第2話『喧嘩とアロハシャツ』
「本当にすまん!!」
緑のモブ子は両手を胸の前で合わせる。
ジークは首を振り意識をハッキリさせると再び緑のモブ子を見る。
「もういいって。んなことより、ミリーの姉さんってお前だったんだな」
ジークは釜に薪をくべるミリーの小さな背中を見る。
ツインテールだが緑の髪に大雑把な口調、確かに似ている箇所はいくつかある。
「驚いたのはお互い様だっつの。確かにいつか来いとは言ったけどまさか漂流してくるなんて思わねぇよ」
「確かにな……」
「つうか、」
緑のモブ子はジークの胸ぐらを掴むとグイッと引き寄せ顔を近付ける。
「ミリーに変なことしてねぇだろうな?」
「するわけねぇだろ!」
先程まで謝罪してたあの殊勝な態度はどこへいってしまったのだろうかとジークは落胆する。
(今度漂流者を拾ったら優しくしてやろう……)
新たな決意とルーベルトに強く謝罪するジークだった。
「お姉ちゃん釜の準備できたよー」
「はいよ」
モブ子はジークの胸ぐらを突き放すと立ち上がった。
「すぐに何か作ってやるから待ってな」
「あ、あぁ……」
ミリーからもらった水を飲んで多少マシになったもののジークの腹の限界はすぐそこまで来ていた。
そこで空腹を紛らすためにミリーと遊ぶことにする。
それから数分後、意識が再び朦朧とし始めミリーに全然勝てなくなった頃、木製のテーブルに料理が運ばれた。
「ほらさっさと食いな」
ジークはガタガタの椅子に座りテーブルを見るとピラフが置かれていた。
それをジークは一口頬張る。
「どうだ?」
「……まぁまぁだな」
ジークは感想を述べた後もう一口、二口と口に運んでいるとミリーが背伸びをしてテーブルの下から顔を出した。
「兄ちゃん、素直に不味いって言って良いんだよ?」
「ぁあ?美味いに決まってんだろ。なぁ?」
ジークの対面に座り片眉を吊り上げ問い詰めてくるモブ子。
ジークは目を閉じ、1つの結論をだす。
「正直なところを言わせてもらえば、クソ不味い」
「んだとコラァ!!」
モブ子はテーブルを叩きながら立ち上がる。
「や〜い!飯マズ〜♪」
「お前もいい加減にしろミリー!!」
激怒するモブ子だがため息をつくと雑に椅子に座った。
「チッ!分かってんだよあたしの飯が不味いことくらい。そもそもこんな土地じゃまともな食材が手に入らねぇんだ、まともなもんが作れる訳ねぇじゃん」
家の内装を落ち着いてよく見てみれば中の壁にもヒビが入っており床の板も至るところがはげていた。
確かにこんな所では最低限の生活をするだけで精一杯かもしれない。
だからジーク達がクインシェルからの帰りの船でモブ子に出会ったように出稼ぎに行くしかないのかもしれない。
しかし、
(一年前まではそうじゃなかったんだよな……一体何が……?)
