からの干渉から守られている…と思えばいい」
「元の世界に戻っても使える様に、シルビアは私に心器を送ったのかもしれませんね…」
クリムゾンブリッツが教えてくれた心器の意味に、ウィドは心剣とも言える自身の武器に手を添える。
「話を戻そう。カミが私達をこの世界でも扱えるように与えてくれたのは、実体化だ。私達を心剣・反剣としてではなく、個としての存在…私と彼女を人としての姿を与えた。それにより世界に定着させる。時間はかかったが、互いに現界は出来た。今後は武器として扱えるだろう」
「そう。ありがとう」
「私も彼女もお前の剣であり心だ。力になるのが当然だ――仮面の術によって一度は歪められた私も、真の姿に戻った。思う存分振るうがいい」
クリムゾンブリッツが見せた剣は、以前スピカが抜いた状態とは違って形も色もしっかりしている。それをスピカに持たせる。
「と、ところで…俺からも良いか? なんで、この子俺の事をパパって呼ぶんだ? スピカの心剣だろ?」
「あれだけの事をやって置いて自覚がないのか?…お前、心剣としての素質をこの子に与えただろう? オーバーチュアはスピカ、そしてクウ。お前達から出来た存在だ」
「あ…」
そう言われると、納得せざる負えない。あの時はスピカを助けるのに必死で、あれこれと後先考えず事を進めてしまった。自分達によって生まれたのなら、パパやママと呼ぶのも分かる気がする。
「これからよろしく、ママ! パパ!」
オーバーチュアは笑顔で言うと、小さな手に光を宿す。
そこから現れたのは、持ち手のカバーが付いた銀色の銃剣―−心剣。少女もまた、自身となる剣をスピカへと差し出した。
■作者メッセージ
予知書のメダルつえーわ。興味ないからと育てるの放棄してごめんよグラウ。
はい初っ端からごめんなさい。でも言わせてください。
もう1ヶ月以上も前の事です。KHUxで、一回限りのEXガチャでリク目当てで引いたのに、外れでグラウ(攻・防ステボ付き)が出ましてねー。興味なくて大量のメダルの中に埋もれさせてたんです(酷い扱い? 悪いが、推し以外のキャラはこんなものだ)
でも、パーティの事もあるし、強化期間だったし、溜めている強化メダルもそろそろ消費しないとと言う事で数日前にギルドMAX&ステータス全強化させました。
そしたら強いのなんの! ハデスカップもだいぶ進むし、コロシアムも進むし、ストーリーも進む! レイドも短い時間でボッコボコ!! 同じEXであるセフィロスやリク、ネクのメダル(全部強化済み)とサポートでの予知者メダル合わせたら最強も良い所ですよフハハハハハ!!!
ランキングの頂点とは言わない。ウルススの上位を目指すぞー!! 待ってろランキング報酬のジュエルー!!
ここから先は、前回同様FGOの話です。KHではないです。興味ない方は「戻る」をどうぞ。
私はオルタニキ(リアルフレサポ)信者になります(悟り)
いやもうね。強さもそうなんだけど、耐久が凄いの。礼装の無敵効果と回避で避けるだけ避けて、ガッツで凌いで、宝具使ってギリギリのところで倒してくれる。いざとなったらオルタニキが一番だわ。6章で私は切に感じた。友達がニキ&エミヤ好きで良かった(ニキズやエミヤが好きで聖杯貢ぐほど)、ありがとう友達。
いや、5章も中々…と言うか、滅茶苦茶強かったけどね。フレさんのアビちゃんや北斎で倒したようなものだから…フォーリナー実装後に挑んですまん、オルタニキ。
さて…何かと運が向いている友達に、アーサー目当てでガチャを引いて貰いました。番外編とう〇ぶで書いたように、「イケメンこいイケメンこいイケメンイケメンイケメン」と念じながら(呪(のろ)いだって? 違う、これはお呪(まじな)いなんだ!!)
金のセイバーのカードです。騎士です。金髪です、エクスカリバー、男が来たよ!!!
ガヴェインがな。(史実:アーサー王の甥っ子。エクスカリバーの姉妹剣に選ばれた円卓の騎士の一人)
レアですよ? こいつレアですよ? 星4だけど育てると結構火力すげーよ? ただ…強敵で壁になっている状態で来ても嬉しくもなんともないんだよぉ!!! ピックアップすらされてないのに何で来たんだよ間際らしいんだようがああああああああああぁぁぁ!!!(いやつい最近オルタニキで倒したけどね!)
はい初っ端からごめんなさい。でも言わせてください。
もう1ヶ月以上も前の事です。KHUxで、一回限りのEXガチャでリク目当てで引いたのに、外れでグラウ(攻・防ステボ付き)が出ましてねー。興味なくて大量のメダルの中に埋もれさせてたんです(酷い扱い? 悪いが、推し以外のキャラはこんなものだ)
でも、パーティの事もあるし、強化期間だったし、溜めている強化メダルもそろそろ消費しないとと言う事で数日前にギルドMAX&ステータス全強化させました。
そしたら強いのなんの! ハデスカップもだいぶ進むし、コロシアムも進むし、ストーリーも進む! レイドも短い時間でボッコボコ!! 同じEXであるセフィロスやリク、ネクのメダル(全部強化済み)とサポートでの予知者メダル合わせたら最強も良い所ですよフハハハハハ!!!
ランキングの頂点とは言わない。ウルススの上位を目指すぞー!! 待ってろランキング報酬のジュエルー!!
ここから先は、前回同様FGOの話です。KHではないです。興味ない方は「戻る」をどうぞ。
私はオルタニキ(リアルフレサポ)信者になります(悟り)
いやもうね。強さもそうなんだけど、耐久が凄いの。礼装の無敵効果と回避で避けるだけ避けて、ガッツで凌いで、宝具使ってギリギリのところで倒してくれる。いざとなったらオルタニキが一番だわ。6章で私は切に感じた。友達がニキ&エミヤ好きで良かった(ニキズやエミヤが好きで聖杯貢ぐほど)、ありがとう友達。
いや、5章も中々…と言うか、滅茶苦茶強かったけどね。フレさんのアビちゃんや北斎で倒したようなものだから…フォーリナー実装後に挑んですまん、オルタニキ。
さて…何かと運が向いている友達に、アーサー目当てでガチャを引いて貰いました。番外編とう〇ぶで書いたように、「イケメンこいイケメンこいイケメンイケメンイケメン」と念じながら(呪(のろ)いだって? 違う、これはお呪(まじな)いなんだ!!)
金のセイバーのカードです。騎士です。金髪です、エクスカリバー、男が来たよ!!!
ガヴェインがな。(史実:アーサー王の甥っ子。エクスカリバーの姉妹剣に選ばれた円卓の騎士の一人)
レアですよ? こいつレアですよ? 星4だけど育てると結構火力すげーよ? ただ…強敵で壁になっている状態で来ても嬉しくもなんともないんだよぉ!!! ピックアップすらされてないのに何で来たんだよ間際らしいんだようがああああああああああぁぁぁ!!!(いやつい最近オルタニキで倒したけどね!)