ハッピーハロウィンinビフロンス Part1
*注意書き:今回は特別編と言う事で、今現在で合流してないキャラや目覚めてないキャラも話に加えています。
異空を漂う半神によって作られし理想郷とも言える世界、【ビフロンス】。
その世界に聳え立つ巨城の下層にある城下町も、今日はハロウィン一色で染められている。
町の広場でお菓子を貰おうとする子供達に紛れ、とある仮装した子供達がいた。
「ハロウィンだぁー!!」
「今年は沢山大人が集まってるから、俺楽しみー!!」
「今日はよろしくね、皆!」
そうして笑顔で騒ぐのは、悪魔姿(『ハロウィンタウン』の衣装)をしたソラ。狼の耳と尻尾を付けたヴェン。黒い魔女の衣装を着たカイリだ。
カイリが挨拶する先にいるのは、黒く染まった翼に黒衣の堕天使衣装を纏ったアーファ。とんがった耳に貴族の黒衣、翼と尻尾を付けた魔王の衣装をしたオルガ。ヴェンと同じで狼の耳と尻尾を付けた狼男のイオン。衣装だけでなく顔中にまで縫いつけ…ではなく、メイクを施したフランケンシュタイン姿のペルセフォネがいた。
「アタシ達の方こそよろしく!」
「とうとうハロウィンの日となったか!! 目の前で堂々とコスプレ出来る数少ない日っ!!」
「僕…一緒でいいのかな? 異世界で過去の父さん達とは言え、家族でお菓子貰いに行くって…」
「気にしたら負けだよ、イオン」
若干一名、何とも言えぬ不安が心を占めていたが気にする事はないだろう。
さて、ここで視点を少し変えると、やや小さめな白い羽に白い衣装を纏った天使の姿のレイアがある三人に深々とお辞儀をしていた。
「ハオスさん、アイギスさん、アルマさん。今日はよろしくお願いします」
「ええ。何だかよく分かりませんが、頑張ります」
「私こそ、よろしく」
「…うん…」
ハオスは白い服に腰のベルトに刀と言う…○面のウ○キ○ラの衣装。アイギスは少し露出のある衣装に猫耳と尻尾を付けた猫娘姿。アルマは心剣を使って全身を覆う鎧の姿になっている。
彼らの衣装は何処からどう見ても、ハロウィンと言う日を楽しむのに完璧で「「ちょっと待て」」
「「俺達…明らかに違う格好のような気がするんだが?」」
突然聞こえた二人の同じ声に、全員が振り返る。
見ると、胸にドクロの様な飾りを付け、黒いスーツを着たリク。そして、茶色のブレザーの制服を着たルキルが半目になって嫌そうな顔を浮かべていた。
「えーと…もしかして、キッ○さんですか?」
「あなたは、あの有名な夜○月さん?」
「それって、シンクが読んでた漫画の人?」
そんな二人に追い打ちをかける様に、白いスーツを頭からすっぽり被ったお化け姿のフィフェル、全身に包帯を巻いたミイラ姿のシンク、黒い布で全身を覆い鎌(ハリボテ)背負った死神姿のヘカテーが思い思いに会話した。
「仮装じゃないだろ!? これコスプレだよなぁ!?」
「誰だ!! 俺達にこんな服用意した奴はぁ!?」
「俺だけど?」
「「オルガ、貴様ァァァ!!!」」
悪気のない笑顔で答えるオルガに、リクとルキルは怒鳴りながらそれぞれ武器を取り出す。
さすがにマズいと感じたのか、すぐにソラとヴェンが押さえつける。
「二人とも落ち着けって!?」
「そうだって!! 二人とも似合ってるからさ!?」
「放せ、ソラ!! 今すぐ二丁拳銃で蜂の巣にしてやるぅ!!」
「ありとあらゆる苦痛と一緒にお前の名前をノートに書いてやろうか!! あぁ!?」
「まあまあ。KHに出演してるユリパはもちろん、FFで有名なあのライトニングだって今じゃコスプレする時代だぜ? もっと誇りに思えよ」
「ドレスフィア&ウェアシステムとコスプレを一緒にするかぁあ!!」
「おい、【ライトニングリターンズ】の特典PV見たお前の作者の感想知ってるか!? 『ライトニングさんマジ着せ替え人形』って事ある度に言ってたぞ!!」
「どうして私達の作者の事を知っているのかしら…?」
火に油を注ぐオルガの発言にキレてしまうリクとルキルに、アイギスは誰にも聞こえない様に小さく疑問を呟く。
広場の一角がギャーギャーと騒がしくなる中、黒いマントに執事服の吸血鬼姿のシャオが何処か遠くを見ていた。
「ようやくまともなハロウィンが出来そう…リズ達に誘われた時は散々だったから…」
「散々って?」
シャオの呟きにイオンが問いかけると、自傷気味に笑みを浮かべる。
そんな彼の瞳には、光が無い。
「何て言うかさ…――無理やり女装させられたり、大の男の気持ち悪いコスプレ見せられたり、衝撃波ぶつけられそうになったり、犯罪だと分かってもお菓子貰っちゃったり、暗黒物質プレゼントされたり、人食いバラに拘束されて溶かされかけたりで最後は高圧電撃で全身黒焦げになって三途の川を渡りそうに…」
