リラ様誕生日企画・Part4-5
機関員以外のメンバーが服を着替えてカモフラージュし、町を散開し、信者達に気づかれないようにあちこちの監視カメラをハッキングする作業を続けて30分が経過した。
現在、彼女達は路地裏の場所に戻って現状確認をしていた。
「監視カメラの状況は?」
「どうにかここ一帯のハッキングは成功しているが半分にも満たない。残りの部隊は…」
こんな状況だからかロクサスとリクで互いに報告をし合っていると、アクセル達から離脱していたクウとウラノスが戻ってきた。
だが、その表情は何処か暗く顔を俯かせている。
「あ、クウ。お帰りー」
「ウラノス、お疲れさま」
ようやく戻った二人に、ソラとカヤが声をかける。勝手にいなくなった事はゼクシオンから聞いていた為に、サイクスが咎めるように声をかける。
「二人とも、勝手な行動をしていたようだな。お前達が足を引っ張っている間に俺達が監視カメラのハッキングを「「必要ない」」…む?」
「「もう、その必要はなくなった」」
悟るように言った直後、彼女達の前で大量の壊された監視カメラが降ってくる。
予想もしなかった光景に、思わずグラッセが叫ぶ。
「な、何ですかこの大量のカメラは!?」
「何処にも姿を見せないと思ったら、男どもはこんな所でチマチマと作業をしていたのか」
「俺達が監視されている? ならば、その目を潰せばいいだけの事だろう」
頭上から低い男性の声がして、クウとウラノス以外の全員が顔を上げる。
建物の屋根に悠然としながら立っていたのは――男性となったテルスとスピカだった。どこからか調達したのか、服装も男性使用に変わっている。
「テルスーーーーーーーーー!!?」
「スピカさーーーーーーーーーん!!!?」
「ぶるぅあ!? そんな事をしてはぁ、連中に気づかれる「それ、こいつらの事か?」ぶるぁ!?」
ムーンとルキルとゼムナスが叫んでいると、今度は縄に縛られた大量の信者達が積み上げられる。
どの信者もボロボロで手も足も口も縛られて動かせない。その傍らに立っているのは。
「町で異変を感じれば奴らは勝手に出てくる」
「なら、それを一人残らずやっつけてしまえば済む話。違うか?」
「ラックさんーーーーーーーーーーーーーっ!!?」
「オパーーーーーーーーーーーーーールっ!!?」
貴族風の美形の男性へと姿を変えたラックとオパールに、ジェダイトとリクがどこかで聞いたような叫び声を上げる。
その立ち姿は、ゼムナスと同じで宝塚風だ。もうバラの宮殿に出てくるオス○ルとアン○レである。
「だ、だが! そんな事をしても意味は」
「意味ならあるさ。頭も口もあるんだから、拷問して情報を吐かせればいいだろ?」
「それが出来なくても、奴らが出てきた所さえ分かれば済むだろう?」
次々と現れる男性達にサイクスが反論しようとしたが、また現れる。
「ラクシーーーーーーーヌ!!?」
「アクアーーーーーーーーー!!?」
まるでドSを前面に表したような黒い笑みを見せつけるラクシーヌと、エラクゥスのように武人風と化したアクア。これには思い人であるマールーシャとテラが悲鳴を上げる。
女性人達が逞しく変わってしまった事に男達の誰もが言葉を失う中、こちらに近付く軽い足音が聞こえてくる。
「おーい、みんなー。場所、分かったよー!」
「ダクスさんが教えてくれました。地下ですよー!」
最後に現れたシオンとレイア。二人はこれまでの女性達に比べたら特に見た目的に変わっていないが、ボーイッシュな格好となっている。完全に男を満喫している。
彼女…いや、彼らは攫われていると思っていたが、真逆で逞しく行動していた。その事が嫌って程分かっていると、この二人に男達は一斉に振り返った。
「よし、向かうぞ」
「こんな馬鹿げた騒動、さっさと終わらせてやる」
ラックとテルスを先導に、ザッと足音を鳴らしその場から立ち去ろうとする。
「あ、あの…」
