リラ様誕生日企画・Part4-3
突然降り立った顔まで隠した黒コートを羽織った者達。
第三者の存在に、信者達は身構える。
「何者です?」
「俺達は、世界に存在しない者達」
「]V機関だ、記憶しとけよ!」
現れたのはサイクス、更にはロクサスを含めた]V機関のメンツだ。
ただし――
「って、全員性別変わってるじゃないかぁぁ!!?」
「駄目だこれ…」
ゼムナスと同じように、全員が女と化していた。
絶え間なくツッコミをするグラッセの隣でクウが絶句する中、カイリは近くにいたデミックスの胸を掴み上げる。
「て言うか、元はオッサン集団なのに何で全員私よりも胸があるんじゃぁぁぁ!!?」
「いでででで!? カイリ、あっち! 敵はあっち! ちょっと何とかしてよアクセル!! このままじゃ俺達共倒れだよー!!」
どうにかデミックスがカイリの手をから逃れると、助けを求める。
すると、奥の方からもう一つの黒い影が現れる。
「ったく…胸だの脂肪だのうるせぇっての」
ゆっくりと地面を踏みしめ、遅れて登場したのは――
「そんなに欲しけりゃ、くれてやるよ」
ハリネズミヘアーから三つ編みヘアーに変わり、豚のように肥満体系となったアクセルだった。
他の機関メンバーに比べてあまりの変わりように、リズ達全員がビシリと音を立てて固まる。
それでもカイリはゆっくりとアクセルの傍に近寄り……優しく肩を叩いた。
「……アリガトウ」
「アリガトウってどう言う意味だぁぁぁ!!?」
アクセルの渾身のツッコミ…基、何とも言えない感情が混ざり合った心からの叫びが発せられる。
女以上にとんでもないアクセルの姿に放心しかけたものの、リズはどうにか正気を取り戻した。
「エ…ナニアレ? あれ赤ウニ? 確か滅茶苦茶細かったイメージだったよね?」
「どうやら、摂取して溜め込んでいたピザのカロリーが女になった途端に放出したようで、あのような醜い体系に」
「醜いって何だゼクシオン!?」
好きでこうなった訳じゃないと言う思いでツッコミを入れていると、一応(?)幼馴染であるサイクスが疲れたように溜息を吐いた。
「全く、仕方ない奴だ。そんなに痩せたきゃ手伝ってやる。ロクサス」
ロクサスに指示を出すと、何かを取り出す。
トンテンカントンテンカンと作り上げ――出来上がったのは、木で作られたお手製の肉焼き器だった。
しかも肉を焼くための棒には、ちゃっかりとアクセルを縛り上げている。
「よーし、準備は出来たなー。それじゃ、火を起こして丸焼きにするわよー。ほらアクセル、キリキリと燃焼なさい」
「何でこうなるんじゃーーー!!? 脂肪燃焼どころか命が燃焼するわぁ!!!」
元親友二人の手によってブタの丸焼きならぬアクセルの丸焼きにされそうになり、悲鳴を上げる。
勝手にギャアギャアと騒ぎ立てる機関だったが、ようやく我に返ったのか信者の一人が口を開いた。
「…あなた達も異教徒の仲間ですか。どうやら、厳重に罰する必要がありそうですね」
「異教徒? いいえ、私達は元々この世界の者ではない。そしてそれはあなた達も同じでしょう。だからこそ、私達は私達の理念に従って対峙する…そう――」
ここでゼムナスが手を上げて合図すると、他の機関メンバー達が武器を取り出してそれぞれの武器の切っ先を一斉に向けた。
「この、異教徒共をっ!!」
リズ達5人に向けて。
「「「…え?」」」
「すみません、リズ。僕達…いえ、私達機関はあの人達の元に付く事にしたんです。神に仕替える者達に歯向かうなんて愚かな行為。それ以前に、こんな素晴らしい教えを受け入れないなんてもう考えられません。私達機関は神の元で新しく生まれ変わる事を決意しました」