「本当に何があったのっ!!?」
こんな感じでいろいろあったが、作品内の18歳未満の子供組メンバーはどうにか気を取り直して話を進める事にした。
「で、最初は誰から貰いに行くんだ?」
このイベントが相当楽しみなのか、ソラが目を輝かせながら質問する。
すると、アイギスとリクがそれぞれメモ紙を取り出した。
「プランとしては、まず城門の前にいる反剣士メンバーから。その後は下層に部屋を置く心剣士メンバーとテラ達に会ってお菓子を貰う感じね。地下室にいるウラドも、今回は下層で待機してるわ」
「その後は、中層に部屋を置いている永遠剣士達とタルタロス組。そしてレプセキアで新たに仲間になった人達からお菓子を貰った後、上層にいる半神達に会えばいい訳か…」
大人達からお菓子を貰う計画に、アルマとシャオは顔を見合わせた。
「神様のお菓子…どんなのだろう…?」
「こればっかりは、行って見ないと分かんないね〜」
「それじゃ、まずは城門に行くか!」
オルガが声をかけ、子供組一行は広場から城門へと歩いて行く。
町に住む子供の声で賑わう町中を抜け、大きな門の前に辿り着くと、ゼツ・シェルリア・アナザ・ラクラ・ミュロス・イザウェル・フェンデル・アダムが待っていた。
「来たわね、あなた達」
「フィフェル、その格好似合ってるぜ」
「あっ…ありがとうございます」
「なあなあ、お菓子は!?」
ミュロスとゼツが笑いながら話していると、待ちきれないのかヴェンが詰め寄る。
そんなヴェンに、アナザは笑みを浮かべながら色とりどりの袋が詰まったバスケットを取り出した。
「この通り、用意してるわよ」
「だけど、その前にお前ら言う事あるだろ?」
「言う事…ですか?」
イザウェルの意味ありげな言葉に、ヘカテーは分からないのか疑問を浮かべる。
それを見て、カイリは笑いながらソラとヴェンに目配せした。
「ソラ、ヴェン、教えてあげて」
「トリック・オア・トリート!!」
「お菓子くれなきゃ悪戯するぞー!」
ハロウィンの合言葉とも言えるセリフに、フェンデルはアナザの持ってるバスケットからお菓子の入った袋を摘まんで二人に差し出した。
「ふふっ、悪戯は嫌だものね。はい、お菓子よ♪」
「少し歪だが、味は保障する。安心して食べてくれ」
「「わーい♪」」
苦笑いでラクラが前置きして言うが、二人は気にしてないのか一斉にお菓子を持つフェンデルに飛びつく。
他のメンバーもゼツ達からお菓子を貰う。中を開けて取り出すと、確かに歪な形をしたチョコトリュフが入っていた。
「このチョコ、どうして歪になっているんだ?」
何気ないリクの質問に、何故かシェルリアとゼツが顔を背けた。
「最初は私達だけで作っていたんだけど、途中でアナザとミュロスが参加しちゃって…」
「それから喧嘩になって、完成した時には歪になった訳だ…」
「ふん。シェルリアと二人っきりで料理なんてさせる訳ないでしょ?」
「そうよ、私だって一緒に暮らしてるんだからゼツと共同作業したいわ。ねぇ、ゼツ?」
「だー! アナザ、さりげに腕を絡めるな!?」
まるでしがみ付くように腕を絡めるアナザに、ゼツは悲鳴を上げる。
この様子に、思わずアダムが苦笑を浮かべる。
「何時見てもモテモテですね、ゼツ」
「笑ってないで助けてくれ!! 視線が痛い!!」
チラリと後ろを向くと、シェルリアとミュロスが怖い顔で睨んでいる。
一髪即発の光景に、アーファがフィフェルに声をかけた。
「…何時もこんな感じなの?」
「何時もではないけど、数日に一回くらい母様はあんな感じで…」
「イチャイチャするのはいいが、修羅場にならないよう気を付けておくんだな」
(((リク(さん)《お前》《あなた》《あんた》《ホンモノ》が言えるセリフじゃない…)))
何処か余裕を見せて忠告するリクに、この場にいる全員が心の中で言い返す。理由は…作品を読んだ人ならお分かりだろう。
「さ、さーて! ゼツ達からチョコ貰ったし、次に行こうよ!」
「そ、そうですね! ありがとうございます!」
空気を変える為にアーファとハオスが先を促し、一行はゼツ達と別れ城の中へと進んでいった。
■作者メッセージ
今日はハロウィン! と言う事で、夢旅人のキャラも合わせて今回の特別編を書いてみました。
尚、この後も予定では後3回くらい続きがあります。残りも今日中に出せるようにするつもりです。
尚、この後も予定では後3回くらい続きがあります。残りも今日中に出せるようにするつもりです。