そんな男達に、ロクサスが後ろから声をかける。
すると、シオンとレイア以外の元女達が振り返って元男達を見下した。
「こちらが戦っていたのに、男――いや、女どもは呑気な事で」
「男は本当に役に立たないな」
スピカとアクアの覇気の籠った視線に、魔王と呼ばれたロクサスですら固まってしまう。
その時見せた彼らの視線は、完全に役立たずを見る目だったと言う…。
レイディアントガーデンに密かに建設された地下空洞。
町の全てを見渡せる基地で、信者達が混乱していた。
原因はもちろん、元女性達が町で行った数々の行動の所為である。
「監視カメラの映像が途絶えました!」
「見回りの部隊が未だに戻ってきません!」
「何が起きているのです!? まだ大司教様も戻られていないのに…!!」
「「「うわあああああぁ!!?」」」
どうにか混乱を収めようとすると、入り口付近で悲鳴が起こる。
何事かと近づくと、辺りに煙が立ち込めており入り口である地上に続く梯子の下で他の信者達が伸びている。
その煙が晴れると、倒れる信者達の中心で複数の人物が立っていた。
「な、何者です!?」
「何者だと? おかしな事を聞くものだな」
「我らは決して怪しい物などではありません」
「俺達はあなた達の教えに従い、男として生まれ変わったもの」
「さあ、見せてやろうじゃないか」
「俺達、男となった者の生き様を」
身構える信者達に対し、余裕を見せながら話すアンセム、オパール、ラック、ラクシーヌ、アクア。その手には既に武器が握られている。
そして、彼らに交じっていたリズもキーブレードを取り出し、鋭く睨みながら大勢の敵へと切っ先を向ける。
「私…いや、俺達を男にさせた事――後悔させてやるぅぅぅ!!!」
猛るリズを筆頭に、元女性陣が一斉に襲い掛かる。
その場にいる信者達をラクシーヌはドSの高笑いで電撃を使って切り刻み、アクアは得意とする魔法を一切使わずキーブレードだけで薙ぎ払う。ラックとテルスも地面を殴るように高出力の衝撃波を出すし、オパールとスピカとアンセムに至っては素手だけで返り討ちにしている。リズも攻撃するたびに敵ごと床や壁を抉り、シオンとレイアは普通に戦っているが前面に出てサポートしている。
そんな男性達の雄叫びと敵の悲鳴が混じり合う光景を、元男性陣達は唖然としながら地上の穴から眺めていた。
「……ナニコレ?」
「何かもうハイスペックなんですけど!!? ただでさえ男勝りだった女性陣が真の男になって最強になっているんだけどぉ!!? 俺達が手を拱いているよりも短い時間で敵を壊滅させているよぉ!!!」
すっかり逞しくなった男達にクウが固まる横で、グラッセも泣きそうになりながら絶叫を上げる。
「女共に負けてられない!! 俺達も続けぇぇぇ!!!」
それでも男のプライドと言うものがあり、アクセルは武器を構えて飛び上がる。
穴の中へとアクセルが飛び込みダイブをする――が、腹の肉が太すぎて穴が通らず、結果栓をする形で入り口を塞いでしまった。
『『『………』』』
「――ここは俺に任せてぇ、早く行きな…」
「「「ふざけんじゃねーぞてめぇぇぇ!!!」」」
「ごぎゃああああああああああああああぁ!!!??」
妨害された怒りと一刻も早く取り除く為に、クウ、ウラノス、ロクサスがアクセルを足蹴りにしながら少しずつ穴に押し込めたのは言うまでもない。
「リーダー! ここら一帯を全て制圧したぞ!!」
「ご苦労様。皆、良くやってくれた」
「す、すごい…! あっという間に制圧しちゃった! みんな凄いよ!」
全ての信者達を倒し、様々な機械で囲まれた地下施設を我が物としたアンセムとアクア。その後ろで男性達について来ていたカイリが感心する。
目を輝かせながら尊敬の眼差しを浮かべるカイリの前で、リズもアクア達との会話に加わる。
「こんな事なら、男達とじゃなくアクア達と組めばよかった」
