新年早々ドタバタなお正月・4
「ぜぇ…ぜぇ…!!」
「はぁ…はぁ…!!」
「ぐっ…うぅ…!!」
全てのカルタを取り終えた三人は、荒い呼吸をしてそれぞれ膝や床に両手を置いている。
そんな中、作者は三人が取ったカルタの集計をしていた。
「えっと…三人のカルタを数え終えたんですが、同点って所ですかね…」
「「「クッ…!!」」」
この結果に、三人は両手を握り悔しそうに歯軋りをする。
すると、レイアはすぐにオパールを宥めた。
「まあまあ、オパールさん。一応、最初の分も合わせれば結構取ってますし、ね?」
「それよりも、味方なのに敵になってどうするんだ二人とも?」
クォーツが軽く注意すると、リリィは不満げに顔を俯かせた。
「だ、だって…」
「フン、私は本能の赴くままに行動しただけよ」
「槍で突き刺してカルタを取るのが本能って、どれだけあの銀髪のガキを憎んでんだよ…」
何の悪びれも無く鼻を鳴らして腕を組むリリスに、フェンが穴だらけのカルタを呆れた目で見る。
そうこうしていると、作者がさっきのカルタを取り出した。
「さあ、次は三回戦。準備するんで、メンバーを決めてくださいね」
そう言うと、作者は最後の準備に取り掛かる。
そして、他のチームも最後の代表者選びに取り掛かった。
「いよいよ最後だが、残っているのは俺とアクアとリクだけか」
「どうしよっか?」
テラとヴェンが相談していると、アクアが手を叩いた。
「ここは普通に私とリクでどうかしら? リクはこうして作品に出演しているし、私の方がテラより素早いし!」
「正論だけど、テラが落ち込んでいるぞ…?」
ルキルが唖然としながら呟く横では、さりげに役立たずと言われて落ち込むテラを見る。
こうして代表が決まる中、もう一つのチームも代表を決めていた。
「ここはやっぱり、ロクサスとシオンでいいでしょ?」
「そうだな。主役である二人に任せた方がいいだろう」
デミックスとルクソードに言われ、ロクサスはシオンに笑顔を見せた。
「よーし、よろしくなシオン!」
「うん、一緒に頑張ろうね!」
「ささ、泣いても笑ってもこれが最後!! はい、手は膝にねー!! そうそう、言い忘れましたが急遽ルール変更で【COM】の分と合わせていきますからねー?」
「シャオ、頼みますよ」
「ウィドさんもね!」
作者が周りを見回す中、ウィドとシャオは正座しながらお互いに声をかける。
「では、行きますよ…」
そう言うと、代表者全員に緊張が走る。
こうして、最後のカルタ大会が始まった。
《今度の休暇、三人で「フッ!!」》
作者が読み上げる途中で、素早く手が動く。
見ると、ウィドが近くにあった一枚のカルタを綺麗に場外に弾き飛ばしていた。
「は、早い…」
「まあ、近くにありましたからね」
「さっすがウィドさん!」
上級のカルタの取り方にアクアが茫然とすると、ウィドは照れ臭そうに笑う。
そんなウィドにシャオが賞賛の言葉を送ると、次のカルタが読み上げられた。
《意味が欲し「はいっ!」》
全てを読み終える前に、今度はアクアが手を伸ばしてカルタを取った。
「こんな所ね」
「やったな、アクア!」
「さすがだな!」
「ありがとう、二人とも」
テラとヴェンの言葉に、アクアも思わず笑顔を浮かべる。
何処か微笑ましい光景を視界に収めつつ、作者は次のカルタを読み上げた。
《俺の本当に大切な「あった!」》
そう叫びながら、一つの手がカルタについた。
「やりましたね、シャオ」
「えへへ…!」
カルタを取った事をウィドが褒めると、シャオは照れ臭そうに笑い声を上げる。
そんな中、ロクサスはシャオを見て不思議そうに首を傾げていた。
「うーん…」
「ロクサス、どうしたの?」
「なあ、シオン…シャオって誰かに似てないか?」
「え? うーん…あたしはそうとは思わないけど?」
ロクサスに言われてシャオを見るが、特に不審な点が見つからず素直に思った事を言うシオン。