ジークが疑問を抱いていた時だった。
「お姉ちゃん、人のせいにしちゃいけないんだよ?」
「ミリー……」
モブ子はミリーの頭を鷲掴みにすると力を込めミシミシと音を立てる。
「イタタタタ!!お姉ちゃん痛い!!」
「お前まだ怒ってんのか?いい加減にしねぇとあたしも怒るぞ?」
「ま、まだ謝ってもらってないもん!お姉ちゃんが謝るまで絶対に許すもんか!」
「帰ってきた時散々謝ったろうが!まだ足りないってのか?」
「こ、心が……込もってない……!!」
ミリーは痛みに耐えながらモブ子を睨む。
「コイツ……最初から許す気ねぇな?」
そんな光景を見ながジークはピラフを完食した。
(そういや喧嘩の仲裁をする約束したっけな)
満腹になり余裕のできた頭で状況を整理してみる。
(ミリーは1週間で帰ってくるって言ってた姉さんが5日たってようやく帰ってきたことに腹を立ててる。で、コイツが帰らなかった理由って……)
ジークは緑のモブ子を見てビビスタの出来事を思い出した。
(俺達のせいじゃねぇか……)
確かにバルカ港にて漆黒の翼の船に密航したモブ子が悪いかもしれない。
しかし、もし密航したことに気付いていればラジルダ跡に着いた後ベルサスへ送り届けることができたかもしれない。
その場合、レムナントは完成することはなかっただろうが、それでも巻き込む事にはならなかったはずだ。
ジークはモブ子の腕を掴みミリーの頭から手を引き剥がし、頭を下げた。
「すまん、ミリーの姉さんが帰れなかったのは俺達のせいなんだ」
「はぁ!?」
モブ子はジークに捕まれた右腕を左手で触りながら目を見開くがミリーはキョトンとしていた。
「どゆこと?」
ジークはモブ子と出会った経緯から詳細に話した。
船を直してもらったこと。
バイラスの襲撃により定期便が欠航になったこと。
空を飛ぶための機械を造ってもらったこと等々。
「なぁ〜んだ、結局兄ちゃん達が悪いんじゃん」
ミリーは頭の後ろで手を組ながら言うがジークには何も言い返せなかった。
「そうなんだよ!全部コイツらのせいなんだよ!まったく困っちゃうよな〜」
「おい……」
折角フォローしてやってるのに何を煽ってるんだ?という視線をモブ子に送るとモブ子は苦笑いを浮かべた。
「いやでもあんたには感謝してるよ。あたしがこうして帰ってこれたのはあんたのおかげだもん」
「いや、俺は何も……」
ジークが否定している最中、ミリーのお腹の虫が盛大な音を立てた。
「お姉ちゃんお腹減った〜」
「じゃああたし達も昼飯にすっか!」
なんやかんやでうやむやになったところでモブ子は台所に向かいフライパンを温め直す。
「まだピラフ残ってんのか?」
「当たり前だろ?一人前しか作らないとかそんな非効率なことあたしがするかよ」
ジークはモブ子の脇から食材や調味料の確認をする。
「あんた……人様の家の台所を漁るとか相当失礼なヤツだな……」
呆れるモブ子の傍らでジークは聞く耳も持たず食材達を見つめていた。
「なぁ、3分だけここを貸してくれないか? 」
「……別に良いけど、あたしより不味い物作ったらぶっ飛ばすからな」
それから3分後、テーブルに再びピラフが置かれる。
「見た目は変わらないようだけど……」
モブ子がピラフを睨み付ける隣でミリーがピラフを頬張る。
「うまっ!!」
そんな様子を見て対面に座るジークは微笑む。
そしてモブ子も匙を口に運ぶ。
「……は、腹に入っちまえば変わんねーし」
「お姉ちゃん負け惜しみ?」
「ばっか、ちげぇよ!つうかあんたアレか!?今流行りの料理上手い系男子か!?」
「そんな流行知らねぇよ」
ジークが呆れて頬杖をついてる間にも姉妹は着実に平らげていく。
「兄ちゃん兄ちゃん!あたしの本当の兄ちゃんになって毎日料理作ってよ!」
「は!?」
