ダブルクロス第三弾・予告(仮)
全ては、この出会いから始まった。
「――で、話を聞いた結果…要約すれば『親父(リク)を極悪非道のボスにして、容赦なく抹殺出来る感じのシナリオにしてくれ』と頼まれてね…」
「あ〜…それはまた…」
「んなもん簡単に出来るくぅあー!! やろうと思えばやれるが、リクファンに殺されろっていいてえのかあんのクソガキャ〜!!」
(完全に酔っぱらってる…そして完全に絡まれてしまった…)
「お前も協力しろや〜!! 頭良いキャラだろうがよぉ〜!!」
「いや…協力はいいのですが、さすがに私もすぐに思い付いたりは…」
「この際何でもいいんだよー! 何かアイディアだしゃー!!」
「アイデアと言われても…!!」
(何でもいい! 何か、何か引き出しを…!)
「………スズノヨミ。出来るかもしれませんよ?」
「…ふぇ?」
*10分後…
「ふ…お主も悪よのう」
「いえいえ、GM程では…」
「「フフフフフ…!」」
「さて、今回もSMを用意しているよ」
「へー、誰ですか?」
「どうも、私が今回のセッションでSMを務めさせて頂きますウィドです。どうぞよろしく」
「「「「アカン奴キターーーーーーーー!!!!!」」」」
今回のセッションの為に新たに組んだSMは、鬼畜の姉を持つ腹黒の弟。
そんな彼らが思い付いたシナリオは、一体どんな物語を紡ぐのか。
「わー、海だー!」
「もう月、まだシート敷いてないよー」
「いいじゃないか。久々の家族団欒であいつも楽しんでいるんだろ」
「親父ー、お袋ー! 早くー!」
「あ、月! そんなに急いで飛び込んだら「ギャー!」キャーーーー!! 陸、月がー!!」
数少ない、幼い頃に作った家族との思い出。
しかし、その思い出は闇に葬り去られた。
闇は、にじり寄り…本人だけでなく周りを包み込む。
「今日はあなたに依頼があります」
「依頼? UGNエージェントがFHに鞍替えした俺にどんな依頼持って来たんだよ?」
「実は、我々が所属している日本支部に資金を貢献している企業グループがありまして…ですが、最近裏でFHと繋がっているようなのです。あなたには、その企業グループの社長を秘密裏に暗殺して頂きたいのです」
(企業グループの社長? まさか神城グループか?)
「いいえ。こちらの写真の男性――闇代グループの現社長、闇代陸と言う人物です。あなたには、彼の始末をお願いしたいのです」
「それは本当なんですか!?」
《ええ。日本支部内で報告が上がったの。今はまだ私の手元に情報はあるから中枢評議会にはもちろん霧谷支部長にも通ってないけど、それも時間の問題になるわ…》
「でも、それが事実でもムーンは何も悪くない! 悪いのは彼の父親じゃないですか!」
《そんなの言い訳にならないわ。例え決別したと言えども家族は家族――このままでは、闇代月は強制拘束されてしまうわ》
「今回、あなたにお願いする任務。それはこの宝石を私の元に持ってくる事です。この“闇”は今後、私の計画するプランに必要不可欠になるのです」
「なんで、ボクにそんな任務を? FHに潜入しているボクなんかよりも、他のエージェント達に頼めばいいんじゃないの?」
「いいえ。この任務はあなたが一番適しています。なにせ、この“闇”は――闇代家が代々管理し守護している物ですから」
「闇代、家…まさか、月の事?」
「理解出来ましたか? あなたには、守護者である闇代家からこの闇を奪ってきて欲しいのです。手段は問いません。あなたの好きなように行うといいですよ」
様々な思惑が、闇に呑まれようとする友を、仲間を中心に動き出す。
「はい、僕は真月と言います!」
「後で思いっきり裏切る人じゃないかぁぁぁーーーーー!!?」
「こいつの所為で折れないハートも折れるって話題に上がった奴だろ!?」
「大丈夫! 真月は良い奴だぜ! 確かに裏切ったりしたけど、それでも俺は優しいこいつを信じているからさ!」
「何この人…?」
「父さん並みの菩薩メンタルじゃないか…!」
「やだなぁ。僕なんて遊馬くんや皆さんに比べたら全然ですよー」
「嘘つけ。絶対お前の経験点ボスクラスだろ」
「さて、御剣が用意した情報屋ってのは…」
「今日こそは僕と殺し合おうよ兄さぁぁぁん!!!」
「ニューと一つになろうよラグナァァァ!!!」
「ズェアァァァ!!!」
「ここは最高の餌場だ!!! 死神よとくと死合おうではないかぁぁぁ!!!」
「店を間違えた帰るぞ翼」
「えええええ!? いいの、いいのぉ!? 誰か襲われてたよね!? 集団で襲い掛かっていたよね!?」