「俺達も最初にテルス達と合流できたからうまく事が運んだんだ。こんな妙な状況じゃ、判断を間違えても仕方ないさ」
すかさずスピカがフォローすると、リズはそれもそうかと納得してしまう。
こうして勝利ムードを味わっていると、ようやくグラッセ達もその場にやってきた。
「…結局全部終わったな…」
「ぶるぅああ!! みんな良くやってくれたわ!!」
「ホントホントー、これも私達の作戦の通り『『『アァン?』』』ヒッ!?」
「ぶるぁ!? どどどうしたのぉ、男達の目が怖いぃ…!?」
調子のいいゼムナスとあざとい成分が入ったソラに対し、男性陣達が一斉に睨みつける。
男性陣達の視線に二人が竦み上がる中、テルスが鼻を鳴らし前に出る。
「調子に乗らないでくれないか? 今の君達はもう男でも何でもない。そう――」
ここで言葉を切ると、ある物を取り出す。
全体が黒のワンピースに白のレースとエプロンが付いたフリフリの衣装――そう、誰もが一度は聞いた事がある、伝説の服。
「男に奉仕するメイドになるべきなんだ!!」
「この人男になっても全然ぶれてないよ!!?」
大量のメイド服を女性達に突きつけるテルスに、グラッセがツッコミを入れる。
とここで、我慢が出来なくなったのか鼻息を荒くしてカヤにしがみつく。
「お願いだー!! お金なら払うから私に絶景をー!!」
「ぎゃー!! 来るんじゃねー!!」
「テルス兄さん!? 性別変わった所為で変態所か通報される人になってるぞ!?」
悲鳴を上げるカヤに無理やりメイド服を着せようとする変態の姿に、血の繋がった妹であるウラノスが悲鳴を上げる。
結局カヤに突き放され、床に叩きつけられる。それでもめげずに別の人物をロックオンする。
「クウ、君でもいい!! 同じスケベの同志としてそのナイスバディの身体を堪能させげふ、ぐはぁぁ!!?」
「テルスー!?」
台詞の途中で『ルインガ』の魔法が顔面に飛んでふっ飛ばされたものだから、ムーンが悲鳴を上げる。
飛んできた方向を見ると、何とスピカがクウの肩を掴んで抱きしめながらテルスに手を翳していた。
現在、彼女達は路地裏の場所に戻って現状確認をしていた。
「監視カメラの状況は?」
「どうにかここ一帯のハッキングは成功しているが半分にも満たない。残りの部隊は…」
こんな状況だからかロクサスとリクで互いに報告をし合っていると、アクセル達から離脱していたクウとウラノスが戻ってきた。
だが、その表情は何処か暗く顔を俯かせている。
「あ、クウ。お帰りー」
「ウラノス、お疲れさま」
ようやく戻った二人に、ソラとカヤが声をかける。勝手にいなくなった事はゼクシオンから聞いていた為に、サイクスが咎めるように声をかける。
「二人とも、勝手な行動をしていたようだな。お前達が足を引っ張っている間に俺達が監視カメラのハッキングを「「必要ない」」…む?」
「「もう、その必要はなくなった」」
悟るように言った直後、彼女達の前で大量の壊された監視カメラが降ってくる。
予想もしなかった光景に、思わずグラッセが叫ぶ。
「な、何ですかこの大量のカメラは!?」
「何処にも姿を見せないと思ったら、男どもはこんな所でチマチマと作業をしていたのか」
「俺達が監視されている? ならば、その目を潰せばいいだけの事だろう」
頭上から低い男性の声がして、クウとウラノス以外の全員が顔を上げる。
建物の屋根に悠然としながら立っていたのは――男性となったテルスとスピカだった。どこからか調達したのか、服装も男性使用に変わっている。
「テルスーーーーーーーーー!!?」
「スピカさーーーーーーーーーん!!!?」
「ぶるぅあ!? そんな事をしてはぁ、連中に気づかれる「それ、こいつらの事か?」ぶるぁ!?」
ムーンとルキルとゼムナスが叫んでいると、今度は縄に縛られた大量の信者達が積み上げられる。
どの信者もボロボロで手も足も口も縛られて動かせない。その傍らに立っているのは。