だが、ロクサスは何処か納得しないように再び床に並べられたカルタに向き合うシャオを見ていた。
「俺の気のせいかな…?」
「ハーイ、次々行くよー!!」
ロクサスの呟きが聞こえたのか、作者はワザとらしく大声を上げて注意を逸らした。
《さよなら、ロクサス。また「うおおっ!!」》
読んだ瞬間、ロクサスが真っ先に反応して遠くにあったカルタをスライディングの要領で取りあげた。
「はぁ…はぁ…これは、絶対に取らないとな…!!」
「ロクサス…!」
このロクサスの行動に、シオンが嬉しいような恥ずかしいような声で呟いて顔を赤らめる。
(あ、危なかった…)
この二人の空気の外では、作者はネタバレ回避に成功してこっそりと安堵の息を吐いていた。
《先輩へのプレゼ「頂きっ!!」》
次に読み上げると、再びシャオが手を伸ばしてカルタを取る。
これを見て、同じチームのクウが声をかけた。
「シャオ、やるな」
「へっへーん! どうだぁ!! こっちだってお年玉欲しいからね!!」
「お年玉でそこまで闘志燃やすか?」
胸を張るシャオに、先程の攻撃から回復したアクセルが呆れの目を見せる。
すると、シャオは顔を俯かせて身体中から暗いオーラを漂わせた。
「だって、家出中だからお年玉なんて貰えないもん…――ううっ、毎年お正月になればいろんな親戚から貰えるのに…」
「結構切実な理由なんだな…」
シャオの語る理由に、思わずソラが同情してしまう。
しかし、他の人は同情などせずにゲームに集中する。どんな理由であれ、家出した身分でお年玉を貰えないのは当然の事だ。
《あなたは故郷「はいっ!!」》
そんな中、続けざまにシャオがカルタを取る。
段々と調子が出てきたシャオに、シオンが目を丸くした。
「なんか、シャオ次々とカルタ取ってない!?」
連続でカルタを取った事に驚いていると、シャオが鼻を鳴らしながら得意げな笑みを浮かべた。
「だって、カルタの位置は全部覚えたからね〜。読まれればすぐにでも手を出せるよ!」
「凄い記憶力だな…」
「かなりの強敵ね…」
意外な事実にリクとアクアも顔を強張らせていると、ウィドが何処か呆れた溜息を吐いた。
「今までが可笑しかったんですよ。喧嘩はするわ仲間割れするわで、こっちの足を引っ張りまくってましたからねぇ〜?」
「だからこそ、ここでボク達が一気に挽回しないとねっ!!」
「「うぐぅ…!!」」
二人の言葉に、足を引っ張り合ったクウとエンの心に棘が刺さる。尚、後の二人は顔を逸らしている。
そんな中、作者はカルタを見ながら口を開いた。
「それじゃあ、ここからはスピードアップさせて貰いますか」
「ただ単にネタが尽きただけだろう?」
「やかましい!!」
一言多いレクセウスの発言に、作者は即座にツッコミを入れた。
―――そして
《ソラ、君に会えても「やぁ!」》
《大切なのはみんなで「くっ!!」》
《私、悪者だから邪「貰いっ!」》
《勝手な事言わ「ハイっ!」》
《お前を倒したら次は「そこっ!」》
《手加減はなし「どりゃ!」》
「シャオとウィドもすごいけど、他も負けてないな」
「こりゃ、勝負が分からなくなったってハナシだ」
感心するテラの隣で、シグバールも同意するように頷く。
取ったカルタの数的にはシャオやウィドの方が多いが、一回戦や二回戦の事を考えるとようやく互角に立ったとしか言いようがない。
「今までが今までだったからな。最後にようやくカルタらしくなった…」
「どっちが勝つんだろう…」
クォーツがしみじみと呟いていると、デミックスも勝負の行方を見守った。
それから十分後。代表者六人は全てのカルタを取り終えると、それぞれのチームで合わせて作者に渡して最後の集計が始まる。
やがて作者が集計を終えると、一枚の紙を持って前に出た。
「では、結果発表と行きましょう!! 三チームの中で一番多くカルタを取ったのは――」
