夢旅人誕生日企画・Part4 (前編)
*今回の話はほぼ遊○王ネタで敷き詰められています。一応は知らない人でも大丈夫なようにはしてはいますが、正直自信はないです。ちなみにKHキャラも出る事には出ますが、出番は少ないです。それでも良い方は下をスクロールしてください。
今回の舞台は、心剣世界の大きな教会のような館。
そこで、イリアドゥスと半神達が各々に合わせた黒と白の服――喪服を着て集まっていた。
「――まさか、こんな形で二人の葬儀を行う事になるとはのぉ」
ビラコチャの見る先には、大量の菊の花が飾られた白い檀上。
その真ん中には、開闢の宴『第六章 三剣士編第八話』で死闘を繰り広げて退場となってしまったディザイアとアバタールの写真が大きく飾られていた。
「彼らの出番が無くなってから、すでに2年以上経過している。他の読者が覚えているかどうか…」
「アルビノーレ、それは禁句だ」
なにやらアルビノーレがとんでもない言葉を口走ってしまい、思わずアルカナが止めに入る。
そんな二人の会話に、隣に座っているアレスティアも入ってきた。
「しかし、アルビノーレの言い分は尤もじゃないですか? ディザイアとアバタールが亡くなって、入れ替わる様に本来の母であるイリアドゥスが現れて。こちらの作者の言う【合同編】では多くの出番を貰っているじゃない。二人の出番を上回る程に」
彼女の言う通り、アバタールの出番は14話、ディザイアは13話だ。対して、現在イリアドゥスの出番何と40話もある。2年以上も続けば仕方ないだろうが、完全に二人の出番は追い越されている。
尚、その出番の4分の1以上はNANAの書くメモリー編であるが…。
「段々…二人が、哀れに思えてきたわ…」
「アバタールはもちろん、ディザイアも元敵役だからねぇ…」
ティオンとセイグリットも二人の不憫さとイリアドゥスの優遇さに、思わず溜息を吐いてしまう。
「みんな。お別れの挨拶はそれぞれ済んだかしら?」
何とも言えない空気の中、檀上の横にいたイリアドゥスの呼びかけに半神一同は背筋を伸ばしてしまう。
すると、イリアドゥスの横に立っているヴェリシャナは厳かに口を開いた。
「それではここで、特別にお呼びいたしましたオパール様とウィド様にご登場して頂きます」
「ど、どうも…」
「まずは、ご冥福をお祈りします」
葬儀と言う場だからか、いつもの軽装とは違って喪服で登場したオパールはぎこちなく頭を下げる。その横では、育った環境もあってかウィドは普通の神父の服を着て経典を手に冥福を祈る様に一礼する。
こうして登場した二人に、イリアドゥスとヴェリシャナ以外の半神達は不審な目を向ける。
「…ヴェリシャナ、なぜこの二人なのだ?」
全員の心の内を代表するように、ラムリテが口を開く。
いや、ラムリテだけでない。ヴェリシャナを除く半神全員、同じ事を思っている。
ウィドが呼ばれた時点で、嫌な予感しかしない…と。
「あなた達、私を疫病神か何かと勘違いしてませんか? これでも教育者だけでなく、神父としてもいろいろ教えられてきたんですから」
「あんた、胸に手を当てて今までの行動を思い返してみろよ」
やれやれと肩を竦めながら話すウィドに、アルガが冷めた目で言い返す。
少なくとも、本編ではシスコンとして他人に八つ当たり、仲間を裏切る、更には復讐と言う神に仕替える者としてやってはいけない行為を幾度もしている。
そうして不信感を募らせる中、ヴェリシャナが話を進めた。
「実はこのお二方には、追悼映像の製作を依頼しておりましたので」
『『『追悼映像?』』』
「では、これよりディザイアとアバタールの追悼映像を流します。読者の皆様も出来れば想像力をフルに働かせてご覧ください」