「町で異変を感じれば奴らは勝手に出てくる」
「なら、それを一人残らずやっつけてしまえば済む話。違うか?」
「ラックさんーーーーーーーーーーーーーっ!!?」
「オパーーーーーーーーーーーーーールっ!!?」
貴族風の美形の男性へと姿を変えたラックとオパールに、ジェダイトとリクがどこかで聞いたような叫び声を上げる。
その立ち姿は、ゼムナスと同じで宝塚風だ。もうバラの宮殿に出てくるオス○ルとアン○レである。
「だ、だが! そんな事をしても意味は」
「意味ならあるさ。頭も口もあるんだから、拷問して情報を吐かせればいいだろ?」
「それが出来なくても、奴らが出てきた所さえ分かれば済むだろう?」
次々と現れる男性達にサイクスが反論しようとしたが、また現れる。
「ラクシーーーーーーーヌ!!?」
「アクアーーーーーーーーー!!?」
まるでドSを前面に表したような黒い笑みを見せつけるラクシーヌと、エラクゥスのように武人風と化したアクア。これには思い人であるマールーシャとテラが悲鳴を上げる。
女性人達が逞しく変わってしまった事に男達の誰もが言葉を失う中、こちらに近付く軽い足音が聞こえてくる。
「おーい、みんなー。場所、分かったよー!」
「ダクスさんが教えてくれました。地下ですよー!」
最後に現れたシオンとレイア。二人はこれまでの女性達に比べたら特に見た目的に変わっていないが、ボーイッシュな格好となっている。完全に男を満喫している。
彼女…いや、彼らは攫われていると思っていたが、真逆で逞しく行動していた。その事が嫌って程分かっていると、この二人に男達は一斉に振り返った。
「よし、向かうぞ」
「こんな馬鹿げた騒動、さっさと終わらせてやる」
ラックとテルスを先導に、ザッと足音を鳴らしその場から立ち去ろうとする。
「あ、あの…」
そんな男達に、ロクサスが後ろから声をかける。
すると、シオンとレイア以外の元女達が振り返って元男達を見下した。
「こちらが戦っていたのに、男――いや、女どもは呑気な事で」
「男は本当に役に立たないな」
スピカとアクアの覇気の籠った視線に、魔王と呼ばれたロクサスですら固まってしまう。
その時見せた彼らの視線は、完全に役立たずを見る目だったと言う…。
レイディアントガーデンに密かに建設された地下空洞。
町の全てを見渡せる基地で、信者達が混乱していた。
原因はもちろん、元女性達が町で行った数々の行動の所為である。
「監視カメラの映像が途絶えました!」
「見回りの部隊が未だに戻ってきません!」
「何が起きているのです!? まだ大司教様も戻られていないのに…!!」
「「「うわあああああぁ!!?」」」
どうにか混乱を収めようとすると、入り口付近で悲鳴が起こる。
何事かと近づくと、辺りに煙が立ち込めており入り口である地上に続く梯子の下で他の信者達が伸びている。
その煙が晴れると、倒れる信者達の中心で複数の人物が立っていた。
「な、何者です!?」
「何者だと? おかしな事を聞くものだな」
「我らは決して怪しい物などではありません」
「俺達はあなた達の教えに従い、男として生まれ変わったもの」
「さあ、見せてやろうじゃないか」
「俺達、男となった者の生き様を」
身構える信者達に対し、余裕を見せながら話すアンセム、オパール、ラック、ラクシーヌ、アクア。その手には既に武器が握られている。
そして、彼らに交じっていたリズもキーブレードを取り出し、鋭く睨みながら大勢の敵へと切っ先を向ける。
「私…いや、俺達を男にさせた事――後悔させてやるぅぅぅ!!!」
猛るリズを筆頭に、元女性陣が一斉に襲い掛かる。
その場にいる信者達をラクシーヌはドSの高笑いで電撃を使って切り刻み、アクアは得意とする魔法を一切使わずキーブレードだけで薙ぎ払う。ラックとテルスも地面を殴るように高出力の衝撃波を出すし、オパールとスピカとアンセムに至っては素手だけで返り討ちにしている。リズも攻撃するたびに敵ごと床や壁を抉り、シオンとレイアは普通に戦っているが前面に出てサポートしている。