発表が始まると同時に、ドラムロールが鳴り響く。
全員が緊張して固唾を呑んでいると、作者から優勝者が告げられた。
「――《KHチーム》でーす!!」
「「「やったー!!」」」
この発表にソラ、カイリ、ヴェンが思わず喜びの声を上げる。
他の四人も嬉しそうにしていると、作者が近づいてきた。
「では、お約束通りお年玉をプレゼントします!」
「待ってましたー!!」
そう言ってソラが手を伸ばすと、作者は用意されたお年玉を手渡した。
ソラの手に、一袋だけ。
『『『……エ?』』』
予想しなかった事に勝った七人だけでなく他の人達も目を丸くする。
だが、作者はただ首を傾げるだけだ。
「ん? どうしたの、豆鉄砲喰らったような顔して」
「こ、これ一つだけ…?」
確認するようにソラが言うと、カイリが焦ったように手を叩いた。
「で、でも中身はきっと私達の分があるんじゃない!?」
「そっか! 幾ら入って…」
カイリの推理に、ソラはすぐに袋を開けて中身を取り出す。
その中身は…――1000マニーだった。
『『『………』』』
この事実に、全員はさすがに黙り込んでしまう。
やがて、フェンは知らん顔で鼻歌を歌ってる作者に詰め寄った。
「おい、作者…どういう事だよ、これ?」
「何の事? お年玉は渡したじゃん」
「これのどこがお年玉だぁぁぁ!!?」
作者の言葉にキレたのか、リクが大声で怒鳴り出す。
それに便乗するように、他の人達も作者に怒り心頭で詰め寄り出す。
「これだけの人数いるのにたった一袋って何よっ!!?」
「しかも中身はたったの1000マニーってふざけてるのかぁ!!?」
「ゲームで勝った意味全然ないじゃん!!!」
「散々期待をさせておいて、どういう事だぁ!!?」
オパール、マールーシャ、カイリ、ゼムナスが怒鳴っている中、作者は何処か呆れた表情を浮かべた。
「あのさぁ…私ちゃんと最初に言ったよね? 【このお年玉を渡す】って。『全員分渡す』っては一言も言った覚えはこれっぽっちもないし、大金渡せるだけのお金も無い!! 何より、全部あんたらが勘違いした事にも文句を言われる筋合いもなーいっ!!! ハーハッハッハ!!!」
こうして、開き直ったように高笑いを上げる作者に。
―――ブチン
何かが切れる音が全員から響いた。
「どうやら、さっきの制裁では足りなかったようだな…!!」
「そう言えば、もうすぐこっちの本編最終章だったな…?」
「そろそろ、正月で鈍った身体の調子を整えないとね…!!」
エン、クウ、スピカを筆頭にオリキャラ達は拳を鳴らし。
「うんうん、それに俺達のリメイク版【KH】もあるしね…!!」
「どうだ、ニセモノ…お前も一緒に身体を動かすか?」
「ああ、リメイク版【COM】に向けて、丁度身体を動かしたいと思っていた所だ…!!」
同じく合併小説に出ているソラ、リク、ルキルを筆頭にKHキャラ達はそれぞれ武器を取り出しており。
「ロクサスゥ、久々に二人一緒にキーブレード振わない…?」
「いいな、アクセルも一緒にどうだ…?」
「おう、いいぜ…ついでに、もう一人加えようぜ。もう暴れたくてウズウズしてるからよ…!!」
「グルアアアァァ…!!!」
機関メンバー達はそれぞれ怒りのオーラを纏って作者を睨んでいた。
こんな状況になっては、さすがの作者も気づかない訳がなかった。
「ア…アレ? 皆さん、何やら全身から殺気が立ってません? ア、アハハハ…ッ!!?」
全身に冷や汗を掻きながら、ジリジリと後ずさって逃げようとする作者。
だが、こうなってしまってはもう何もかもが遅かった。
『『『少しは反省しろこのボケ作者がぁぁぁーーーーーーっ!!!!!』』』
「いやあぁぁあああああぁぁああああっ!!!??」
こうして新年最初のイベントもいつも通りドタバタしながら終えるのであった…。
「はぁ…はぁ…!!」
「ぐっ…うぅ…!!」
全てのカルタを取り終えた三人は、荒い呼吸をしてそれぞれ膝や床に両手を置いている。
