マスター承認記念パーティー・1
*これは『3D』クリア記念の作品です。内容としては、私のオリキャラやあとがきのネタも出ますので、そちらから見た方が話の内容がより一層分かります。
*尚、クリア後に当たっての大きなネタバレがあるので、「話は自分でプレイして見るんだ!!」や「ギャグなんて許さん!! あのシリアスさが気に入っているんだぁ!!」と言う方は見ない事をオススメします。
*「ネタバレ? 上等だぁ!!」と言う方や「シリアスが壊れるギャグでも全然構わないさ!!」と言う方はどうぞご覧ください。
いつも使っているスタジオのとある一室。
そこでパンパンッ、とクラッカーの音が続けざまに鳴り響いた。
『『『リクっ!! マスター承認試験合格おめでと〜!!』』』
そんな祝福の言葉を部屋の中にいた全員(一部を除く)から言われたからか、リク(断髪後)は困惑の表情を浮かべる。
「こ、これは一体…?」
撮影が終わった後にある一室に呼び出され、ドアを開けた途端クラッカーが鳴り響いたのだ。しかも、中は色紙で飾りつけされていたり、お菓子や飲み物も準備されている。
完全にパーティー会場となった一室に冷や汗を掻いていると、クラッカーを鳴らした一人であるソラが嬉しそうに笑った。
「へへっ、俺が皆を誘ったんだ! そしたら、皆急いでパーティーの準備してくれたんだぜ!?」
「折角キーブレードマスターになったんだもん。これぐらいはしないとねっ!」
同じくクラッカーを鳴らしたカイリも笑みを向けると、リクは申し訳なさそうに顔を逸らした。
「で、でも…」
「もしかして、ソラさんだけ落ちた事気にかかっているんですか?」
そんなリクに、作品の出演者でもあるオリキャラのレイアが首を傾げる。
実は、承認試験はソラとリクの二人で受けたのだが、いろいろあって結果はリク一人だけ合格したのだ。リクは素直には喜べない状況だが、ソラは気にしておらず…寧ろ、こうして皆を誘ってパーティーの準備をするほど純粋に喜んでいる。
それでも顔を俯かせていると、同じくオリキャラであるクウとオパールが呆れた目を向けた。
「何だよ、それぐらいで。大体、お前が助けなかったらこいつはずっと眠りにつく所だったんだぜ? 十分、マスターになる要素はあるだろ?」
「そうよ。敵の思惑にホイホイ付いて行ったバカを、あんたは何にも負けずに勝ち抜いてこうして救ったのよ? だったら、胸を張る!!」
この二人の激励に、ようやくリクの表情が和らいだのか笑みを浮かべた。
「…そう、だな。すまないな、オパール」
「ふにゃ!? べっ、別にあんたを励まそうとか、そんなの思って言った訳じゃ…!!」
リクが笑顔を見せてお礼を言うと、何故かオパールは目を逸らして顔を真っ赤にする。
この二人の様子を見て、ソラとクウが半目になった。
「出た、オパールのツンデレ…」
「今後の次回作で、こいつにヒロイン出来たらどうなる事やら…」
「さすがのオパールさんも、その時は諦めてくれると良いのですが…」
クウの心からの疑問に、レイアまでも冷や汗を垂らしてしまう。
今回の新作でキーブレードマスターになり、ヒロイン候補のシオンも復活フラグ並みの登場をしているのだ。彼女がフラれる未来が来てもおかしく「何か言ったぁ?」何にも言ってませんから武器を仕舞ってぇぇぇ!!?