そんな男性達の雄叫びと敵の悲鳴が混じり合う光景を、元男性陣達は唖然としながら地上の穴から眺めていた。
「……ナニコレ?」
「何かもうハイスペックなんですけど!!? ただでさえ男勝りだった女性陣が真の男になって最強になっているんだけどぉ!!? 俺達が手を拱いているよりも短い時間で敵を壊滅させているよぉ!!!」
すっかり逞しくなった男達にクウが固まる横で、グラッセも泣きそうになりながら絶叫を上げる。
「女共に負けてられない!! 俺達も続けぇぇぇ!!!」
それでも男のプライドと言うものがあり、アクセルは武器を構えて飛び上がる。
穴の中へとアクセルが飛び込みダイブをする――が、腹の肉が太すぎて穴が通らず、結果栓をする形で入り口を塞いでしまった。
『『『………』』』
「――ここは俺に任せてぇ、早く行きな…」
「「「ふざけんじゃねーぞてめぇぇぇ!!!」」」
「ごぎゃああああああああああああああぁ!!!??」
妨害された怒りと一刻も早く取り除く為に、クウ、ウラノス、ロクサスがアクセルを足蹴りにしながら少しずつ穴に押し込めたのは言うまでもない。
「リーダー! ここら一帯を全て制圧したぞ!!」
「ご苦労様。皆、良くやってくれた」
「す、すごい…! あっという間に制圧しちゃった! みんな凄いよ!」
全ての信者達を倒し、様々な機械で囲まれた地下施設を我が物としたアンセムとアクア。その後ろで男性達について来ていたカイリが感心する。
目を輝かせながら尊敬の眼差しを浮かべるカイリの前で、リズもアクア達との会話に加わる。
「こんな事なら、男達とじゃなくアクア達と組めばよかった」
「俺達も最初にテルス達と合流できたからうまく事が運んだんだ。こんな妙な状況じゃ、判断を間違えても仕方ないさ」
すかさずスピカがフォローすると、リズはそれもそうかと納得してしまう。
こうして勝利ムードを味わっていると、ようやくグラッセ達もその場にやってきた。
「…結局全部終わったな…」
「ぶるぅああ!! みんな良くやってくれたわ!!」
「ホントホントー、これも私達の作戦の通り『『『アァン?』』』ヒッ!?」
「ぶるぁ!? どどどうしたのぉ、男達の目が怖いぃ…!?」
調子のいいゼムナスとあざとい成分が入ったソラに対し、男性陣達が一斉に睨みつける。
男性陣達の視線に二人が竦み上がる中、テルスが鼻を鳴らし前に出る。
「調子に乗らないでくれないか? 今の君達はもう男でも何でもない。そう――」
ここで言葉を切ると、ある物を取り出す。
全体が黒のワンピースに白のレースとエプロンが付いたフリフリの衣装――そう、誰もが一度は聞いた事がある、伝説の服。
「男に奉仕するメイドになるべきなんだ!!」
「この人男になっても全然ぶれてないよ!!?」
大量のメイド服を女性達に突きつけるテルスに、グラッセがツッコミを入れる。
とここで、我慢が出来なくなったのか鼻息を荒くしてカヤにしがみつく。
「お願いだー!! お金なら払うから私に絶景をー!!」
「ぎゃー!! 来るんじゃねー!!」
「テルス兄さん!? 性別変わった所為で変態所か通報される人になってるぞ!?」
悲鳴を上げるカヤに無理やりメイド服を着せようとする変態の姿に、血の繋がった妹であるウラノスが悲鳴を上げる。
結局カヤに突き放され、床に叩きつけられる。それでもめげずに別の人物をロックオンする。
「クウ、君でもいい!! 同じスケベの同志としてそのナイスバディの身体を堪能させげふ、ぐはぁぁ!!?」
「テルスー!?」
台詞の途中で『ルインガ』の魔法が顔面に飛んでふっ飛ばされたものだから、ムーンが悲鳴を上げる。
飛んできた方向を見ると、何とスピカがクウの肩を掴んで抱きしめながらテルスに手を翳していた。