そんな中、作者は三人が取ったカルタの集計をしていた。
「えっと…三人のカルタを数え終えたんですが、同点って所ですかね…」
「「「クッ…!!」」」
この結果に、三人は両手を握り悔しそうに歯軋りをする。
すると、レイアはすぐにオパールを宥めた。
「まあまあ、オパールさん。一応、最初の分も合わせれば結構取ってますし、ね?」
「それよりも、味方なのに敵になってどうするんだ二人とも?」
クォーツが軽く注意すると、リリィは不満げに顔を俯かせた。
「だ、だって…」
「フン、私は本能の赴くままに行動しただけよ」
「槍で突き刺してカルタを取るのが本能って、どれだけあの銀髪のガキを憎んでんだよ…」
何の悪びれも無く鼻を鳴らして腕を組むリリスに、フェンが穴だらけのカルタを呆れた目で見る。
そうこうしていると、作者がさっきのカルタを取り出した。
「さあ、次は三回戦。準備するんで、メンバーを決めてくださいね」
そう言うと、作者は最後の準備に取り掛かる。
そして、他のチームも最後の代表者選びに取り掛かった。
「いよいよ最後だが、残っているのは俺とアクアとリクだけか」
「どうしよっか?」
テラとヴェンが相談していると、アクアが手を叩いた。
「ここは普通に私とリクでどうかしら? リクはこうして作品に出演しているし、私の方がテラより素早いし!」
「正論だけど、テラが落ち込んでいるぞ…?」
ルキルが唖然としながら呟く横では、さりげに役立たずと言われて落ち込むテラを見る。
こうして代表が決まる中、もう一つのチームも代表を決めていた。
「ここはやっぱり、ロクサスとシオンでいいでしょ?」
「そうだな。主役である二人に任せた方がいいだろう」
デミックスとルクソードに言われ、ロクサスはシオンに笑顔を見せた。
「よーし、よろしくなシオン!」
「うん、一緒に頑張ろうね!」
「ささ、泣いても笑ってもこれが最後!! はい、手は膝にねー!! そうそう、言い忘れましたが急遽ルール変更で【COM】の分と合わせていきますからねー?」
「シャオ、頼みますよ」
「ウィドさんもね!」
作者が周りを見回す中、ウィドとシャオは正座しながらお互いに声をかける。
「では、行きますよ…」
そう言うと、代表者全員に緊張が走る。
こうして、最後のカルタ大会が始まった。
《今度の休暇、三人で「フッ!!」》
作者が読み上げる途中で、素早く手が動く。
見ると、ウィドが近くにあった一枚のカルタを綺麗に場外に弾き飛ばしていた。
「は、早い…」
「まあ、近くにありましたからね」
「さっすがウィドさん!」
上級のカルタの取り方にアクアが茫然とすると、ウィドは照れ臭そうに笑う。
そんなウィドにシャオが賞賛の言葉を送ると、次のカルタが読み上げられた。
《意味が欲し「はいっ!」》
全てを読み終える前に、今度はアクアが手を伸ばしてカルタを取った。
「こんな所ね」
「やったな、アクア!」
「さすがだな!」
「ありがとう、二人とも」
テラとヴェンの言葉に、アクアも思わず笑顔を浮かべる。
何処か微笑ましい光景を視界に収めつつ、作者は次のカルタを読み上げた。
《俺の本当に大切な「あった!」》
そう叫びながら、一つの手がカルタについた。
「やりましたね、シャオ」
「えへへ…!」
カルタを取った事をウィドが褒めると、シャオは照れ臭そうに笑い声を上げる。
そんな中、ロクサスはシャオを見て不思議そうに首を傾げていた。
「うーん…」
「ロクサス、どうしたの?」
「なあ、シオン…シャオって誰かに似てないか?」
「え? うーん…あたしはそうとは思わないけど?」
ロクサスに言われてシャオを見るが、特に不審な点が見つからず素直に思った事を言うシオン。
だが、ロクサスは何処か納得しないように再び床に並べられたカルタに向き合うシャオを見ていた。
「俺の気のせいかな…?」