(夢を見るにはまだ早い時間だぞ翼)
「蒼空さんまで現実逃避しないでよ!?」
闇に立ち向かう彼らと出会う、様々な協力者達。
「こちらに坊ちゃんがいらしたようです。どうやら御一人ではなく、お友達と思わしき人達も伺えました」
「そうか」
「いかが致しましょう?」
「奴はもう化け物だ。俺の息子も妻も死んだ、あいつを、友達も一緒に始末しろ」
「畏まりました、ご主人様」
「頼むぞ――ゼムナス」
冷酷な命令を出す彼の心に――親子の絆は存在しない。
だが―――
「月…俺は、本当は…」
「――息子を思う愛、親子の絆…なかなか面白い物を見させていただきましたよ」
「いやー、さすがはUGN。本当に滑稽でくだらない…ぶち壊したくなりますよ」
「この人まで悪役楽しんでる…と言うか天職じゃねーのかこれ…?」
「何で味方キャラなの? 何で悪役キャラじゃないの?」
「こいつらマジ姉弟だわ。究極加虐生物(アルティメットサディスティッククリーチャー)だわ」
「嫌でも(リアル)SAN値が減っていくんだけど…何コレ、無理矢理ボク達に衝動判定させてジャーム化狙ってるの?」
虚像が剥がれ落ちた瞬間、嘲りと共に。
本当の闇が、姿を現す。
「俺は奴を…陸を殺す為に今まで生きて来たんだ!! 奴の思惑なんぞどうでもいい!! 俺は殺す!! 奴をこの世で最も惨たらしく、無残に殺しつくす!!!」
「ムーン…」
「――面貸せ」
「ハ」
「面貸せって言ってんだよクソガキィ!!!」
「伝わってきますよ、坊ちゃん…その怒り、悲しみ、憎しみ。実に素晴らしいです。貴方こそ、闇代家の後継者に相応しい! さあ私を、いえ…あなたの父親を殺すのです!! そうして手に入れた深い絶望――それでこの“闇”は目覚めます!!」
「――ふざけるなぁ!!! ムーンはあんたの道具じゃない!!」
「そうだ、お前は勘違いしてる…月はお前の操り人形になるほど、軟な心を持っちゃいない」
「それに、ボク達もいる。あんたの思惑道理にはさせない…友達は、ボク達が守る!!」
その戦いは、今までと違い苛烈を極める事になる。
「まだセットアップなのに敵が強化しまくってるぞ!?」
「そんなに攻撃力上げてどうするつもりですか!?」
「決まってる。貴様らを確実に仕留める為だ」
「ヤベェ…!! こいつハンターの目をしてやがる…!!」
「みんな…!?」
「坊ちゃんは寂しがり屋ですからね、ちゃーんとお友達も一緒に連れてきてあげますね?」
「「「いやああああああああ!!! 放せぇぇぇ!!!」」」
「おやおや、意外と薄情なお友達ですね…平気で坊ちゃんを切り捨てるのにお友達と名乗るとは、お仕置きが必要です」
「月がどうこうじゃねえ!!! 100%お前の所為だぁ!!!」
それでも…彼らは諦めない。
絆が勝利に導く事を信じているから。
「月」
「どうせ防がれるのは目に見えている。だけど、その守りも鉄壁じゃない」
「奴の守りは俺達が壊してやる。後はお前の手で決着つけさせろ」
「お、お前ら! 特攻仕掛ける気かよ!」
「今更だな、特攻は俺の得意分野だ」
「ボクはノイマンだ。無駄な事は一切しない主義なんだよ――仲間の絆も含めてね」
「この氷壁は崩させない」
「意地でも守り抜いてやる――それが俺の力だっ!!!」
「(てめえのそう言う見下した言い方…本当に虫唾が走るんだよぉ!!!)」
「髪が、白銀に…!」
「白い髪に、赤い目…アルビノ」
「(受け止めろ――俺達の憎悪(オモイ)をなぁ!!!)」
「ボクの超電磁砲封じたからって、いい気にならないでよね!!」
「なっ!」
「さあ、この弾丸と電撃を受けて見ろぉ!!!」
「ああ、そうだよ。全てがあんたの仕業でも、俺は親父が憎い」
「俺に全てを押し付けて、人形のようだった。正直、今すぐにでもお前も含めて殺してやりたい」
「だけど、てめえの思い通りになるくらいなら――」
「俺は、この感情(ぞうお)を乗り越えるっ!!!」
闇の向こうに伸ばした手は、何を掴むのか―――。
■作者メッセージ
えー、とまあ今現在書いている範囲で第三弾の予告をさせていただきました。
現在も執筆が厳しい状況なのですが、予告ぐらいなら一気に纏める事は可能なので今回出してみました。もちろん、纏めてあると言っても本編を出す際は台詞など変更が出る場合もございます。ご了承ください。
現在も執筆が厳しい状況なのですが、予告ぐらいなら一気に纏める事は可能なので今回出してみました。もちろん、纏めてあると言っても本編を出す際は台詞など変更が出る場合もございます。ご了承ください。