ジークは思わず声を張り上げる。ミリーの兄になるということはつまりモブ子と……
「じゃああたしの弟になるわけだな」
「あ、あぁ……」
モブ子は至って冷静に匙を進めていた。
「お前顔が赤いけど大丈夫か?」
「ピッ、ピラフが熱いんだよ!!そんなにヒトの顔をジロジロと見んな!!」
モブ子は体の熱を冷ますかのようにコップに汲まれた水を一気に飲みほした。
「で、あんたこれからどうすんの?」
「しばらくベルサスにいようと思う。いろいろ気になる事ができたからな」
「ふぅ〜ん……。だったらうちに泊まれよ」
「……良いのか?」
ジークはミリーとモブ子を交互に見る。
「ビビスタで言ったろ?絶対に恩は返すって。それにその方がミリーも喜ぶしな」
「へへ〜」
ミリーはモブ子に頭を撫でられ満面の笑みを浮かべた。
「お前にはまだ自己紹介してなかったな。俺はジーク・フリィースだ。これから世話になる」
ジークが手を差し伸べるとモブ子は顔を引きつらせながらジークの手を握った。
「あ、あぁ。よろしく」
「…………」
「…………」
二人は握手をしたまま暫く硬直しているとモブ子の視線が厳しいものへと変わる。
「おい、何時まで握ってるつもりだ?」
「いやまだお前の名前を……」
「な、名前なんてどうでも良いだろ!?」
モブ子は慌てたようにジークの手を振りほどく。
「いやでも呼ぶ時困るだろ」
「んなもん……」
「話は聞かせてもらったぜぃ!?」
ジークとモブ子の言い合いを男の声が遮った。入り口を見てみると金髪にサングラスをかけ、アロハシャツを着た青年がドアに寄り掛かっていた。
「おい、砂埃が入るだろ。さっさと扉閉めろ」
モブ子に睨まれると青年はそそくさと扉を閉めた。
「それで何の用だ?ディルク」
ディルクと呼ばれた青年は笑いながら後ろ髪をかく。
「いや〜俺ん家の屋根にまた穴があいちまったから姉ちんに修理を頼もうと来たんだが、漂流者が一緒に居るじゃないですかい。ジークといったな、ちょ〜っと面貸して欲しいぜよ」
「俺は構わないぜ?」
ジークが立ち上がるとディルクの前にミリーが立ちはだかった。
「やいディルク!兄ちゃんを苛めたらあたしが必殺の一撃を喰らわせてやるからな!!」
「ハッハッハ!ミリーちゃんの中で俺はどんなイメージだぜよ〜」
ディルクは笑いながら肩をすくめて見せる。
そんな中モブ子は工具箱の準備をしていた。
「あんたらが話している間に修理しといてやるけどお代はきっちりもらうからな?」
「へいへ〜い」
ディルクは掌をヒラヒラさせながら返事をし、外に出る。
「付いてくるぜよ」
言われてジークはディルクの背中を追う。
※ ※ ※
ジークは黙ってディルクの後に付いていくと再び薔薇の迷路に入りベルサスの外へと出る。
そして街道を歩いていくと港へと辿り着いた。
港と言っても商店のような店はあるが客も含めて誰も居なかった。
「ここなら良いだろ」
ディルクは言うと足を止め踵を返しジークと向き合う。
「てめぇ、何者ぜよ?」
先程のヘラヘラした態度とはうってかわって表情は真剣そのものでサングラス越しに見える瞳はジークを睨み付けていた。
「このご時世に漂流なんて有り得ない。各地のバイラスの生息地の変化に加え凶暴化により定期便は欠航続き。プライベートシップを持っていたとしても海賊がはびこる今の海に出ようとする馬鹿は早々居ない。そんな中どうやって漂流する?」
覚悟はしていた。
ベルサスに来れたものの特殊な来方をしたからにはそれなりに疑われることを。
そして、ヤコの話もしなければならないことも。
「洗い浚い吐いてもらおうか」
「あぁ、もともと隠す気はねぇよ」
ジークは決意を固め、これまであったことを話す。
〜続く〜
【※ディルクがキャラクター名鑑・参の巻に登録されました】
