リラ様誕生日企画 Part2 (前編)
今回の誕生日企画の為に用意された、トラヴァースタウンの一番街にあるカフェ。
その一角で六人の男女が飲み物や食べ物を頼み、何やら談笑をしていた。
「で、ソラ。ソラは好きな人いるの?」
「ブフッ! お、俺はカイリとは何にも…!!」
「へえぇ? ソラ、カイリって子が好きなんだね。ねえ、どこまで進んでるの!?」
「え、えっと、その…!!」
オロオロとうろたえるソラに迫る様に話を聞くのは、《すばせか》での登場人物のシキだ。
そんな二人に、今回の誕生日企画に呼ばれたグラッセとロクサスが苦笑を浮かべた。
「あ、あの…シキさん? とう…ソラさん困ってるし、ここは落ち着きませんか?」
「そ、そうだって。いくらここにいるメンバーで『恋バナ』について語るからって、最初からグイグイ行きすぎじゃないのか?」
「えー、そうかな?」
何処か面白そうにシキが言っていると、向い側に座っているオパールがクスリと微笑を浮かべた。
「そうよ。まだ時間はあるんだし、少しずつ話していけばいいじゃない。ほら、これでも食べてゆっくりトークしましょ」
「ま、それもいいよね。じゃ、いただきまーす♪」
オパールの差し出したクッキーの器に、シキが手を伸ばす。
こうして女子二人がお菓子を食べている中、ソラは不思議そうにオパールを見た。
「それにしても、オパールもいたんだな」
「何よ、その『意外だなー』って反応? そりゃあ…あたしだって、恋の一つや二つは…」
「え? だって、オパール本編ではフラれ」
直後、空気を切るように風が吹いた。
「ああん? 勝負はまだついてないの、相手は敵なのリクやらテラがゼアノートに乗っ取られてるようなものなのヴェンが終盤でヴァニタスに乗っ取られるのと同じなの分かる? 言い換えてみれば倒すべき相手なのよ? ちなみに、その先何を言いたいの? 言葉によってはあんたの皮綺麗に剥いで残った肉と骨粉々にしてサメの餌にするぞゴラァ?」
「な…なんでもありまぜん…!!」
首元に刃を当てながら今にも殺さんと言った殺気を纏わせるオパールに、ソラは震えながら謝るしかなかった。
この一部始終に、グラッセは何となく前回行ったこちらの作者の誕生日企画を思い返してしまった。(詳しくは【キングダムハーツ 賑やか過ぎる日常 誕生日記念!】を参照してください)
「…俺、前の誕生日企画ではあんな感じだったっけ?」
「いや、俺は参加してなかったし…」
「私も。それより、このクッキー美味しいねー」
「僕も同意見だ。それにしても、毎度の事ながら呆れるな。照れ隠しのつもりだろうが、あんな事では普通に彼氏を作るなんて出来る訳がないだろう」
「まあ、そうだよな…」
ロクサス、シキに続く様にショートの黒髪に赤目の少年の発言に、グラッセは何となく頷いてしまう。
「大体、ツンデレキャラだからと言って、周りに対して攻撃的では何の成長にもならない。もっと現実を見ろ」
「は、はぁ…」
更に正論を唱えるなりコーヒーを呑む少年にグラッセが頷く中、武器を仕舞ったオパールが不審な目を向けた。
「って言うか――…あんた、誰?」
この問いかけに、場が静まり返るなり謎の少年以外それぞれ顔を見合わせた。
「あ、あの…オパールさん達のオリキャラじゃないのか?」
「ううん、知らない。『すばせか』のキャラじゃないの?」
「え? 違うよ。こんな男の子出てないし。『KH』じゃないの?」
「いや、そんな筈は…ソラ、お前知ってるか?」
「ううん、俺知らない」
上からグラッセ、オパール、シキ、ロクサス、ソラがそれぞれ会話すると、全員はゆっくりとコーヒーをすする少年を見た。
「「「「「本当に誰ぇぇぇぇ!!?」」」」」
思わず叫んでいると、少年は涼しい顔でカップを置いた。
「ああ、そう言えば紹介がまだだったな。と言っても、そこの2人にはすでに会っていると父や母さんから窺ったが」
「そうなのか!?」
少年がソラとオパールを指すと、ツッコミ役の性かグラッセが注目する。