「この者達は私達が責任もって牢にぶち込んでおきます。あなた達は是非ともこの世界で素晴らしい布教を続けてください」
「て、てめぇら!!」
敵に従うゼクシオンとゼムナスにリズが攻撃しようとするが、急に現れたダスク達によって押さえつけられてしまう。
他の者達もダスクに捕まってしまうと、成り行きを見ていた信者達は武器を収めた。
「――いいでしょう。あなた方が我々の同志である事は理解しました。今後もその調子で我々の神に尽くしてください。あなた方に我らの神のご加護があらんことを」
「ちくしょう! 放せぇ!」
「やはり敵は敵か…何たる不覚…!」
信者達が去っていく中、クウとアンセムも抵抗するがダスク達が離れる様子はない。
やがて信者達が完全に見えなくなると、ゆっくりとゼムナスが口を開いた。
「ぶるぁ…もう良いぞ」
ダスク達から解放されて機関達によって連れてこられたのは、薄暗い路地裏。
リズ達が不思議そうに辺りを見回していると、隅で誰かがパソコンを操作している。
その人物にサイクスが近づき、声をかける。
「ハッキングは終わったか?」
「あぁ…ここらは済ませた」
カチリと最後に大きくキーを叩くと、立ち上がって振り返る。
その正体は、やはり性別転換されてしまい女性の姿に変わったリクだった。
「リクさん!」
「おーおー、ちょっと見ない内に幼馴染君は男らしくなったようで。ケッ!」
「まあまあ。お互い無事…とはいきませんが、合流出来て何よりです」
思わぬ人物にグラッセが驚くと、居場所が分からなかったウラノスとジェダイトもやってくる。更にムーンとカヤも後ろにいる。
もちろん、四人とも性別転換されて女性の姿に変わってしまっていたが。
「ジェダイトさん、ウラノスさん。良かったです、合流出来て」
「やっと見つかりましたか…」
仲間との再会を喜んでいると、次にウィドが現れる。
見た限り、周りと違ってカイリ同様に何も変わっていない。
「ウィド…? 何だよ、よく見ればお前何も変わってないじゃねーか。あー、羨ましいな。一人だけ男のまま変わってないっでぇ!?」
次の瞬間、ウィドが愚痴るクウの胸を鷲掴みしていた。
嫉妬していたカイリと同じように物凄い力で。
「そう言うお前は随分な変わりようだなぁ!!! 下と同じように上も無くしてやりましょうかぁ!!?」
「ああああああ!!? 悪かった!? もげる! マジでもげるからぁぁ!?」
「せ、先生! 落ち着いて!」
歯軋りを起こして胸を剥ぎ取りにかかるウィドに、騒ぎを聞きつけてやってきたルキル(女性版)が落ち着かせようとする。
だが、ウィドは目の敵と言わんばかりにルキルの胸まで逆に掴んできた。
「どいつもこいつも変わってないだぁ!!? 私だって変わりましたよ! 女ですよ! 下の方ないですよ!! 男に見られたいなら全員無駄な脂肪剥いでやりましょうかぁ!!!」
「「ぎゃああああああ!!! 引き千切れるぅぅぅ!!?」」
「だ、誰かあれを止めて…!」
新たなる嫉妬によってクウとルキルが悲鳴を上げる光景に、グラッセが助けを求める。
が。
「ソラもリクも女になった途端に大きくなって…ヒロインに選ばれない私へのあてつけかぁぁぁ!!!」
「「ぎゃああああああ!!! いだい!! 胸が千切れるーーーー!!!」」
「KH2以降出番なんて殆どないし!!! 続編のコーデットとか3Dとかなに!? 私を差し置いて攫われ囚われポジションって何よ!? 本当のヒロインの力見せてあげるんだからぁぁあ!!!」
「いや分かりました!! もう十分に見せられたからそれ以上は止めてあげてぇ!!!」