「お前がキーブレードマスターか…まあ、俺もその内なってやる」
地の文に脅しをかけるオパールを無視し、会場にいる最後の一人である【リク=レプリカ】の一年後の姿であるルキルが腕を組んでそんな宣言をする。
すると、リクが眉を寄せてルキルを睨みつけた。
「ふん、キーブレードも持てない奴がよく言うな」
「好きに言ってろ。アクセルが持てるんだ、俺だってその気になれば手に入れてやる」
リクの言葉を受け流しつつ、ルキルも睨み返す。
こうして二人の睨み合いが始まっていると、会場のドアが開いてアクア、テラ、ヴェンが入ってきた。
「ほら。折角のパーティーなんだから喧嘩はここまで、ね?」
「待たせたな。この近くにコンビニが見当たらなくって…」
「あと、こいつらも呼んできたよ!」
テラがお菓子やジュースの入ったビニール袋を見せる中、ヴェンは笑顔で後ろを指す。
すると、開きっぱなしのドアから何とワンダニャンとコウモリバットが入ってきて、それぞれの主人に目掛けて飛んできた。
「ははっ! あっちではありがとな!」
「おいおい…! そう甘えるなって!」
ソラがワンダニャンを、リクもコウモリバットを撫でる光景に、カイリとオパールは互いに笑みを浮かべた。
「ふふっ…ゲームクリア出来て良かったね〜?」
「そうね。これもあたしとカイリ、そして作者の腕が良かったからよね〜?」
「「ねー♪」」
顔を見合わせながら声を合わせる二人に、ルキルは何処か感心したように目を開く。
「へぇ…そんなに腕がいいのか、あの二人と作者って」
このルキルの呟きに、何故かどんよりとした空気が一部の人達から流れた。
「…まあ、そうだな…」
「あれは、凄かったな…いろんな意味で」
「下手すれば、トラウマになりかねないわね…」
「……ッ……!!」
クウとテラは顔を引くつかせ、アクアでさえも二人から顔を逸らし、ヴェンに至っては胸を押さえて膝を付いて蹲る始末である。
まるで思い出してはいけないものを思い出した四人に、ルキルは嫌な予感を感じながらも思わず聞いてしまった。
「な…何があったんだ…?」
「それが――」
そう言って、クウはゆっくりと重い口を開いた…。
「――よし、ここで念の為セーブしてっと…」
【存在しなかった世界】でセーブをしてショップで買い物するカイリの傍には、ドロップ待ちのオパールとプレイを見守る作者の二人が。
「カイリ〜、まだ〜?」
「もー、良い所だから邪魔しないで!! ナミネにシオンにロクサスに…私やリク、テラとアクアとヴェンも出てきて、続きが気になってんだか…ら…」
「何? どうしたの?」
オパールに文句を言っていたカイリが、突然口を閉ざす。
作者が近づいて画面を覗き見ると…――何と、ゼムナスとシグバールとのイベントが。
「なに、この展開…? まさか、もうラスボス突入ぅ!? ちょっとぉ、リクだって手前辺りでドロップしたのにー!!!」
「いや、そんな事言ってる場合じゃない!! カイリ、ここは私に交代を――!!」
悔しさで叫ぶオパールにツッコミを入れつつ、作者が3DSに手を伸ばすが――
「――たし…る…」
「「ハイ?」」
思わず聞き返していると、カイリの目に炎のような闘志が宿る。
「私が…やるっ!! ソラを利用しようなんて、私が許さないんだからぁ!!!」
「ちょ!? 何かスイッチ入ったんだけど!?」
「確かにソラファンには許せない事だろうけど、カイリここは落ち着いて――!!」
慌てる作者とは別に、オパールはカイリの怒りを鎮めようとするが…。
「邪魔しないでっ!!! あーもー!! 体力どれだけあるのよ!? 動きも単調じゃなくなって2より素早いし、攻撃力も無駄に高いしー!! 2のクリティカルモードじゃ再戦は“一回”で倒せたのにー!!!」
そんな文句を言いながらも、ボタンを動かす手を止めないカイリ。