「え!? そんな事言われても、俺分かんないけど!?」
「今本編と一緒にあとがきも全部確認したけど、それらしい人物居なかったわよ!?」
「ま、まさか都市伝説で噂の幽霊とか!?」
「いや、それは…ありえそうだ!?」
だが、当の二人は心当たりがなく、シキはロクサスと一緒に変な想像を起こしてしまう。
こうして場が混乱する中、少年は呆れたように腕を組んだ。
「そんな訳ないだろう。僕は『リヴァルヴェル』だ。まあ、名前がこの通り長いからと父は『リヴァル』と呼んでいるが」
「「「「「『リヴァル』…」」」」」
その名前を聞いた途端、彼らの脳裏にワンダニャンに乗って笑顔を浮かべる黒髪赤目の赤ん坊の姿が過ぎった。
「ええぇーーーーーー!!? あ、あの噂になってたリヴァル君っ!!?」
「言われてみれば、面影はあるが…どうしてそうツンツンした性格に!?」
「あたし達があやせば無拓な笑顔を見せてくれたリヴァル君は何処にいったの!?」
「しかも本名ヴェンのように長かったのか!? どうして言ってくれなかったんだよ!?」
「って、全員ツッコミ所が違ってないか!? 普通は赤ん坊だったリヴァル君がどうして俺達ぐらいの年になった事からでしょう!!?」
上からシキ、ロクサス、オパール、ソラの発言に、またまたグラッセがツッコミを入れる。
こうして場が騒がしくなると、少年―――リヴァルは大きく溜め息を吐いた。
「まったくだ。大体、赤ん坊の頃なんて忘れろ。僕はもうそこまで子供じゃないんだ」
「いやいやいや! 少し前までお前赤ん坊だっただろぉ!!? そんな状態で言っても説得力ないって!!!」
「まあ、簡単に言えば今回の為に未来からシャオに連れられたんだ。ちなみに、この時代の僕(赤ん坊)は入れ換わりで未来にいる。鉢合わせする事も無いから安心しろ」
「何を安心すればいいんだぁ!!?」
グラッセが連続でツッコミを入れていると、ソラは一人首を傾げていた。
「あれ? って事は…ここにいるリヴァルも、誰かに片思いしてるって事?」
ある意味的を得た考えだったのか、リヴァルの顔が急に真っ赤になった。
「ナっ!? ボ、僕は別に、好きな人なんて…く、くだらないっ!!」
そう言って顔を逸らすが、声は震えており動揺も隠し切れていない。
そんなリヴァルに、オパール、シキ、ロクサスは何処か温かい目で笑いだした。
「なーんだ、そう言う事。よしよし、お姉さんに全部相談してみなさい」
「ふふっ、可愛い所もあるよねー。さ、話してみて♪」
「俺に任せれば、バッチリと解決してあげるからな?」
そんな三人の言葉に、リヴァルの反応は。
「僕の前に、まず自分達から何とかするべきじゃないのか?」
「「「「「うぐっ…!?」」」」」
リヴァルが冷え切った目をして言い放つなり、五人の心に何かが突き刺さる。
思わぬ反撃に怯んでいる間に、リヴァルは冷静さを取り戻したのか腕を組んだまま話を続けた。
「そもそも、KHキャラであるソラとすばせかキャラのシキさんはまだいい。ソラの方は恋人と言う関係に行きつくのは遠そうだが思いは伝わってはいるのだろうし、シキさんもネクさんもお互いをパートナー以上に思っている面もあるんだろう?」
「どうして、俺を呼び捨てに?」
「悪いが、「さん」を付けるのは僕がそれなりに認めた人だけだ。お前みたいなお人好しでバカで何も分からない奴、とてもじゃないが尊敬出来ない」
「うーん…尊敬とか認めるとか、同じ年だから別に必要ないだろ? それより、これからよろしくなリヴァル!」
かなり酷い言い草にも関わらず、気にしていないのかはたまた意味を理解してないのかソラは笑顔を浮かべて手を差し伸べる。
何とも思っていないソラの鈍感さに、さすがのリヴァルも顔を引く付かせた。
「何なんだ、こいつ…僕の厭味に動じないなんて…」
「リヴァル君って…こんなキャラだったっけ?」
「よくよく思い出してみれば、親がラスボスだよな…あいつ」
