【Re:開闢の宴】終盤突入企画・戦闘能力分析編 3
「さて、ランク分けも終了したし…――ここからは、各キャラのステータスを見てみるか」
レポートを持ちながらクウがそう言うと、上から大きなスクリーン画面が現れる。
こうして次の準備が完了すると、ウィドが何処からか分厚いレポート用紙を取り出した。
「あと、今回のステータス分析に伴い特別に作者から機密情報も頂きました」
「機密情報は俺達パートの話に関わる事しかないが、それでもこの先の事も書いてある。見ていて損はさせない筈だ」
『『『おおーっ!!』』』
司会二人の説明に、そんな歓声がスタジオに響いた。
「順番は出演順として、【ソラ編】のパーティキャラ、【テラ編】のパーティキャラ、そして【アクア編】のパーティキャラに、最後はシャオと致します」
「じゃ、最初はソラから行くか」
【ソラ】 攻撃:65 魔力:70 耐久:50 敏捷:60 戦術:90 知識:5
特殊アイテム&スキル
『キーブレード』:伝説の鍵型の武器。さまざまな扉や鍵穴などを開く・閉じる能力を持っている。
『繋がる心』:ソラの持つ根本的な力。決して目には見えない力だが、いろんな場面でピンチを乗り越えるだけでなく、繋がる人達の助けにもなっている。
「どうだ、これが俺のステータスだ!!」
何処か得意げに胸を張るソラに、幼馴染のリクとカイリも関心を見せた。
「まあ、ソラはさまざまなシリーズで主役を取ってるから、それなりにステータスがあるな…」
「言い換えれば、ソラって万能キャラだもんね。攻撃技もそうだし、いろんな属性の魔法使えて、誰とでも連携取り合えるから戦闘では意外な行動も取れるし」
カイリの言う通り、主人公であるソラはステータスのバランスが良く、攻撃の種類も豊富だ。それでいて、お人好しの性分か出会うキャラ達とすぐに打ち解けて仲良くなるので連携も取りやすい。まさに、オールラウンダーな万能キャラだろう。
「私もそれは認めますが…――何ですか、この知識の能力の無さは!? あなたは今までどうやって戦って来たんです!?」
「だって俺、頭使うの苦手だし…それに、本編ではちゃんと頭使って「あれはただの悪知恵だろっ!!! 少しは勉強して賢さを養えぇ!!!」ハ、ハイ…!!」
あまりの知識の無さに教師としてガミガミと説教するウィドに、ソラは正座しながら聞く事しか出来なかった。
「先生の説教が始まったな…」
「この調子だと、補習に発展しそうだな…」
そんなソラに、ルキルとヴェンが憐みの目を向けていると、ムーンがある事に気が付いた。
「それにしても、最後のってスキルなのか?」
「でも、私達にも繋がりの力があるのだし、ソラ個人の能力と言えばそうじゃないかしら?」
「【3D】では本当に危ない状況にまで発展したけどな…」
アクアが肯定する横では、リクがボソリと遠い目で呟く。
この繋がりの力は、今までのシリーズではχブレード完成やゼアノートの企みなどを阻止してきたが、【3D】ではこの力を逆手に取られ逆に窮地に陥ったのだ。詳しくはプレイしてその目で確認してください。
「ちなみに、ソラについての機密情報があるんだが…このスキル、俺達の作者パートの中で結構重要になるらしいぞ」
「マジかっ!?」
神無が目を見開いていますが、クウの言った事は本当です。
そうこうしていると、一通り説教が終わったのか魂の抜けた顔で床に寝そべっているソラを置いてウィドがレポートを持ち出した。
「さて、機密情報も出しましたし次に行きましょう。次は予定を変更してヴェンですね」
「オイ、待てよ!! 次はリクの筈なのに、どうして予定を変更したんだ!?」
「おや、そんな文句を言える立場ですか? そもそも、あなたがそう言う態度だからリクの紹介を後回しにせざる負えなかったんですよ…――ホント、ここの作者さんも大変ですね。一人の我が儘の為に、こうして計画を変更させないといけなくなったんですからぁ」
「ぐぬぬぬぅ…!!」
正論でもあるゼロボロスの言葉に、肩を震わせながら押し黙る事しか出来ないムーンだった。
「あいつ…あんな腹黒キャラだったっけ?」
「多分、ウィドの空気に感化されたんじゃないかしら…」
神無とアクアがコソコソと後ろで話していると、場の空気を変えようとヴェンがスクリーンの前に出た。
「えーと、とにかくこれが俺のステータスだ!!」
【ヴェン】 攻撃:45 魔力:75 耐久:50 敏捷:90 戦術:80 知識:45
特殊アイテム&スキル
『キーブレード』:伝説の鍵型の武器。さまざまな扉や鍵穴などを開く・閉じる能力を持っている。
『鎧』:闇の浸食から守る鎧を身に纏う。