何処からか何かが突き刺さる音が聞こえた気がするが、作者とオパールはもはや止められないと本能的に悟った。
「だ、大丈夫かな…?」
「どうだろう…私達に出来るのは、信じるしか「あー!!!」の前に、終わったか…」
オパールの問いに答えている間にゲームオーバーになったようで、カイリの悲鳴が上がった。
悔しそうに画面を見るカイリに、オパールはどうにか笑みを浮かべて手を伸ばす。
「カ、カイリ…とりあえず、あたしに交代してくれないかな?」
「駄目よっ!!! 絶っ対、倒すまで諦めないんだからー!!!」
そう言うなり、すぐさまリトライするカイリ。
再びラスボス戦が始まるのを見て、オパールは悲しそうに頭を下げた。
「ううっ…リクの操作が遠ざかる〜…」
「まあ、推定レベルは超えているんだ…何時かは倒せるでしょ…」
オパールを慰めつつ、必死に操作するカイリを見守る作者であった…。
「そ、そんな事が…」
クウの説明にルキルが顔を引くつかせていると、何故かテラが首を振った。
「いや…カイリのはまだ良い方だ」
「そ、そうなのか…?」
ゼムナス戦を終えて、イベントも終了するなりリクにドロップして数秒後…。
「…さーて、カイリも終わった事でようやくあたしの番ね♪ ドロップもしないから、無制限で出来る〜!!」
「オパール!! 絶対、ソラを助けてよ!!」
「任せなさい!!」
「…助けるのは操作するリクなんだけど…まあ、あながち間違ってはいないか」
カイリの声援に意気込むオパールに、こっそりツッコミを入れる作者。
そうこうしている間に、一気に先へと進むオパール。
「ではさっそく…あ、イベント」
その言葉にカイリも作者も画面を覗き込むと、何と赤い目しかない黒いコートのナイトメアが現れてリクがキーブレードを構える。
「やーん!! リク、かっこいい〜!! どうせならあたしの悪夢も喰らって、なーんて…」
「デレを発動させてる場合かい!? 早く、もうボス戦に入るよ!?」
リクのセリフに乙女になるオパールに、正気に戻そうと急かす作者。
だが、オパールは一瞬黙り込むと、何故か二人に笑顔を見せた。
「――もう一回聞いちゃ駄目? ワザとやられて」
「「駄目ェ!!!」」
「チッ…ま、いっか。じゃ、さっさとこいつを倒して――…って、何こいつ!? 回避間に合わない攻撃に追尾効果って強すぎない!?」
戦闘を見ると、何と地面から手のような闇を噴き出したり、捕まえようとそれを飛ばしてくるではないか。
しかも、近づくと剣のように変化させてリクを襲っている。今までとは違う敵に、カイリも唖然とするしかない。
「今までとは全然違うね…」
「オパール、ガンバ!!」
「あのねぇ!! 自分達がやらないからって、呑気に見るなぁ!! これちょっとでも気を抜いたら終わりなんだから…!!!」
「そう言いつつ、凄い指捌きだね…」
応援する作者に怒鳴りつつ必死で指を動かして画面を睨むオパールに、カイリは思わず感心する。
しかし、それも長くは続かず…。
「マズ!? 回復魔法切れたまま!? どうにか避けて…――あー!!!」
「そっちも終わったか…」
一瞬の隙を突かれ、ゲームオーバーとなったオパールに作者は苦笑いを浮かべる。
そのままオパールが落ち込んでいると、カイリが必死に声をかけた。
「だ、大丈夫だよ!! 時間はあるから、コマンドやスピリットの編集し直して再挑戦しよ?」
「そ、そうね…エンディングまで、もう目の前。ここまで来たらやってやるわぁ!!!」
「頼んだよ、オパール!!」
エンディングに向けての闘志を再び燃やしたオパールに、作者も声援を送った。
■作者メッセージ
今回の話は見ての通り、一部ラスボス戦での実話を元に作成した話です(オイ
もちろん、ゲームでの話だけでなくちょっとしたドタバタも話に仕入れるつもりです。
もちろん、ゲームでの話だけでなくちょっとしたドタバタも話に仕入れるつもりです。