オパールとロクサスが後ろでヒソヒソと話していると、シキが場の空気を変えようと手を叩いた。
「と、とにかく話を戻そう!! えーと、私とソラは除外するとして、必要なのはロクサスとオパール、グラッセとリヴァル君――」
「僕はいいと言ってるだろぉ!!?」
「ご、ごめんなさい…」
怒鳴りつけるリヴァルに、シキはすぐに頭を下げた。
「でさ、結局の所ロクサスはナミネとシオン。どっちが好きなんだ?」
「そ、そんな事言われても…!? 大体、二人が出てきたのは俺の意思じゃないし…!!」
ソラの質問に、ロクサスは顔を真っ赤にして狼狽える。
「うーん、でもさ。『358/2Days』の事を考えれば、ロクサスってシオンの方が好きなんじゃない?」
「ブフッ!?」
シキの何気ない発言がクリティカルヒットしたのか、噴き出すロクサス。
そんな二人に、意外にも冷めた反論がオパールから飛んできた。
「そーぉ? あたし的には、ナミネと結ばれて欲しいっては思うけどねー?」
「何か意外! ね、どうして?」
思わずシキが聞くと、何故かオパールの周りの空気が冷めていく。
その状態で肘をテーブルに置いて腕に頭を乗せると、まるで凍てつくような目で明後日の方向を見た。
「こっちは序盤から一緒にいるのにさぁ…――後から出てきたキャラにポジションやら今までの頑張りをぜーんぶ奪われる悔しさ…身に染みて経験してるのよねー、あ・た・し?」
「ご、ごめん…立ち入った事聞いちゃって…!」
嫌な事でも思い出したのか、不機嫌マックスなオパールにシキは謝る事しか出来なかった。
男性陣四人も黙って冷や汗を掻いていたが、どうにかリヴァルが話を進めた。
「まあ、オパールさんはもう無理だろう…相手は敵とは言え、両想いになっているんだ。もう勝負はついたと言ってもいいのに、そんな状態でどうにか出来ると思ってるのか?」
「い、言われればそうだけど、あたしだって努力はしてるわよ!! それで一回、振り向いて貰ったし!!」
「そうなの!?」
「初耳ですね、それ…」
このカミングアウトに、シキはもちろんグラッセも驚きを見せる。
だが、リヴァルは信じてないようで軽く鼻を鳴らした。
「ふん、まあいい。で、具体的にどうしたんだ?」
「………」
すると、何故かオパールは拳を握ったまま黙り込んでしまい…。
「(ブフッ!)」
何と、鼻から大量の血を噴き出して手で押え込んだ。
「オ、オパール!? テ、ティッシュティッシュ!!」
「な、何をしたんです…?」
慌ててシキがティッシュで止血する中、グラッセは口元を引く付かせる。
すると、オパールは鼻にティッシュを詰めたまま笑顔を浮かべた。
「何て言うか、ねぇ? もうゼアノートの願い叶えさせてもいいって具合に?」
「「本当に何をしたぁぁぁ!!?」」
世界を混沌に陥れる人物の片棒を担いでも良いと発言してるも同然の言葉に、グラッセだけでなくリヴァルも心から叫んでしまう。
そんな中、事情を知ってるのかソラが青い顔をしながら説明した。
「…ドリームイーター状態のリクにさ、さりげに撫でたり突いたりで性格を変えて…うう、あんなのリクじゃなオエェェ…!!」
「ちょ、どんな性格に変えたんだぁぁぁ!!?」
「ホントだよ、あのナイト様をどんな性格にしたのぉ!!?」
途中で吐き気を起こすソラに、グラッセに続いてシキまで詰め寄る。
「あのねぇ…ゴニョゴニョ…」
そう言って、怪しい笑みでシキに耳打ちするオパール。
直後、シキはギラギラと目を輝かせた。
「うわぁぁぁ!!! 見たい、すっごく見たかったぁぁぁっ!!!」
「エ、そんなに!?」
「だってぇ…ごにょごにょ…」
驚くロクサスに、今度はシキが耳打ちで説明する。
直後、何故かロクサスはその場に崩れ落ちて口元に手を当てた。
「うぉえぇぇ…!!!」
「ロクサスさーーーんっ!!? どんな話聞いたんだぁ!!?」
「聞かない方が良い…きっと、僕達男性にとって聞くに堪えない内容だろう…」