ウィドと同じように幼馴染のでかい胸を全力で剥ぎ取ろうとするカイリ。
結局嫉妬全開の二人を、グラッセが全力で止めたのは言うまでもないだろう。
何だかんだでようやく一息が吐けたグラッセ達は、まず状況を確認する。
どうやらここにいるメンバーは全員性別が変わって戸惑っている所を、自分達と同じように]V機関達が見つけて保護してくれたようだ。
しかし、ここにいるのは男性陣達だけでリズを除いた女性陣メンバー、カイリを除いた女性陣メンバーの姿はどこにもいない。良く考えてみれば、]V機関メンバーのラクシーヌとシオンの姿も見ていない。
「そういや、あんた達の所の女性陣達は?」
「分からないんだ。俺達は騒動が起きてすぐに、アクア達と逸れちゃって…」
「俺達は元々女性陣とは別行動していたからな…もしかしたら捕まっているかもしれない」
「大いにあり得るわ。だけど、まずはこの状況を打破しないと私達も行動が出来ない」
リズの問いかけにヴェンとムーンが答えると、捕まっている所を想像したのか渋い顔になる。
「その通りだ。あれを見ろ」
徐にサイクスが指をさす方向を見ると、いつの間にか取り付けられたのか建物の角際に監視カメラがある。
「この町の住民を性別転換させた後、奴らはこの町の至る所にあの監視カメラを取り付けたんだ。今は町中のカメラが信者達の目と耳になっている」
「ここらのカメラは俺達が逆にハッキングして、見せる映像をループ再生にしている。だが、あくまでもここだけだ。町の大部分がまだあいつらに掌握されている」
さっきまでハッキング作業をしていたリクが補足を入れると、ここで思い出したようにグラッセが質問する。
「そう言えば、あの信者達って何者なんですか?」
「ヴィランスに似た闇の住人のようで、彼らは男でも女でもない――性別に関する概念がないのです。だからこそ、性別がある生物に自分らの考える男女のあり方を求めて、こんな過激な事をするのです。心のない僕らが心を欲するのと同じように」
「その行いから、私達も奴らの動向に目を光らせていたのぶるぁ。ようやく足取りを掴んで捕まえようとしたら、逆に巻き込まれてしまったって訳よぶるぁ」
信者達の情報と共に、機関内での事の事情をゼクシオンとゼムナスが話す。
そして、ロクサスも困ったように空を見上げながら説明を続ける。
「奴らは生物による性別が逆になるホルモン促進剤…要はウイルスを独自に作り上げた。そして、上空からこの町に落としてばら撒いたんだ。幸いにもそのウイルスは空気中ではそう長くは生きないから、感染の心配はない」
「良かったー。なら、カイリが感染して豚ウニになる事はないんだー!」
「心配してくれてありがと、ソラ」
「おい、豚ウニってなんだ!?」
「やだー、そこの豚ウニこーわーいー。カイリー、あっちいこ? 豚って沢山病原菌持ってるから危ないんだよー?」
「おーし、燃やす!! 全力で燃やしてやるからそこに直れ勇者の皮を被ったドライモンスターがぁ!!!」
何気に酷い一言を笑顔で放つソラに速攻でアクセルが怒り交じりのツッコミを入れるが、スルーして女子ならではの空気でカイリと話している。今回のソラは女になった所為で末っ子クソ松でも混じってしまったのかもしれない。
「とにかく、お前達はこの機械を監視カメラにつけてくれ。それだけでハッキングを起こし妨害をするんだ。奴らのアジトを見つけるには、まずは一つ一つ地道に奴らの目を潰していくしかない」
「そうだな、また捕まったりしたら厄介な事になりそうだしね」
サイクスがこれからの作戦について話し終えると、リズは頷いて小さな機械を手に取る。
こうして、機関メンバーと元男性陣達のタッグを組んだ大規模な信者達の反逆作戦が開始された。
