夢旅人誕生日企画・Part3 (後編)
白熱したコロシアムで死闘を繰り広げる小人サイズの美少女ロボ。
やがて試合に勝利すると、美少女ロボは主である夢旅人へと近づいた。
(うん、今日も絶好調だな)
(いいえ、これもマスターのおかげです! 私、マスターのような強くて優しくてたくましい方の神姫になれて本当に良かったです…これからもよろしくお願いします、マスター!)
(何て健気なんだ…さすがは俺の嫁だー!!)
嬉し涙で顔を濡らしながら、夢旅人は美少女ロボットを抱き締めるのであった…。
「――って、何とんでもない想像してんだお前らぁぁぁーーーーっ!!! あっちの作者に変なレッテル張らせる気かぁ!!!」
いろいろと誤解を生みかねない妄想に、クウは怒鳴り散らしながら全員の脳裏から妄想を追い払う。
そのおかげで全員我に返ると、大人としてスピカが頭を下げた。
「そ、そうよね!? ごめんなさい、つい…」
「待たせたなー!!」
その時、丁度いいタイミングでようやくオルガがやってきた。
「オルガ、主催なのに何し――ブーーーーーーッ!!!」
「オルガ!? お、お前…それは…!!」
珍しく噴き出すルキルの隣では、リクもまた唖然としている。
それもそうだろ…オルガの衣装は全体が黒いスーツに加え、何やら周りにはメカメカしい装甲を付けている。更に、水色のショートの鬘と赤のカラーコンタクトをしている。
「似合うか?」
「まさかの女装ーーーっ!!?」
ストラーフMk.2型のコスプレにシャオが絶叫を上げていると、オルガはやれやれと肩を竦めた。
「あのなぁ。女が男装している今の時代、男でも女性キャラをコスプレするもんだぜ。なっ、ウィド!!」
「………」
ここで全員、オルガの後ろに隠れていた人物に気付く。
そう。オルガと同じように全体が白い衣装にメカメカしい装甲をつけたウィドに。
「そそそその後ろにいるの、まさか…!!」
「ウィド、さん…?」
オルガと同じコスプレにクウとレイアが目を丸くすると、アーンヴァルMk.2型の衣装を纏ったウィドは顔を俯かせたまま呟いた。
「…らえ…」
何やら小さく呟くと、顔を上げて虚ろな目で笑みを浮かべた。
「笑え……笑いたければ笑えぇ!!! うあああああっ!!!」
この仕打ちにとうとう耐えれなくなったのか、頭を押さえウィドは発狂してしまう。
オルガに無理やり着せられたのが嫌でも分かる。だが、全員は笑う事はしなかった。
「『笑え』と言われても…」
「女にしか見えねぇ…!!」
「うん…私達の目から見ても、ウィドさん凄い美人だよ…」
「男って言われても半信半疑になるぞ…」
「ウィドは昔からよく女の子に間違えられてたけど、今でもこうだと思わなかったわ。ホント、どうして弟として産まれて来たのかしら?」
「姉さんまで感心しないでください!? 笑われた方がまだマシだぁぁぁ!!!」
シャオ、クウ、カイリ、テラ、スピカの悪意の無い言葉に、終いには泣きながら絶叫を上げる。だが、髪が銀色である事と胸が無い所を抜かせば完全に見た目はアーンヴァルである。
誰もが何とも言えない目で滅多にお目に掛かれない悲惨なウィドを見ていると、全員のコスプレも終わってオルガが纏めに入った。
「とにかく、今回のコスプレ企画はこれで終わるが…――みんな、どうだった?」
「凄く楽しかった!」
「うん! 他のキャラの衣装を着るだけで、こんなに楽しいとは思わなかった!」
笑顔でソラとカイリが感想を言うと、アクアとテラも頷いた。
「普段着には適しないけど、この衣装は戦いやすいと思ったわ。何時もの服よりも、気分が違うし」
「そうだな。コスプレと言う言い方だと抵抗があるが、何時もと違う服を着るのは楽しいな」
「そうね。いっその事、本編ではさっきのライトニングの衣装で登場しようかしら?」
「ただでさえ強いのに、そんな衣装着たら余計に強くなりそうだから止めてくれ…!」
気に入ったのか衣装を持ち帰ろうとするスピカを、クウは必死で止める。
これらの感想を聞き終えると、オルガは満面の笑みでカメラに向かって手を振った。
「コスプレイヤーにとって励みになる感想ありがとうな!! じゃあな、読者の皆!! これからも夢旅人をよろしくな!!」
これにて、コスプレ大会は終了―――に思われた。
オパールからの一言がなければ。
「ねえ、オルガ! カイリと相談したんだけど、あたし達どうしても着てみたい服があるの!」
「いいぜ! で、何の衣装だ?」
突然の申し出にも関わらず、オルガは返事一つで了承する。
すると、オパールはカイリと共に“ある人物”に人差し指を突き付けた。
「「あのね…ソラ(リク)の服っ!!」」
「「はいっ!?」」