グラッセを引き止めるリヴァルの前には、目を輝かせる女子二人と床に崩れ落ちる男子二人の姿しかなかった。
その一角で六人の男女が飲み物や食べ物を頼み、何やら談笑をしていた。
「で、ソラ。ソラは好きな人いるの?」
「ブフッ! お、俺はカイリとは何にも…!!」
「へえぇ? ソラ、カイリって子が好きなんだね。ねえ、どこまで進んでるの!?」
「え、えっと、その…!!」
オロオロとうろたえるソラに迫る様に話を聞くのは、《すばせか》での登場人物のシキだ。
そんな二人に、今回の誕生日企画に呼ばれたグラッセとロクサスが苦笑を浮かべた。
「あ、あの…シキさん? とう…ソラさん困ってるし、ここは落ち着きませんか?」
「そ、そうだって。いくらここにいるメンバーで『恋バナ』について語るからって、最初からグイグイ行きすぎじゃないのか?」
「えー、そうかな?」
何処か面白そうにシキが言っていると、向い側に座っているオパールがクスリと微笑を浮かべた。
「そうよ。まだ時間はあるんだし、少しずつ話していけばいいじゃない。ほら、これでも食べてゆっくりトークしましょ」
「ま、それもいいよね。じゃ、いただきまーす♪」
オパールの差し出したクッキーの器に、シキが手を伸ばす。
こうして女子二人がお菓子を食べている中、ソラは不思議そうにオパールを見た。
「それにしても、オパールもいたんだな」
「何よ、その『意外だなー』って反応? そりゃあ…あたしだって、恋の一つや二つは…」
「え? だって、オパール本編ではフラれ」
直後、空気を切るように風が吹いた。
「ああん? 勝負はまだついてないの、相手は敵なのリクやらテラがゼアノートに乗っ取られてるようなものなのヴェンが終盤でヴァニタスに乗っ取られるのと同じなの分かる? 言い換えてみれば倒すべき相手なのよ? ちなみに、その先何を言いたいの? 言葉によってはあんたの皮綺麗に剥いで残った肉と骨粉々にしてサメの餌にするぞゴラァ?」
「な…なんでもありまぜん…!!」
首元に刃を当てながら今にも殺さんと言った殺気を纏わせるオパールに、ソラは震えながら謝るしかなかった。
この一部始終に、グラッセは何となく前回行ったこちらの作者の誕生日企画を思い返してしまった。(詳しくは【キングダムハーツ 賑やか過ぎる日常 誕生日記念!】を参照してください)
「…俺、前の誕生日企画ではあんな感じだったっけ?」
「いや、俺は参加してなかったし…」
「私も。それより、このクッキー美味しいねー」
「僕も同意見だ。それにしても、毎度の事ながら呆れるな。照れ隠しのつもりだろうが、あんな事では普通に彼氏を作るなんて出来る訳がないだろう」
「まあ、そうだよな…」
ロクサス、シキに続く様にショートの黒髪に赤目の少年の発言に、グラッセは何となく頷いてしまう。
「大体、ツンデレキャラだからと言って、周りに対して攻撃的では何の成長にもならない。もっと現実を見ろ」
「は、はぁ…」
更に正論を唱えるなりコーヒーを呑む少年にグラッセが頷く中、武器を仕舞ったオパールが不審な目を向けた。
「って言うか――…あんた、誰?」
この問いかけに、場が静まり返るなり謎の少年以外それぞれ顔を見合わせた。
「あ、あの…オパールさん達のオリキャラじゃないのか?」
「ううん、知らない。『すばせか』のキャラじゃないの?」
「え? 違うよ。こんな男の子出てないし。『KH』じゃないの?」
「いや、そんな筈は…ソラ、お前知ってるか?」
「ううん、俺知らない」
上からグラッセ、オパール、シキ、ロクサス、ソラがそれぞれ会話すると、全員はゆっくりとコーヒーをすする少年を見た。
「「「「「本当に誰ぇぇぇぇ!!?」」」」」
思わず叫んでいると、少年は涼しい顔でカップを置いた。
「ああ、そう言えば紹介がまだだったな。と言っても、そこの2人にはすでに会っていると父や母さんから窺ったが」
「そうなのか!?」
少年がソラとオパールを指すと、ツッコミ役の性かグラッセが注目する。
「え!? そんな事言われても、俺分かんないけど!?」