「ハーイ、次々行くよー!!」
ロクサスの呟きが聞こえたのか、作者はワザとらしく大声を上げて注意を逸らした。
《さよなら、ロクサス。また「うおおっ!!」》
読んだ瞬間、ロクサスが真っ先に反応して遠くにあったカルタをスライディングの要領で取りあげた。
「はぁ…はぁ…これは、絶対に取らないとな…!!」
「ロクサス…!」
このロクサスの行動に、シオンが嬉しいような恥ずかしいような声で呟いて顔を赤らめる。
(あ、危なかった…)
この二人の空気の外では、作者はネタバレ回避に成功してこっそりと安堵の息を吐いていた。
《先輩へのプレゼ「頂きっ!!」》
次に読み上げると、再びシャオが手を伸ばしてカルタを取る。
これを見て、同じチームのクウが声をかけた。
「シャオ、やるな」
「へっへーん! どうだぁ!! こっちだってお年玉欲しいからね!!」
「お年玉でそこまで闘志燃やすか?」
胸を張るシャオに、先程の攻撃から回復したアクセルが呆れの目を見せる。
すると、シャオは顔を俯かせて身体中から暗いオーラを漂わせた。
「だって、家出中だからお年玉なんて貰えないもん…――ううっ、毎年お正月になればいろんな親戚から貰えるのに…」
「結構切実な理由なんだな…」
シャオの語る理由に、思わずソラが同情してしまう。
しかし、他の人は同情などせずにゲームに集中する。どんな理由であれ、家出した身分でお年玉を貰えないのは当然の事だ。
《あなたは故郷「はいっ!!」》
そんな中、続けざまにシャオがカルタを取る。
段々と調子が出てきたシャオに、シオンが目を丸くした。
「なんか、シャオ次々とカルタ取ってない!?」
連続でカルタを取った事に驚いていると、シャオが鼻を鳴らしながら得意げな笑みを浮かべた。
「だって、カルタの位置は全部覚えたからね〜。読まれればすぐにでも手を出せるよ!」
「凄い記憶力だな…」
「かなりの強敵ね…」
意外な事実にリクとアクアも顔を強張らせていると、ウィドが何処か呆れた溜息を吐いた。
「今までが可笑しかったんですよ。喧嘩はするわ仲間割れするわで、こっちの足を引っ張りまくってましたからねぇ〜?」
「だからこそ、ここでボク達が一気に挽回しないとねっ!!」
「「うぐぅ…!!」」
二人の言葉に、足を引っ張り合ったクウとエンの心に棘が刺さる。尚、後の二人は顔を逸らしている。
そんな中、作者はカルタを見ながら口を開いた。
「それじゃあ、ここからはスピードアップさせて貰いますか」
「ただ単にネタが尽きただけだろう?」
「やかましい!!」
一言多いレクセウスの発言に、作者は即座にツッコミを入れた。
―――そして
《ソラ、君に会えても「やぁ!」》
《大切なのはみんなで「くっ!!」》
《私、悪者だから邪「貰いっ!」》
《勝手な事言わ「ハイっ!」》
《お前を倒したら次は「そこっ!」》
《手加減はなし「どりゃ!」》
「シャオとウィドもすごいけど、他も負けてないな」
「こりゃ、勝負が分からなくなったってハナシだ」
感心するテラの隣で、シグバールも同意するように頷く。
取ったカルタの数的にはシャオやウィドの方が多いが、一回戦や二回戦の事を考えるとようやく互角に立ったとしか言いようがない。
「今までが今までだったからな。最後にようやくカルタらしくなった…」
「どっちが勝つんだろう…」
クォーツがしみじみと呟いていると、デミックスも勝負の行方を見守った。
それから十分後。代表者六人は全てのカルタを取り終えると、それぞれのチームで合わせて作者に渡して最後の集計が始まる。
やがて作者が集計を終えると、一枚の紙を持って前に出た。
「では、結果発表と行きましょう!! 三チームの中で一番多くカルタを取ったのは――」
発表が始まると同時に、ドラムロールが鳴り響く。
全員が緊張して固唾を呑んでいると、作者から優勝者が告げられた。
「――《KHチーム》でーす!!」
「「「やったー!!」」」