緑のモブ子は両手を胸の前で合わせる。
ジークは首を振り意識をハッキリさせると再び緑のモブ子を見る。
「もういいって。んなことより、ミリーの姉さんってお前だったんだな」
ジークは釜に薪をくべるミリーの小さな背中を見る。
ツインテールだが緑の髪に大雑把な口調、確かに似ている箇所はいくつかある。
「驚いたのはお互い様だっつの。確かにいつか来いとは言ったけどまさか漂流してくるなんて思わねぇよ」
「確かにな……」
「つうか、」
緑のモブ子はジークの胸ぐらを掴むとグイッと引き寄せ顔を近付ける。
「ミリーに変なことしてねぇだろうな?」
「するわけねぇだろ!」
先程まで謝罪してたあの殊勝な態度はどこへいってしまったのだろうかとジークは落胆する。
(今度漂流者を拾ったら優しくしてやろう……)
新たな決意とルーベルトに強く謝罪するジークだった。
「お姉ちゃん釜の準備できたよー」
「はいよ」
モブ子はジークの胸ぐらを突き放すと立ち上がった。
「すぐに何か作ってやるから待ってな」
「あ、あぁ……」
ミリーからもらった水を飲んで多少マシになったもののジークの腹の限界はすぐそこまで来ていた。
そこで空腹を紛らすためにミリーと遊ぶことにする。
それから数分後、意識が再び朦朧とし始めミリーに全然勝てなくなった頃、木製のテーブルに料理が運ばれた。
「ほらさっさと食いな」
ジークはガタガタの椅子に座りテーブルを見るとピラフが置かれていた。
それをジークは一口頬張る。
「どうだ?」
「……まぁまぁだな」
ジークは感想を述べた後もう一口、二口と口に運んでいるとミリーが背伸びをしてテーブルの下から顔を出した。
「兄ちゃん、素直に不味いって言って良いんだよ?」
「ぁあ?美味いに決まってんだろ。なぁ?」
ジークの対面に座り片眉を吊り上げ問い詰めてくるモブ子。
ジークは目を閉じ、1つの結論をだす。
「正直なところを言わせてもらえば、クソ不味い」
「んだとコラァ!!」
モブ子はテーブルを叩きながら立ち上がる。
「や〜い!飯マズ〜♪」
「お前もいい加減にしろミリー!!」
激怒するモブ子だがため息をつくと雑に椅子に座った。
「チッ!分かってんだよあたしの飯が不味いことくらい。そもそもこんな土地じゃまともな食材が手に入らねぇんだ、まともなもんが作れる訳ねぇじゃん」
家の内装を落ち着いてよく見てみれば中の壁にもヒビが入っており床の板も至るところがはげていた。
確かにこんな所では最低限の生活をするだけで精一杯かもしれない。
だからジーク達がクインシェルからの帰りの船でモブ子に出会ったように出稼ぎに行くしかないのかもしれない。
しかし、
(一年前まではそうじゃなかったんだよな……一体何が……?)
ジークが疑問を抱いていた時だった。
「お姉ちゃん、人のせいにしちゃいけないんだよ?」
「ミリー……」
モブ子はミリーの頭を鷲掴みにすると力を込めミシミシと音を立てる。
「イタタタタ!!お姉ちゃん痛い!!」
「お前まだ怒ってんのか?いい加減にしねぇとあたしも怒るぞ?」
「ま、まだ謝ってもらってないもん!お姉ちゃんが謝るまで絶対に許すもんか!」
「帰ってきた時散々謝ったろうが!まだ足りないってのか?」
「こ、心が……込もってない……!!」
ミリーは痛みに耐えながらモブ子を睨む。
「コイツ……最初から許す気ねぇな?」
そんな光景を見ながジークはピラフを完食した。
(そういや喧嘩の仲裁をする約束したっけな)
満腹になり余裕のできた頭で状況を整理してみる。
(ミリーは1週間で帰ってくるって言ってた姉さんが5日たってようやく帰ってきたことに腹を立ててる。で、コイツが帰らなかった理由って……)
ジークは緑のモブ子を見てビビスタの出来事を思い出した。
