夢旅人誕生日企画・Part4 (後編)
*読者の皆様はもう一度想像力をフルに働かせてご覧ください。
Light my fire
(時計の様な映像が流れた後、紗那が炎に包まれて黒髪から赤髪に変えた後、燃え盛る炎の中を走りながら炎を宿した刀で画面を切り裂く)
今解き放て 秘めた思いを
(緑色の不思議な空間で神月が姿を変えながら振り返り際に去って行くのを、紗那が走って追いかけて手を伸ばす。その後に青空をバックにロザリオのペンダントを首に掛けた黄泉が映る)
無に還る現実 断ち切るために
(研究所のような場所でベルフェゴルとラムリテ、星空と一つの塔をバックにイザヴェル、同じく星空の中神殿のような場所でウラドが座り、歩くアルビノーレ、祈りを捧げて目を開くヘカテーが映る)
運命が必然だとしたって Nobody can predict what will happen
(横になってシーツの上で眠るブレイズの上から、順に菜月、オルガとアーファ、睦月が半透明の状態で続けて登場する)
必死に抗ってくんだ その瞳(め)に映した未来を
(セイグリットがいて、順に皐月、リヒター、チェル、フェイト、そして最後にディアウスとプリティマが登場する)
この手――
(ヴェリシャナが手を動かして仮面を付け、背後から大量の包帯を出――)
ガシャァァァーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
「あー、まだ映像途中だったでしょー。どうせなら切りのいいところで壊しなさいよ」
スクリーンを拳で壊したディザイアとアバタールの二人に、オパールが文句を垂れる。
そんな彼女に、イシリアが恐る恐る問いかけた。
「あの…こんなのも、作っていたのですか…?」
「どうよ、あたしが作った夢旅人キャラ版『灼○のシ○ナ』のOP。尺繋ぎ用に用意したの。まっ、どっちみち時間無くて全部は完成してなかったから別に壊されても――」
「オ、オパールさん…!」
「おい…後ろ、後ろ…!」
何処か得意げに話していると、突然キサラとシュテンが顔を引き攣らせてオパールの背後を指した。
「え? 後ろがなに…――ヒイッ!?」
「おい…これの何処がお供え物だ…!!! いい加減にしろよ…!!!」
「前半と違って、朕が一つも登場していないではないかぁ…!!!」
「何故私があのような体制で寝ているのだ…!!!」
「私と神月が主役って…!!!」
「将来敵対するパターンよな、あれぇ…!!!」
「オイラは一度黄泉に振られるパターンですかぁ…!!!」
そこには、黒い炎を纏って鬼のような笑顔を作るディザイアとアバタールだけでなく、ブレイズ、紗那、神月、菜月まで揃っていた。
「ちょっと!? なんか人が増えてるんだけど!? 大体、これ作ったのあたしだけじゃ――!!」
とんでもない光景を目の当たりにし、慌ててウィドへと目を向ける。が。
「瞬羽」
オパールと目を合わせる間もなく、ウィドは一瞬でその場から消えた。
「あー!! 逃げたー!!」
『『『オパァァァァァァァァァルゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!』』』
「と、とんずらーーーーーーーーーーーっ!!!??」
世界すらも揺るがす雄叫びに、オパールも盗賊のごとく逃げ出したのは言うまでもない…。
【オマケコーナー(嘘タイトル)】
「さて、あの六人がいなくなってから言うのも何だが――アイネアスとサイキの出番が無かったな」
逃げたオパールを追いかけたアバタール達を見送り、アルカナはずっと黙っていた二人に目を向ける。
話の流れの都合上、全員で叫ぶ以外に個別に二人のセリフを用意されなかった。基、出来なかった。
「あら、ご心配には及びません」
「こんな事もあろうかと、これを用意していた」
しかし、サイキとアイネアスは気にしていないのか笑顔を浮かべある物を取り出した。
「あの…それ…デュ○ルディス○?」
遊○王デッキがセットされた代物にイシリアが呟くと、サイキはニコニコ笑いながら腕に装着した。