「今本編と一緒にあとがきも全部確認したけど、それらしい人物居なかったわよ!?」
「ま、まさか都市伝説で噂の幽霊とか!?」
「いや、それは…ありえそうだ!?」
だが、当の二人は心当たりがなく、シキはロクサスと一緒に変な想像を起こしてしまう。
こうして場が混乱する中、少年は呆れたように腕を組んだ。
「そんな訳ないだろう。僕は『リヴァルヴェル』だ。まあ、名前がこの通り長いからと父は『リヴァル』と呼んでいるが」
「「「「「『リヴァル』…」」」」」
その名前を聞いた途端、彼らの脳裏にワンダニャンに乗って笑顔を浮かべる黒髪赤目の赤ん坊の姿が過ぎった。
「ええぇーーーーーー!!? あ、あの噂になってたリヴァル君っ!!?」
「言われてみれば、面影はあるが…どうしてそうツンツンした性格に!?」
「あたし達があやせば無拓な笑顔を見せてくれたリヴァル君は何処にいったの!?」
「しかも本名ヴェンのように長かったのか!? どうして言ってくれなかったんだよ!?」
「って、全員ツッコミ所が違ってないか!? 普通は赤ん坊だったリヴァル君がどうして俺達ぐらいの年になった事からでしょう!!?」
上からシキ、ロクサス、オパール、ソラの発言に、またまたグラッセがツッコミを入れる。
こうして場が騒がしくなると、少年―――リヴァルは大きく溜め息を吐いた。
「まったくだ。大体、赤ん坊の頃なんて忘れろ。僕はもうそこまで子供じゃないんだ」
「いやいやいや! 少し前までお前赤ん坊だっただろぉ!!? そんな状態で言っても説得力ないって!!!」
「まあ、簡単に言えば今回の為に未来からシャオに連れられたんだ。ちなみに、この時代の僕(赤ん坊)は入れ換わりで未来にいる。鉢合わせする事も無いから安心しろ」
「何を安心すればいいんだぁ!!?」
グラッセが連続でツッコミを入れていると、ソラは一人首を傾げていた。
「あれ? って事は…ここにいるリヴァルも、誰かに片思いしてるって事?」
ある意味的を得た考えだったのか、リヴァルの顔が急に真っ赤になった。
「ナっ!? ボ、僕は別に、好きな人なんて…く、くだらないっ!!」
そう言って顔を逸らすが、声は震えており動揺も隠し切れていない。
そんなリヴァルに、オパール、シキ、ロクサスは何処か温かい目で笑いだした。
「なーんだ、そう言う事。よしよし、お姉さんに全部相談してみなさい」
「ふふっ、可愛い所もあるよねー。さ、話してみて♪」
「俺に任せれば、バッチリと解決してあげるからな?」
そんな三人の言葉に、リヴァルの反応は。
「僕の前に、まず自分達から何とかするべきじゃないのか?」
「「「「「うぐっ…!?」」」」」
リヴァルが冷え切った目をして言い放つなり、五人の心に何かが突き刺さる。
思わぬ反撃に怯んでいる間に、リヴァルは冷静さを取り戻したのか腕を組んだまま話を続けた。
「そもそも、KHキャラであるソラとすばせかキャラのシキさんはまだいい。ソラの方は恋人と言う関係に行きつくのは遠そうだが思いは伝わってはいるのだろうし、シキさんもネクさんもお互いをパートナー以上に思っている面もあるんだろう?」
「どうして、俺を呼び捨てに?」
「悪いが、「さん」を付けるのは僕がそれなりに認めた人だけだ。お前みたいなお人好しでバカで何も分からない奴、とてもじゃないが尊敬出来ない」
「うーん…尊敬とか認めるとか、同じ年だから別に必要ないだろ? それより、これからよろしくなリヴァル!」
かなり酷い言い草にも関わらず、気にしていないのかはたまた意味を理解してないのかソラは笑顔を浮かべて手を差し伸べる。
何とも思っていないソラの鈍感さに、さすがのリヴァルも顔を引く付かせた。
「何なんだ、こいつ…僕の厭味に動じないなんて…」
「リヴァル君って…こんなキャラだったっけ?」
「よくよく思い出してみれば、親がラスボスだよな…あいつ」
オパールとロクサスが後ろでヒソヒソと話していると、シキが場の空気を変えようと手を叩いた。