(俺達のせいじゃねぇか……)
確かにバルカ港にて漆黒の翼の船に密航したモブ子が悪いかもしれない。
しかし、もし密航したことに気付いていればラジルダ跡に着いた後ベルサスへ送り届けることができたかもしれない。
その場合、レムナントは完成することはなかっただろうが、それでも巻き込む事にはならなかったはずだ。
ジークはモブ子の腕を掴みミリーの頭から手を引き剥がし、頭を下げた。
「すまん、ミリーの姉さんが帰れなかったのは俺達のせいなんだ」
「はぁ!?」
モブ子はジークに捕まれた右腕を左手で触りながら目を見開くがミリーはキョトンとしていた。
「どゆこと?」
ジークはモブ子と出会った経緯から詳細に話した。
船を直してもらったこと。
バイラスの襲撃により定期便が欠航になったこと。
空を飛ぶための機械を造ってもらったこと等々。
「なぁ〜んだ、結局兄ちゃん達が悪いんじゃん」
ミリーは頭の後ろで手を組ながら言うがジークには何も言い返せなかった。
「そうなんだよ!全部コイツらのせいなんだよ!まったく困っちゃうよな〜」
「おい……」
折角フォローしてやってるのに何を煽ってるんだ?という視線をモブ子に送るとモブ子は苦笑いを浮かべた。
「いやでもあんたには感謝してるよ。あたしがこうして帰ってこれたのはあんたのおかげだもん」
「いや、俺は何も……」
ジークが否定している最中、ミリーのお腹の虫が盛大な音を立てた。
「お姉ちゃんお腹減った〜」
「じゃああたし達も昼飯にすっか!」
なんやかんやでうやむやになったところでモブ子は台所に向かいフライパンを温め直す。
「まだピラフ残ってんのか?」
「当たり前だろ?一人前しか作らないとかそんな非効率なことあたしがするかよ」
ジークはモブ子の脇から食材や調味料の確認をする。
「あんた……人様の家の台所を漁るとか相当失礼なヤツだな……」
呆れるモブ子の傍らでジークは聞く耳も持たず食材達を見つめていた。
「なぁ、3分だけここを貸してくれないか? 」
「……別に良いけど、あたしより不味い物作ったらぶっ飛ばすからな」
それから3分後、テーブルに再びピラフが置かれる。
「見た目は変わらないようだけど……」
モブ子がピラフを睨み付ける隣でミリーがピラフを頬張る。
「うまっ!!」
そんな様子を見て対面に座るジークは微笑む。
そしてモブ子も匙を口に運ぶ。
「……は、腹に入っちまえば変わんねーし」
「お姉ちゃん負け惜しみ?」
「ばっか、ちげぇよ!つうかあんたアレか!?今流行りの料理上手い系男子か!?」
「そんな流行知らねぇよ」
ジークが呆れて頬杖をついてる間にも姉妹は着実に平らげていく。
「兄ちゃん兄ちゃん!あたしの本当の兄ちゃんになって毎日料理作ってよ!」
「は!?」
ジークは思わず声を張り上げる。ミリーの兄になるということはつまりモブ子と……
「じゃああたしの弟になるわけだな」
「あ、あぁ……」
モブ子は至って冷静に匙を進めていた。
「お前顔が赤いけど大丈夫か?」
「ピッ、ピラフが熱いんだよ!!そんなにヒトの顔をジロジロと見んな!!」
モブ子は体の熱を冷ますかのようにコップに汲まれた水を一気に飲みほした。
「で、あんたこれからどうすんの?」
「しばらくベルサスにいようと思う。いろいろ気になる事ができたからな」
「ふぅ〜ん……。だったらうちに泊まれよ」
「……良いのか?」
ジークはミリーとモブ子を交互に見る。
「ビビスタで言ったろ?絶対に恩は返すって。それにその方がミリーも喜ぶしな」
「へへ〜」
ミリーはモブ子に頭を撫でられ満面の笑みを浮かべた。
「お前にはまだ自己紹介してなかったな。俺はジーク・フリィースだ。これから世話になる」
ジークが手を差し伸べるとモブ子は顔を引きつらせながらジークの手を握った。