輝かしい笑顔でそれぞれ指を突き付けられるものだから、二人は困惑を浮かべる。
しかし、オルガは何の戸惑いもなく二人に頷いた。
「なるほどな。よし、だったら今着てみるか? 寸法直しなら数分で出来るからさ!!」
「オルガ、勝手に俺達の服を――!!」
話を進めるオルガに、リクが抗議しようとしたが。
「何だったら、お前らも二人の服着てみるか? 交換で着るのも楽しいぞ〜!!」
「「エ…!」」
思わぬ提案を出され、二人の表情は凍りつく。
同時に、只ならぬ強さで後ろから肩を掴まれた。
「それはいいですねぇ…さあ、あなた達も一緒に女装を楽しみましょうかぁ?」
「「ヒイイイィ!!!」」
恐ろしい笑顔を浮かべて肩を掴むウィドに、ソラとリクが悲鳴を上げる。
すると、急にレイアが口を開いた。
「あっ! 私もクウさんの服着てみむぐっ!?」
「とんずら!!」
「さいならー!!」
「じゃあな!!」
「逃げるぞ、ヴェン!!」
「失礼しました!!」
速攻でレイアを口を押えるなり、ダッシュでその場からクウが逃げ出す。
それに便乗する様に、シャオ、ルキル、テラ、ヴェンも己のプライドを守る為にスピカとアクアを連れて逃げ出してしまった。
「みんな逃げないでー!!」
「こうなった以上腹を括りなさい…!! 女装を楽しむと共に、今の私の気持ち…存分に味わいなさい…っ!!!」
慌ててソラが手を伸ばすが、ウィドの掴む手がそれを許さなかった。
その後、残されたステージから嬉しそうに笑う声が二つ。そして何とも言えない泣き声が二つ聞こえたと言う…。
やがて試合に勝利すると、美少女ロボは主である夢旅人へと近づいた。
(うん、今日も絶好調だな)
(いいえ、これもマスターのおかげです! 私、マスターのような強くて優しくてたくましい方の神姫になれて本当に良かったです…これからもよろしくお願いします、マスター!)
(何て健気なんだ…さすがは俺の嫁だー!!)
嬉し涙で顔を濡らしながら、夢旅人は美少女ロボットを抱き締めるのであった…。
「――って、何とんでもない想像してんだお前らぁぁぁーーーーっ!!! あっちの作者に変なレッテル張らせる気かぁ!!!」
いろいろと誤解を生みかねない妄想に、クウは怒鳴り散らしながら全員の脳裏から妄想を追い払う。
そのおかげで全員我に返ると、大人としてスピカが頭を下げた。
「そ、そうよね!? ごめんなさい、つい…」
「待たせたなー!!」
その時、丁度いいタイミングでようやくオルガがやってきた。
「オルガ、主催なのに何し――ブーーーーーーッ!!!」
「オルガ!? お、お前…それは…!!」
珍しく噴き出すルキルの隣では、リクもまた唖然としている。
それもそうだろ…オルガの衣装は全体が黒いスーツに加え、何やら周りにはメカメカしい装甲を付けている。更に、水色のショートの鬘と赤のカラーコンタクトをしている。
「似合うか?」
「まさかの女装ーーーっ!!?」
ストラーフMk.2型のコスプレにシャオが絶叫を上げていると、オルガはやれやれと肩を竦めた。
「あのなぁ。女が男装している今の時代、男でも女性キャラをコスプレするもんだぜ。なっ、ウィド!!」
「………」
ここで全員、オルガの後ろに隠れていた人物に気付く。
そう。オルガと同じように全体が白い衣装にメカメカしい装甲をつけたウィドに。
「そそそその後ろにいるの、まさか…!!」
「ウィド、さん…?」
オルガと同じコスプレにクウとレイアが目を丸くすると、アーンヴァルMk.2型の衣装を纏ったウィドは顔を俯かせたまま呟いた。
「…らえ…」
何やら小さく呟くと、顔を上げて虚ろな目で笑みを浮かべた。
「笑え……笑いたければ笑えぇ!!! うあああああっ!!!」
この仕打ちにとうとう耐えれなくなったのか、頭を押さえウィドは発狂してしまう。
オルガに無理やり着せられたのが嫌でも分かる。だが、全員は笑う事はしなかった。
「『笑え』と言われても…」
「女にしか見えねぇ…!!」
「うん…私達の目から見ても、ウィドさん凄い美人だよ…」
「男って言われても半信半疑になるぞ…」
「ウィドは昔からよく女の子に間違えられてたけど、今でもこうだと思わなかったわ。ホント、どうして弟として産まれて来たのかしら?」
「姉さんまで感心しないでください!? 笑われた方がまだマシだぁぁぁ!!!」
シャオ、クウ、カイリ、テラ、スピカの悪意の無い言葉に、終いには泣きながら絶叫を上げる。だが、髪が銀色である事と胸が無い所を抜かせば完全に見た目はアーンヴァルである。
誰もが何とも言えない目で滅多にお目に掛かれない悲惨なウィドを見ていると、全員のコスプレも終わってオルガが纏めに入った。
「とにかく、今回のコスプレ企画はこれで終わるが…――みんな、どうだった?」