ヴェリシャナの言葉を合図に、檀上の前に大きなスクリーンにがセットされる。
そして、何処からか調達された機材から光が出て映像が流れ出した…。
今 過去 未来も 僕等が願っている夢の欠片 掴み取るまで Challenge the GAME
(カードを指で挟んで立つ神無(少年)とソラを中心に作品内で登場する登場人物キャラがいる、ゆっくりとカメラがズームアウトして行きやがてカードの絵図になって銀河へと飛んでいく)
《レディゴー!!》
(掛け声と共に軽快な音楽が流れ、さまざまな登場キャラ達が登場しては消えていき、最後にアップで神無が映し出される)
打ち壊せないくらいの問題が
(レプセキアの通路で勾玉に囲まれたディザイアとアーシャと対峙するアバタールが映し出される)
僕らをまた 試している
(ビフロンスの城の一室で椅子に座っているディザイアとアーシャ、サイキとアイネアスが映される)
君が胸に 抱き続ける心
(夜の部屋の一室で、アーシャ、アルカナ、アルビノーレの視線を受けながら、ソファに座りながら真剣に話すディザイアが映る)
信じ抜いて それが力になる
(タルタロスの空中でジェミニに話しかけるアバタール、心剣世界で心配するアーシャの横でディザイアが耳を澄ませている、ベットに座り込んだアバタールがカルマを睨んでいるシーンが映される)
涙を 流して 挫けそうでも
(アーシャを抱えたディザイアが闇の拳で結界を壊す、眠るレプキアに背を向けて静かに階段を下りていくアバタール、レプセキアの回廊で虚空に向かって叫ぶディザイアのシーンが続けて映される)
絆で 明日を 繋いでいこう!
(タルタロスにて睦月と向かい合うアバタール、レプキアの間で闇に浸食されたアバタールと対峙するディザイア達、それぞれ剣と魔神を使って戦うアバタールとディザイアが映し出される)
全て壊すんだ!
(ディザイア達と戦いながら狂ったような笑い声を上げる闇に浸食されたアバタールがアップで映る)
恐れも 運命さえ 熱い夢を
(玉座に座ったまま仮面をつけて眠るレプキアを仰いでいるアバタールが映る)
燃やし続け突き抜けろ 今 過去 未来も
(血塗れの状態でボロボロとなったディザイアを、涙を流すレプキアが抱きかかえている)
僕等が願っている夢の欠片
(赤い映像の中で今まで登場したキーブレード・心剣・反剣・永遠剣が突き刺さっており、奥へとスクロールが流れる)
手を伸ばし行こう 限界超えて 掴み取るまで
(次々と作中に登場した心剣士キャラ、反剣士キャラ、半神キャラ、その他の夢旅人キャラ、NANAキャラ、KHキャラの集合絵が映し出される)
Challenge the GAME
(アップで笑顔を浮かべる神無、続いてソラが映る。最後に全キャラの集合絵が映って、前に再度二人のアップ顔が出る)
「――以上、オパール様とウィド様が提供してくださいました追悼映像でした」
「「ちょっと待てェェェーーーーーーーっ!!!??」」
その叫び声と共に、何と壇上から大量の菊の花をまき散らしながら白装束を来たディザイアとアバタールが飛び出してきた。
「あ、生き返った」
突然壇上に置いた棺桶から飛び出した二人に、驚く事も無くポツリと呟くシーノ。
しかし、感動の蘇生もつかの間二人は即座にオパールとウィドに詰め寄った。
「何だこれはぁ!? 悪ふざけにも程があるだろぉ!!?」
「死んでも死に切れるかァ!!!」
ディザイアとアバタールの怒鳴り声に、怯む事無くオパールは不満げに腰に手を当てる。
「何よ、こっちはこれ作るのにあんたらの出番を何度も見直して製作したんだから。NANA作品のオリキャラ代表として追悼映像用意したのに、その言い方はないでしょ?」