第三者の存在に、信者達は身構える。
「何者です?」
「俺達は、世界に存在しない者達」
「]V機関だ、記憶しとけよ!」
現れたのはサイクス、更にはロクサスを含めた]V機関のメンツだ。
ただし――
「って、全員性別変わってるじゃないかぁぁ!!?」
「駄目だこれ…」
ゼムナスと同じように、全員が女と化していた。
絶え間なくツッコミをするグラッセの隣でクウが絶句する中、カイリは近くにいたデミックスの胸を掴み上げる。
「て言うか、元はオッサン集団なのに何で全員私よりも胸があるんじゃぁぁぁ!!?」
「いでででで!? カイリ、あっち! 敵はあっち! ちょっと何とかしてよアクセル!! このままじゃ俺達共倒れだよー!!」
どうにかデミックスがカイリの手をから逃れると、助けを求める。
すると、奥の方からもう一つの黒い影が現れる。
「ったく…胸だの脂肪だのうるせぇっての」
ゆっくりと地面を踏みしめ、遅れて登場したのは――
「そんなに欲しけりゃ、くれてやるよ」
ハリネズミヘアーから三つ編みヘアーに変わり、豚のように肥満体系となったアクセルだった。
他の機関メンバーに比べてあまりの変わりように、リズ達全員がビシリと音を立てて固まる。
それでもカイリはゆっくりとアクセルの傍に近寄り……優しく肩を叩いた。
「……アリガトウ」
「アリガトウってどう言う意味だぁぁぁ!!?」
アクセルの渾身のツッコミ…基、何とも言えない感情が混ざり合った心からの叫びが発せられる。
女以上にとんでもないアクセルの姿に放心しかけたものの、リズはどうにか正気を取り戻した。
「エ…ナニアレ? あれ赤ウニ? 確か滅茶苦茶細かったイメージだったよね?」
「どうやら、摂取して溜め込んでいたピザのカロリーが女になった途端に放出したようで、あのような醜い体系に」
「醜いって何だゼクシオン!?」
好きでこうなった訳じゃないと言う思いでツッコミを入れていると、一応(?)幼馴染であるサイクスが疲れたように溜息を吐いた。
「全く、仕方ない奴だ。そんなに痩せたきゃ手伝ってやる。ロクサス」
ロクサスに指示を出すと、何かを取り出す。
トンテンカントンテンカンと作り上げ――出来上がったのは、木で作られたお手製の肉焼き器だった。
しかも肉を焼くための棒には、ちゃっかりとアクセルを縛り上げている。
「よーし、準備は出来たなー。それじゃ、火を起こして丸焼きにするわよー。ほらアクセル、キリキリと燃焼なさい」
「何でこうなるんじゃーーー!!? 脂肪燃焼どころか命が燃焼するわぁ!!!」
元親友二人の手によってブタの丸焼きならぬアクセルの丸焼きにされそうになり、悲鳴を上げる。
勝手にギャアギャアと騒ぎ立てる機関だったが、ようやく我に返ったのか信者の一人が口を開いた。
「…あなた達も異教徒の仲間ですか。どうやら、厳重に罰する必要がありそうですね」
「異教徒? いいえ、私達は元々この世界の者ではない。そしてそれはあなた達も同じでしょう。だからこそ、私達は私達の理念に従って対峙する…そう――」
ここでゼムナスが手を上げて合図すると、他の機関メンバー達が武器を取り出してそれぞれの武器の切っ先を一斉に向けた。
「この、異教徒共をっ!!」
リズ達5人に向けて。
「「「…え?」」」
「すみません、リズ。僕達…いえ、私達機関はあの人達の元に付く事にしたんです。神に仕替える者達に歯向かうなんて愚かな行為。それ以前に、こんな素晴らしい教えを受け入れないなんてもう考えられません。私達機関は神の元で新しく生まれ変わる事を決意しました」