「あ、あぁ。よろしく」
「…………」
「…………」
二人は握手をしたまま暫く硬直しているとモブ子の視線が厳しいものへと変わる。
「おい、何時まで握ってるつもりだ?」
「いやまだお前の名前を……」
「な、名前なんてどうでも良いだろ!?」
モブ子は慌てたようにジークの手を振りほどく。
「いやでも呼ぶ時困るだろ」
「んなもん……」
「話は聞かせてもらったぜぃ!?」
ジークとモブ子の言い合いを男の声が遮った。入り口を見てみると金髪にサングラスをかけ、アロハシャツを着た青年がドアに寄り掛かっていた。
「おい、砂埃が入るだろ。さっさと扉閉めろ」
モブ子に睨まれると青年はそそくさと扉を閉めた。
「それで何の用だ?ディルク」
ディルクと呼ばれた青年は笑いながら後ろ髪をかく。
「いや〜俺ん家の屋根にまた穴があいちまったから姉ちんに修理を頼もうと来たんだが、漂流者が一緒に居るじゃないですかい。ジークといったな、ちょ〜っと面貸して欲しいぜよ」
「俺は構わないぜ?」
ジークが立ち上がるとディルクの前にミリーが立ちはだかった。
「やいディルク!兄ちゃんを苛めたらあたしが必殺の一撃を喰らわせてやるからな!!」
「ハッハッハ!ミリーちゃんの中で俺はどんなイメージだぜよ〜」
ディルクは笑いながら肩をすくめて見せる。
そんな中モブ子は工具箱の準備をしていた。
「あんたらが話している間に修理しといてやるけどお代はきっちりもらうからな?」
「へいへ〜い」
ディルクは掌をヒラヒラさせながら返事をし、外に出る。
「付いてくるぜよ」
言われてジークはディルクの背中を追う。
※ ※ ※
ジークは黙ってディルクの後に付いていくと再び薔薇の迷路に入りベルサスの外へと出る。
そして街道を歩いていくと港へと辿り着いた。
港と言っても商店のような店はあるが客も含めて誰も居なかった。
「ここなら良いだろ」
ディルクは言うと足を止め踵を返しジークと向き合う。
「てめぇ、何者ぜよ?」
先程のヘラヘラした態度とはうってかわって表情は真剣そのものでサングラス越しに見える瞳はジークを睨み付けていた。
「このご時世に漂流なんて有り得ない。各地のバイラスの生息地の変化に加え凶暴化により定期便は欠航続き。プライベートシップを持っていたとしても海賊がはびこる今の海に出ようとする馬鹿は早々居ない。そんな中どうやって漂流する?」
覚悟はしていた。
ベルサスに来れたものの特殊な来方をしたからにはそれなりに疑われることを。
そして、ヤコの話もしなければならないことも。
「洗い浚い吐いてもらおうか」
「あぁ、もともと隠す気はねぇよ」
ジークは決意を固め、これまであったことを話す。
〜続く〜
【※ディルクがキャラクター名鑑・参の巻に登録されました】
■作者メッセージ
【楽談パート12】
takeshi「ども〜!奇跡的に2話目も書けたけどマジで時間がないtakeshiです」
チャリティ「う〜ん、なんかラブコメの波動を感じるわ」
マティアス「ラブコメの波動?」
ヤコ「何それ?」
チャリティ「よく分かんないけどお姉ちゃんなら感知できるやつなのよ。緑のモブ子ちゃん……彼女は危険だわ」
マティアス「確か彼女、料理できる男は苦手だと言ってなかったかしら?」
ヤコ「じゃあジークは対象外だね」
チャリティ「それはそれで姉として微妙なのよね〜」
takeshi「我が儘な……。そういえば今回料理のシーンがあるのですがどうも最近そういうシーンを書いてると「おあがりよ!」とか書きたくなるのでダメですね。料理を食べた時のリアクションとか味っ子の真似したくなりましたし……」
マティアス「ピラフを食べるだけで1話終わりそうね……」
ヤコ「目と口からビームを出すのかそれとも脱ぐのかも問題だよ」