『キーブレードライド』:キーブレードを乗り物に変形させ、世界を結ぶ回廊の移動に使う。ちなみに、世界に居ても変形は可能。
「ヴェンは敏捷が高いけど、攻撃力は平均以下ね」
「初期状態のヴェンの場合、フラッドさえもフィニッシュ技当てても倒せなかったりしましたからねぇ。特に作者の場合は最初にプレイしたのがテラでしたから、それも相まって最初は苦労した見たいですし」
「ううっ…」
オパールとウィドの言葉に、ヴェンは思わず頭を下げる。
三人の中で攻撃力の高いテラをクリアした後、一番攻撃力の低いヴェンをプレイしたので序盤はレベル上げはもちろん、コマンド技を手に入れるまで苦労した。その経験から、ヴェンの攻撃力を低めに設定したのだ。
何処か暗い表情で落ち込むヴェンに、ルキルがそっと肩を叩いた。
「気にするな、ヴェン。知識が一桁のソラよりずっとマシだろ?」
「それどう言う意味だよ!?」
即座にソラが復活するが、ウィドに睨まれて再び縮こまる。
そんな中、ムーンが不機嫌の表情でクウを見た。
「それより、次はリクだろ? ヴェンのを消して、さっさと出してくれ」
「ちょっと!! 俺これで終了させる気!?」
ヴェンがツッコミを入れていると、クウが呆れたように頭を押さえた。
「そうだぜ。ここはお前だけの場所じゃねーんだ、ちゃんと場の流れぐらい守れよ。じゃないと…恐ろしい事が起きるぜ」
「恐ろしい事? そんな根拠のない脅しで俺が怯むと思ってるのか?」
「根拠ならあるぜ。ほら、あれ」
そう言ってクウが指差す先には…ウィドが怪しい笑みを浮かべて、一枚の封筒を見せびらかしている。
封筒をよく見ると、何やら大きな○の中に「秘」の文字が。
「おやぁ〜? こーんな所に、ムーンのマル秘写真がありますよ〜?」
「マ、マル秘写真だとぉ!!? 何処でそんなのを!!?」
「シャオがプレゼントしてくれました♪」
「ハイ!?」
「シャオてめぇぇぇ!!?」
「ボク何にも知らないよーーーっ!!?」
シャオはそんな悲鳴を上げながら、キーブレードを持ったムーンに追いかけられる。
ドタバタとスタジオを駆けまわる二人に、クウはこっそりとウィドに問いかけた。
「…本当はどうした?」
「リラ様が『ムーンを弄れるネタにでもして下さい』とプレゼントしてくれました♪」
この事実に生贄となったシャオに合掌を送っていると、誘惑に負けたのかオパールが目を輝かせてウィドを見た。
「で、ムーンのマル秘写真って?」
「コレです♪」
ウィドは封を開け、中に入っていた数枚の写真を取り出して全員に見せつけた。
『『『ぶっ…ぶわっはははははははっ!!!??』』』
直後、爆笑の嵐がスタジオを包み込んだ。
それもそうだろう。写真には、ムーンが純粋な笑顔で公園で野球して遊んでいたり、リズとブランコしていたり、夕日に向かって輝かしい表情で叫んでいたり…とにかく、写真に写る全てが今のムーンとかけ離れて年相応の子供の姿であったのだから。
「ギャアアアアアアアアっ!!! 見るなぁぁぁ!!!」
この恥ずかしい写真に、ムーンは顔を真っ赤にしてどうにかウィドから写真を奪い取る。
しかし、それで場が収まる訳が無かった。
「何か、王様と一緒に話してるリクみたい…!!」
「ホント、笑顔がソックリだよな…!!」
「ちゃ…ちゃんと、子供の部分があったんだな…!!」
「テ、テラ…笑っちゃぷっ!!」
カイリ、ソラ、テラ、アクアの会話に、ムーンの中のプライドが音を立てて崩れ去っていく。
「でもま、やっぱり年頃の子供はこうでないとなっ!!」
「そうだな。子供と言うのは、こうして外で遊ぶ事により心身共に強くなっていくものだ。今の内にやっておくといい」
「良かったですねー、最強の方からこうしてお褒めの言葉を貰えて」
さらに夢キャラである神無、無轟の悪意のない感想に心に棘が刺さり、ゼロボロスの茶化すような言葉がトドメを刺した。
―――プチン
「グルゥアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「ひぃー!!? ムーンがキレたぁぁぁーーーーーーーっ!!?」
元凶としてロックオンされたシャオが逃げ回ると、ムーンはバーサク状態で辺り構わずキーブレードを使って暴れながら追いかけるものだから、関係ない人達もバーサクの餌食に飲み込まれていってしまう。
こうしてスタジオが混戦になる中、避難区域まで逃げたウィドは平然とスクリーンを操作した。
「さて、今の内にリクのステータスを披露しましょうか」
「策士だ、こいつ…」
そんなウィドに、同じくムーンのバーサクから逃れたクウはこっそりと呟いたと言う。