「この者達は私達が責任もって牢にぶち込んでおきます。あなた達は是非ともこの世界で素晴らしい布教を続けてください」
「て、てめぇら!!」
敵に従うゼクシオンとゼムナスにリズが攻撃しようとするが、急に現れたダスク達によって押さえつけられてしまう。
他の者達もダスクに捕まってしまうと、成り行きを見ていた信者達は武器を収めた。
「――いいでしょう。あなた方が我々の同志である事は理解しました。今後もその調子で我々の神に尽くしてください。あなた方に我らの神のご加護があらんことを」
「ちくしょう! 放せぇ!」
「やはり敵は敵か…何たる不覚…!」
信者達が去っていく中、クウとアンセムも抵抗するがダスク達が離れる様子はない。
やがて信者達が完全に見えなくなると、ゆっくりとゼムナスが口を開いた。
「ぶるぁ…もう良いぞ」
ダスク達から解放されて機関達によって連れてこられたのは、薄暗い路地裏。
リズ達が不思議そうに辺りを見回していると、隅で誰かがパソコンを操作している。
その人物にサイクスが近づき、声をかける。
「ハッキングは終わったか?」
「あぁ…ここらは済ませた」
カチリと最後に大きくキーを叩くと、立ち上がって振り返る。
その正体は、やはり性別転換されてしまい女性の姿に変わったリクだった。
「リクさん!」
「おーおー、ちょっと見ない内に幼馴染君は男らしくなったようで。ケッ!」
「まあまあ。お互い無事…とはいきませんが、合流出来て何よりです」
思わぬ人物にグラッセが驚くと、居場所が分からなかったウラノスとジェダイトもやってくる。更にムーンとカヤも後ろにいる。
もちろん、四人とも性別転換されて女性の姿に変わってしまっていたが。
「ジェダイトさん、ウラノスさん。良かったです、合流出来て」
「やっと見つかりましたか…」
仲間との再会を喜んでいると、次にウィドが現れる。
見た限り、周りと違ってカイリ同様に何も変わっていない。
「ウィド…? 何だよ、よく見ればお前何も変わってないじゃねーか。あー、羨ましいな。一人だけ男のまま変わってないっでぇ!?」
次の瞬間、ウィドが愚痴るクウの胸を鷲掴みしていた。
嫉妬していたカイリと同じように物凄い力で。
「そう言うお前は随分な変わりようだなぁ!!! 下と同じように上も無くしてやりましょうかぁ!!?」
「ああああああ!!? 悪かった!? もげる! マジでもげるからぁぁ!?」
「せ、先生! 落ち着いて!」
歯軋りを起こして胸を剥ぎ取りにかかるウィドに、騒ぎを聞きつけてやってきたルキル(女性版)が落ち着かせようとする。
だが、ウィドは目の敵と言わんばかりにルキルの胸まで逆に掴んできた。
「どいつもこいつも変わってないだぁ!!? 私だって変わりましたよ! 女ですよ! 下の方ないですよ!! 男に見られたいなら全員無駄な脂肪剥いでやりましょうかぁ!!!」
「「ぎゃああああああ!!! 引き千切れるぅぅぅ!!?」」
「だ、誰かあれを止めて…!」
新たなる嫉妬によってクウとルキルが悲鳴を上げる光景に、グラッセが助けを求める。
が。
「ソラもリクも女になった途端に大きくなって…ヒロインに選ばれない私へのあてつけかぁぁぁ!!!」
「「ぎゃああああああ!!! いだい!! 胸が千切れるーーーー!!!」」
「KH2以降出番なんて殆どないし!!! 続編のコーデットとか3Dとかなに!? 私を差し置いて攫われ囚われポジションって何よ!? 本当のヒロインの力見せてあげるんだからぁぁあ!!!」
「いや分かりました!! もう十分に見せられたからそれ以上は止めてあげてぇ!!!」
ウィドと同じように幼馴染のでかい胸を全力で剥ぎ取ろうとするカイリ。