チャリティ「ていうか何でモブ子ちゃんは名前言うの嫌がってんの?」
ヤコ「彼女の場合名前にコンプレックスがあるみたいだからそっとしておいてあげて?」
マティアス「その場合ずっとモブ子表記だけれど、それでも良いの?」
チャリティ「モブ子以上に酷い名前ってこと?可哀想に」
ヤコ「う〜ん、そういうことじゃないかな……」
takeshi「言わないでくださいね?」
ヤコ「分かった」
takeshi「そして今回ようやくディルクを出せました!本当なら1話で姉妹喧嘩を終わらせてディルクも出して今頃はもう次の新キャラも出てる予定だったのですが、まぁ良いでしょう!」
マティアス「その僅かな遅れが後々に響かなければ良いわね」
ヤコ「ディルクのあんなマジメな顔初めて見た」
チャリティ「いつもはどんな感じなのよ?」
ヤコ「ん〜女の子を見つけ次第ナンパしてたかな」
マティアス「見た目どおりちゃらいわね……」
チャリティ「さすがアロハ……」
takeshi「今回語ることはこんなもんですかね!流石一致団結すると早い!なんだか結束力が高まってきましたね!」
チャリティ「そりゃあ10回以上も一緒にやってるもの」
マティアス「ヤコが異次元に飛ばなくなったのが大きいと私は思うわ」
ヤコ「異次元の発想をするのも疲れるからちょっと休憩中」
チャリティ「疲れるならやるな」
takeshi「ではまた〜」
takeshi「ども〜!奇跡的に2話目も書けたけどマジで時間がないtakeshiです」
チャリティ「う〜ん、なんかラブコメの波動を感じるわ」
マティアス「ラブコメの波動?」
ヤコ「何それ?」
チャリティ「よく分かんないけどお姉ちゃんなら感知できるやつなのよ。緑のモブ子ちゃん……彼女は危険だわ」
マティアス「確か彼女、料理できる男は苦手だと言ってなかったかしら?」
ヤコ「じゃあジークは対象外だね」
チャリティ「それはそれで姉として微妙なのよね〜」
takeshi「我が儘な……。そういえば今回料理のシーンがあるのですがどうも最近そういうシーンを書いてると「おあがりよ!」とか書きたくなるのでダメですね。料理を食べた時のリアクションとか味っ子の真似したくなりましたし……」
マティアス「ピラフを食べるだけで1話終わりそうね……」
ヤコ「目と口からビームを出すのかそれとも脱ぐのかも問題だよ」
チャリティ「ていうか何でモブ子ちゃんは名前言うの嫌がってんの?」
ヤコ「彼女の場合名前にコンプレックスがあるみたいだからそっとしておいてあげて?」
マティアス「その場合ずっとモブ子表記だけれど、それでも良いの?」
チャリティ「モブ子以上に酷い名前ってこと?可哀想に」
ヤコ「う〜ん、そういうことじゃないかな……」
takeshi「言わないでくださいね?」
ヤコ「分かった」
takeshi「そして今回ようやくディルクを出せました!本当なら1話で姉妹喧嘩を終わらせてディルクも出して今頃はもう次の新キャラも出てる予定だったのですが、まぁ良いでしょう!」
マティアス「その僅かな遅れが後々に響かなければ良いわね」
ヤコ「ディルクのあんなマジメな顔初めて見た」
チャリティ「いつもはどんな感じなのよ?」
ヤコ「ん〜女の子を見つけ次第ナンパしてたかな」
マティアス「見た目どおりちゃらいわね……」
チャリティ「さすがアロハ……」
takeshi「今回語ることはこんなもんですかね!流石一致団結すると早い!なんだか結束力が高まってきましたね!」
チャリティ「そりゃあ10回以上も一緒にやってるもの」
マティアス「ヤコが異次元に飛ばなくなったのが大きいと私は思うわ」
ヤコ「異次元の発想をするのも疲れるからちょっと休憩中」
チャリティ「疲れるならやるな」
takeshi「ではまた〜」