「あら、今日は私達作者の誕生日よ。たっぷりとファンサービスしなきゃ」
「いや、お前はドSなキャラでもなければ会心して熱いキャラになるでもないだろ?」
「何を言う。希望と絶望を与え、敵から味方になると言う所は合ってるぞ」
「胸を張って言う事か!?」
何処かズレた会話に続けざまにツッコミを入れるキルレスト。
そうこうして居る内に、二人の準備は終わった。
「それでは行きましょう、アイネアス。手加減は無用よ」
「それはこちらのセリフだ」
「「デュエル!!!」」
開始宣言と共に、二人を中心に特殊なフィールドが浮かび上がる。
これにはラムリテは頭を押さえてベルフェゴルに目配せした。
「…どうします?」
「まあ、どうせ彼らは帰って来ないのじゃ。暇つぶしに見るとしよう」
*デュエルの内容は、台本形式で送りします(決して、地の分を書くのがめんどくさい訳でも期限内に間に合わなかった訳でも……遊○王を知っている読者の皆様は想像力をフルに、知らない方は適当に働かせてお楽しみください)
サイキ「私のターン、ドロー!! まずは『ハー○ィ・ダ○サー』を召喚! さらに、『ハー○ィ・チャ○ラー』も召喚!」
シーノ「わー、すごーい!」
サイキ「ここで『ハー○ィ・チャ○ラー』の特殊効果発動! 手札から『ハー○ィ』と名のついたカード1枚を捨てて、デッキから『ハー○ィ・チャ○ラー』以外の『ハー○ィ』と名のついたモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する! 来なさい、『ハー○ィ・○ディ1』」
アルビノーレ「ほう」
サイキ「そして、墓地に送った『ハー○ィ・クィー○』の効果発動! このカードを手札から墓地に捨てる事で、デッキから『ハー○ィの狩場』を1枚を手札に加える――行くわよ、フィールド魔法発動!」
アルガ「今の場合、相手には何もないから――フィールド上に表側表示で存在する鳥獣族モンスターの攻撃力と守備力が200アップする効果を持つのか」
アイネアス「なかなかやるな、サイキ」
サイキ「いいえ、まだよ。ここで魔法カードを場にセットして発動『万○鏡―○麗なる分身―』! このカードで私は、『ハー○ィ・○ディ1』を墓地に送り、『ハー○ィ・○ディ三姉妹』を1体特殊召喚!!」
アイネアス「ふ、なるほどな」
サイキ「更に場に残っているハー○ィ二体を使って、オーバーレイ・ネットワークを構築…エクシーズ召喚!!」
シュテン「来るか!」
サイキ「鳥の奏でる詩(うた)よ、風に乗って何処までも響け」
シムルグ「この風は…!」
サイキ「召喚! 『零鳥獣シ○フィーネ』!!」
アレスティア「攻撃力・守備力ともに2000のモンスター!?」
ベルフェゴル「その上、『ハー○ィの狩場』で攻守共に200アップしている。1ターンでこれだけのモンスターを召喚し強化するとは…」
サイキ「最後に一枚カードを伏せて、ターンエンドよ」
アイネアス「では私のターンだ、ドロー!! まず私は『ファーニ○ル・○ック』を召喚。そしてモンスター効果発動、このカードが手札から召喚された時に私はデッキから一枚指定されたモンスターを手札に加える。こい、『エッジ○ンプ・シザー』」
アレスティア「アイネアスも二体召喚!」
アイネアス「そして、魔法カード発動『融○』!! 場にいる二体のモンスターを墓地に送り特殊召喚する!!」
キサラ「これは、闇…!」
アイネアス「現れろ『デスト○ーイ・シザー・ウ○フ』!!」
イシリア「こ、怖い…です」
セイグリット「さすがは絶望を司った事はあるね…」
アイネアス「『デス○ーイ・シザー・ウ○フ』の効果発動!! このカードの融合素材としたモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃出来る!!」
ビラコチャ「素材にしたモンスターは二枚だから二回攻撃が可能か。だが攻撃力は足りてないが?」
アイネアス「その必要はない…魔法カード発動『H―ヒート○ート』!! これで攻撃力を500アップだ!」
サイキ「っ!?」
シーノ「えーと、これで攻撃力が2500になるから…攻撃力がそれ以下の二体は倒せるんだ!!」