結局嫉妬全開の二人を、グラッセが全力で止めたのは言うまでもないだろう。
何だかんだでようやく一息が吐けたグラッセ達は、まず状況を確認する。
どうやらここにいるメンバーは全員性別が変わって戸惑っている所を、自分達と同じように]V機関達が見つけて保護してくれたようだ。
しかし、ここにいるのは男性陣達だけでリズを除いた女性陣メンバー、カイリを除いた女性陣メンバーの姿はどこにもいない。良く考えてみれば、]V機関メンバーのラクシーヌとシオンの姿も見ていない。
「そういや、あんた達の所の女性陣達は?」
「分からないんだ。俺達は騒動が起きてすぐに、アクア達と逸れちゃって…」
「俺達は元々女性陣とは別行動していたからな…もしかしたら捕まっているかもしれない」
「大いにあり得るわ。だけど、まずはこの状況を打破しないと私達も行動が出来ない」
リズの問いかけにヴェンとムーンが答えると、捕まっている所を想像したのか渋い顔になる。
「その通りだ。あれを見ろ」
徐にサイクスが指をさす方向を見ると、いつの間にか取り付けられたのか建物の角際に監視カメラがある。
「この町の住民を性別転換させた後、奴らはこの町の至る所にあの監視カメラを取り付けたんだ。今は町中のカメラが信者達の目と耳になっている」
「ここらのカメラは俺達が逆にハッキングして、見せる映像をループ再生にしている。だが、あくまでもここだけだ。町の大部分がまだあいつらに掌握されている」
さっきまでハッキング作業をしていたリクが補足を入れると、ここで思い出したようにグラッセが質問する。
「そう言えば、あの信者達って何者なんですか?」
「ヴィランスに似た闇の住人のようで、彼らは男でも女でもない――性別に関する概念がないのです。だからこそ、性別がある生物に自分らの考える男女のあり方を求めて、こんな過激な事をするのです。心のない僕らが心を欲するのと同じように」
「その行いから、私達も奴らの動向に目を光らせていたのぶるぁ。ようやく足取りを掴んで捕まえようとしたら、逆に巻き込まれてしまったって訳よぶるぁ」
信者達の情報と共に、機関内での事の事情をゼクシオンとゼムナスが話す。
そして、ロクサスも困ったように空を見上げながら説明を続ける。
「奴らは生物による性別が逆になるホルモン促進剤…要はウイルスを独自に作り上げた。そして、上空からこの町に落としてばら撒いたんだ。幸いにもそのウイルスは空気中ではそう長くは生きないから、感染の心配はない」
「良かったー。なら、カイリが感染して豚ウニになる事はないんだー!」
「心配してくれてありがと、ソラ」
「おい、豚ウニってなんだ!?」
「やだー、そこの豚ウニこーわーいー。カイリー、あっちいこ? 豚って沢山病原菌持ってるから危ないんだよー?」
「おーし、燃やす!! 全力で燃やしてやるからそこに直れ勇者の皮を被ったドライモンスターがぁ!!!」
何気に酷い一言を笑顔で放つソラに速攻でアクセルが怒り交じりのツッコミを入れるが、スルーして女子ならではの空気でカイリと話している。今回のソラは女になった所為で末っ子クソ松でも混じってしまったのかもしれない。
「とにかく、お前達はこの機械を監視カメラにつけてくれ。それだけでハッキングを起こし妨害をするんだ。奴らのアジトを見つけるには、まずは一つ一つ地道に奴らの目を潰していくしかない」
「そうだな、また捕まったりしたら厄介な事になりそうだしね」
サイクスがこれからの作戦について話し終えると、リズは頷いて小さな機械を手に取る。
こうして、機関メンバーと元男性陣達のタッグを組んだ大規模な信者達の反逆作戦が開始された。