「凄く楽しかった!」
「うん! 他のキャラの衣装を着るだけで、こんなに楽しいとは思わなかった!」
笑顔でソラとカイリが感想を言うと、アクアとテラも頷いた。
「普段着には適しないけど、この衣装は戦いやすいと思ったわ。何時もの服よりも、気分が違うし」
「そうだな。コスプレと言う言い方だと抵抗があるが、何時もと違う服を着るのは楽しいな」
「そうね。いっその事、本編ではさっきのライトニングの衣装で登場しようかしら?」
「ただでさえ強いのに、そんな衣装着たら余計に強くなりそうだから止めてくれ…!」
気に入ったのか衣装を持ち帰ろうとするスピカを、クウは必死で止める。
これらの感想を聞き終えると、オルガは満面の笑みでカメラに向かって手を振った。
「コスプレイヤーにとって励みになる感想ありがとうな!! じゃあな、読者の皆!! これからも夢旅人をよろしくな!!」
これにて、コスプレ大会は終了―――に思われた。
オパールからの一言がなければ。
「ねえ、オルガ! カイリと相談したんだけど、あたし達どうしても着てみたい服があるの!」
「いいぜ! で、何の衣装だ?」
突然の申し出にも関わらず、オルガは返事一つで了承する。
すると、オパールはカイリと共に“ある人物”に人差し指を突き付けた。
「「あのね…ソラ(リク)の服っ!!」」
「「はいっ!?」」
輝かしい笑顔でそれぞれ指を突き付けられるものだから、二人は困惑を浮かべる。
しかし、オルガは何の戸惑いもなく二人に頷いた。
「なるほどな。よし、だったら今着てみるか? 寸法直しなら数分で出来るからさ!!」
「オルガ、勝手に俺達の服を――!!」
話を進めるオルガに、リクが抗議しようとしたが。
「何だったら、お前らも二人の服着てみるか? 交換で着るのも楽しいぞ〜!!」
「「エ…!」」
思わぬ提案を出され、二人の表情は凍りつく。
同時に、只ならぬ強さで後ろから肩を掴まれた。
「それはいいですねぇ…さあ、あなた達も一緒に女装を楽しみましょうかぁ?」
「「ヒイイイィ!!!」」
恐ろしい笑顔を浮かべて肩を掴むウィドに、ソラとリクが悲鳴を上げる。
すると、急にレイアが口を開いた。
「あっ! 私もクウさんの服着てみむぐっ!?」
「とんずら!!」
「さいならー!!」
「じゃあな!!」
「逃げるぞ、ヴェン!!」
「失礼しました!!」
速攻でレイアを口を押えるなり、ダッシュでその場からクウが逃げ出す。
それに便乗する様に、シャオ、ルキル、テラ、ヴェンも己のプライドを守る為にスピカとアクアを連れて逃げ出してしまった。
「みんな逃げないでー!!」
「こうなった以上腹を括りなさい…!! 女装を楽しむと共に、今の私の気持ち…存分に味わいなさい…っ!!!」
慌ててソラが手を伸ばすが、ウィドの掴む手がそれを許さなかった。
その後、残されたステージから嬉しそうに笑う声が二つ。そして何とも言えない泣き声が二つ聞こえたと言う…。
■作者メッセージ
これにて、今回の誕生日作品は終了です。
本当はもう少し早めに出す予定だったのですが、ちょっとした間違い発覚がありまして…急いで動画で確認やら修正やらしていたらこんな時間に。多くの他作品の資料を集めるのは大変でしたが、コスプレの話を書くのは楽しかったです。
ちなみにオルガが指定したキャラのコスプレですが、実は声優ネタを元にしています。遊戯王ではソラの中の人もいるんですが…コスプレとなると全身青タイツと言う主人公にあるまじき格好になりそうなので、急遽ゴットイーターの方に回したと言う裏設定が(笑)
あと、念押しをしますが後編での夢旅人の妄想はあくまでも妄想です。ギャグです。嘘です。フィクションです。決して本気にしないようにお願いします!!(土下座)
それでは、最後に私も夢旅人様に一言。誕生日おめでとうございます。これからもよろしくお願いします。
本当はもう少し早めに出す予定だったのですが、ちょっとした間違い発覚がありまして…急いで動画で確認やら修正やらしていたらこんな時間に。多くの他作品の資料を集めるのは大変でしたが、コスプレの話を書くのは楽しかったです。
ちなみにオルガが指定したキャラのコスプレですが、実は声優ネタを元にしています。遊戯王ではソラの中の人もいるんですが…コスプレとなると全身青タイツと言う主人公にあるまじき格好になりそうなので、急遽ゴットイーターの方に回したと言う裏設定が(笑)
あと、念押しをしますが後編での夢旅人の妄想はあくまでも妄想です。ギャグです。嘘です。フィクションです。決して本気にしないようにお願いします!!(土下座)
それでは、最後に私も夢旅人様に一言。誕生日おめでとうございます。これからもよろしくお願いします。