アイネアス「その通りだ。行け、『デス○ーイ・シザー・ウ○フ』!! まずは『零鳥獣シ○フィーネ』を破壊する!!」
サイキ「させないわ!! 速攻魔法発動『禁じ○れた聖典』!! このカード以外のフィールド上のカードの効果は無効化され、その戦闘のダメージ計算は元々の攻撃力・守備力で行う!!」
アルガ「と言う事は…」
ティオン「元々の攻撃力が2000だから、相打ち!!」
シュテン「おおー!」
アイネアス「さすがだな、サイキ。では私はカードを一枚伏せ、ターンエンドだ」
アルカナ「面白い勝負だな」
シムルグ「どっちが勝つか分からないわ…!」
こうして、熱い戦いで盛り上がる半神達を、アーシャとイリアドゥスは離れた場所で見守る様に眺めていた。
「みんな、何だか楽しそうですね」
「…………」
『どうしたのよ、イリア?』
黙って見ているイリアドゥスに唯一違和感を感じたのか、心の内に住むレプキアが声をかける。
すると、レプキアの言葉に反応したのか静かに呟いた。
「これがデュエルと言うものか…」
『え?』
「母様?」
「ただの遊びやゲームと言う割に――とても奥が深い。世界には、こんなに面白い代物があるのね」
自分なりに考えて力を築き上げ、武器であるカードを信じ、時に相手の考えを読み、ぶつかり合って戦う。それは、今自分達が置かれている命のやり取りにおける戦いと酷似する部分がある。
(そう言えばあの二人、旅館と言う場所ではこのカードを持っていたわね。あの二人だけでない、他にも沢山の人が…)
つい癖でここにきたオパールとウィドの記憶を影を使って再度読み込んだ時に見たが、彼らはあちら側の作者の計らいでデッキを所有していた。
すでにその話ではカードを使って戦っていると言う情報も…。
『イリア、どうしたの? おーい』
(ねえ、レプキア)
隣にいるヴェリシャナに悟られない様に、レプキアにだけ聞こえる様に心の中で呟いた。
(飛び入り参加ってアリかしら?)
【暗躍編(真タイトル)】
■作者メッセージ
《次回予告》
二人のデュエルに感化されたイリアドゥスは、こっそりと別作品である旅館へと潜入した。
自分なりに作ったデッキを手に、裏舞台を奔走してさまざまな人物達とデュエルを開始する。
今、神の気まぐれによる一夜限りの戦いが始まる。
「ここが彼らの活動する旅館ね…どんな戦いが待っているのかしら?」
『嬉しそうなのはいいけど、戦うのならこっそりと行いなさいよね…あんたが表舞台に出て来たら世界が滅びかねないから』
「なんじゃ、デュエルで勝負か? 構わないぞ、我も出番が無くて暇だった所での」
「じゃあ、始めましょう。初心者だからお手柔らかにね、シルビア」
「安心せい、我も初心者じゃからの」
「お前が別の世界で統べるカミか。私とは違う力を持っているな」
「ふむ、なるほど――…私の力を試したいなら、決闘(デュエル)でしましょう? カミである私と世界そのものであるあなた、ぶつかり合ったらこの場所どころか世界が消滅しかねない」
「カルマ、何故あなたがここに?」
「ふふ、面白そうな企画にエンが参加していてね……ついでに強い奴も登場しているらしいから、駒に出来ないかと思って」
「そうか。どうやら、とんでもない場面に遭遇したようね」
「あら、邪魔するの? ま、本編の前哨戦としてガチンコ勝負でもいいけど…こっちでも構わないわよ。私の力の神髄…『Sin化デッキ』の力、見せてあげるわ!」
そうしてさまざまな思考、さまざまな強敵を勝ち続けた彼女に――EXへ繋がる扉の鍵が手渡される。
「この鍵は一体…」
『な、何!? 鍵が急に光った!?』
『何よここー!?』
「この空間は一体?」
「あれ、イリアドゥス! イリアドゥスも閉じ込められたのか!?」
「あなたは――ソラ?」
「墓地から罠カード発動!」
「まだまだ! 俺は、3体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!! 現れろ、我が分身!! 『No.96ブ○ック・ミス○』!!」
(っ!? あのカードは…!)