「追悼と言う割には最後の映像どうにかしろ!!! 全員集合ってもうそれ明るい未来だろ!! もはや俺達の死を糧に進んでいくぜのノリだろぉ!!?」
「しかもキャラの一部は声優ネタで置き換えてないか!!? どうせならヴァニタスに置き換えろ!!!」
「そこをツッコむのか、アバタール…」
微妙にズレているアバタールの言葉に、思わずツッコミを入れるキルレストだった。
「って言うかー、この映像依頼されたから作っただけなんですけど? 大体、あたしらあんたら二人に会ってすらいないのよ? 知らない奴の為にわざわざ製作しないっての」
オパールの言葉は一理ある。NANAの書く分の話で登場するオリキャラ・KHキャラが合流する前に、二人は死亡してしまい遺体すらも消去している。彼女達との会合はもはや――いや、何か起きない限り会う事は永遠に来ないだろう。
そう、二人は言わば赤の他人も同然。この追悼映像の元凶は別にあると言う事だ。
「「依頼って誰にされたぁ!?」」
「あなた達の産み親の夢旅人氏です」
「「あの作者後でぶっ殺してやるぅーーーーーーーーっ!!!!!」」
隠す事も無くウィドが正直に答えると、二人は天に向かって雄叫びをあげる。
夢旅人様の誕生日が葬式になりかねない程の殺気のオーラを纏うが、ここは一旦話を戻そう。
「母はこんなふざけた映像流されて何とも思わないのか!? 少なくとも朕は激怒するぞ!!」
イリアドゥスに向き直り、半神としての地位を汚されたアバタールは怒りを訴える。
だが、当のイリアドゥスはキョトンと首を傾げていた。
「あら。どんな形であれこうして思い出になるのはいい事なのでは?」
(((そう言えば、前の母様と違って何処かズレているんだった…)))
これには2人だけでなく、他の半神達も諦めモードへと変わる。
幾ら他人から記憶を吸収できるとは言え、永劫に近い時間眠っていたのだ。多少常識に疎くても仕方ない。
「――ウィド、何だかあなたが教えてくれた知識とは違う気がするのだけど?」
「いえ合ってますよ、イリアドゥス。私達人間はあなた達の様に長生きでもなければ、一生分の記憶を保持出来る体質でもない。だからこそ、人はこうやって思い出を保存するんです。多少笑えるようにねつ造すればするほどインパクトがあって忘れにくくなりますからね〜」
『『『お前が元凶かぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!』』』
自分の母に変な事を吹き込んだウィドに、半神全員が武器を取り出す。そんな状態に対しての策か、さりげにイリアドゥスの後ろに隠れて盾にしているので迂闊な攻撃は出来ない。
半神達にとって、彼がクウ達と和解した未来が逆に怖くなってきた瞬間でもあった。
「ええい、とにかくこんな物は処分だ処分!!」
「我ら半神の神聖な集まりに人間風情を呼び込んだのがそもそもの間違いなのだ!! さっさと立ち去れぇ!!」
構ってられないとばかりにディザイアとアバタールが機材の撤去を始めると、シッシッと手で追い払う動作を見せる。
この二人に、オパールが頬を膨らませて腕を組んだ。
「えー、これ以外にもとっておきのお供え物も持ってきたのにー」
その言葉に、二人の耳が卑しく反応を見せた。
「とっておきの…」
「…お供え物」
僅かに動きを止めると、怒っていたはずの二人は笑顔を見せて振り返る。
「ま、まあ朕の為に用意したと言うのならば貰ってやってもよいぞ」
「そ、そうだな。神への貢ぎ物を貰うのも、俺達の仕事だ」
「二人とも…」
「意外とセコいのぉ」
心変わりをする二人に、シムルグとベルフェゴルはやれやれと首を竦める。
一方、引き止めに成功したオパールは満面の笑顔を見せた。
「あ、そう? それじゃ…――次、スタート♪」
「「は?」」