この発表にソラ、カイリ、ヴェンが思わず喜びの声を上げる。
他の四人も嬉しそうにしていると、作者が近づいてきた。
「では、お約束通りお年玉をプレゼントします!」
「待ってましたー!!」
そう言ってソラが手を伸ばすと、作者は用意されたお年玉を手渡した。
ソラの手に、一袋だけ。
『『『……エ?』』』
予想しなかった事に勝った七人だけでなく他の人達も目を丸くする。
だが、作者はただ首を傾げるだけだ。
「ん? どうしたの、豆鉄砲喰らったような顔して」
「こ、これ一つだけ…?」
確認するようにソラが言うと、カイリが焦ったように手を叩いた。
「で、でも中身はきっと私達の分があるんじゃない!?」
「そっか! 幾ら入って…」
カイリの推理に、ソラはすぐに袋を開けて中身を取り出す。
その中身は…――1000マニーだった。
『『『………』』』
この事実に、全員はさすがに黙り込んでしまう。
やがて、フェンは知らん顔で鼻歌を歌ってる作者に詰め寄った。
「おい、作者…どういう事だよ、これ?」
「何の事? お年玉は渡したじゃん」
「これのどこがお年玉だぁぁぁ!!?」
作者の言葉にキレたのか、リクが大声で怒鳴り出す。
それに便乗するように、他の人達も作者に怒り心頭で詰め寄り出す。
「これだけの人数いるのにたった一袋って何よっ!!?」
「しかも中身はたったの1000マニーってふざけてるのかぁ!!?」
「ゲームで勝った意味全然ないじゃん!!!」
「散々期待をさせておいて、どういう事だぁ!!?」
オパール、マールーシャ、カイリ、ゼムナスが怒鳴っている中、作者は何処か呆れた表情を浮かべた。
「あのさぁ…私ちゃんと最初に言ったよね? 【このお年玉を渡す】って。『全員分渡す』っては一言も言った覚えはこれっぽっちもないし、大金渡せるだけのお金も無い!! 何より、全部あんたらが勘違いした事にも文句を言われる筋合いもなーいっ!!! ハーハッハッハ!!!」
こうして、開き直ったように高笑いを上げる作者に。
―――ブチン
何かが切れる音が全員から響いた。
「どうやら、さっきの制裁では足りなかったようだな…!!」
「そう言えば、もうすぐこっちの本編最終章だったな…?」
「そろそろ、正月で鈍った身体の調子を整えないとね…!!」
エン、クウ、スピカを筆頭にオリキャラ達は拳を鳴らし。
「うんうん、それに俺達のリメイク版【KH】もあるしね…!!」
「どうだ、ニセモノ…お前も一緒に身体を動かすか?」
「ああ、リメイク版【COM】に向けて、丁度身体を動かしたいと思っていた所だ…!!」
同じく合併小説に出ているソラ、リク、ルキルを筆頭にKHキャラ達はそれぞれ武器を取り出しており。
「ロクサスゥ、久々に二人一緒にキーブレード振わない…?」
「いいな、アクセルも一緒にどうだ…?」
「おう、いいぜ…ついでに、もう一人加えようぜ。もう暴れたくてウズウズしてるからよ…!!」
「グルアアアァァ…!!!」
機関メンバー達はそれぞれ怒りのオーラを纏って作者を睨んでいた。
こんな状況になっては、さすがの作者も気づかない訳がなかった。
「ア…アレ? 皆さん、何やら全身から殺気が立ってません? ア、アハハハ…ッ!!?」
全身に冷や汗を掻きながら、ジリジリと後ずさって逃げようとする作者。
だが、こうなってしまってはもう何もかもが遅かった。
『『『少しは反省しろこのボケ作者がぁぁぁーーーーーーっ!!!!!』』』
「いやあぁぁあああああぁぁああああっ!!!??」
こうして新年最初のイベントもいつも通りドタバタしながら終えるのであった…。
■作者メッセージ
これにて、新年最初の番外作品が終了です。あれこれ考えた結果、いつも通りのオチになってしまいました。
だいぶ遅くなりましたが、今年も夢旅人共々宜しくお願いします。
だいぶ遅くなりましたが、今年も夢旅人共々宜しくお願いします。