「さて…お互いライフは半分を切っている。そろそろ答えて貰えないかしら?」
「何を?」
「あなた――ソラじゃないわね?」
「…どうしてそう思う?」
「あなたはちゃんとカードを使った戦略を分かってる。もしあなたがソラなら、戦略なんて気にせずに突き進む筈よ。それに、さっきあなたが出したカードもソラらしくない」
「なにより――彼らは私の事“イリア”って呼ぶの」
「…まいったな」
「だったら、この戦いに勝ったらあなたの名前を教えてくれる?」
「…勝てるのか?」
「勝って見せるわ。今日の私はカミでも世界を任された者でもない…一人のデュエリストよ」
「これで終わりよ!!」
「くっ…!」
《諦めちゃダメだ!!》
「!?」
『何々!? 何が起きたの!?』
《勝負は、まだ終わりじゃない》
「君は、ソラ…!」
《ごめんな、見ていられなくて出てきちゃった。ここからは俺も協力するよ――だから勝とう!》
「君は…本当に『あいつ』と似ているな」
「しまった!?」
『――何やってんのよ、バカ!』
《ええ!?》
「やはり、そちらにもいたか…」
『そっちが相棒で向かって来るなら、こっちだって同じ戦法で対抗してやるわ! 行くわよ、イリア! ゼアルだが何だか知らないけど、私達なりの絆見せてやろうじゃない!!』
「ええ!!」
このデュエルの決着や、いかに…。
「一夜限りだったけど、いいデュエルだったわ。ありがとう」
「それはこちらも同じだ、イリアドゥス」
「それで、あなたの名前は?」
「俺の名前は――」
神による決闘編・近日公開!!
(注:嘘です)
と言う訳で、茶番まで書き終わった所で今回の話の解説を。
今回夢旅人さんにリクエストされた…と言うか、私が目を向けたのは「遊○王追悼EDネタ」でした。正直に言うと…数か月前、今年の誕生日企画のネタが思いつかずに困っていた際にふと夢旅人さんと遊戯王の話を思い出した事に生まれたネタです。
その時は半ば諦めに陥っていたし、まだ時間もあったので「数打てば当たる」戦法でこのネタでどうかと相談してみた所……何とそのまま採用となってしまいました(苦笑)
それからは何度も動画でEDを見直しつつ、遊○王もある程度調べ上げ…その際、旅館の方で少し練習としてリラさんのキャラであるグラッセ追悼EDを書いたりしました(注:そのキャラは死んでません&詳しい内容知りたい方は【R旅館】の方をどうぞ)
ただ、もう内容はバレてしまっているので、サプライズとして『灼○のシャ○』で気に入っていると言っていたOPを使ったり、後半とあとがきで台本形式ですがデュエルの話を書きました。
尚、ここからは余談ですが、後半の遊○王のデュエルは昨日即興で作り上げました。あとがきの嘘予告なんて今日ですよ今日! 夜に帰って来て急ピッチで書き上げたんですから! え? 理由?…後半、文字数が予想以上に空いてしまうでそれを補う為です。面目ありません…。
しかし、遊○王と言うのは凄い。最初はまったく興味などなかった。しかしいつの間にかその面白さにこうも嵌ってしまうとは…。と言ってもアニメは住んでる地域では放送されないし、カードも買ったりは出来ないし、ゲームを買う余裕もないけど…(苦笑)
とりあえず、私からの話はあらかた終わりましたので最後に一言。
夢旅人さん、誕生日おめでとうございます!! これからも共に執筆活動頑張って行きましょう!!