「と、とにかく話を戻そう!! えーと、私とソラは除外するとして、必要なのはロクサスとオパール、グラッセとリヴァル君――」
「僕はいいと言ってるだろぉ!!?」
「ご、ごめんなさい…」
怒鳴りつけるリヴァルに、シキはすぐに頭を下げた。
「でさ、結局の所ロクサスはナミネとシオン。どっちが好きなんだ?」
「そ、そんな事言われても…!? 大体、二人が出てきたのは俺の意思じゃないし…!!」
ソラの質問に、ロクサスは顔を真っ赤にして狼狽える。
「うーん、でもさ。『358/2Days』の事を考えれば、ロクサスってシオンの方が好きなんじゃない?」
「ブフッ!?」
シキの何気ない発言がクリティカルヒットしたのか、噴き出すロクサス。
そんな二人に、意外にも冷めた反論がオパールから飛んできた。
「そーぉ? あたし的には、ナミネと結ばれて欲しいっては思うけどねー?」
「何か意外! ね、どうして?」
思わずシキが聞くと、何故かオパールの周りの空気が冷めていく。
その状態で肘をテーブルに置いて腕に頭を乗せると、まるで凍てつくような目で明後日の方向を見た。
「こっちは序盤から一緒にいるのにさぁ…――後から出てきたキャラにポジションやら今までの頑張りをぜーんぶ奪われる悔しさ…身に染みて経験してるのよねー、あ・た・し?」
「ご、ごめん…立ち入った事聞いちゃって…!」
嫌な事でも思い出したのか、不機嫌マックスなオパールにシキは謝る事しか出来なかった。
男性陣四人も黙って冷や汗を掻いていたが、どうにかリヴァルが話を進めた。
「まあ、オパールさんはもう無理だろう…相手は敵とは言え、両想いになっているんだ。もう勝負はついたと言ってもいいのに、そんな状態でどうにか出来ると思ってるのか?」
「い、言われればそうだけど、あたしだって努力はしてるわよ!! それで一回、振り向いて貰ったし!!」
「そうなの!?」
「初耳ですね、それ…」
このカミングアウトに、シキはもちろんグラッセも驚きを見せる。
だが、リヴァルは信じてないようで軽く鼻を鳴らした。
「ふん、まあいい。で、具体的にどうしたんだ?」
「………」
すると、何故かオパールは拳を握ったまま黙り込んでしまい…。
「(ブフッ!)」
何と、鼻から大量の血を噴き出して手で押え込んだ。
「オ、オパール!? テ、ティッシュティッシュ!!」
「な、何をしたんです…?」
慌ててシキがティッシュで止血する中、グラッセは口元を引く付かせる。
すると、オパールは鼻にティッシュを詰めたまま笑顔を浮かべた。
「何て言うか、ねぇ? もうゼアノートの願い叶えさせてもいいって具合に?」
「「本当に何をしたぁぁぁ!!?」」
世界を混沌に陥れる人物の片棒を担いでも良いと発言してるも同然の言葉に、グラッセだけでなくリヴァルも心から叫んでしまう。
そんな中、事情を知ってるのかソラが青い顔をしながら説明した。
「…ドリームイーター状態のリクにさ、さりげに撫でたり突いたりで性格を変えて…うう、あんなのリクじゃなオエェェ…!!」
「ちょ、どんな性格に変えたんだぁぁぁ!!?」
「ホントだよ、あのナイト様をどんな性格にしたのぉ!!?」
途中で吐き気を起こすソラに、グラッセに続いてシキまで詰め寄る。
「あのねぇ…ゴニョゴニョ…」
そう言って、怪しい笑みでシキに耳打ちするオパール。
直後、シキはギラギラと目を輝かせた。
「うわぁぁぁ!!! 見たい、すっごく見たかったぁぁぁっ!!!」
「エ、そんなに!?」
「だってぇ…ごにょごにょ…」
驚くロクサスに、今度はシキが耳打ちで説明する。
直後、何故かロクサスはその場に崩れ落ちて口元に手を当てた。
「うぉえぇぇ…!!!」
「ロクサスさーーーんっ!!? どんな話聞いたんだぁ!!?」
「聞かない方が良い…きっと、僕達男性にとって聞くに堪えない内容だろう…」
グラッセを引き止めるリヴァルの前には、目を輝かせる女子二人と床に崩れ落ちる男子二人の姿しかなかった。